あらゆるCQにこたえる消化管癌薬物療法マニュアル
| 編集 | : 佐竹悠良 |
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-21858-5 |
| 発行年月 | : 2025年10月 |
| 判型 | : A5判 |
| ページ数 | : 304 |
在庫
定価4,730円(本体4,300円 + 税)
正誤表
-
2026年02月18日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
- 書評

多様化する消化管癌薬物療法の選択肢の中から,個々の患者に最適なレジメンを選ぶには,治療効果,副作用,対応法までを含めた確かな知識と判断が求められる.本書は消化管癌薬物療法に必須の最新レジメンをコンパクトに整理し,使いこなすための重要知識とエビデンスをQ&A形式で明快に提示した.現場のスピード感に応える,実践的な一冊.
1章 総 論
A.食道癌治療のアルゴリズム
B.胃癌治療のアルゴリズム
C.大腸癌治療のアルゴリズム
D.休薬・減量・中止の考え方
E.副作用とその対応
2章 各標準治療のレジメン
A.食道癌
@Pemb/Nivo/Tisle+FP/FOLFOX
ANivo+Ipi
BDCF(DTX+CDDP+5-FU)
CPTX/DTX
DNivo単剤(2nd)
B.胃癌
@Tmab+OX Doublet/CDDP Doublet±Pemb
AT-DXd(Trastuzumab deruxtecan)
BNivo/Pemb+OX Doublet
CZmab+OX Doublet
DFLOT/D-FLOT
ERAM+PTX/nab-PTX
FNivo単剤(3rd)
GFTD/TPI±RAM
HIRI±RAM
C.大腸癌
@PANI+FOLFOX
ACET+FOLFIRI
BBev+FOLFOX/CAPOX
CBev+FOLFIRI/IRIS/SIR/mCAPIRI
DBev+FOLFOXIRI(modified含む)/CAPOXIRI
ECET+mFOLFOXIRI
FRAM(AFL)+FOLFIRI
GBEACON combination/ EC+FOLFOX for BRAFmt
HPemb for MSI-H(1st)
INivo+Ipi併用療法
JPER+Tmab for HER2
KFTD/TPI±Bev
LRegorafenib
MFruquintinib
NEntrectinib,Larotrectinib for NTRK fusion
3章 Q & A
A.薬物療法の前に考えること
Q1 :食道癌で評価すべきバイオマーカーは?
Q2 :胃癌で評価すべきバイオマーカーは?
Q3 :大腸癌で評価すべきバイオマーカーは?(術後,進行再発)
Q4 :消化管癌内視鏡生検時の注意点は?
Q5 :免疫チェックポイント阻害薬適用時に注意すべき状態は?
Q6 :消化管癌薬物療法と腸内細菌の関係は?
Q7 :腎機能低下例において調整が必要な薬剤は?
Q8 :透析導入例における薬剤選択は?
Q9 :肝機能低下例における注意点は?
B.食道癌薬物療法
Q1 :PD-L1 CPSとTAPスコアの相関性は?
Q2 :一次治療:FP±免疫チェックポイント阻害薬とイピリムマブ/ニボルマブ療法の使い分けは?
Q3 :一次治療:腎機能低下例においてシスプラチンを併用する?
Q4 :一次治療:導入化学療法の使いどころは?
Q5 :二次治療:パクリタキセルとドセタキセルの使い分けは?
Q6 :食道癌術後の補助化学療法は?
Q7 :これから期待の食道癌薬物療法は?
C.胃癌薬物療法
Q1 :術後補助化学療法は何を選択する?
Q2 :高齢者胃癌一次治療:オキサリプラチンは併用すべき?
Q3 :HER2陽性胃癌一次治療:併用する薬物療法はどう選択する?
Q4 :HER2陽性胃癌二次治療:トラスツズマブBeyondは検討可能か?
Q5 :HER2陽性胃癌三次治療:トラスツズマブ デルクステカン療法導入時の注意点は?
Q6 :これから期待のHER2陽性胃癌薬物療法は?
Q7 :HER2陰性胃癌一次治療:OX Doublet±免疫チェックポイント阻害薬とゾルべツキシマブ併用療法の違いは?
Q8 :HER2陰性胃癌二次治療:パクリタキセル+ラムシルマブ以外の選択肢は?
Q9 :HER2陰性胃癌三次治療:IRIベースとトリフルリジン/チピラシルベース,ニボルマブの使い分けは?
Q10:小腸癌に対する薬物療法はどう考える?
Q11:これから期待のHER2陰性胃癌薬物療法は?
D.大腸癌薬物療法
Q1 :術後補助化学療法は何を選択する(肝転移切除例を含む)?
Q2 :MSI-Hの一次治療選択は?
Q3 :MSI-H/dMMRの二次治療以降の使い分けは?
Q4 :これから期待のMSI-Hに対する薬物療法は?
Q5 :RAS/BRAF野生型の一次治療選択は? ― 左側・右側原発例で使い分ける?
Q6 :RAS変異例の一次治療選択は? ― Doublet,Tripletの使い分けは?
Q7 :BRAFV600E変異例の治療選択は? ― 一次治療,二次治療以降での薬剤選択は?
Q8 :HER2陽性大腸癌における薬物療法選択の注意点は?
Q9 :NTRK大腸癌における薬物療法の使い分けは?
Q10:二次治療の薬物療法選択は? ― RAS/BRAF野生型では抗EGFR抗体を投与する?
Q11:三次治療の薬物療法選択は? ― RAS野生型右側では抗EGFR抗体を投与する?
Q12:三次治療以降の薬物療法選択は? ― トリフルリジン/チピラシル±ベバシズマブ,レゴラフェニブ,フルキンチニブの使い分けは?
Q13:抗EGFR抗体やオキサリプラチンのリチャレンジに対する考え方は?
Q14:これから期待の大腸癌薬物療法は?
このたび『 あらゆるCQにこたえる 消化管癌薬物療法マニュアル』 を世に送り出す機会を得ました.本書は,日常診療のなかで臨床医が直面する数多くの疑問や迷いに,エビデンスと臨床知の両面から即座にこたえることを目的に編纂された実践的マニュアルです.近年,消化管癌に対する薬物療法は分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場により著しく複雑化し,治療選択において「 次の一手」 をどう決断するかが,患者さんの予後や生活の質を左右する大きな課題となっています.
本書の特徴は,そのタイトルのとおり,臨床現場で繰り返し問われるClinicalQuestion( CQ) に徹底的に焦点を当てている点にあります.教科書的な網羅性や総説的な体系化を目指すのではなく,まさに「 そのとき知りたいQuestion」 にダイレクトにこたえられる構成としました.読者の皆様が,外来や病棟での患者対応中に迷ったとき,あるいは治療方針をチームで検討する場面で,即座に参照できる「 座右の書」 となることを願っています.
また本書は,国内のハイボリュームセンターを中心としたキーオピニオンリーダーに加え,日々最前線で多くの患者さんを診療している若手医師や,薬物療法の専門知識を活かしてがん治療に大きく貢献している薬剤師の先生方にも執筆をお願いしました.エビデンスに基づいた治療選択の整理のみならず,実臨床で直面する課題や工夫,患者さんへの説明の仕方など,より実践的な知見を盛り込むことを意識しています.これにより,医師だけでなく多職種が共有できる共通言語として,本書を活用していただけるものと確信しています.
執筆を開始してから刊行にいたるまでの間にも,新たな臨床試験の結果や薬剤の承認が次々と報告され,消化管癌の治療戦略は絶えずアップデートされています.本書は刊行時点での最新のエビデンスに基づいていますが,読者の皆様には,ここに記載された内容を出発点として,その後の進展や新知見を積極的に取り入れながら日常診療に活かしていただければ幸いです.
帯には「 複雑化する消化管癌治療 ― 次の一手に迷わないための必携Q&A」と掲げました.新規薬剤の登場により選択肢は広がる一方で,日常診療の現場では「 どの患者さんに,どの治療を,どのタイミングで」 という問いに正面から向き合うことが求められています.本書がその問いにこたえる一助となり,消化管癌診療に携わるすべての方々の伴走者となることを切に願っております.
最後に,ご多忙な診療の合間に執筆にご尽力くださった先生方,加えて企画・制作に携わってくださったすべての皆様に,心より御礼申し上げます.とりわけ,南江堂の米田博史様と一條尚人様には,企画の立ち上げ当初より多大なご尽力を賜り,本書の刊行にいたるまで変わらぬご支援をいただきました.この場を借りて,改めて深謝申し上げます.
本書が読者の皆様の臨床現場で少しでもお役に立ち,ひいては患者さんの治療成績の向上と生活の質の改善に結びつくことを,切に願っております.
2025 年10 月
高知大学医学部腫瘍内科学講座
佐竹 悠良
かゆいところに手が届く信頼できるナビゲーター
本書の編集を手がけた佐竹悠良先生は,高知大学医学部腫瘍内科学講座の若き教授であり,私の親しい友人でもあり,若手腫瘍内科医にとって憧れの存在でもあります.そんな佐竹先生が編集された本書は,食道がん・胃がん・大腸がんという主要な消化管がん領域を網羅的かつ実践的に解説した一冊です.特筆すべき点は,ガイドラインで取り上げられるクリニカルクエスチョンを超え,臨床現場で生じるより細かな疑問や課題にまで深く踏み込んでいる点にあります.
以下,本書の特長について,もう少し詳しく述べたいと思います.
1.編者・佐竹悠良先生と豪華執筆陣
佐竹先生は,教授に着任された現在においても,消化器腫瘍内科医として臨床の第一線で活躍されています.その佐竹先生を中心に,全国からさらに若く意欲的な腫瘍内科医たちが執筆陣として名を連ねています.いずれも日々患者さんと真摯に向き合い,最新の知見を実臨床に還元することを重視している医師たちであり,その実践的なノウハウが本書には凝縮されています.
また,豊富な図表と簡潔で要点を押さえた解説により,忙しい臨床医であっても短時間で重要なポイントを把握できるよう工夫されています.佐竹先生をはじめ,第一線で活躍する若手腫瘍内科医たちの知見が結集されている点は,本書の大きな特長の一つといえるでしょう.
2.「次の一手」に迷わせない構成
二つ目の特長として,本書は単なるマニュアルやガイドライン解説書に留まらず,臨床で「まさにここが知りたい」と感じるポイントに的確に応える構成となっています.図表を多用することで,複雑な治療選択も視覚的に理解しやすく整理されており,実用性の高さが際立っています.
さらに,本書は書名にも示されている通り,複雑化する消化管がん治療において「次の一手に迷わない」ための必携Q & A集となっています.実臨床で直面する「この状況ではどう判断すべきか」といった問いに対し,きわめて実践的かつ具体的なアドバイスが提示されており,治療方針に迷った際に自然と手が伸びる一冊です.
3.臨床現場の信頼できる消化管がん薬物療法ナビゲーター
総じて,本書は,若手を含む多くの臨床医による最新かつ実践的知見の結晶であり,消化管がん治療に携わるすべての医師,看護師,薬剤師をはじめとするメディカルスタッフにとって頼れるガイドとなる一冊です.患者さんやそのご家族への説明,あるいは次の治療選択肢を検討する際の「信頼できるナビゲーター」として,大いに力を発揮することでしょう.
本書を手元に置くことで,複雑な臨床状況においても確かな指針を得ることができ,迷いなく次の一手を選択するための心強い支えとなるはずです.佐竹先生をはじめとする執筆陣の臨床経験と情熱が詰まった本書は,まさに「かゆいところに手が届く」,即戦力となる実践書です.
4.さいごに
多彩な執筆陣の高い臨床力を余すところなく盛り込みながら,同時に非常にわかりやすく,かつ最新の情報をコンパクトにまとめあげている点において,多くの医学関連書の編集に携わってきた私自身も,思わずジェラシーを禁じ得ませんでした.このような優れた編集を成し遂げられた佐竹先生に対し,わずかな嫉妬を覚えるとともに,心からの称賛と敬意を表したいと思います.
臨床雑誌内科137巻5号(2026年5月号)より転載
評者●室 圭(愛知県がんセンター薬物療法部 部長/同 副院長)

