書籍

寺島式 静岡がんセンター胃癌手術[Web動画付]

開腹からロボットまで

編集 : 寺島雅典
ISBN : 978-4-524-22586-6
発行年月 : 2020年3月
判型 : A4
ページ数 : 166

在庫あり

定価13,200円(本体12,000円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

静岡がんセンター胃外科は胃癌の切除手術数で全国トップクラスを誇り、開腹手術から内視鏡手術・ロボット手術まで、機能温存手術から拡大手術まで、幅広い分野の手術を手がけ優れた成績をあげている日本でも有数の施設である。本書は同センターにおける胃癌手術について、開腹からロボット手術まで、写真・イラスト・動画を多用して解説。あらゆる世代に資する一冊となっている。

I.胃癌手術に必要な解剖
II.術前術後管理
III.手術−(1)開腹手術
 1.基本事項
 2.開腹幽門側胃切除術
 3.開腹胃全摘術
 4.開腹拡大手術(大動脈周囲リンパ節郭清)
 5.開腹食道胃接合部癌手術
III.手術−(2)腹腔鏡手術
 1.基本事項
 2.腹腔鏡下幽門側胃切除術
 3.腹腔鏡下幽門保存胃切除術
 4.腹腔鏡下噴門側胃切除術
 5.腹腔鏡下胃全摘術
 6.腹腔鏡内視鏡合同手術
 7.センチネルリンパ節生検を伴う胃切除術
III.手術−(3)ロボット手術
 1.基本事項
 2.ロボット支援下胃切除術
 3.ロボット支援下胃全摘術
索引

WEB動画タイトル一覧
[開腹手術]
 動画(1)開腹幽門側胃切除術
 動画(2)開腹胃全摘術
 動画(3)開腹拡大手術
 動画(4)開腹食道胃接合部癌手術
[腹腔鏡手術]
 動画(5)腹腔鏡下幽門側胃切除術
 動画(6)腹腔鏡下幽門保存胃切除術
 動画(7)腹腔鏡下噴門側胃切除術
 動画(8)腹腔鏡下胃全摘術
 動画(9)LECS
 動画(10)NEWS
[ロボット手術]
 動画(11)ロボット支援下幽門側胃切除術
 動画(12)ロボット支援下胃全摘術

序文

 私が1983年に医学部を卒業した頃は、胃癌の手術は胃全摘か胃亜全摘しかなかった。胃全摘に際しては膵尾側・脾合併切除がほぼ全例に行われていた。しかも早期胃癌に対しても網.切除が行われていたので、胃癌の手術を覚える≒網.切除を覚えるという感覚に近かった。しかし、それから35年以上が経過し、様々なエビデンスの構築や新しい手術機器の開発などによって、胃癌の手術は極めて多様なものとなっている。
 特に大きな潮流は低侵襲手術としての鏡視下手術の導入である。1991年に大分大学の北野正剛教授が始めて以来、腹腔鏡下胃切除は急速に普及しており、さらに現在では手術支援ロボットが多くの施設で導入されている。これら鏡視下手術はいまだエビデンスの確立が遅れているものの、少なくとも早期胃癌に対する胃切除術としては標準治療として認識されるにいたっている。
 もうひとつの流れは機能温存手術の悪性腫瘍への応用である。胃潰瘍に対する術式として開発された幽門保存胃切除術は、いまや胃体部の早期胃癌に対しては標準的手術と位置づけられている。さらに、以前は高率な逆流性食道炎の発生から禁忌とまでされていた噴門側胃切除術が、新たな再建方法の導入により、機能温存手術として脚光を浴びている。
 その一方で、進行胃癌に対しては周術期の化学療法が導入されるようになり、高度進行胃癌において、より高難度の開腹による拡大手術が必要とされている。胃癌切除症例そのものの減少により、こういった高難度の開腹手術の技術の伝承はますます困難になりつつある。
 しかしながら、いかに胃癌の手術が多様になっても手術の基本は変わっていない。常に患者さんの身になって考え、癌の手術として過不足のない手術をすること、術後合併症を絶対に起こさないこと、術後障害を最小限にすることは、常に肝に銘じてメスを持つべきである。
 静岡県立静岡がんセンターは2002年9月の開院以来急速に症例数を増やしており、現在全国で2番目の手術症例数を誇っている。さらに、開腹の拡大手術からロボット手術、センチネルリンパ節生検まで、他の施設では類をみないような幅広い術式に対応が可能である。そこで、この時期にわれわれが胃癌に対して行っているほぼすべての術式を網羅してまとめることとした。もちろん、今後も胃癌に対する手術は変容を遂げていくものと思われるが、ある時代に胃癌に対して行われている手術を網羅して解説することは意義が大きいものと考えられる。
 本書が、これから胃癌の手術を学習しようとする若い外科医の参考になれば望外の喜びである。

2020年2月
静岡県立静岡がんセンター胃外科
寺島雅典

 本年3月、寺島雅典先生より本書を献本していただいた。最近目にする手術本ではあるが、本書の一番の特長は寺島先生の編著であることに尽きる。寺島先生は1983年のご卒業で、開腹胃癌手術から手術を習われた先生である。当時は拡大手術全盛期であり、接合部癌に対する左開胸手術やD4郭清といわれる大動脈周囲の予防郭清など、臨床試験で否定された手術も行われた時代である。その中で、一際、多くの手術経験から技術を培われた日本を代表する胃癌外科医である。開腹手術の名手といわれる先生は、その技術の高さから、動作制限のある腹腔鏡手術を始めるには若い先生よりもむしろハードルは高い。そのような中、患者ファーストの考えのもと、腹腔鏡手術にも積極的に力を入れられ、素晴らしい技術を身につけられた先生でもある。JCOGグループの中心を担う存在でありながら、手順を踏んでいち早くロボット手術を導入された。ある意味、三種のアプローチを完全マスターした稀有の外科医といえる。
 本書では、開腹、腹腔鏡、ロボットいずれも妥協なく手術をされている寺島先生が、静岡がんセンターでの技術と経験をあますところなく伝えている。特に本書の読みどころは、開腹拡大郭清や大動脈周囲リンパ節郭清など、今では逆に外科雑誌でも読めない章立てと各手術に書かれているポイントおよびピットフォールである。多くの経験をもつ静岡がんセンターならではの本となっている。動画もみられる特典付きでお得感もあり、今となっては手に入れるのもむずかしい開腹手術の動画も収載されており、レジデントの先生にとってもたいへんありがたい著書といえる。
 本書を通して、寺島式の開腹・ラパロ・ロボットを学べることは、胃癌手術の生きた歴史を学べることにもなり、バイブルとして是非おすすめしたい。

臨床雑誌外科82巻8号(2020年7月号)より転載
評者●名古屋市立大学消化器外科教授 瀧口修司