教科書

治験薬学

治験のプロセスとスタッフの役割と責任

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 亀井淳三
ISBN : 978-4-524-40293-9
発行年月 : 2012年4月
判型 : B5
ページ数 : 176

在庫なし

定価3,520円(本体3,200円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

臨床試験における治験の位置づけから病院での治験業務やCRO・SMOの業務内容、関連する法と倫理、さらには統計の考え方までを、薬学的視点を織り交ぜながら解説した新しいタイプの治験入門書。各分野の第一線で活躍する執筆者のわかりやすい文章で治験に必要な基本的事項や知識を流れに沿って習得することができる。薬学生のみならず、これから治験に携わるすべての人にお勧めの一冊。

第1章 臨床試験のなかの治験
 1.1 臨床研究
 1.2 臨床試験
 1.3 研究者(医師)主導臨床試験
 1.4 治験
 1.5 医師主導型治験
 コラム:協力関係を築ける力、“協関力”を身につけよう

第2章 医薬品開発と治験
 2.1 医薬品開発における治験の位置づけ
  2.1.1 治験の概要
  2.1.2 治験を担う人々
  2.1.3 治験で実施する内容
  2.1.4 医薬品開発における治験のルール
  2.1.5 新薬の特許権存続期間
 2.2 治験の流れ
  2.2.1 新薬開発のステップ:新しい薬はどうやって誕生するの?
  2.2.2 治験の手順
 2.3 治験における薬剤師の役割
  2.3.1 薬剤師の主な治験業務
  2.3.2 薬剤師に求められる薬学的判断を伴う窓口業務
 薬学的視点

第3章 治験にかかわる法律・医の倫理
 3.1 医療と倫理
 3.2 治験と法律
 3.3 申請する医薬品
 3.4 治験に求められる医の倫理
  3.4.1 医療における治験の位置づけ
  3.4.2 被験者の人権尊重
  3.4.3 医の倫理を補償するということ
 3.5 治験を遂行するための法律
 3.5.1 治験を依頼するための法律および治験を自ら実施するための法律
 3.5.2 治験を管理するための法律
 3.5.3 治験を実施するための法律
 3.5.4 被験者の保護と人権に関する法規制
 薬学的視点

第4章 臨床試験のデザイン
 4.1 臨床試験の概要
  4.1.1 臨床試験のデザインにおいて考慮すべきこと
  4.1.2 被験者の抽出
  4.1.3 プラセボ対照試験
  4.1.4 割付(allocation)
  4.1.5 盲検化(blinding、masking)
  4.1.6 ダブルダミー法
  4.1.7 用量反応性の確認
  4.1.8 検定の多重性
  4.1.9 臨床試験のエンドポイント
 4.2 比較対照試験(同時対照)デザイン
  4.2.1 並行群間比較試験デザイン(ランダム化・非ランダム化)
  4.2.2 要因試験デザイン
  4.2.3 クロスオーバー試験デザイン
  4.2.4 任意漸増試験デザイン
  4.2.5 強制的漸増試験デザイン
 4.3 観察研究の分類
  4.3.1 症例集積研究
  4.3.2 横断的研究
  4.3.3 ケースコントロール研究
  4.3.4 後ろ向きコホート研究
  4.3.5 前向きコホート研究
 薬学的視点

第5章 病院における治験業務
 5.1 治験の体制
  5.1.1 実施医療機関
  5.1.2 治験責任医師
  5.1.3 治験分担医師、治験協力者
  5.1.4 治験事務局
  5.1.5 CRC
  5.1.6 治験審査委員会(IRB)
 5.2 インフオームド・コンセント
  5.2.1 インフオームド・コンセント
  5.2.2 説明文書
  5.2.3 同意文書
 5.3 治験に参加する被験者への配慮
  5.3.1 負担軽減費
  5.3.2 保険外併用療養費
 5.4 治験契約にかかわる事項
  5.4.1 治験にかかわる費用(経費)
  5.4.2 治験の契約
 5.5 CRCの業務と治験の実際
  5.5.1 治験実施計画書
  5.5.2 治験薬概要書
  5.5.3 CRC業務
  5.5.4 治験薬
  5.5.5 治験薬管理者
  5.5.6 症例報告書(CRF)の作成支援
  5.5.7 モニタリング・監査への対応
  5.5.8 治験関係書類の整理と保存
  5.5.9 有害事象への対応
 薬学的視点

第6章 医薬品開発業務委託機関(CRO)
 6.1 治験におけるCROの位置づけ
  6.1.1 CROとは
  6.1.2 治験の流れとCROの役割
 6.2 CROにかかわる職種
  6.2.1 治験モニタリング業務
  6.2.2 登録センター業務
  6.2.3 データマネジメン卜(DM)業務
  6.2.4 統計解析業務
  6.2.5 メディカルライテイング業務
  6.2.6 ファーマコヴィジランス業務
  6.2.7 品質管理業務(Quality Control/QC)
  6.2.8 品質保証業務(Quality Assurance/QA)
  6.2.9 コンサルタント業務-
 薬学的視点
 INTERVIEW

第7章 治験施設支援機関(SMO)
 7.1 治験におけるSMOの位置づけ
  7.1.1 SMOとは
  7.1.2 SMOの役割
 7.2 SMOにかかわる業務
  7.2.1 治験システムの構築
  7.2.2 治験管理業務
  7.2.3 治験コーディネーター(CRC)業務
 薬学的視点
 INTERVIEW

第8章 治験に必要な統計の知識
 8.1 なぜ治験に統計が必要?
  8.1.1 治験データのバラツキ
  8.1.2 バイアス(偏り)の危険性
 8.2 仮説検定とは?
  8.2.1 紅茶の違いがわかる夫人―The lad testing tea―
  8.2.2 仮説検定は背理法の論理
  8.2.3 仮説検定の流れ:t-検定の場合
  8.2.4 仮説検定につきまとう問題:2種類の過誤
  8.2.5 2種類の過誤を抑えるための方法
  8.2.6 正式な仮説検定と旗立ツールとしての仮説検定
 8.3 医薬品の開発は学習プロセス
 薬学的視点

参考文献
索引

臨床試験は、疾病の診断、治療および予防方法の改善、さらには疾病の原因や病態を理解し、患者の生活の質の向上につながるエビデンス形成のために必須です。さらに、臨床試験のうち、新薬あるいは新しい医療機器として厚生労働大臣から承認されるために、その有効性や安全性を確かめるための“治験”は医師主導治験も含めインフラ整備が進んでいます。治験やそれ以外の臨床試験も科学性や倫理性の確保の点ではともに、GCPを遵守した質の高い試験を推進すべきです。
 臨床試験を実施するのは人であり、臨床試験、特に質の高い治験の推進には、人材の育成が重要です。治験業務に携わる職種は、薬剤師、看護師、臨床検査技師等、多岐にわたり、それぞれの職能に応じた専門的知識・能力を活かしています。しかし、医薬品の治験を行ううえで薬物の存在は不可欠で、薬学的知識を習得した人材(特に薬剤師)の役割が最も重要です。また多くの被験者は治験薬以外に何らかの併用薬を服用していることが多いため、それらの相互作用のチェックや被験者からの薬についての相談等に対してその専門性を発揮しなければなりません。治験の倫理性、科学性、信頼性および高品質性を確保するために、薬学的知識の貢献は大です。さらに、治験についての幅広い知識と経験を持ち合わせることで、治験に携わる様々な立場の人たちを調和させ、より精度の高い治験推進の役割を果たせます。
 薬学教育制度の改革によリ薬学教育モデル。コア力リキユラムに“治験”が含まれました。しかし、薬学生を対象とした治験・臨床研究に携わる人材を育成するための教材はこれまでありませんでした。そこで、薬学的視点から“治験のプロセスとそれに携わるスタッフの役割と責任”について解説する本書の出版を企画しました。刊行にあたり、第一線で治験・臨床研究の実務を担当している方々に執筆をお願いし、臨床試験の実施に必要な基本的事項や知識を治験の流れに沿って習得するための入門書となるよう編集しました。本書は製薬企業の臨床開発部門、医薬品開発業務受託機関(CRO)および治験施設支援機関(SMO)、さらには大学病院等の治験管理センターにおける新人教育にも有用です。
2012年3月
亀井淳三

9784524402939