書籍

糖尿病診療ガイドライン2024

編・著 : 日本糖尿病学会
ISBN : 978-4-524-20425-0
発行年月 : 2024年5月
判型 : B5判
ページ数 : 580

在庫あり

定価4,950円(本体4,500円 + 税)

  • 新刊

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

5年ぶりの改訂により最新のエビデンスを反映し,日本における糖尿病診療の指針を示したガイドラインの2024年版.今改訂においてもClinical Question(CQ)形式を踏襲し,作成手順・基準は 『Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020』を参考とした.国内外問わず,精査された多くのエビデンスを盛り込み,糖尿病専門医だけでなく,糖尿病患者を診るすべての医師にとって必携の一冊.

■診療ガイドライン策定の方法論
1章 糖尿病診断の指針
 Q1-1 糖尿病の診断をどのように行うか?
 Q1-2 高血糖状態をどのように判定するか?
 Q1-3 インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大をどのように評価するか?
 Q1-4 糖尿病の成因分類をどのように行うか?
 Q1-5 1型糖尿病をどのように診断するか?(急性,緩徐進行,劇症を含む)
 Q1-6 遺伝子異常による糖尿病はどのような点に注意して診断するか?
 Q1-7 遺伝子異常のほかに糖尿病をきたし得る他の疾患,条件にはどのようなものがあるか?
 Q1-8 糖尿病の病態(病期)分類をどのように行うか?

2章 糖尿病治療の目標と指針
 Q2-1 糖尿病治療の目標は?
 Q2-2 糖尿病の基本的治療方針をどう考えるべきか?
 Q2-3 血糖コントロールの目標はどう設定すべきか?

3章 食事療法
 CQ3-1 糖尿病の血糖コントロールのために食事療法を推奨すべきか?
 CQ3-2 糖尿病の血糖コントロールのためにエネルギー摂取量の制限を推奨すべきか?
 CQ3-3 糖尿病の血糖コントロールのために炭水化物制限は有効か?
 CQ3-4 糖尿病の血糖コントロールのためにカーボカウントは有効か?
 CQ3-5 糖尿病の血糖コントロールのために低GI食は有効か?
 CQ3-6 糖尿病の血糖コントロールのために食物繊維摂取は有効か?
 Q3-7 糖尿病の血糖コントロールのために果物摂取を推奨すべきか?
 Q3-8 糖尿病の血糖コントロールのために非栄養性甘味料を使用すべきか?

4章 運動療法
 CQ4-1 糖尿病の管理に運動療法は有効か?
 Q4-2 運動療法を開始する前に医学的評価(メディカルチェック)は必要か?
 Q4-3 具体的な運動療法はどのように行うか?
 Q4-4 運動療法以外の身体を動かす生活習慣(生活活動)は糖尿病の管理にどう影響するか?

5章 血糖降下薬による治療(インスリンを除く)
 Q5-1 血糖降下薬の適応はどう考えるべきか?
 Q5-2 血糖降下薬の選択はどのように行うか?
 Q5-3 α-グルコシダーゼ阻害薬の特徴は何か?
 Q5-4 SGLT2阻害薬の特徴は何か?
 Q5-5 チアゾリジン薬の特徴は何か?
 Q5-6 ビグアナイド薬の特徴は何か?
 Q5-7 イメグリミンの特徴は何か?
 Q5-8 DPP-4阻害薬の特徴は何か?
 Q5-9 GLP-1受容体作動薬の特徴は何か?
 Q5-10 GIP/GLP-1受容体作動薬の特徴は何か?
 Q5-11 スルホニル尿素(SU)薬の特徴は何か?
 Q5-12 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)の特徴は何か?
 Q5-13 血糖降下薬の併用は有効か?
 Q5-14 血糖降下薬による治療でも血糖コントロールが不十分な場合は,どのように対応するか

6章 インスリンによる治療
 Q6-1 インスリン製剤にはどのような種類があるか?
 Q6-2 インスリン療法の適応とはどのような場合か?
 Q6-3 インスリン療法の副作用にはどのようなものがあるか?
 Q6-4 1型糖尿病のインスリン療法にはどのような方法があるか?
 CQ6-5 1型糖尿病に対する強化インスリン療法は細小血管症の発症・進行抑制に有効か?
 CQ6-6 1型糖尿病に対する強化インスリン療法は大血管症の発症予防に有効か?
 Q6-7 2型糖尿病のインスリン療法にはどのような方法があるか?
 CQ6-8 2型糖尿病に対する強化インスリン療法は細小血管症の発症・進行抑制に有効か?

7章 糖尿病の自己管理教育と治療支援
 CQ7-1 組織化された糖尿病自己管理教育と治療支援は糖尿病治療に有効か?
 CQ7-2 集団教育と個別教育は糖尿病治療に有効か?
 CQ7-3 血糖自己測定(SMBG)は糖尿病治療に有効か?
 CQ7-4 CGM(continuous glucose monitoring)はどのような点で糖尿病治療に有効か?
 Q7-5 糖尿病治療上の心理課題は何か?
 CQ7-6 心理的・行動科学的アプローチは糖尿病治療に有効か?
 Q7-7 糖尿病治療にうつ病のスクリーニング・治療は重要か?
 Q7-8 ガイドラインと実践的マニュアルはどのように活用されるべきか?

8章 糖尿病網膜症
 CQ8-1 定期的な眼科受診によって糖尿病網膜症の発症・進行を抑制できるか?
 CQ8-2 血糖コントロールは糖尿病網膜症の発症・進行抑制に有効か?
 CQ8-3 血圧コントロールは糖尿病網膜症の発症・進行抑制に有効か?
 CQ8-4 脂質コントロールは糖尿病網膜症の発症・進行抑制に有効か?
 Q8-5 血糖・血圧・脂質のコントロール以外の内科的治療によって網膜症の発症・進行を抑制できるか?
 CQ8-6 網膜症に手術や光凝固などの眼科的治療は有効か?
 Q8-7 糖尿病網膜症はその他の合併症のリスクファクターとなるか?
 Q8-8 自動診断によるスクリーニングは有効か?

9章 糖尿病性腎症
 Q9-1 尿中アルブミン排泄の増加は腎症における腎機能低下のリスクとなるか?
 CQ9-2 タンパク質の摂取制限は糖尿病性腎症の進行抑制に有効か?
 CQ9-3 RAAS阻害薬は腎症の発症・進行抑制に有効か?
 CQ9-4 SGLT2阻害薬は腎症の進行抑制に有効か?
 CQ9-5 GLP-1受容体作動薬は腎症の進行抑制に有効か?

10章 糖尿病性神経障害
 Q10-1 糖尿病性神経障害をどのように診断するか?
 Q10-2 糖尿病性神経障害を臨床的にどのように分類するか?
 Q10-3 糖尿病性神経障害の発症と進行のリスクファクターは何か?
 CQ10-4 血糖コントロールは糖尿病性神経障害の発症・進行抑制に有効か?
 Q10-5 感覚神経障害の薬物療法はどのように行うか?
 Q10-6 自律神経障害の治療はどのように行うか?
 Q10-7 単神経障害の治療はどのように行うか?
 Q10-8 糖尿病性神経障害はその他の合併症のリスクファクターとなるか?

11章 糖尿病性足病変
 Q11-1 糖尿病性足病変とは何か?
 CQ11-2 糖尿病患者へ集学的フットケアを行うことは,足病変の発症・進行抑制と重症化予防に有効か?
 Q11-3 足潰瘍の治療はどのように行うか?
 CQ11-4 血糖コントロールは足病変の発症予防や足潰瘍の治療に有効か?
 CQ11-5 足潰瘍の治療に医療チームによる集約的治療は有効か?
 CQ11-6 足潰瘍治療は患者の生活の質(QOL)維持に有効か?
 Q11-7 足病変はその他の合併症のリスクファクターとなるか?

12章 糖尿病性大血管症
 Q12-1 大血管症の予防のために必要なリスク管理をいつからどのように始めるか?
 Q12-2 リスク管理をどのような糖尿病患者に行えば大血管症の抑止に有益か?
 CQ12-3 生活習慣と肥満の改善は大血管症のリスクファクターの軽減に有効か?
 CQ12-4 大血管症に血糖コントロールは有効か?
 CQ12-5 SGLT2阻害薬は大血管症の抑制に有効か?
 CQ12-6 SGLT2阻害薬は心不全に有効か?
 CQ12-7 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)は大血管症の進行抑制に有効か?
 CQ12-8 大血管症に血圧コントロールは有効か?
 CQ12-9 大血管症に脂質コントロールは有効か?
 CQ12-10 大血管症に抗血小板薬は有効か?

13章 肥満を伴う糖尿病(メタボリックシンドローム,脂肪肝・脂肪肝炎を含む)
 Q13-1 肥満・肥満症の診断はどのように行うか?
 CQ13-2 肥満2型糖尿病への行動療法は減量や血糖コントロールに有効か?
 Q13-3 肥満2型糖尿病への薬物治療はどのように考えるか?
 CQ13-4 外科療法は高度肥満症を伴う2型糖尿病への治療に有効か?
 Q13-5 メタボリックシンドロームとは何か?
 Q13-6 NAFLD/NASHを伴う肥満2型糖尿病にどのように対応するか?

14章 糖尿病に合併した高血圧
 Q14-1 糖尿病に合併した高血圧は大血管症のリスクファクターか?
 Q14-2 糖尿病に合併した高血圧は細小血管症のリスクファクターか?
 CQ14-3 大血管症の発症予防に血圧を130/80mmHg未満にコントロールすることが有効か?
 CQ14-4 ACE阻害薬・ARBはアルブミン尿のない糖尿病に合併した高血圧の降圧療法での第一選択薬か?
 Q14-5 糖尿病に合併した高血圧の併用療法での選択薬はカルシウム拮抗薬か利尿薬か?
 Q14-6 糖尿病に合併した心不全の診断・治療は?

15章 糖尿病に合併した脂質異常症
 Q15-1 糖尿病に合併した脂質異常症は大血管症のリスクファクターか?
 Q15-2 糖尿病に合併した脂質異常症は細小血管症のリスクファクターか?
 Q15-3 糖尿病に合併した脂質異常症の治療開始値と治療目標値はいくつか?
 CQ15-4 食事療法は糖尿病患者の脂質異常症に有効か?
 CQ15-5 運動療法は糖尿病患者の脂質異常症に有効か?
 CQ15-6 糖尿病患者の脂質異常症に対するスタチンによる治療は,大血管症発症率や生命予後の改善に有効か?
 CQ15-7 糖尿病患者において,スタチン以外のコレステロール低下薬(エゼチミブ,PCSK9阻害薬,レジン,プロブコール)による治療は,心血管疾患の発症率や生命予後の改善に有効か?
 CQ15-8 高TG 血症あるいは低HDL-C血症を合併する糖尿病患者において,フィブラート系薬,SPPARMα,ニコチン酸誘導体,n-3系多価不飽和脂肪酸による治療は心血管疾患の発症率や生命予後の改善に有効か?

16章 糖尿病と歯周病
 Q16-1 歯周病とはどのような疾患か?
 Q16-2 糖尿病は歯周病の発症や進行に影響を及ぼすか?
 CQ16-3 歯周治療は血糖コントロールの改善に有効か?
 Q16-4 歯周病治療は糖尿病合併症の進行抑制に有効か?

17章 妊婦の糖代謝異常
 CQ17-1 妊娠前の血糖コントロールは妊婦や児の予後を改善するか?
 CQ17-2 妊娠中の血糖コントロールは妊婦や児の予後を改善するか?
 Q17-3 妊婦の糖代謝異常をどのように診断するか?
 Q17-4 どのような人が妊娠中の糖代謝異常(妊娠糖尿病,1型糖尿病を除く妊娠中の明らかな糖尿病)を発症しやすいか?
 Q17-5 妊婦の糖代謝異常をどのようにスクリーニングするか?
 Q17-6 糖尿病患者の妊娠前管理(プレコンセプションケア)をどのように行うか?(糖尿病合併症・併存症を含めて)
 Q17-7 糖代謝異常妊婦の血糖コントロール目標はどう設定するか?
 Q17-8 糖代謝異常妊婦の妊娠中管理をどのように行うか?(糖尿病合併症・併存症を含めて)
 Q17-9 糖尿病合併妊産婦の分娩後管理をどのように行うか?
 CQ17-10 妊娠糖尿病既往女性の産後の糖代謝異常の評価はどのように行うか?
 CQ17-11 妊娠糖尿病既往女性において,2型糖尿病発症予防はどのように行うか?
 Q17-12 糖代謝異常母体の児の長期予後について

18章 小児・思春期における糖尿病
 Q18-1 小児・思春期糖尿病の基本的治療方針は?
 Q18-2 小児・思春期糖尿病をどのように診断するか?
 Q18-3 小児・思春期1型糖尿病をどのように治療するか?
 CQ18-4 小児・思春期1型糖尿病での持続皮下インスリン注入療法は,インスリン頻回注射法に比べて血糖コントロールにより有効か?
 Q18-5 小児・思春期2型糖尿病をどのように治療するか?
 CQ18-6 血糖降下薬(インスリンを除く)は小児・思春期2型糖尿病の血糖コントロールに有効か?
 Q18-7 新生児糖尿病の診断と治療をどのように行うか?
 Q18-8 小児・思春期糖尿病において患児・家族の支援をどのように行うか?

19章 高齢者の糖尿病(認知症を含む)
 Q19-1 高齢者糖尿病はどのような特徴があるか?
 Q19-2 高齢者糖尿病はどのように評価すべきか?
 CQ19-3 高齢者糖尿病の血糖コントロールは血管合併症の発症・進行抑制に有効か?
 Q19-4 高齢者の高血糖,低血糖は認知機能低下・認知症やADLの低下,うつ病のリスクファクターか?
 Q19-5 高齢者糖尿病において食事療法は血糖コントロールに有効か?
 CQ19-6 高齢者糖尿病において運動療法は血糖コントロールやADL,認知機能の維持に有効か?
 Q19-7 高齢者糖尿病の血糖降下療法で注意すべき点は?
 Q19-8 高齢者糖尿病の高血圧,脂質異常症はどのように管理すべきか?
 Q19-9 介護施設に入所している高齢者糖尿病はどのように管理するか?

20章 糖尿病における急性代謝失調・シックデイ(感染症を含む)
 Q20-1 糖尿病性ケトアシドーシスの診断と治療はどのように行うか?
 Q20-2 高浸透圧高血糖状態の診断と治療はどのように行うか?
 Q20-3 乳酸アシドーシスの診断と治療はどのように行うか?
 Q20-4 低血糖にはどう対応するか?
 Q20-5 糖尿病に特徴的な感染症にはどのようなものがあるか?
 Q20-6 感染症時の血糖コントロールはどのようにするか?
 Q20-7 糖尿病患者に予防接種は推奨されるか?
 Q20-8 シックデイにはどう対応するか?

21章 2型糖尿病の発症予防
 Q21-1 2型糖尿病の発症リスクをどのように評価するか?
 Q21-2 肥満や体重変化は2型糖尿病の発症にどの程度関与するか?
 Q21-3 身体活動量や運動習慣は2型糖尿病の発症にどの程度関与するか?
 Q21-4 エネルギー量や栄養素摂取比率は2型糖尿病の発症にどの程度関与するか?
 Q21-5 アルコールや他の嗜好飲料は2型糖尿病の発症にどの程度関与するか?
 Q21-6 喫煙,受動喫煙,禁煙は2型糖尿病の発症にどの程度関与するか?
 Q21-7 睡眠は2型糖尿病の発症にどの程度関与するか?
 Q21-8 ストレスや労働環境などの心理社会的要因は2型糖尿病の発症にどの程度関与するか?
 CQ21-9 生活習慣介入によって2型糖尿病の発症は抑止できるか?
 Q21-10 2型糖尿病の発症は薬物により抑止できるか?

トピックス
 ・トピックス1:糖尿病と癌
 ・トピックス2:糖尿病と骨代謝
 ・トピックス3-a:膵臓移植
 ・トピックス3-b:膵島移植
 ・トピックス4:日本における大規模臨床試験
 ・トピックス5:糖尿病と医療IT
 ・トピックス6:糖尿病とアドボカシー活動
 ・トピックス7:周術期血糖コントロール
 ・トピックス8:糖尿病関連検査指標の標準化

 この度,『糖尿病診療ガイドライン2024』を前版の『糖尿病診療ガイドライン2019』から5年を経て刊行する運びとなった.本ガイドラインはエビデンスに基づく糖尿病診療の推進と糖尿病診療の均てん化を目的として2004年に初版『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』が刊行されて以来,糖尿病診療の進歩に対応して改訂し,今回,第7版となる.これまで3年ごとの刊行としていたが,新しいエビデンスが蓄積する期間の確保を考慮して,今回から5年ごとの改訂となった.
 本ガイドラインは糖尿病診療に携わる臨床医が適切,かつ妥当な診療を行うための臨床的判断を支援する目的で作成されている.基本的な策定方法は,『糖尿病診療ガイドライン2019(以下「2019年版」)』を踏襲し,また『,Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020』に準拠した.策定に取り掛かる前に策定委員に対して系統的レビューの方法を含め,『Minds』準拠のガイドライン作成手順に関するレクチャーを実施し,策定法の標準化を図った.
 臨床上生じる疑問のうち,エビデンスに基づく回答を導き出したいものを厳選して,臨床疑問(Clinical Question:CQ)を設定し,CQには該当しないものの,診療ガイドラインで取り上げる必要性が高い疑問は一般的疑問(Question:Q)として設定した.CQに対しては「ステートメント」,Qに対しては「ポイント」で答え,解説を加えている.CQに対するステートメントには,策定委員会での投票により決定した「推奨グレード」を付している.従来からの「グレードA(強い推奨)」,「グレードB(弱い推奨)」に加えて,今回,現在までのエビデンスでは「行うこと」も「行わないこと」も推奨するまでにはいたらない「グレードU(推奨度決定不能)」を新たに設定した.
 近年の糖尿病診療の進歩,エビデンスの蓄積に対応して,CQ,Qの見直しを積極的に行った.その結果,CQ は2019年版の45項目から56項目に大幅に増加している.なかでも食事療法,妊婦の糖代謝異常において積極的にCQを取り上げ,また,薬物療法ではSGLT2阻害薬やGLP‑1 受容体作動薬といった新規薬剤の腎症や大血管症に対する有効性をエビデンスの蓄積を背景にCQとしている.
 従来「付録」として記載されていた本編に含めていない項目は「,トピックス」と改めるとともに,4題から8題に拡充した.「周術期管理」といった重要課題や,最近発展してきている「糖尿病と医療IT」,糖尿病あるいは糖尿病患者へのスティグマとその解消に向けた「糖尿病とアドボカシー活動」についてもここで取り上げている.本書ではアドボカシーに関連する用語については日本糖尿病学会の方針に沿い,概念を理解することが重要であり,言葉が独り歩きすることは避けるべきである,との観点で使用している.
 ガイドライン策定は,「統括委員会」,「策定委員会」,「評価委員会」,「システマティックレビュー(SR)サポートチーム」,「リエゾン委員」,「外部評価委員」,「有識者委員」を組織して行った.統括委員は本ガイドラインにおける基本方針の決定,全体的な内容調整を行い,策定委員は必要に応じてSRサポートチームの支援を受けつつ文献検索,SRなどに基づいてステートメントやポイント,解説の作成を行った.策定委員とは独立した評価委員が記述の適切性,妥当性を評価し,策定委員にフィードバックした.このような繰り返しの作業を経た第五次原稿は糖尿病学会の名誉会員,功労学術評議員,学術評議員に供覧し,同時に関連学会のリエゾン委員や外部評価委員,有識者委員からも評価をいただき,多くのコメントを頂戴した.それらは策定・評価両委員長,および策定委員により逐一確認し,必要な原稿の修正を行った.多くの有益なコメントをお寄せいただいた皆様にこの場をお借りして深謝申し上げる.
 現時点での知見を最大限に盛り込んで作成したこの『糖尿病診療ガイドライン2024』が今日の糖尿病診療の道標となり,わが国での糖尿病診療の向上に貢献することを期待する.同時に今後もこのガイドラインが最新のエビデンスを盛り込んで改訂を繰り返し,さらに発展していくことを祈念している.

2024年5月
「糖尿病診療ガイドライン2024」策定に関する委員会

9784524204250