書籍

今日の臨床検査2021-2022

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

監修 : 櫻林郁之介
編集 : 矢冨裕/廣畑俊成/山田俊幸/石黒厚至
ISBN : 978-4-524-22803-4
発行年月 : 2021年5月
判型 : B6
ページ数 : 768

在庫品切れ・重版未定

定価5,280円(本体4,800円 + 税)


正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

臨床検査に関する膨大な情報をコンパクトにまとめた隔年改訂の好評書.「主要病態の検査」では,病型分類やフォローアップに必要な検査がまとめられており,2021-2022年版より新たに,付録に「基準範囲と臨床判断値の考え方」を追加した.検体・検査対象物質などをまとめた「概説」と各検査項目の「解説」で構成され,保険収載されている検査をほぼ網羅している.

臨床検査 最近の動向
主要病態の検査
検査解説
 1. 尿検査
 2. 便検査
 3. 喀痰検査
 4. 末梢血球検査
 5. 骨髄検査
 6. 造血器腫瘍関連検査
 7. 血栓・止血検査
 8. 輸血・血液型検査
 9. ヒト白血球抗原(HLA)検査
 10. 遺伝子検査
 11. 染色体検査
 12. 糖代謝検査
 13. 脂質代謝検査
 14. 電解質,ビタミン,無機質代謝検査
 15. 骨代謝関連検査
 16. 肝・胆道機能検査
 17. 腎機能検査
 18. 酵素検査
 19. 血清蛋白,その他の生化学検査
 20. 膵・消化管機能検査
 21. 動脈血ガス分析と酸塩基平衡
 22. 炎症マーカー検査
 23. アレルギー検査
 24. 自己免疫疾患関連検査
 25. 細胞性免疫検査
 26. 感染症検査
 27. 下垂体および下垂体機能検査
 28. 甲状腺機能検査
 29. 副甲状腺機能検査
 30. 副腎皮質検査
 31. 副腎髄質検査
 32. 性腺・胎盤検査
 33. 膵・消化管ホルモン検査
 34. 各種生理活性物質検査
 35. 腫瘍マーカー検査
 36. 薬物検査(TDM)
 37. 毒物濃度
 38. 穿刺液検査
付録1.保険点数一覧表
付録2.検査法・検査関連用語解説
付録3.基準範囲と臨床判断値の考え方
付録4.共用基準範囲一覧[JCCLS]
検査名索引

 本書の初版は1987 年に刊行しました.当時は,水島裕・河合忠両先生の監修により,国内有数の検査センターの尽力も仰ぎながら,急増する検査項目数や検査の中央化・自動化に対応する手引書とするべく,情報をコンパクトにまとめた書籍として誕生しました.以来,2 年毎に改訂を重ね,ついに今版で34 年目,第17 版となります.
 本書は,臨床検査の参考書として常に最新の情報を収載し,この領域を先導してきたという自負があります.改訂の都度,新規保険収載される項目を絶えず反映し,その解説を加えて掲載してきました.また,厚生労働省をはじめ,さまざまな分野からの情報を得て編集会議で討議を重ね,読者に役立つ情報として発信するために各項目の執筆者が記述をアップデートしてきました.加えて,読者の方々からお寄せいただいた貴重な御意見も随時取り入れさせていただき,より使い勝手のよい書籍となるよう改善を図ってきました.
 今版でもこれまで同様に,新規保険収載された項目を中心に「FLT3 遺伝子」,「JAK2 遺伝子」,「NTRK 融合遺伝子」,「FGF23(線維芽細胞増殖因子23)」,「オートタキシン」など,14 の検査項目を新たに追加しています.昨年来世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の検査としては,保険収載されたSARS-CoV-2 核酸同定検査,抗原検査に加え,抗体検査についても解説を加えました.また近年,日本人間ドック学会が提示した健診の基本検査項目における基準範囲を皮切りに,臨床検査の基準値,基準範囲,臨床判断値といった用語に関する議論を呼んだことを踏まえて,付録に新たに「基準範囲と臨床判断値の考え方」の解説を盛り込みました.ここで読者諸兄には改めてそれぞれの語句の位置づけを整理していただき,適切に使用していただくための一助としていただければ幸いです.
 各章冒頭の概説も引き続き掲載しています.このスタイルは初版から脈々と受け継がれていますが,今版では執筆陣を充実化させ,いくつかの章では大幅なリニューアルが施されています.これまで長年本書をご愛顧いただいている読者の皆様におかれましても,ぜひいま一度この概説部分も吟味いただければと思います.
 今後も,臨床の現場で働いておられる,医師,看護師,臨床検査技師,薬剤師,栄養士をはじめとするメディカルスタッフに,また医学,歯学,看護学,臨床検査学,薬学,栄養学などの領域で学んでいる学生諸氏に,執筆者が精魂を傾けて書いた本書を利用いただきたいと切に願っております.
 筆者は,初版から3 年目の1990 年に刊行した改訂第2 版から中川武正先生,星恵子先生らと共に編集協力者として,また2009-2010 年版からは監修者として,合計約30 年の長きにわたり本書に関わらせていただきました.本書を企画された水島先生,河合先生には,当時臨床検査が急激に増え,また全国に臨床検査センターが急増したことに伴い,データの統一化が課題となった時代でありましたので,臨床検査の臨床的意義を的確に伝えると同時に,それらの各センターが提供するデータをまとめて提示する意図がありました.この企画は上梓当初から評判を呼び,一部スタイルの変更はありましたが,現在までそのコンセプトが引き継がれています.
 おわりに,編集,執筆の労を担っていただいた多くの諸兄姉に心から感謝申し上げます.

2021 年3 月
櫻林郁之介

 本書の帯には「臨床医,メディカルスタッフ必携/臨床検査のエッセンスをコンパクトに!」と書かれているが,まさにそのとおりだと実感する一冊である.言わずもがなではあるが『今日の臨床検査』は1987年に初版が刊行され,以降も改訂が繰り返されている超ロングセラーである.私も実際,医学生のときから総合診療医として臨床の現場で働く現在まで,本シリーズを活用させていただいている.
 長く愛用されるには当然ながらその理由がある.検査データの解釈は,ノービスからエキスパートまで誰しも頭を悩ませるところである.診断プロセスにおいて,病歴や身体診察から見積もった疾患確率を大きく変動させ得る非常に重要なデータである.その解釈が適切にできなければ,最後のところで診断に大きな影響を及ぼしてしまう.検査も完璧ではなく,“偽陽性”や“偽陰性”といった判断もしなければならない.そのようなとき,本書には検査の結果判読のためのポイントや検査値に影響を与える薬剤・食物・サプリメントについて簡潔にまとめられている.
 昨今,インターネットリソースが普及しており,こういった検査結果をインターネットリソースから検索される方も多いかもしれない.しかしながら,多忙な日常診療のなかでは正確な情報に迅速にたどり着くことは容易ではない.また,数多あるインターネットリソースから,必要な情報にたどり着いたとしても,その情報の信憑性についても吟味しなければ,臨床現場では利用することはできない.その観点で考えると,本書の存在は非常に大きいと考えられる.この一冊を手に取り,索引で検索すれば,確実に必要となる情報に行き着くことができる.とすると,多くの医療機関で本書が置かれている理由も自明である.
 さらに,オーダーする検査が実際のところどれくらいのコストなのかも,臨床医は把握する必要がある.頻用の項目であれば記憶できるかもしれないが,それほど頻度が高くない検査のコストまで把握することは非常に困難である.どの検査がいくらかかるのか,これは患者にとっても非常に重要なことである.もっと言うと,臨床医は検査コストに対する理解を深めなければ,われわれが直面している医療費高騰という問題に対峙することはできない.検査をオーダーするたびに,本書にあるコストまで確認するようにしてみてほしい.その日々の積み重ねが大きな問題解決につながると考えている.
 ぜひ本書をすぐに手に取れる場所に置いてみてほしい.診療現場でのプラクティスに大きく貢献するはずである.

臨床雑誌内科128巻5号(2021年11月号)より転載
評者●千葉大学医学部附属病院総合診療科 特任助教 鋪野紀好

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