健康・栄養科学シリーズ
基礎栄養学改訂第5版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 |
---|---|
編集 | : 奥恒行/柴田克己 |
ISBN | : 978-4-524-25825-3 |
発行年月 | : 2015年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 306 |
在庫
定価3,080円(本体2,800円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
平成26年度改定の管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)に準拠した、改訂第5版。最初に各栄養素の特徴と代謝の全体像を概観してから各論に移る構成が学習効果を高める。今改訂では「日本人の食事摂取基準」(2015年版)への対応のほか、読者・採用の声に応え,最新のトピックスや脇組での用語解説を充実させた。
第1章 栄養の概念
A.食事の意義
B.栄養の定義と栄養学
C.栄養と病気のかかわり
D.日本人の食事摂取基準(Dietary Reference Intakes,DRIs)
E.栄養と健康増進の医学
F.栄養素の種類とはたらき
G.食品,食物,食料
H.栄養学の歴史
1 三大栄養素の発見
2 呼吸とエネルギー代謝
3 三大栄養素の消化と利用
4 ビタミンの発見
5 ミネラルの発見
6 日本での栄養教育の歴史
I.栄養と遺伝子発現(河田照雄)
第2章 栄養素の構造と機能
A.エネルギー産生栄養素
B.タンパク質の種類と特徴
1 種類
2 代謝と機能
C.糖質の種類と特徴
1 糖質の種類
2 代謝と機能
3 食物繊維とは
4 食物繊維の一般的な性状と機能
D.レジスタントスタ−チ
E.脂質の種類と特徴
1 種類
2 代謝と機能
F.ビタミンの種類と特徴
1 種類
2 代謝と機能
G.ミネラルの種類と特徴
1 種類
2 代謝と機能
H.核酸の種類と栄養
第3章 栄養素代謝の概要
A.タンパク質代謝の概要
1 タンパク質の合成
2 タンパク質の分解
3 アミノ酸代謝
B.糖質代謝の概要
1 グリコーゲンの合成・分解
2 グリコーゲンの合成・分解の調節
3 グルコースの代謝
C.脂質代謝の概要
1 β酸化系
2 ケトン体の生成
3 生理活性物質の合成
D.生体エネルギー学概要
1 電子伝達系(呼吸鎖)
2 グルコースの酸化によるATPの生成数
E.酵素のはたらきと特徴
1 酵素の分類
2 酵素反応の特徴
3 酵素反応に影響を及ぼす因子
第4章 摂食行動
A.空腹感と食欲
1 空腹感
2 食欲
B.局所的な栄養感覚
1 味覚
2 その他の感覚
C.全身的な栄養感覚
1 摂食中枢と満腹中枢
2 摂食を調節する要因
3 規則的な生活と摂食行動
4 食事のリズムとタイミング
第5章 消化・吸収と栄養素の体内動態
A.消化器系の構造と機能
1 消化管の構造
B.消化・吸収の基本概念
1 消化管の自律性
2 消化管ホルモン
C.管腔内消化とその調節
1 唾液の分泌とその調節
2 胃液の分泌とその調節
3 膵液の分泌とその調節
4 胆汁の分泌とその調節
D.膜消化・吸収
1 小腸における消化と吸収
2 微絨毛の機能的構築
3 小腸上皮の構成細胞
4 吸収の機構
E.栄養素別の消化・吸収
1 タンパク質の消化と吸収
2 糖質の消化と吸収
3 脂質の消化と吸収
4 ビタミンの吸収
5 ミネラルの吸収
F.栄養素の体内動態
1 吸収された栄養素の経路
2 栄養素の吸収後のゆくえ
G.食物繊維・難消化吸収性糖質の作用
1 発酵・吸収の概念
2 難消化性オリゴ糖・糖アルコールおよび食物繊維の代謝と運命
3 プレバイオティクス,プロバイオティクス,シンバイオティクス
4 難消化性オリゴ糖・糖アルコールの緩下性と腹部異状
H.生体利用度
第6章 タンパク質の栄養
A.タンパク質の体内代謝
1 タンパク質の合成
2 タンパク質の分解
3 尿素生成
4 窒素出納
5 食後,食間期のタンパク質代謝
6 タンパク質代謝の臓器差
7 アミノ酸代謝の臓器差
8 アルブミン
9 急速代謝回転タンパク質
B.アミノ酸の臓器間輸送
1 アミノ酸プール
2 分岐鎖アミノ酸の特徴
C.タンパク質の栄養価
1 必須アミノ酸
2 生物価とタンパク質正味利用率
3 化学的評価法
4 アミノ酸の補足効果
D.アミノ酸の代謝
1 アミノ酸の窒素の代謝
2 アミノ酸の炭素骨格の代謝
3 アミノ酸の代謝系とそれに関連する先天性代謝疾患
4 タンパク質摂取量とアミノ酸代謝
E.他の栄養素との関係
1 エネルギー代謝とタンパク質
2 糖新生とタンパク質代謝
3 脂肪酸代謝とタンパク質代謝
4 アミノ酸代謝とビタミン
第7章 糖質の栄養
A.糖質の摂取量と栄養学的意義
B.糖質の体内代謝
1 糖質の体内分布
2 肝臓における糖質の代謝
3 骨格筋における糖質の代謝
4 心筋における糖質の代謝
5 脳における糖質の代謝
6 赤血球における糖質の代謝
7 脂肪組織における糖質の代謝
8 糖質と疾患
C.血糖とその調節
1 血糖
2 耐糖能試験
3 血糖の調節
D.エネルギー源としての糖質の意義
E.糖質と他の栄養素との関係
1 糖質摂取によるタンパク質節約作用
2 過剰糖質から貯蔵脂質の合成
3 糖質摂取とビタミンB1消費量増加
F.難消化性オリゴ糖・糖アルコールの生理効果
1 エネルギー摂取軽減効果
2 インスリン節約効果
3 う蝕軽減効果
4 腸内環境の改善効果
5 難消化性甘味糖質のその他の機能
G.食物繊維の生理効果
1 消化管における食物繊維の挙動とはたらき
2 日本人の食物繊維摂取状況と疾病構造の変化
3 食物繊維の目標摂取量
第8章 脂質の栄養
A.脂質の体内代謝
1 食後,食間期の脂質代謝
2 脂質代謝の臓器差
3 β酸化経路とTCA回路
4 ケトン体
B.脂質の臓器間輸送
1 リポタンパク質
2 遊離脂肪酸
3 ホルモン感受性リパーゼ
C.貯蔵エネルギーとしての作用
1 トリアシルグリセロールの合成
2 脂肪細胞の役割
D.コレステロール代謝の調節
1 コレステロールの合成・輸送・蓄積
2 フィードバック調節
3 ステロイドホルモン
4 胆汁酸の腸肝循環
E.摂取する脂質の量と質の評価
1 脂肪エネルギー比率
2 必須脂肪酸
3 飽和脂肪酸,一価不飽和脂肪酸および多価不飽和脂肪酸の摂取
4 n-6系およびn-3系不飽和脂肪酸の摂取量
5 脂肪酸由来の生理活性物質(プロスタグランジン,ロイコトリエン,トロンボキサン)
6 食事性コレステロール
F.他の栄養素との関係
1 ビタミンB1節約作用
2 エネルギー源としての糖質の節約作用
3 糖質から脂肪酸の合成
4 脂質の酸化および生合成とビタミン
第9章 ビタミンの栄養
A.ビタミンの構造と機能
1 脂溶性ビタミン
2 水溶性ビタミン
B.ビタミンの代謝と栄養学的機能
1 ビタミンのホルモン様作用
2 補酵素
3 抗酸化ビタミン
4 高齢者とビタミン
5 止血作用とビタミン
6 一炭素単位代謝とビタミン
7 神経とビタミン
8 貧血とビタミン
9 脂質代謝とビタミン
C.ビタミンの相対生体利用率
D.他の栄養素との関係
1 エネルギー代謝とビタミン
2 核酸,タンパク質代謝とビタミン
3 カルシウム代謝とビタミン
第10章 ミネラルの栄養
A.ミネラルの分類と機能
1 からだを構成するミネラル
2 電解質ミネラル
3 微量ミネラル
4 日本人の食事摂取基準で必要量が策定されていないミネラル
B.ミネラルの栄養学的機能
1 硬組織
2 浸透圧の調節
3 代謝調節とミネラル
C.吸収率に影響を与える要因
1 カルシウム
2 鉄
D.他の栄養素との関係
1 食品中の共存物質
2 生体内での相互作用
第11章 水・電解質の栄養的意義
A.水の出納
1 体内の水の分布
2 水の特性と機能
3 水の出納−動的平衡−
4 体液の調節
5 体液調節の異常−脱水・浮腫−
B.電解質の代謝
1 人体の構成元素
2 体液のpHの調節
第12章 エネルギー代謝
A.エネルギー代謝の概念
1 物理的燃焼値
2 生理的燃焼値(生体利用エネルギー量)
B.エネルギー消費量
1 基礎代謝量
2 安静時代謝量
3 睡眠時代謝量
4 活動代謝
5 食事誘発性熱産生
C.臓器別エネルギー代謝
1 骨格筋と心筋
2 脂肪組織
3 肝臓と腎臓
4 脳
D.エネルギー代謝の測定法
1 直接法と間接法
2 呼吸商と非タンパク質呼吸商
3 呼気分析
第13章 遺伝子発現と栄養
A.遺伝形質と栄養の相互作用
1 栄養素に対する応答の個人差の遺伝的背景
2 生活習慣病と遺伝子多型
3 倹約(節約)遺伝子仮説
4 栄養指標としての遺伝子型
B.後天的遺伝子変異と栄養
1 がんのプロモーション,イニシエーションの抑制
2 植物性抗酸化物質の作用
参考図書
練習問題解答
索引
改訂第5版の序
本書は、新しい管理栄養士に求められる高度な知識・技能を取得させるために、管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)に準拠した「標準的なテキスト」となることを目指して企画されている。2010年12月に厚生労働省から新しい出題基準が発表されたのを受けて、2012年刊行の第4版では出題基準の改定箇所のみの内容に限って改訂した。
今回の改訂は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が2014年に公表されたことを受けてのものである。食事摂取基準は科学の進歩や社会状況の変化を反映して5年ごとに見直されているので、新しい食事摂取基準が公表されれば管理栄養士養成のためのテキストはそれに準拠した内容に改める必要がある。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の特徴は、生活習慣病の発症予防(一次予防)と重症化予防(二次予防)を重視したことである。このため、本書では生活習慣病の発症予防と重症化予防を意識して随所に取り入れてある。また、2015年2月に公表された新しい管理栄養士国家試験出題基準にも準拠するとともに、本書をテキストとして使用している諸賢から頂いたご意見をできるだけ取り入れて、使用しやすい内容とした。
本書の編集方針は、構造式を少なくして栄養素の体内運命の理解を促すことであり、今回の改訂でも従来の方針を踏襲している。これまでの改訂では栄養学を理解するために必要と思われる新しい項目をできるだけ取り入れて構成してきた。2単位分の講義のテキストとしては内容が多すぎるが、本書単独で基礎栄養学の知識習得と理解ができるように配慮した構成はそのまま維持している。それゆえ、他の科目と重複する部分はスキップして講義を進めることができる。今後とも読者諸賢のご批判を仰ぎながら、より充実した教科書に改善したいと考えているので、忌憚のないご意見をお聞かせいただければ幸いである。
平成27年11月
奥恒行
柴田克己