書籍

スタンド・バイ・ミー 研修医のためのクイックリファレンス

: 山本智清
ISBN : 978-4-524-21568-3
発行年月 : 2025年8月
判型 : B6変型判
ページ数 : 244

在庫あり

定価3,960円(本体3,600円 + 税)

  • 新刊

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

研修時に必須なあらゆる領域の情報を,各1〜2頁内に厳選&圧縮したマニュアル.迷ったとき・頭を整理したいとき・時間があるときに,即座に濃縮された情報にアクセスできる!白衣のポケットに収まるサイズで,繰り返し使うことで内科研修に必要な知識が自然と身につく,常に携帯して(スタンド・バイ・ミー)おきたい一冊.

 はじめに
 略語一覧
T 総論
 1 問診(History Taking)
 2 ROS(Review of Systems)詳細版
 3 問診テンプレート
 4 診療録記載
 5 症例プレゼンテーション
 6 皮疹
 7 皮疹(全身症状を伴う)
 8 アナフィラキシー
 9 蕁麻疹と帯状疱疹
 10 退院支援
 11 病院・施設の類型
 12 医療保険制度の概要
 13 医療費の公費負担
 14 一般的な医療費の目安
U 循環器
 1 ショック
 2 ショック各論
 3 胸痛の診断
 4 ACS以外の胸痛
 5 STEMI(ST上昇型急性冠症候群)の診断
 6 STEMIの初期対応
 7 NSTE-ACS
 8 頻脈
 9 心房細動(AF)
 10 発作性上室頻拍(PSVT)と心室性不整脈
 11 徐脈性不整脈
 12 急性心不全(or 慢性心不全の急性増悪)の診断
 13 急性心不全(or 慢性心不全の急性増悪)の治療
 14 慢性心不全の治療
 15 心筋症
 16 肺高血圧症(PH)
 17 弁膜症
 18 一過性意識消失/失神
 19 肺血栓塞栓症(PTE)
 20 深部静脈血栓症(DVT)
 21 高血圧(HT)
 22 大動脈解離
 23 大動脈瘤
 24 末梢動脈閉塞性疾患(PAD)
 25 下肢浮腫
 26 心電図(ECG)
 27 心エコー図検査(UCG)
V 呼吸器
 1 呼吸困難
 2 咳嗽
 3 急性呼吸促迫症候群(ARDS)
 4 胸水
 5 気胸
 6 気管支喘息の急性増悪
 7 気管支喘息の外来管理
 8 COPDの増悪
 9 COPDの外来管理
 10 吸入薬一覧
 11 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
 12 間質性肺疾患(ILD)
 13 酸素療法
 14 急性呼吸不全に対するNPPV
 15  人工呼吸器(MV)
 16 胸部X線(CXR)
 17 代表的疾患の胸部CT
W 消化管
 1 腹痛
 2 腹痛のCT診断
 3 悪心・嘔吐
 4 食道疾患
 5 消化管出血
 6 胃/十二指腸潰瘍
 7 イレウス/腸閉塞
 8 大腸憩室炎
 9 急性下痢
 10 慢性下痢
 11 便秘
 12 虚血性の腸管疾患
 13 腹部CTの解剖
X 肝胆膵
 1 黄疸
 2 腹水
 3 肝酵素上昇
 4 腹部超音波(腹部US)
 5 肝炎
 6 肝硬変
 7 急性胆?炎
 8 急性胆管炎
 9 急性膵炎
Y 腎・電解質・泌尿器
 1 酸塩基平衡(血液ガス分析の古典的アプローチ)
 2 急性腎障害(AKI)
 3 ネフローゼ症候群
 4 慢性腎臓病(CKD)の管理
 5 低ナトリウム血症
 6 高ナトリウム血症
 7 高カリウム血症
 8 低カリウム血症
 9 高カルシウム血症
 10 低カルシウム血症
 11 前立腺肥大症(BPH)
 12 尿路結石
 13 血尿
 14 頻尿と尿閉
Z 血液・腫瘍
 1 貧血
 2 血小板減少
 3 出血傾向
 4 血栓傾向
 5 リンパ節(LN)腫大
 6 好酸球(Eo)の関与する病態
 7 輸血
 8 悪性腫瘍
 9 胃がん
 10 大腸がん
[ 感染症
 1 発熱患者の問診/身体所見と検査便覧
 2 病原体と疾患一覧
 3 臨床でよく遭遇する病原体一覧
 4 抗菌薬一覧
 5 上気道炎症候群
 6 COVID-19とインフルエンザ
 7 肺炎
 8 肺結核
 9 肺外結核
 10 尿路感染症(UTI)
 11 その他の尿路感染症
 12 感染性腸炎
 13 Clostridioides difficile Infection(CDI)
 14 髄膜炎
 15 感染性心内膜炎(IE)
 16 皮膚軟部組織感染症(SSTI)
 17 化膿性関節炎と化膿性脊椎炎
 18 カテーテル関連血流感染症(CRBSI)と菌血症
 19 血液培養
 20 真菌症
 21 STI(性感染症)
 22 輸入感染症
 23 感染症治療が「奏効しない」時
 24 focus不明な発熱(ER/一般内科外来編)
 25 不明熱(FUO)
\ 内分泌代謝
 1 高血糖関連の緊急病態
 2 低血糖
 3 入院中の血糖管理(糖尿病併発症例の急性期血糖管理)
 4 インスリン
 5 血糖降下薬一覧
 6 糖尿病の長期管理における薬物選択
 7 甲状腺疾患
 8 副腎疾患
 9 骨粗鬆症
] 自己免疫疾患
 1 関節炎overview
 2 関節炎overview/偽痛風/痛風
 3 関節リウマチ(RA)
 4 リウマチ性多発筋痛症(PMR)
 5 PMRとその類縁疾患
 6 全身性ループス(SLE)
 7 抗リン脂質抗体症候群(APS)
 8 多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)
 9 全身性強皮症(SSc)
 10 シェーグレン症候群(SS)
 11 血管炎症候群
 12 IgG4関連疾患(IgG4-RD)
 13 成人スチル病(AOSD)
 14 サルコイドーシス
 15 ベーチェット病(BD)
 16 脊椎関節炎(SpA)
 17 免疫抑制薬
 18 抗体検査便覧
Ⅺ 神経
 1 意識障害
 2 頭痛
 3 めまい
 4 耳性めまい
 5 急性腰痛(発症後4週以内)
 6 痙攣
 7 急性期脳梗塞の診断
 8 急性期脳梗塞の治療
 9 脳梗塞のMRI
 10 脳出血とくも膜下出血(SAH)
 11 stroke mimics
 12 末梢神経障害
 13 デルマトーム&ミオトーム
 14 絞扼性神経障害
 15 睡眠障害(不眠)
 16 せん妄
 17 認知症
 18 アルコール関連の急性意識障害
 19 アルコール過剰摂取に伴う慢性の神経/精神疾患
 20 神経診察
Ⅻ 薬剤
 1 循環作動薬・抗不整脈薬(@体重50kg)
 2 鎮静薬と抗血栓薬(静注)
 3 抗血栓薬一覧(経口)
 4 周術期の抗血栓薬の取り扱い
 5 オピオイド換算表
 6 皮下輸液(hypodermoclysis)
 7 輸液製剤
 8 末梢静脈栄養(PPN)
 9 中心静脈栄養(TPN)
 10 経腸栄養(EN)
 11 ステロイド

 今から20 年前に現在の病院(慈泉会相澤病院)で勤務するようになりました.ちょうど初期臨床研修制度が開始される時だったので,相澤病院で初期臨床研修を受けた約200 名の研修医達には何らかの形で関わっています.10 年前に初期研修の責任者となってからは研修医にさらに濃密に関わるようになりました.初期研修の充実のために,それまでのサブスペシャリティであった消化器内科を離れ,総合内科部門を立ち上げ今に至っています.
 相澤病院では,平日毎昼に研修医が症例を持ち寄ってカンファレンスを行っています.このカンファレンスは気軽に参加できるようにするため「準備なしで,その時に集まったメンバーで行う」ことを徹底しています.当日参加したメンバーが自分の経験した症例(多くはER でのファーストタッチ症例)の主訴と簡単な経過だけを伝えた後は,ファシリテーターが研修医や医学生に質問を投げかけつつ,問診と身体所見と簡単な検査からどこまで診断に近づけるか,の思考過程を皆で共有できるように議論を誘導します.
 しかし準備なしに行うカンファレンスで,研修医や医学生に「参加して勉強になった!」と感じてもらうために,ファシリテーターとして主訴や病態についてそれなりに整理して解説できるようになるのは大変でした.真剣勝負の場でそうしたことができるように,トピック毎に知識を整理し,勉強会用に発表するために作っていた資料がこのマニュアルのもとです.
 研修医と日々接して指導をする中で,研修医として知っておけば仕事がスムーズに進むだろうな,ということを厳選してまとめました.
 IT 技術の進歩により,診療現場にモバイルPC やタブレットを持ち込んで,Evernote などの知識整理アプリを活用して学び,業務をこなす研修医も多くなりました.そういった外部メモリに格納できる知識の量は紙のメディアとはまさしくケタ違いです.しかし,頻繁に使う知識までをいちいち外部メモリから取り出す,ということをしているのは非常に効率が悪い(普通の大人であれば新聞を読むのに辞書を引いたりはしないのと同じことです).また,電子機器は本当のベッドサイドに持ち込むことはできないし,欲しい情報を取り出すのに少し時間がかかります.
 その点,紙というメディアは偉大で,情報が格納されている場所さえわかっていれば,「開く」というワンステップで情報にアクセスできます.
 「情報にすぐにアクセスできる」という冊子体を活かすには,どこにでも持ち込める携帯性が重要です.本マニュアルは真に白衣のポケットに収まるサイズ,薄さを目指しました.ただ,携帯性を高めるため文字は小さく,その分,判読性が低下しています.
 タイトルは「スタンド・バイ・ミー」としました.知っている方も多いと思いますが,若きリバー・フェニックスが出演している,夏になるとTV でよく放映される映画のタイトルです.
 初期研修はなかなか良い制度で,卒業した学校も,出身地も,進路も異なる若者が一つの病院に集まり,2 年間,苦楽を分かち合い,寝食を共にし,切磋琢磨して巣立っていく.けれど,そのまま専攻医として残った同期達もそれぞれが忙しくなるとすれ違った時に声をかけるぐらいになってしまう……そういう少し切ない場面も指導医として見てきました.そんな彼らの姿が,映画の中の最後のシーンと重なるのです.もし映画を観ていなければ,一度観てみて下さい.
 時が経つにつれ,Teddy とVern には会わなくなり,やがて大勢の中の2 人になった.人生ではままあることだ.レストランのウェイターのように友はでき,また離れていく.
―(略)―
 彼とは10 年以上会っていなかったが,私は彼のことを永遠に忘れない.12 歳の時に持ったのと同じような友人をその後持つことはなかった.誰もがそうなのではないだろうか?
 ぜひ,このマニュアルを傍において(スタンド・バイ・ミー)初期研修を乗り越えていって欲しいと思います.

9784524215683