人体解剖カラーアトラス原書第7版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
原著 | : Abrahams,P.H.,Spratt,J.D.,Loukas,M.,&Van Schoor,A.N. |
---|---|
訳 | : 佐藤達夫 |
ISBN | : 978-4-524-26117-8 |
発行年月 | : 2015年1月 |
判型 | : A4変型 |
ページ数 | : 400 |
在庫
定価6,380円(本体5,800円 + 税)
正誤表
-
2015年05月21日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
実際の人体の解剖標本のアトラス。解剖所見が写真のものは、講義と図譜からの理解をカバーし、臨床面での有用性が高いとして広く支持されている。とくに医療技術系学生には必携の1冊となっている。
献辞と序
訳者の序
謝辞
利用ガイド
オリエンテーション
1 頭頚部と脳
頭蓋
頭蓋骨
頸部
頸部の基部
顔面
側頭窩と側頭下窩
側頭下窩
側頭下窩の深層
咽頭
喉頭
頭蓋腔
眼
鼻
鼻と舌
耳
脳
脳神経
脳神経と自律神経系
症例写真
2 脊柱と脊髄
脊柱の概観
背部と肩
椎骨
仙骨
仙骨と尾骨
骨性骨盤
椎骨の骨化
脊柱と脊髄
背部の体表解剖
背部の筋
後頭下三角
脊椎のX線像
症例写真
3 上肢
上肢の概観
上肢骨
肩
腋窩
上腕
肘
前腕
手
手くびと手のX線像
症例写真
4 胸部
胸部の概観
胸部の骨
胸壁の体表投影と乳房
乳房
胸壁と体表への投影
胸壁
胸部の内臓
心臓
縦隔
縦隔の画像
肺
上縦隔
上縦隔の胸郭上口
胸郭上口
後縦隔
肋間神経と胸部の関節
大動脈と周囲の血管
横隔膜
食道の画像
症例写真
5 腹部と骨盤
腹部の概観
前腹壁
男性の骨盤
鼠径部
上腹部
腸の画像
肝臓
胆嚢の画像
脾臓
脾臓と腸
腸
小腸
腎臓と副腎
腎臓の画像
横隔膜と後腹壁
後腹壁と骨盤壁
骨盤壁
男性の鼠径部、外生殖器
男性の骨盤
骨盤の血管と神経
骨盤靭帯
女性の骨盤
女性の会陰
男性の会陰
症例写真
6 下肢
下肢の概観
下肢骨
足の骨
踵と足の骨
踵の骨
下肢骨の成長
殿部
大腿
大腿前面
股関節
膝
膝のX線像
下腿
足くびと足
足
足くびと足の画像
症例写真
7 リンパ系
リンパ系組織
リンパ管造影
胸腺
胸部
口蓋扁桃
頸部
胸管
腋窩(右)
乳び槽
女性の骨盤
大きく腫脹したリンパ節をもつ骨盤
大腿のリンパ系と浅鼠径リンパ節
症例写真
●付表
頭蓋の孔
脳神経
リンパ系
●索引
訳者の序
人体の構造の詳細な知識は医学の基礎であり,1543年に出版されたVesaliusの大冊「人体の構造について」(通称ファブリカ)は近代医学の誕生を告げる画期的名著であった.しかしファブリカにしても,もしも精巧な多数の図版を含んでいなかったならば,近代医学の第一の書と讃えられるまでには至らなかったのではあるまいか.これ以後,正確で詳しく,しかも美しい解剖アトラスを作製して臨床家に提供のするのが,解剖学者の使命の一つとなった.
ところで,優れた解剖アトラスを創り出すには,有能な解剖学者の企画と指導はもとより,標本の製作,描画または写真撮影,印刷のいずれにも高度の技術と忍耐が必要となる.なかでも,優れた標本が多数用意されなければアトラスの製作は不可能である.そこで,全身を網羅した標本を提供できる施設は世界中を見わたして探してみても,ごく少ない.まずすぐに思い浮かぶのは,ロンドンの英国外科協会The Royal College of Surgeons of Englandの資料館であろう.ここに収められた膨大な人体解剖学教育標本は広い標本室に整然と陳列され,医師の卒後学習に活用されている.また19世紀以来,歴代教授の指導のもとに標本の製作が続けられ,展示標本は絶えず新陳代謝が行われてきた.その代表的な所蔵標本を撮影して編纂されたアトラスが本書「人体解剖カラーアトラス」(初版1977年)である.本書全編にただよう落ち着いた雰囲気は,こうした歳月をかけて丹精され,淘汰の結果生き残った標本のもつ品格と力強さによるところが大きい.
人体の構造を学ぶには,もちろんメスとピンセットで実際に解剖を行うことに優る方法はあるまい.しかし,解剖しさえすればわかるというほど人体の構造は単純ではない.学生は,事前の解説と実際の解剖所見の間に大きな隔たりを感じがちで,ただちに理解につながらないのが実状である.実際の解剖所見を写真化したこのアトラスがこのようなギャップの解消に役立つのは勿論のこと,高学年ならびに卒後の学習,さらに,解剖実習を行う機会に恵まれない医療科学の学徒にとって,解剖標本の卓上展示室として大いに役立つものと期待したい.
創著者McMinn名誉教授の引退の後も,Abrahams教授にMarks教授が加わり,改訂作業が続けられた.両教授とも21世紀の人体解剖学教育に情熱をもやす俊英であり,望みうる最高のコンビであったが,残念ながらMarks教授は2002年12月に他界し,その後を引きついだBoon教授も奇禍に会い,改訂計画は頓挫するかと思われた.しかし,なにごとにも前向きで明朗な人柄のAbrahams教授の努力によって,カラーフォトアトラスとして評価の定まった本書はさらなる前進を続けている.今回も若手により多数の剖出標本の写真が追加されており,伝統的蓄積を基盤に据えながらも,絶えず新しい教育傾向との整合性を計っていく著者たちの柔軟な姿勢に敬意を払いたい.
日本語用語は原則として日本解剖学会監修・解剖学用語委員会編「解剖学用語」改訂13版(2007,医学書院)に従ったが,それ以外の用語には*を付しておいた.公式名であったも「かな」用語は見出しに使う都合上,一部,漢字に改めたものがある.また,読者の要望に応え,和文索引に国際用語(ラテン語)を併記したので活用されたい.人体全体にバランスよく目配りが及んでいて,しかもレベルが高いこのアトラスが医療系学徒の学習に充分に役立つことを期待している.
2014年11月
佐藤達夫