看護学テキストNiCE
成人看護学 成人看護技術
生きた臨床技術を学び看護実践能力を高める
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 野崎真奈美/林直子/佐藤まゆみ/鈴木久美 |
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ISBN | : 978-4-524-26284-7 |
発行年月 | : 2012年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 382 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
正誤表
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2017年03月17日
第1刷〜第5刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
『慢性期看護』『急性期看護I、II』に関連する看護技術、検査に関連する看護技術をコンパクトにまとめたテキスト。一通りのケアについてだけでなく、医師と協働して行う技術、患者のセルフケアを促す技術など、応用的な看護技術についても、写真・イラストを豊富に活用した表形式でわかりやすく解説。「成人看護学」の実践的な知識が身につく確かな一冊。
第I章 検査の介助
1.生体機能検査
1−1 呼吸機能検査
A.経皮的動脈血酸素飽和度測定(パルオキシメーター)
1 経皮的動脈血酸素飽和度測定とはどのような検査か
2 経皮的動脈血酸素飽和度測定でわかること
(Skill)(パルスオキシメーターによる)経皮的動脈血酸素飽和度測定
B.肺機能検査(スパイロメーター)
1 肺機能検査(スパイロメーター)とはどのような検査か
2 肺機能検査(スパイロメーター)でわかること
(Skill)肺機能検査
C.血液ガス検査
1 血液ガス検査とはどのような検査か
2 血液ガス検査でわかること
(Skill)血液ガス検査
1−2 循環機能検査
A.12誘導心電図
1 12誘導心電図とはどのような検査か
2 12誘導心電図でわかること
(Skill)12誘導心電図測定
B.心電図モニター(電極の装着法)
1 心電図モニターとはどのような検査か
2 心電図モニターでわかること
(Skill)心電図モニターの測定
1−3 アレルギー検査
A.皮膚パッチテスト
1 皮膚パッチテストとはどのような検査か
2 皮膚パッチテストでわかること
(Skill)皮膚パッチテスト
B.皮内テスト
1 皮内テストとはどのような検査か
2 皮内テストでわかること
(Skill)皮内テスト
2.画像診断
2−1 X線検査
A.X線単純撮影(腹部・胸部・乳房・骨)
1 X線単純撮影とはどのような検査か
2 X線単純撮影でわかること
(Skill)X線単純撮影(1)腹部/(2)胸部/(3)乳房(マンモグラフィ)/(4)骨
B.消化管造影
1 消化管造影とはどのような検査か
2 消化管造影でわかること
(Skill)上部消化管造影の介助/下部消化管造影(注腸透視・注腸造影法)の介助
C.脊髄腔造影(ミエログラフィ)
1 脊髄腔造影(ミエログラフィ)とはどのような検査か
2 脊髄腔造影でわかること
(Skill)脊髄腔造影(ミエログラフィ)の介助
D.胆嚢・胆管造影
1 胆嚢・胆管造影とはどのような検査か
2 胆嚢・胆管造影でわかること
(Skill)胆嚢・胆管造影の介助
E.腎盂・尿管造影
1 腎盂・尿管造影とはどのような検査か
2 腎盂・尿管造影でわかること
(Skill)腎盂・尿管造影の介助(1)静脈性尿路造影/(2)逆行性尿路造影
F.脳血管造影
1 脳血管造影とはどのような検査か
2 脳血管造影でわかること
(Skill)脳血管造影の介助(大腿動脈の場合)
G.心血管造影
1 心血管造影とはどのような検査か
2 心血管造影でわかること
(Skill)心血管造影の介助
H.腹部血管造影
1 腹部血管造影とはどのような検査か
2 腹部血管造影でわかること
(Skill)腹部血管造影の介助
I.CT検査
1 CT検査とはどのような検査か
2 CT検査でわかること
(Skill)CT検査の介助
2−2 超音波検査
A.心エコー検査
1 心エコー検査とはどのような検査か
2 心エコー検査でわかること
(Skill)心エコー検査の介助
B.乳房超音波検査
1 乳房超音波検査とはどのような検査か
2 乳房超音波検査でわかること
(Skill)乳房超音波検査の介助
C.腹部超音波検査
1 腹部超音波検査とはどのような検査か
2 腹部超音波検査でわかること
(Skill)腹部超音波検査の介助
2−3 MRI、PET、核医学検査
A.MRI検査
1 MRI検査とはどのような検査か
2 MRI検査でわかること
(Skill)MRI検査の介助
B.PET検査
1 PET検査とはどのような検査か
2 PET検査でわかること
(Skill)PET検査の介助(FDG−PETの場合)
C.核医学検査(シンチグラフィ、SPECT)
1 核医学検査とはどのような検査か
2 核医学検査でわかること
(Skill)核医学検査の介助
3.内視鏡検査
A.上部消化管内視鏡検査
1 上部消化管内視鏡検査とはどのような検査か
2 上部消化管内視鏡検査でわかること
(Skill)上部消化管内視鏡検査の介助
B.内視鏡的逆行性胆管・膵管造影(ERCP)検査
1 内視鏡的逆行性胆管・膵管造影(ERCP)とはどのような検査か
2 内視鏡的逆行性胆管・膵管造影(ERCP)でわかること
(Skill)内視鏡的逆行性胆管・膵管造影(ERCP)の介助
C.大腸内視鏡検査
1 大腸内視鏡検査とはどのような検査か
2 大腸内視鏡検査でわかること
(Skill)大腸内視鏡検査の介助
D.気管支鏡検査
1 気管支鏡検査とはどのような検査か
2 気管支鏡検査でわかること
(Skill)気管支鏡検査の介助
E.関節鏡検査
1 関節鏡検査とはどのような検査か
2 関節鏡検査でわかること
(Skill)関節鏡検査の介助(腰椎麻酔下の場合)
F.膀胱尿道鏡検査
1 膀胱尿道鏡検査とはどのような検査か
2 膀胱尿道鏡検査でわかること
(Skill)膀胱尿道鏡検査の介助
4.検体検査
A.細胞診
1 細胞診とはどのような検査か
2 細胞診でわかること
(Skill)細胞診の介助
B.組織診
1 組織診とはどのような検査か
2 組織診でわかること
(Skill)組織診の介助
C.胸腔穿刺
1 胸腔穿刺とはどのような検査か
2 胸腔穿刺でわかること
(Skill)胸腔穿刺の介助
D.腹腔穿刺
1 腹腔穿刺とはどのような検査か
2 腹腔穿刺でわかること
(Skill)腹腔穿刺の介助
第II章 周手術期の看護技術
1.術前の看護技術
A.術前オリエンテーション
1 離床訓練
(Skill)離床訓練
2 呼吸訓練
(Skill)呼吸法(腹式呼吸による深呼吸法)/排痰訓練(咳嗽法、含嗽法)
3 静脈血栓塞栓症の予防
B.術野を整えるための技術
1 除毛処置
(Skill)除毛処置
2 臍処置
(Skill)臍処置
3 ストーマサイトマーキング
(Skill)ストーマサイトマーキング
C.栄養に関連する技術
1 周手術期の栄養管理
2 術前の栄養状態のアセスメント
3 経腸栄養
4 輸液療法(末梢静脈栄養法・完全静脈栄養法)
5 TPNにおけるCVカテーテルの挿入
(Skill)CVライン挿入の介助(鎖骨下静脈・内頸静脈穿刺)
2.術中の看護技術
A.無菌環境の準備に関する技術
1 無菌環境とは
2 無菌環境を維持するための方法
(Skill)無菌環境の準備(手術時手洗い、ガウンテクニック、無菌操作)
B.局所麻酔導入に関する技術
1 局所麻酔
2 脊髄くも膜下麻酔
(Skill)脊髄くも膜下麻酔の介助
3 硬膜外麻酔
(Skill)硬膜外麻酔の介助
C.麻酔導入から術野確保に関する技術
1 膀胱留置カテーテル挿入・介助
2 体温計の挿入
3 間欠的空気加圧装置の装着
(Skill)間欠的空気加圧装置の装着
4 体位固定
(Skill)術前の体位固定
5 タニケットの装着
6 挿管の介助
(Skill)挿管の介助
D.麻酔終了時の技術
(Skill)麻酔終了に伴う抜管の介助
3.術後の看護技術
A.循環管理
1 術後の循環管理の必要性
2 術後の循環器系合併症
3 カテーテル管理
(Skill)抹消静脈カテーテル管理/中心静脈圧(CVP)測定/観血的動脈圧モニタリング(動脈圧ラインの管理)/動脈カテーテル抜去時の処置/肺動脈(スワン・ガンツ)カテーテル管理
4 モニタリングの実際
B.呼吸管理
1 呼吸管理の目的
2 呼吸管理に必要な技術
C.疼痛管理
1 術後疼痛の原因
2 術後疼痛のアセスメント
3 疼痛緩和の方法
(Skill)PCAシステムの管理方法
D.創管理(創傷処置)
1 創傷処置について
2 手術による創の治癒過程
(Skill)創傷処置(医師の介助と看護師が行う創傷処置)
E.ドレーン管理
1 ドレナージの目的、処置、ケアの基本
2 ドレーンの具体的な目的による分類
3 ドレーンの形状による分類
4 ドレナージの原理・排液方法による分類
5 ドレーン管理の実際
(Skill)経鼻胃管の挿入と管理/ドレーン管理
F.排泄ケア
1 排泄ケアとは
2 膀胱留置カテーテル管理
3 ストーマケア
(Skill)ストーマのセルフケア(装具交換)の指導
G.離床支援
1 早期離床の意義
2 離床促進のための配慮
(Skill)体位変換/離床の介助
H.術後の自動・他動運動
1 術後の自動・他動運動の意義
2 自動・他動運動の実際
(Skill)肺がん術後のリハビリテーション/乳がん術後のリハビリテーション/その他手術後のリハビリテーション
I.リンパ浮腫のケア
1 リンパ浮腫とは
2 リンパ浮腫のアセスメント
3 リンパ浮腫のケア方法
第III章 救急時の看護技術
1.一次救命処置(BLS)
1 一次救命処置(BLS)とは
2 新BLSガイドラインの重要点
3 一次救命処置(BLS)のアルゴリズム
(Skill)一次救命処置(BLS)
2.二次救命処置(ALS)
1 二次救命処置とは
2 気管挿管の介助
3 100%酸素吸入下人工呼吸
4 心電図モニター装着
5 マニュアル除細動器(DC)の介助
(Skill)マニュアル除細動器(DC)の介助
6 静脈路確保と薬剤投与
3.救急外来・ICUにおける看護技術
A.人工呼吸器の管理
1 人工呼吸器
(Skill)気管挿管して装着する人工呼吸器の管理
2 NPPV(非侵襲的陽圧換気)
(Skill)NPPVの管理
B.閉鎖式気管吸引チューブによる気管吸引
(Skill)閉鎖式気管吸引チューブによる気管吸引
C.輸液療法(管理)
D.輸血管理
E.胸腔穿刺の介助/ドレーン管理
F.腹腔穿刺の介助/ドレーン管理
G.スワン・ガンツカテーテル管理
H.胃洗浄の介助
(Skill)胃洗浄の介助
第IV章 慢性疾患を有する患者のセルフマネジメントをうながす技術
1.患者教育が必要なセルフモニタリング技術
A.自己検脈
(Skill)自己検脈の援助
B.血圧自己測定
(Skill)血圧自己測定の援助
C.ピークフローモニタリング
(Skill)ピークフローモニタリングの援助
D.血糖自己測定
(Skill)血糖自己測定の援助
2.患者教育が必要なセルフケア技術
2−1 呼吸管理に関する技術
A.呼吸法(口すぼめ呼吸・腹式呼吸)
(Skill)呼吸法(口すぼめ呼吸・腹式呼吸)の援助
B.排痰法(体位ドレナージ、ハッフィング)
(Skill)排痰法(体位ドレナージ、ハッフィング)の援助
C.吸入療法
(Skill)吸入療法の援助
D.非侵襲的陽圧換気(NPPV)療法
(Skill)NPPVの援助
E.在宅酸素療法(HOT)
(Skill)HOT導入時の援助
2−2 循環管理に関する技術
A.心臓デバイス植込み後の体調管理
(ペースメーカー、植込み型除細動器:ICDなど)
(Skill)心臓デバイス(ペースメーカー、ICDなど)植込み後の体調・生活管理
2−3 栄養管理に関する技術
A.経管栄養
(Skill)PEGによる経管栄養の援助
B.在宅中心静脈栄養(HPN)
(Skill)在宅中心静脈栄養(HPN)の援助
2−4 排泄管理に関する技術
A.腹膜透析
(Skill)腹膜透析の援助
B.間欠自己導尿(CIC)
(Skill)間欠自己導尿の援助
2−5 注射に関する技術
A.自己注射
(Skill)インスリン自己注射の援助/インターフェロン自己注射の援助
B.皮下埋込み式リザーバー肝動注化学療法
(Skill)皮下埋込み式リザーバー肝動注化学療法
─リザーバーへの穿刺の介助/皮下埋込み式リザーバー肝動注化学療法
─穿刺針の抜針の援助
2−6 フットケア
(Skill)医療者の行うフットケア/患者の行うフットケア(自己管理)の援助
付録
付録1 主な体位一覧
付録2 身体の関節運動と可動域
索引
わが国における医療をとりまく環境は、社会構造の変化や医療技術の発展などによって著しい変化を遂げています。それにともない看護師へのニーズも多様化し、求められる能力も複雑化しています。看護師の職域についても、その拡充いかんがさかんに議論されているところであり、今後世のなかにおける看護師の役割は、ますます大きくなっていくことが考えられます。同時に、看護師の専門性の基盤ともいえる“看護基礎教育の真価”が問われる時代が到来したといえます。
現在、臨床の現場においても、また基礎教育の現場においてもよく耳にするのが、「看護師の実践能力の向上」についての問題です。“臨床(現場)と教育(現場)のギャップ”の解消は、看護教育界で長年の課題とされてきました。とくに最近、文部科学省「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」において「コアとなる看護実践能力と卒業時到達目標」が策定され、また厚生労働省「看護基礎教育の充実に関する検討会」において「看護師教育の技術項目と卒業時の到達度」が策定されるなど、行政の場でも課題解決に向けた具体的な動きがみられるようになりました。新人看護師の早期離職の問題の背景として看護実践能力の不足を指摘する声もあり、いまとくに解決の求められている課題のひとつといえます。
学生が、臨床現場で通用する実践能力を獲得するためには、基礎教育課程で学んだ原則を基盤に、臨床実習で“生きた臨床技術”を学ぶことが大変重要です。そして、医療現場における患者に対する安全・倫理的意識の高まりのなかにあって、看護学生は、学内で十分に実践技術を習得したうえで臨床実習に臨むことが必須となっています。そのため、臨床実習前の学内演習においては、看護学生が患者の安全・安楽を考えて、正確な実践技術を一定水準まで習得できるように教育することが重要です。さらに、患者の在院日数が短縮化し、実習で遭遇する患者がより重症化するなか、侵襲の高い技術を、患者の了解のもと実習を通じて習得することは難しく、実習以外の方法で技術の習得を補い、看護実践能力の向上をはかることが課題となっています。
本書『NiCE成人看護技術─生きた臨床技術を学び看護実践能力を高める』は、いま教育現場(あるいは新人臨床研修の現場)に求められている看護実践能力の向上という要請に応えるためのテキストです。本書では、とくに成人看護学関連の「実践技術」に焦点を当て、各々の手技自体(全体像)の理解をはかり、そのなかにおける看護師の役割を明確に示しました。いかに他職種と協働をはかり、またいかに患者と協力して援助をすすめていくべきかという点について、その原則を理解し、またその原則に基づいた具体的手順(例)を理解できるように工夫しています。
本書の構成と各章の目的
本書は大きく、検査の介助(第I章)、周手術期の看護技術(第II章)、救急時の看護技術(第III章)、慢性疾患を有する患者のセルフマネジメントをうながす技術(第IV章)から構成されています。
検査の介助(第I章)では、検査の内容・全体像の理解をはかることを目的にしています。検査の目的や検査結果である画像等もできるだけ多く紹介しました。また医師・臨床検査技師の行う検査手順を原則すべて紹介し(ただし高度に専門的な技術は詳細を省略しています)、その検査手順に付随するあるいは検査前後における具体的な看護のかかわりを解説しています。これら検査の具体的な介助方法は、従来書ではあまり解説されてこなかった部分であり、本書のひとつの特長ということができます。看護師が検査の介助をするにあたり、そのかかわりの部分のみを理解するだけでは不十分です。医師・臨床検査技師との十分な協働をはかるには、看護師の担当以外の部分も含めた検査の全体像を把握してこそ、適切な事前準備やアセスメント、また有効な検査中の介助、あるいは異変を見逃さない検査後の観察がかなうものと考えます。
周手術期の看護技術(第II章)は、「術前の看護技術」「術中の看護技術」「術後の看護技術」の3節によって構成されています。術前の看護技術では、術後の患者の状態を左右する術前オリエンテーションの方法等を紹介しています。術中の看護技術では、手術部感染(SSI)を防止する無菌環境の確保のしかたを紹介するとともに、「麻酔」「挿管」「抜管」等の技術については、検査技術(第I章)と同様に、医師の全手順とそれらと同時進行で行われる看護の介助方法を解説しています。各技術の全体像を理解し、さらに具体的な医師との協働方法を学習できるよう詳細に記しています。実習ではなかなか立ち入る機会の少ない手術室看護についても、実践と同様の感覚をもって理解できるよう工夫しています。術後の看護技術では、術後患者の循環機能・呼吸機能の管理、術創の治癒に向けた管理や疼痛管理の具体的な方法、さらに社会生活への復帰に向けた各種リハビリテーションの方法を解説しています。
救急時の看護技術(第III章)は、「一次救命処置(BLS)」「二次救命処置(ALS)」「救急外来・ICUにおける看護技術」の3節によって構成されています。一次救命処置(BLS)、二次救命処置(ALS)では、2010年に改訂された蘇生ガイドラインに準拠し、それぞれのアルゴリズムと個別の技術を、多くのイラスト・写真を用いて具体的に解説しています。救急外来・ICUにおける看護技術では、高度医療下におかれた重症患者を対象に、医師と協働しながらも、そのなかでどのように“看護”の技術を提供するのかをわかりやすく解説しています。また、非侵襲的陽圧換気(NPPV)や閉鎖式気管吸引チューブによる気管吸引といった新しい看護技術も含め、救急外来やICU等において実施される主要な看護技術/介助技術の具体的手順を、初学者である学生にもわかるように解説しています。
慢性疾患を有する患者のセルフマネジメントをうながす技術(第IV章)では、「患者教育が必要なセルフモニタリング技術」と「患者教育が必要なセルフケア技術」の2節によって構成されています。慢性疾患患者に対する看護の目的は、患者自身のセルフマネジメントをうながすことにあります。つまり看護師の役割は、一方的に医療者側のケア方法を押しつけるのではなく、患者に対して適切に教育・指導を行い、患者自身が自分の状況に適したセルフケアを行えるように援助することにあるといえます。本章では、各技術に関する基礎知識に加えて、それらの具体的手技の解説においてまず“患者の望ましい行動”は何かを明らかにし、その行動手順に付随するかたちで、それらを実現するために看護師はどのような教育・指導を行うべきかについての要点を紹介しています。つまり、セルフモニタリング技術・セルフケア技術の両方において、患者自身の行動や、またいかにそれを継続させるかという視点を重視した構成となっています。
なお、各章の背景にある基本的な考え方あるいは専門的概念などについては、それぞれ、本書と同シリーズの『NiCE疾病と検査』『NiCE成人看護学 急性期看護I─周手術期看護』『NiCE成人看護学 急性期看護II─救急看護』『NiCE成人看護学 慢性期看護』にくわしく紹介されていますので、本書と併せて適宜ご参照ください。
重要な看護技術は表形式によってわかりやすく解説
成人看護(または臨床看護一般)においてとくに重要な技術については、表形式にてよりわかりやすく解説しています(⇒Skill表)。表に挿入されている多くのイラスト・写真によって視覚的な理解がはかられ、また各手順には、それらに付随する根拠・留意点(第IV章においては、“指導上のポイント”)を併記しており、単に手順の理解にとどまらない“考える看護”を身につけられるように工夫をしています。
以上のように、本書は看護実践能力の向上を目的に“生きた臨床技術”の理解をはかるためさまざまな工夫をしています。本書が、看護学生または新人看護師の実践能力向上のための一助になることを願ってやみません。
2012年4月
野崎真奈美
林直子
佐藤まゆみ
鈴木久美