書籍

こんなときどうする?実践皮膚科診療マニュアル

症状×疾患から導く“はじめの一手”

編集 : 杉田和成
ISBN : 978-4-524-21887-5
発行年月 : 2025年9月
判型 : B5判
ページ数 : 264

在庫あり

定価6,820円(本体6,200円 + 税)


  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

診療の「はじめの一手」に迷わない―皮膚科医必携のマニュアル書.「症状編」と「疾患編」の二部構成で,状況に応じて知りたい情報を素早く参照できる.「症状編」ではフローチャートを用いて患者の症状から適切な診断手順を示し,「疾患編」では各疾患への初期対応・治療について体系的かつ具体的に解説.若手医師はもちろん,皮膚科診療の第一線を担うすべての方におすすめ.

T.症状編
 1.ものに触ってから肌が赤く荒れました
 2.手荒れがなかなかよくなりません
 3.子どもの肌にブツブツができてじゅくじゅくします
 4.肌が荒れて,かゆくて眠れません
 5.ポットのお湯を皮膚にこぼして肌がただれました
 6.手足が冷たくて凍えます
 7.おしりの傷がよくなりません
 8.歩くときに足の裏が痛みます
 9.職場で化学物質に触ってから皮膚が痛みます
 10.指が硬くて指先の傷が痛みます
 11.足にできた傷が広がってきました
 12.薬を飲んでから皮膚がただれてきました
 13.がんの治療中に皮膚が赤くなってきました
 14.口の中がただれて痛みます.水ぶくれが体中にできます
 15.水ぶくれが体中にできて傷が治りません
 16.手足に水疱や膿ができます
 17.皮膚が厚くなってたくさん?がれ落ちます.かゆみもあります
 18.以前からしこりがあり,赤く腫れたり中から白いものが出てきたりするようになりました
 19.傷跡が盛り上がってきました
 20.顔に赤い瘤(こぶ)ができて汁が出てきました
 21.インキンタムシと思い,市販薬を塗っていたけれど治りません
 22.足の裏のほくろが広がってきました
 23.塗り薬を塗っても皮疹がよくなりません.皮膚生検で異型なリンパ球が表皮内に浸潤しています
 24.足が赤く腫れて痛みます
 25.皮膚が腫れて紫色になっています
 26.体がだるく,顔の皮膚がめくれて痛みます.熱もあります
 27.爪が白くなってきました
 28.山に出かけた後,皮膚が赤くなってきました
 29.水ぶくれが胴回りにできてピリピリ痛みます
 30.顔に赤や白のブツブツが出てきました.背中にもあります
 31.髪の毛が急に抜けてきました
 32.足にかさぶたができました
U.疾患編
 1.接触皮膚炎
 2.手湿疹
 3.乳児湿疹
 4.アトピー性皮膚炎
 5.熱傷
 6.凍瘡(しもやけ)
 7.褥瘡
 8.鶏眼・胼胝
 9.化学熱傷
 10.全身性強皮症に伴う皮膚潰瘍
 11.下腿潰瘍
 12.中毒性表皮壊死症(TEN)
 13.免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害(皮膚irAE)
 14.尋常性天疱瘡
 15.水疱性類天疱瘡
 16.掌蹠膿疱症
 17.尋常性乾癬
 18.粉瘤
 19.肥厚性瘢痕,ケロイド
 20.有棘細胞癌
 21.乳房外Paget病
 22.悪性黒色腫
 23.皮膚リンパ腫(菌状息肉症など)
 24.蜂窩織炎
 25.壊死性筋膜炎
 26.ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)
 27.爪白癬
 28.虫刺症(虫さされ):つつが虫病,マダニ刺症,ハチ刺症
 29.帯状疱疹
 30.尋常性?瘡
 31.円形脱毛症
 32.糖尿病性皮膚潰瘍

 皮膚科は,内科的な視点による処置や全身管理の必要性に加えて,外科的手技,さらには皮膚病理組織学的な深い理解までも求められる,きわめて多面的かつ専門性の高い診療科です.他方,日々進化を続ける医学知識や治療法のなかで,最新の知見をどう臨床に取り入れ,目の前の患者さんにどのように向き合うべきか―特に診療のfirst touch,つまり“はじめの一手”をどうするかという点は,多くの若手医師や臨床家にとって,常に大きな関心事であり続けています.本書は,こうした素朴で本質的な臨床現場の疑問に真正面から応えることを目的として企画されました.診療の現場で直面する「リアルな問い」に対して,読者が迷わず一歩を踏み出せるよう,実践的かつ平易な解説を心がけました.
 構成は二部から成ります.前半の「症状編」では,患者さんとの会話を想定した語り口で,臨床現場で日々繰り返される質問や訴えを出発点としています.専門用語はあえて避け,患者さんの言葉づかいを用いて記述することで,より臨場感のあるケーススタディとなるように工夫しました.そして,それらの訴えに対して,実際に診療の第一線で活躍されている先生方が,どのように情報を整理し,診断にいたるのか,その思考プロセスを丁寧に解説していただきました.後半の「疾患編」では,各疾患の特徴や診断,治療法に関して,より体系的かつ具体的な内容を収載しました.処置の手順や治療方針の決定に際して参考となるような実例を多く盛り込み,日々の診療にすぐに役立てていただける構成としています.さらに,執筆者の先生方によるコラムも掲載しており,最新の医学的知見や診療上の工夫,日常診療での技が伝わってくる読み応えのある内容となっています.
 私は,皮膚科診療の本質は,患者さんの皮膚を実際に「診て」「触れて」「感じ取る」経験と人間の感性,エビデンスに根ざした医療であると考えています.本書は,そうした現場の医療者の感覚を支える「臨床の力」を高め,いつでも必要な情報にアクセスしやすい実践的な構成を目指しています.皮膚科レジデントの方々が抱える日々の疑問の解決はもちろんのこと,日常診療に携わる先生方にも手元に置いて役立てていただける一冊になることを願っています.また,本書は,「患者さんの訴え」から視診・触診所見や検査結果へとつなげ,そこから診断や治療方針に導く「医学的思考プロセス」を,実際の臨床に即してわかりやすく示しています.右下のイラストのような皮膚科を志す医学生や研修医の方々にとっても,臨床の魅力を実感しながら学びを深めていただけるものと思います.
 最後に,本書が患者さんの訴えから適切な“はじめの一手”が導き出される一助となることを,心より願っております.本書の主旨にご賛同いただき,多忙ななか執筆を快諾くださった全国の先生方に心より感謝申し上げます.また,企画当初から編集・制作にいたるまで多大なるご尽力をいただいた南江堂の皆様にも,厚く御礼申し上げます.
2025年7月吉日
佐賀市鍋島にて
杉田和成

すべての診療科の診察室に置いておきたい“この皮疹,どうする?”に即答できる実践マニュアル

 すべての診療科において,患者の年齢や性別を問わず「正常ではない皮膚所見」に遭遇することは頻繁である.また「そういえば,最近,ここが気になるのだけど,何でしょう?」と聞かれることもまれではない.そんな診察室で本書は,皮膚症状の判断に迷うすべての臨床医にとって,信頼できる指針となる.本書の特徴は多岐にわたり,臨床現場で日常的に活用したくなる構成と実用性を兼ね備えた構成で,症状から導く診断手順,疾患別の対応,豊富な図表やフローチャートの工夫などが全国の皮膚科のエキスパートによって丁寧に示され,それも忙しい診察室でも速やかに使いこなせる工夫が随所に施されている.
 本書は「症状編」と「疾患編」の二部構成でカラフルな構成と読みやすい作り込みでまとめられている.
 症状編では日常診療でよく聞かれる「患者の主訴」として具体的に32項目があげられ,皮膚症状を伴う全身疾患をみる内科医にとってきわめてありがたい.それぞれの主訴を聞き取った際に「まずは30秒でここを確認!」のステップに進むとチェックリスト形式で主訴から想起すべき鑑別疾患などが簡潔にあげられ「診断の道しるべ」というフローチャートに進む.そして「診断で気をつけるポイント」が列挙され,続いて「考えられる鑑別疾患」が多くの典型的な皮膚所見が複数のカラー写真とその解説とともに示されている.カラー写真のクオリティは非常に高く,目の前の皮膚所見との比較もしやすい.さらに「困りがちなポイント」としてよくある質問がQ & A形式で記載されている.最後に「ここが要点!」としてその主訴に対するまとめと注意点が記載され締めくくられている.
 疾患編では,すべての診療科で遭遇する可能性が高い代表的な32の皮膚疾患が取り上げられ,症状編と同様にまず30秒で確認する事項が簡潔にまとめられている.続いて「FIRST STEP」,「SECOND STEP」,「その他すべき検査・治療など」が箇条書きで記載されて,そのプロセスを経ても「症状がうまく改善しないとき」についてのアドバイス,「どこまで対応すべきか?」では皮膚科専門医,指導医にコンサルテーションを行うがが示されている.さらに特筆すべきは治療経過が初診時さらに治療経過における症状,所見がカラー写真入りで示されている.締めくくりとして「患者指導のポイント」が具体的かつ簡潔に箇条書きで記載されており,内科医である小生にとって大助かりである.各疾患についての皮膚科指導医からのメッセージが書かれており,さも大学病院で皮膚科指導医に指導いただいた際にお聞きするような「コツ」や「ポイント」,さらなる知識など,とっておきの情報がコラムとして記載されている.
 私のこれまでの患者さんを対象とした質的調査では,患者さんは「十分に知らないことを不十分に回答する医師より,医学書を取り出し調べて患者にわかりやすく説明してくれる医師のほうが安心である」ということを明らかにしたが,このマニュアルは患者さんの不安を患者さんと一緒にみながら解決していく本としても救世主といえよう.研修医からベテラン医師まで,手元に置いて損のない一冊として強く推薦したい.

臨床雑誌内科137巻4号(2026年4月増大号)より転載
評者◎江口有一郎(医療法人ロコメディカル江口病院 理事長)

9784524218875