書籍

むかしの頭で診ていませんか?総合内科診療をスッキリまとめました

内科外来の隙間を埋めます!

編集 : 橋重人/村川裕二
ISBN : 978-4-524-22853-9
発行年月 : 2021年5月
判型 : A5
ページ数 : 294

在庫あり

定価4,180円(本体3,800円 + 税)


  • お気に入りに登録
  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

大好評書籍「むかしの頭で診ていませんか?」シリーズ第10弾「総合内科診療」版.これまでのシリーズで取り扱っていないものの,一般内科・実地医科でよく診るテーマとして,「内科外来のメンタルヘルス」「不眠症と睡眠薬」「女性の訴え」「クリニックで使う漢方薬」など,36題を厳選して収載.「そもそも,どう考えるの?」「具体的にどうするのか?」「なぜ,考え方が変わったのか?」など,押さえておきたい知識・情報をスッキリ整理.全科医師におすすめの一冊.

1 甲状腺機能亢進症を見逃さない/甲状腺腫を発見したら?
2 甲状腺機能低下症,どう疑う?
3 副甲状腺機能低下症,どう疑う?
4 内科外来のメンタルヘルス
5 不眠症と睡眠薬──睡眠薬はどのように選択するのか?
6 ふるえる手をみたら
7 抗血小板薬と抗凝固薬を使うとき
8 鎮痛薬と慢性疼痛──内科医はどう使う?
9 内科医と妊婦と授乳婦
10 「微熱が続く」,「熱っぽい」──不明熱とはいえない発熱の診断・治療
11 膠原病を疑うヒント
12 内科外来でみる関節炎と関節痛
13 内科外来で出会う整形外科疾患
14 花粉症の処方薬,ただ処方すればいいの?
15 頻尿と前立腺肥大症
16 女性の訴え
17 クレアチニンが上昇したとき
18 最近の脂質異常症治療
19 認知症の診かた
20 ふらつきとめまいをみたら
21 貧血で倒れた?
22 弁膜症の患者さんをフォローする
23 骨粗鬆症の薬の使い方
24 痛風と偽痛風,対応できますか?
25 クリニックで使う漢方薬@〈急性期対応〉
26 クリニックで使う漢方薬A〈慢性期管理──頭痛を中心に〉
27 おなかの風邪
28 胃腸炎ではない腹痛に遭遇したら?
29 足のむくみ
30 虚血らしくない胸部症状に遭遇したら?
31 見落としやすい胸部X 線異常
32 見落としやすい心筋虚血の心電図
33 病的ではない検査値異常
34 みえない心不全
35 内科医が気をつけたい眼科疾患,内科医が処方できる目薬
36 口の中をみる

 『むかしの頭で診ていませんか?』のシリーズは……
 内科外来で「専門でない疾患や症状に対応する」ために企画されました。
 最初は「循環器」で始まり、「呼吸器」、「糖尿病」、「血液」etc、と進んでいきました。
 しかし、十分にカバーできないところが残りました。
 ところが、そういう領域にこそ出会う頻度が高いものがあります。
 そこで、このシリーズを完結させるために、「まだ十分に取り上げられなかったこと」をまとめました。
 こういう経緯ですから、扱っている内容はさまざまです。順番も脈絡がありません。
 しかし、もともと診察室を訪れる患者さんの訴えに規則性はありませんし、背景も重症度もばらばらです。
 そういう意味では、現場の事情に沿った中身になっています。
 編者ふたりが、「日頃から知りたかったことは?」、「どこまで掘り下げればいいか?」、などを議論してテーマを考えました。
 それぞれのエキスパートには、読者に「なるほどね」と思っていただけるように蘊蓄を披露していただきました。
 「知っているつもりだったけど、知らなかった」と感じていただけることがたくさんあれば嬉しいです。

2021年5月
編者

経験豊富な内科医が生涯教育を実践できる書
 医師として駆け出しの頃,経験不足に気づかされ,知識のみで患者を診ることはできないことを思い知らされた.その後,臨床経験を積み,知識と融合するよう研鑽を続けてきたつもりである.しかし,卒業して四半世紀を経ると,今度は知識不足に気づかされ,経験のみで患者を診ることはできないことを実感させられることがある…….このたび,橋重人先生,村川裕二先生のご編集で「むかしの頭で診ていませんか?」シリーズの「総合内科診療をスッキリまとめました」が上梓された.“むかしの頭”であることが心配である評者は早速拝読した.
 全36項目からなる本書には,同シリーズの臓器・領域別の既刊では取り上げられていない内容として,内科系の臓器・領域の(各論的な)項目よりも,総論的な内容,症候学,他科(非内科)領域が取り上げられている.
 内科系の臓器・領域の項目には,たとえば,「みえない心不全」の項目では,左室駆出率の低下した心不全の臨床について明快に解説されている.「最近の脂質異常症治療」というそのものズバリの項目もある.まさに“むかしの頭”を“上書き”することができよう.
 総論的な内容には,症候学的な項目が目を引く.たとえば,「ふるえる手をみたら」など,誰もが苦手意識をもつ症状や,「虚血らしくない胸部症状に遭遇したら」という項目など,困ったときに役立つ項目があるので何ともありがたい.そのうえ,きわめて臨床的な切り口として「クレアチニンが上昇したとき」「貧血で倒れた?」「胃腸炎ではない腹痛に遭遇したら?」など,他書にはない表題で“臨床あるある”が取り上げられているのである.他科(非内科)領域の内容は,整形外科医,歯科医,産婦人科医,泌尿器科医,精神科医などによって執筆され,たとえば,「内科医が気をつけたい眼科疾患,内科医が処方できる目薬」においては,ステロイド点眼薬による眼圧上昇は隅角と関係なく生ずるため眼科以外の科では処方するべきではないことなど,眼科医による注意喚起が多く含まれている.その他,総合内科の診療という意味で欲をいえば,「倫理的な判断」「緩和ケア」「意思決定支援」などについても取り上げていただきたかった.
 以上より,本書は評者のように“むかしの頭”であることが心配な医師への早期介入,生涯学習に有用である.評者は,本書の読破後,今や分野によっては2〜3年で診療がダイナミックに変わる時代であることを再認識した.随所にある「なぜ考え方が変わったか?」「この臨床試験がブレークスルー」という小見出しの内容は知らないことだらけであった.さて問題は,本書を入手しても読むのが億劫になったり“積ん読”になることである.その点,本書の各項目は常に「結論から先に」から始まっており,非常に取っつきやすい.ただし,“むかしの頭”である要素が強いにもかかわらず,本書を手に取らない医師は厄介である.このような医師の多くは,よくもわるくも経験に裏打ちされた臨床をされていると思われ,その点,本書には「個人的な経験でいえば」「こんな患者さんがいました」という小見出しがあ るので,こっそり机の上に置いたり,医局のテーブルなどにさりげなく置けば,興味をもたれ,経験豊富な内科医も納得しながら生涯教育を実践できるのではないだろうか.
 そう簡単に“むかしの頭”から“今の頭”にはなれないことは承知しているつもりである.本書などを通して新しい知識を得つつ,今後も臨床経験を積むこと以外,“むかしの頭”の予防と早期介入の方法はない.多忙な臨床医が実践できる生涯学習への第一歩として,すべての内科医に本書を強くお勧めする次第である.

臨床雑誌内科129巻2号(2022年2月号)より転載
評者●埼玉医科大学総合診療内科 教授/HAPPINESS館クリニック 木村琢磨