ハイリスク患者のがん薬物療法プラクティス
診療科の枠を超えた学際的コラボ
| 編集 | : 田辺裕子/高野利実 |
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-21957-5 |
| 発行年月 | : 2026年8月 |
| 判型 | : A5判 |
| ページ数 | : 328 |
在庫
定価5,940円(本体5,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

1000万通りの正解を,どう導くか. 本書は,高齢者や併存疾患を抱えるハイリスクがん患者に対する診療を,各診療科との学際的連携(Onco-Cardiology や Onco-Nephrologyなど)から紐解く実践書である.高度な副作用管理や意思決定支援,他科連携の実際までを詳説.複雑な症例に対し,チームで最適解を導く力を養う,がん薬物療法に携わるすべての医療者のための一冊.
T 総論
1 「ハイリスクがん患者」とは何か
2 学際的コラボ=「がん関連学際領域」とは何か
3 集学的がん治療における腫瘍内科の位置づけ
U 臓器障害・併存疾患がある患者へのがん薬物療法
A 循環器疾患
1 高血圧
2 不整脈
3 虚血性心疾患
4 心不全
5 血栓塞栓症
B 消化器疾患
1 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
2 潰瘍性大腸炎・クローン病
3 腸閉塞
4 ストーマ造設
5 ウイルス性肝炎・肝機能異常
C 腎疾患
1 ネフローゼ症候群
2 腎不全(透析あり)
3 腎不全(透析なし)
D 呼吸器疾患
1 COPD
2 間質性肺疾患(薬剤性肺炎既往含む)
3 気管支喘息
4 非結核性抗酸菌(NTM)症/肺結核既往
E 神経系疾患
1 脳血管障害(脳梗塞・脳出血)
2 てんかん・痙攣
3 筋疾患(重症筋無力症含む)
F 内分泌・代謝疾患
1 糖尿病
2 骨粗鬆症
3 甲状腺機能異常症
G 膠原病・リウマチ性疾患
1 関節リウマチ(RA)
2 強皮症
3 全身性エリテマトーデス(SLE)
H 血液疾患
1 貧血
2 好中球減少
3 血小板減少(ITP含む)
4 骨髄異形成症候群(MDS)合併例
I 感染症
1 脾臓摘出後
2 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
3 インフルエンザ
4 帯状疱疹
J 眼科
1 緑内障
2 白内障
V 特別な背景をもつ患者へのがん薬物療法
1 高齢者
2 PS不良
3 妊娠期
4 肥満
5 精神疾患
6 歯科疾患,口腔の問題
7 AYA世代の妊孕性温存
8 免疫不全下の種々のワクチン接種
W 他科と協働するがん薬物療法の合併症・有害事象対策
1 循環器内科×がん診療(心血管障害)
2 腎臓内科×がん診療(腎障害)
3 糖尿病診療×がん診療
4 呼吸器内科×がん診療(肺障害など)
5 神経内科×がん診療(脳卒中含む)
6 整形外科×がん診療(がんロコモなど)
7 免疫関連有害事象(irAE)への対応
このたび様々な領域の第一人者の先生方にご執筆をいただき,素晴らしい本を作り上げることができた.
本書のタイトルは,「ハイリスク患者のがん薬物療法プラクティス」.
がん薬物療法についての本ではあるが,「標準治療」を論じているわけではなく,「標準治療」をそのまま行うことができない,あるいは,はばかられるような状況での薬物療法のあり方について詳細に解説している.
高齢だったり,全身状態不良だったり,臓器機能が低下していたり,別の疾患を合併していたりと,いろいろな「ハイリスク患者」が存在するが,その状況やリスクの程度は様々である.医療現場で直面する様々な状況に対応できるよう,多岐にわたる領域をカバーするとともに,判断に迷う部分についても,現場のリアルな感覚を解説している.実際に治療方針を決める際には,リスクとベネフィットの微妙なバランスを,患者さんと医療者が共有し,語り合いを重ねた上で,意思決定に繋げるわけだが,その匙加減も含めて,「診療現場で役立つ」のが本書である.
本書のサブタイトルは,「診療科の枠を超えた学際的コラボ」である.オンコロジーは,「がん」という病気だけ診るものではなく,様々な診療科とのコラボと,総合的・全人的な判断が不可欠である.虎の門病院は多くの領域を切り拓いてきた歴史があり,患者さんのためなら診療科の枠を超えて協力するのが当たり前だという文化があり,どの診療科とも密接な連携ができている.その歴史と文化を背景に,これまでも,「ハイリスクがん診療」についての発信に力を入れてきたが,本書は,その集大成ともいえるものである.もちろん,虎の門病院だけにとどまる話ではなく,本書の執筆には,病院の枠も超えて多くの方に携わっていただいている.
表紙のイラストを描いてくれたのは,われわれの患者さんでもある,イラストレーターのさかいゆはさん.彼女は,高野のヨミドクターでの連載コラム(Dr. 高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」)のイラストも手掛けてくれていて,今回も,難しいリクエストを快く受けてくれた.
爽やかな青空の下,水面に立ち,未来へ向けて力強く進もうとする一人の女性患者さん.何も問題ないように見えるが,水面に映るのは,リスクを抱えて不安に苛まれている彼女と,それを支えようとする多職種の医療スタッフの姿である.
このイラストの含意を想像しながら,本書のページをめくり,目の前にいる一人ひとりの患者さんの幸せを目指す医療を行っていきたいと思う.
2026 年7 月
編者一同

