今日の治療薬2025
解説と便覧
編集 | : 伊豆津宏二/今井靖/桑名正隆/寺田智祐 |
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ISBN | : 978-4-524-21789-2 |
発行年月 | : 2025年1月 |
判型 | : B6判 |
ページ数 | : 1440 |
在庫
定価5,280円(本体4,800円 + 税)
正誤表
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2025年02月28日
第1刷
- 商品説明
- 書評





今日の治療薬2025改訂ポイント
■巻頭トピックス
・「抗認知症薬の最前線」「“糖尿病治療薬”の枠を超えたSGLT2阻害薬」「JAK阻害薬オーバービュー」の3点を掲載.
■便覧
・「簡易懸濁」の可否情報を追加
・好評の「同効薬インデックス」「同種薬比較」もアップデート
■解説
・・最新情報を冒頭に集約し,各領域の動向が一目でわかるようリニューアル
・非専門家も知っておきたい注目論文を紹介する「薬物療法の最新エビデンス」を新設
・好評の「図で⾒る薬理作⽤」は,新しい作用機序の薬が一目でわかるようにマークを追加
本書は研修医の時代から約30年間,いつも傍らで筆者を支えてくれました.研修医となってはじめて外来を担当したとき,薬剤の知識が乏しかったときでも,いつでも的確に短時間で調べることができる本書は手放せないパートナーでありました.本書の初版は1977年で,毎年改訂がなされ,2025年版は改訂第47版となります.改訂ごとにまず今版の序文と,改訂第30版・初版の序文が掲載されています.これらに目を通すと広く医学,薬学に携わる読者に対して多岐にわたる薬剤の知識を授ける,年々更新される新たな薬剤の情報をアップデートするといった,一貫した哲学を感じます.こういったことが,医療用医薬品情報集のベストセラーとしての地位を確立した要因であろうと思います.
本書の特徴として以下の点があげられます.
@実践的で使いやすい構成:本書の最大の特徴は,実践的な構成と内容の充実度にあります.疾患別に薬剤が紹介され,使用法や投与量,適切なタイミングなどが簡潔にまとめられています.臨床現場ですぐに使用できることを念頭においた記載がされており,医師や薬剤師はもちろん,看護師やその他の医療従事者にとっても便利に活用できる内容です.
A最新情報の反映:2025年版ということで,最新の医薬品や治療法が反映されており,薬剤の承認情報や臨床試験結果をもとに,現場でもっとも有効とされる治療薬が選定されています.特に新薬やジェネリック薬,抗菌薬や抗癌薬に関する項目が充実しており,治療方針に大きな影響を与える情報が満載です.
B薬剤の安全性とリスク管理:副作用や薬物相互作用の部分においても丁寧に解説されており,臨床での誤用やトラブルを防ぐために欠かせない情報が提供されています.新たな知見に基づいたリスク管理の指針が明確に示されているため,安全な薬剤投与が実現可能です.
Cイラストと表の活用:複雑な薬物治療の内容を視覚的にわかりやすくするために,図表やイラストが多く使われており,難解な情報を短時間で把握するために役立ちます.薬剤ごとの特徴や適応症状などが簡潔に示されており,非常に効率的に活用できる仕様となっています.
D総合的な治療アプローチ:薬剤の選択だけでなく,治療全体のフローや患者の状態に応じた個別化医療に関する考え方にも言及されており,読者に対して包括的なアプローチを提案しています.疾患ごとの治療戦略が深掘りされており,特定の薬剤に偏らず,多角的に治療方法を考えることができる点が非常に評価できます.
近年のスマートフォンやタブレット端末の普及を反映し,電子版やアプリ版も提供されており,オンライン付録「e-OMAKE」では製剤写真や薬価,後発品情報なども閲覧可能です.このように,時代の潮流に乗りつつ毎年内容を更新し続けることで,医療現場での信頼を築いてきた書籍です.今日も病棟・外来で本書をみかけると,ホッとした気持ちになるとともに安心感に包まれます.
最新の医学知識を常にアップデートし続けることが求められる中で,本書には現場のニーズに応える内容が詰まっており,臨床現場における信頼性の高いツールとして,多くの医療従事者にとって不可欠な一冊といえるでしょう.
胸部外科78巻7号(2025年7月号)より転載
評者●田村昌也(高知大学呼吸器外科 教授)
