薬学生のための臨床化学改訂第3版
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編集 | : 後藤順一/片山善章 |
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ISBN | : 978-4-524-40262-5 |
発行年月 | : 2010年8月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 284 |
在庫
定価5,280円(本体4,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
生体成分分析と病態化学を中心に、画像診断を加え、薬学生にとって必要な臨床化学をまとめたテキスト。生体内化学成分の変動と関連付けて病態を理解できる構成で、豊富な構造式や反応式、模式図が特長。今改訂では新たに臨床現場での検査の流れを概説した他、病態に関する記述を大幅に拡充して検査と病態をより強く関連付け、全体の流れやつながりを把握しやすい内容とした。
第1章 総説
1−1 臨床化学とは
1−2 臨床検査の手順
1 臨床検査の目的
2 診療と臨床検査
a.基本的検査
b.一次スクリーニング検査
c.診断確定のための検査、精密検査・特殊検査
d.フォローアップ検査
3 検査項目の種類と分析方法
a.臨床検査の種類
4 検査室のシステム化
5 ベッドサイド検査
1−3 検査試料
1 血清、血漿
a.採血条件
b.採血後の血液の扱い方
c.保存方法
d.溶血
2 尿
a.採尿条件
b.採尿後の尿の扱い方
c.保存方法
3 精度管理
a.内部精度管理
b.内部精度管理の実例
c.外部精度管理
1−4 解析法
1 臨床化学分析法
a.クロマトグラフ法(クロマトグラフィー)
1)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
2)質量分析法(マススペクトロメトリー、MS)
b.免疫測定法
1)抗体
2)免疫測定法の原理
3)代表的な免疫測定法
4)免疫測定法の妨害因子とバリデーション
c.その他
1)電気泳動法
2)センサー
3)ドライケミストリー
2 画像診断
a.X線検査
b.胸部X線撮影検査
c.X線CT検査
d.血管造影検査
e.核医学検査
f.磁気共鳴映像法(MRI)
g.超音波検査
第2章 生体成分の臨床化学
A 体液成分の検査
2−A−1 糖質
1 生理化学と病態代謝
a.D-グルコースの化学的特性
b.D-グルコース代謝と血糖調節
c.糖尿病
d.血糖値異常
e.尿糖
2 血糖測定法
a.グルコースオキシダーゼ/ペルオキシダーゼ比色法
b.グルコースオキシダーゼ電極法
c.グルコースデヒドロゲナーゼUV法
d.ヘキソキナーゼ/グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼUV法
e.簡易血糖測定器
3 糖質関連物質とその測定法
2−A−2 脂質
1 生理化学と検査値
a.アポリポタンパクおよびアポタンパクの種類と機能
b.リポタンパク、アポタンパク異常と疾患
c.血清脂質の働き
2 血清脂質の測定法
a.コレステロール
b.トリグリセリド
c.リン脂質
d.遊離脂肪酸
2−A−3 タンパク質
1 タンパク質代謝と動的平衡
2 血清タンパク質
a.血漿中のタンパク質の種類と機能
b.血清タンパク質の変動と病態
3 尿タンパク質
a.糸球体性タンパク尿
b.尿細管性タンパク尿
c.ベンス・ジョーンズタンパク質
d.N-アセチルグルコサミニダーゼ
4 タンパク質の測定法
a.血清総タンパク質
b.A/G比
c.電気泳動による血清タンパク質分画
d.尿試験紙法による尿タンパク質の測定
2−A−4 非タンパク質性窒素
1 NPN総量
2 尿素窒素(BUN)
a.臨床上の意義
b.測定法
3 アンモニア
a.臨床上の意義
b.測定法
4 クレアチン、クレアチニン
a.臨床上の意義
b.測定法
5 尿酸
a.臨床上の意義
b.測定法
2−A−5 ビリルビン
1 生理化学と検査値
a.ビリルビンの代謝
b.ビリルビンの病態生化学
2 測定法
a.ジアゾ化法
b.酵素的測定法
c.バナジン酸酸化法
2−A−6 酵素
1 総論
a.アミラーゼ
b.酸性およびアルカリ性ホスファターゼ
c.γ-グルタミルトランスフェラーゼ
d.クレアチンキナーゼ
e.コリンエステラーゼ
f.トランスアミナーゼ
g.乳酸デヒドロゲナーゼ
2−A−7 無機質
1 生理化学
a.ナトリウム
b.カリウム
c.クロリド
d.カルシウム
e.無機リン
f.マグネシウム
g.鉄および鉄結合能
h.銅
2 測定法
a.ナトリウム、カリウム、クロリド
b.カルシウム、マグネシウム
c.無機リン
d.鉄と鉄結合能、銅
2−A−8 ホルモン
1 生理作用
a.視床下部ホルモン
b.下垂体ホルモン
c.甲状腺ホルモン
d.副甲状腺ホルモン
e.膵、消化管ホルモン
f.副腎皮質ホルモン
g.男性ホルモン
h.女性ホルモン
i.副腎髄質ホルモン
j.その他
2 測定法と検査値
a.視床下部ホルモン
b.下垂体ホルモン
c.甲状腺ホルモン
d.副甲状腺ホルモン
e.膵、消化管ホルモン
f.副腎皮質ホルモン
g.男性ホルモン
h.女性ホルモン
i.副腎髄質ホルモン
j.その他
B 遺伝子関連検査
1 染色体検査
a.染色体の基本構造と名称
b.染色体分染法
c.FISH法
2 遺伝子(DNA)診断
a.遺伝子診断とは
b.遺伝子診断の特徴
c.DNA診断の基本的手法
d.DNAシーケンシング技術の進歩
e.DNA診断の分析対象分野
3 SNPs
a.SNPs解析の意義
b.SNPs解析法
c.SNPsのテーラーメード医療への応用
C 微生物検査
1 エンドドキシン、(1-3)-β-D-グルカン
2 莢膜多糖
3 線毛
4 菌体外酵素
D 感染症検査
1 ウイルス院内感染
2 ウイルスの抗原および抗体測定法
3 移植患者における感染症
4 梅毒
5 B型肝炎ウイルス
6 ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)
7 ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)
8 インフルエンザウイルスA,B
9 ヘルペス科ウイルス
a.単純ヘルペスウイルス1,2(HSV-1,2)
b.水痘および帯状疱疹ウイルス(VZV)
c.エプスタイン・バールウイルス(EBV)
d.サイトメガロウイルス
第3章 器官機能と病態
3−1 消化管機能と病態
1 各消化管の機能と病態
a.口腔
b.食道
c.胃
d.小腸
e.大腸
2 胃液分泌の調節機構とその破綻による病態
3 Helicobacte pylorによる疾患
4 消化管ホルモン
5 ペプシノーゲン
6 胃液検査
3−2 肝・胆道機能と病態
1 肝臓の構造と機能
2 肝臓の病態
a.急性肝炎
b.慢性肝炎
c.肝硬変
d.肝癌
e.脂肪肝
f.胆汁うっ滞
g.肝腎症候群
h.その他
3 肝・胆道機能検査と病態
a.糖代謝
b.脂質代謝
c.アミノ酸代謝
d.タンパク質代謝
e.胆汁酸代謝
f.ビリルビン代謝
g.血清酵素
h.色素排泄機能検査
i.血清微量金属
j.ウイルス性肝炎の検査
k.肝機能検査の選択基準
3−3 腎機能と病態
1 腎臓の構造と各部位の機能検査
a.腎臓の構造
b.腎臓各部位の検査
2 腎疾患の病態と検査
a.GFR
b.尿検査
3−4 膵機能と病態
1 膵外分泌機能
2 膵内分泌機能
3 膵臓の検査
a.膵外分泌酵素活性測定
b.負荷試験
c.膵内分泌機能
3−5 内分泌異常と病態
1 ホルモン分泌異常と病態の成因
a.ホルモン調節機構と病態
b.ホルモン産生腫瘍
2 ホルモン調節機構と破綻
a.ネガティブフィードバック機構とポジティブフィードバック機構
b.神経系による調節機構
c.概日リズム
3 視床下部-下垂体系と病態
4 副腎疾患と病態
5 甲状腺疾患と病態
6 生活習慣病の病態
7 骨粗鬆症と病態
3−6 循環器機能と病態(脳を含む)
1 不整脈
2 高血圧
3 静脈圧
4 チアノーゼ
5 ショック
6 心筋梗塞
7 心不全
第4章 薬物と臨床化学
4−1 薬物治療モニタリング(TDM)
1 概念と意義
2 臨床的意義と有用性
3 TDMの対象薬物
4 薬物血中濃度の測定
a.検体
b.サンプル採取・保存方法
4−2 薬物代謝障害
1 薬物代謝障害
a.先天的(遺伝的)薬物代謝障害
b.後天的(疾病)薬物代謝障害
2 肝血流速度の異常
3 チトクロームP450(CYP)と肝疾患
a.CYP1A2
b.CYP2A6
c.CYP2C
d.CYP2D6
e.CYP3A
4−3 臨床検査値への薬物干渉
1 直接的な薬物干渉
a.尿検査および糞便検査
b.臨床化学検査
2 間接的な薬物干渉
付表
略語一覧
基準範囲一覧
参考図書
索引
和文索引
欧文索引
本書の初版を上梓してから10年余となる。この間、薬剤師教育も大きく変貌した。当時は、6年制教育の必要性がさかんに議論されていた頃であり、改訂第2版の刊行は、6年制教育への移行が決まった時期と重なる。本年度からは、薬剤師教育の中核ともいえる病院・薬局での実務実習が開始された。一方、薬剤師業務では、より専門性が強く求められ、的確かつ迅速な医薬品情報の提供や、それを基礎とする投与設計や指導、また在宅医療や健康社会創成への積極的参画も望まれている。こうした中、本書をご利用いただいている教員の方々や、医療現場の方々から病態に関わる知識の重要性を重ねてご指摘いただいた。そこで、臨床検査の手順、超音波画像診断の項を加えつつ、「第1章総説」を全体的にスリム化し、「第3章器官機能と病態」の充実を図り、また「第4章薬物と臨床化学」の中に新たに「薬物代謝障害」の項を加えた改訂第3版を出版することとした。本書が、患者の視点にたった質の高い薬剤師育成に役立つことを祈っている。
臨床化学は、「化学的知識や技術を共通の基盤として疾病の病因・病態の解明や、その治療・予防など基礎から実践にわたる学際的学問領域」と定義され、医療の場で適切な治療法の設定に重要かつ不可欠な情報を提供することを目的としている。したがって薬物療法の的確な設定と実施を実践する薬剤師にとり、臨床化学に関する知識の習得は極めて重要である。
わが国における臨床化学の成り立ちに薬学研究者、薬剤師の果たした役割は極めて大きい。その歴史は1964年に発足し、関東を中心に活動した臨床分析化学研究会にさかのぼることができよう。ほぼ同時期に関西において医学者、医師が中心となって活躍した医科学シンポジウムと合併して、今日の科学的根拠に基づく臨床検査の礎を築いた。こうした先達の努力の成果を考える時、薬学研究者、薬剤師が臨床化学の進展と、エビデンスに基づく医療(EvidencedBasedMedicine、EBM)の実践に今後ますます貢献することを期待したい。
平成22年6月
編者