サルコペニア・フレイルに関する栄養管理ガイドライン2025

編集 | : 日本臨床栄養学会/日本サルコペニア・フレイル学会 |
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ISBN | : 978-4-524-22139-4 |
発行年月 | : 2025年4月 |
判型 | : B5判 |
ページ数 | : 120 |
在庫
定価3,850円(本体3,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

日本臨床栄養学会/日本サルコペニア・フレイル学会の共編による,サルコペニア・フレイルに関する栄養・食事のガイドライン.サルコペニア・フレイルの予防・治療に中心的な役割を果たす栄養・食事に関するエビデンスを国内で初めてガイドラインとしてまとめた.
1.一次性(特別な疾病背景を含まない対象者)サルコペニアならびにフレイル(Phenotype model)の治療に対する栄養・食事介入の有用性
A)摂取エネルギーや体重
CQ1:サルコペニアならびにフレイルへの摂取エネルギー・体重増加を目的とする栄養介入
CQ1a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ1b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
B)エネルギー産生栄養素
CQ2:サルコペニアならびにフレイルへの炭水化物(糖質)の栄養介入
CQ2a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ2b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
CQ3:サルコペニアならびにフレイルへの脂質の栄養介入
CQ3a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ3b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
CQ4:サルコペニアならびにフレイルへのたんぱく質の栄養介入
CQ4a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ4b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
CQ5:サルコペニアならびにフレイルへのアミノ酸の栄養介入
CQ5a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ5b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
C)微量栄養素(ビタミン・ミネラル・その他)
CQ6:サルコペニアならびにフレイルへのビタミンの栄養介入
CQ6a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ6b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
CQ7:サルコペニアならびにフレイルへのミネラル・その他の栄養介入
CQ7a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ7b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
D)プロバイオティクス・プレバイオティクス
CQ8:サルコペニアならびにフレイルへのプロ・プレバイオティクス介入
CQ8a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ8b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
E)食事パターン・多様性・環境・指導・形態
CQ9:サルコペニアならびにフレイルへの食事パターン,食品多様性の介入
CQ9a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ9b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
CQ10:サルコペニアならびにフレイルへの食事環境の介入
CQ10a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ10b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
CQ11:サルコペニアならびにフレイルへの食事(栄養)指導(教育)介入
CQ11a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ11b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
CQ12:サルコペニアならびにフレイルへの食形態(オーラルフレイル改善による)介入
CQ12a:サルコペニアならびにフレイルを改善するか?
CQ12b:サルコペニアならびにフレイルの死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
2.臓器不全や疾病に伴うサルコペニアならびにフレイルの予防・治療に関する食事・栄養の有用性
F)慢性腎臓病(CKD)(保存期・透析)
CQ13:慢性腎臓病(CKD)に伴うサルコペニアならびにフレイルの予防・治療に対する食事・栄養の有用性
CQ13a:予防に食事・栄養は有用か?
CQ13b:治療に食事・栄養療法は有用か?
CQ13c:食事・栄養療法は死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
G)肝硬変
CQ14:肝硬変に伴うサルコペニアならびにフレイルの予防・治療に対する食事・栄養の有用性
CQ14a:予防に食事・栄養は有用か?
CQ14b:治療に食事・栄養療法は有用か?
CQ14c:食事・栄養療法は死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
H)慢性心不全
CQ15:慢性心不全に伴うサルコペニアならびにフレイルの予防・治療に対する食事・栄養の有用性
CQ15a:予防に食事・栄養は有用か?
CQ15b:治療に食事・栄養療法は有用か?
CQ15c:食事・栄養療法は死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
I)慢性呼吸不全(COPDなど)
CQ16:慢性呼吸不全に伴うサルコペニアならびにフレイルの予防・治療に対する食事・栄養の有用性
CQ16a:予防に食事・栄養は有用か?
CQ16b:治療に食事・栄養療法は有用か?
CQ16c:食事・栄養療法は死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
J)糖尿病
CQ17:糖尿病に伴うサルコペニアならびにフレイルの予防・治療に対する食事・栄養の有用性
CQ17a:予防に食事・栄養は有用か?
CQ17b:治療に食事・栄養療法は有用か?
CQ17c:食事・栄養療法は死亡,入院,ADL低下などの転帰不良を改善させるか?
世界的な人口の高齢化に伴い,今まで「 年のせい」 で済まされていた様々な高齢者に出現する症候が注目されてきている.その代表的なものとしてサルコペニアとフレイルがある.
1989年に医師であり栄養学者でもあったRosenberg IHが加齢に伴う骨格筋量の減少の重要性を主張し,「サルコペニア」という造語を提唱して以来,加齢に伴う一次性以外にも疾病に伴う二次性サルコペニアに関しても大変注目される病態となった.また,「フレイル」は1990年代に老年医学者たちにより老年医学的介入により恩恵を受ける高齢者の状態として捉えられ,2001年にFried LPらにより診断基準が提案され,高齢者の身体機能障害にいたる重要なプロセスとして認識された.
現在,世界的な高齢者の増加に伴い,高齢者の自立期間の延長や健康維持の重要性が認識され,それらに関する取り組みが広がってきている.そのなかでサルコペニアとフレイルの存在ならびにそれらの予防や治療的介入の重要性が高まってきている.実際,このサルコペニアとフレイルの存在は高齢者の身体機能の低下のみならず,認知機能の低下や疾病の発症・重症化,社会的孤立,生命予後の悪化にも強く関与していることが明らかになってきている.一方でこの2つの病態は互いに強く関連していると同時に,可逆的な特徴があり,早く診断し,適切な介入により健常に復帰することができる.今まで様々な介入方法が提案されてはいるが,そのなかでも栄養療法の重要性は早くから認識され,すでに多くの研究の蓄積がある.
一方で,多彩な栄養療法(介入)が報告されてはいるが,すでに十分なエビデンスがある栄養療法もあれば,なお十分な研究がなく推奨にいたらない栄養療法もあるはずである.日々この分野の研究は進んでいるが,まずは今回,現時点でのエビデンスを明らかにすることを目的としてサルコペニアならびにフレイルに対する栄養管理に関するガイドラインの作成を試みた.
今回のガイドラインでは加齢を主要因とする場合以外に,疾病を主要因とするサルコペニアやフレイルにも範囲を広げ栄養療法の効果に関するシステマティックレビューも追加した.本ガイドラインがサルコペニアやフレイルの治療や今後の研究の進展に少しでも役立つことを期待したい.また,最後に本ガイドラインの作成にかかわったすべての関係者に謝意を表する.
2025年3月
ガイドライン作成組織代表
葛谷雅文
