教科書

看護学テキストNiCE

母性看護学II マタニティサイクル

母と子そして家族へのよりよい看護実践

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 大平光子/井上尚美/大月恵理子/佐々木くみ子/林ひろみ
ISBN : 978-4-524-25352-4
発行年月 : 2012年6月
判型 : B5
ページ数 : 446

在庫なし

定価3,740円(本体3,400円 + 税)

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

妊産褥婦と新生児に適切な看護を行うために必要な基礎知識が身につき、アセスメントと援助に対する思考過程が理解できる。看護技術を豊富な写真とイラストでビジュアルにわかりやすく説明。付録の事例は2人の女性の妊娠〜分娩〜産褥期と新生児の看護記録用紙、実習記録用紙で構成され、母性看護過程の展開を追うことで、実習がより充実する。母と児のみならず家族の心身の健康を高めることを目指した母性看護学、待望のテキスト。

第I章 妊娠期の看護
1.妊娠とは
 A.妊娠期間の定義
  1 妊娠とは
  2 妊婦とは
  3 妊娠期間の分類
 B.妊娠期の経過
  1 妊娠の成立
  2 妊娠の徴候
  3 胎児の発育
  4 妊婦の生理的変化
  5 妊婦の心理的・社会的変化
  6 家族の心理的・社会的変化
2.妊娠に伴う生理的変化と胎児の健康状態に関するアセスメントと援助
 A.妊婦健康診査
 B.胎児の発育に伴う母体の変化のアセスメント
  1 子宮の変化
  2 体重の変化
  3 超音波診断
  4 皮膚の変化
 C.胎児の健康状態のアセスメント
  1 胎児心音聴取
  2 胎児心拍数モニタリング
  3 超音波診断
  4 羊水検査
  5 胎児−胎盤機能検査
  6 母体の感染症
 D.妊娠に伴う生理的変化および不快症状のアセスメント
  1 生殖器の変化のアセスメント
  2 全身の変化のアセスメント
 E.妊婦のセルフケア能力を高めるための援助
  1 食生活の援助
  2 排泄の援助
  3 清潔の援助
  4 衣生活の援助
  5 活動と休息の援助
  6 性生活の援助
   skill 内診台にて内診を受ける妊婦への援助
   skill 子宮底長・腹囲測定
   skill 超音波診断を受ける妊婦への援助
   skill 最良聴取部位を特定するための胎位・胎向の確認:レオポルド触診法
   skill 胎児心音聴取
   skill ノンストレステストを受ける妊婦への援助
3.母親役割獲得準備状況のアセスメントと援助
 A.母親役割獲得準備状況のアセスメント
  1 母親役割獲得準備状況をアセスメントする視点
  2 妊婦の母親役割獲得準備への取り組みに影響する要因
 B.母親になる準備を整えるための援助
  1 母親像形成のための援助
  2 出産準備のための援助
  3 育児準備のための援助
4.家族員の関係再調整のアセスメントと援助
 A.家族員の関係再調整のアセスメント
  1 父親役割獲得準備状況
  2 夫婦関係の再調整
  3 きょうだい関係の調整
  4 祖父母との関係の再調整
 B.家族機能を円滑に再調整するための援助
  1 生活の変化に関する健康教育
  2 父親役割の獲得準備のための援助
  3 きょうだい役割の獲得準備への援助
  4 祖父母役割の獲得準備への援助
5.ハイリスク妊婦への看護の実際
 A.切迫流・早産妊婦への看護の実際
  1 流産・早産の原因
  2 切迫流・早産の症状と検査
  3 切迫流・早産の治療
  4 切迫流・早産の予後
  5 切迫流・早産妊婦への看護援助
  6 流産・早産時の看護
 B.妊娠悪阻妊婦への看護の実際
  1 妊娠悪阻の症状
  2 妊娠悪阻の診断
  3 妊娠悪阻の予後
  4 妊娠悪阻の治療
  5 妊娠悪阻妊婦への看護援助
 C.妊娠高血圧症候群妊婦への看護の実際
  1 妊娠高血圧症候群の発生機序
  2 妊娠高血圧症候群の症状と分類
  3 妊娠高血圧症候群の合併症
  4 HELLP症候群
  5 妊娠高血圧症候群の治療
  6 妊娠高血圧症候群妊婦への看護援助
 D.糖代謝異常妊婦への看護の実際
  1 糖代謝異常の分類
  2 糖代謝異常の診断
  3 糖代謝異常妊娠の合併症
  4 糖代謝異常妊婦の管理(血糖管理)
  5 糖代謝異常妊婦への看護援助
  6 インスリンの自己注射法によるコントロールへの援助
  7 産後の管理
 E.胎盤位置異常妊婦への看護の実際
  1 胎盤位置異常の診断
  2 胎盤位置異常のリスク要因
  3 胎盤位置異常の症状
  4 前置胎盤妊婦の管理と看護
 F.多胎妊婦への看護の実際
  1 多胎妊娠の診断
  2 多胎妊娠の合併症
  3 多胎妊娠の管理
  4 多胎妊婦への看護援助

第II章 分娩期の看護
1.分娩とは
 A.分娩の定義
 B.分娩の分類
 C.分娩3要素
  1 娩出力(陣痛と腹圧)
  2 産道(骨産道と軟産道)
  3 娩出物(胎児および胎児付属物)
2.正常分娩の経過とアセスメントと援助
 A.分娩の前兆
  1 自覚症状
 B.分娩開始
 C.分娩第1期のアセスメントと援助
  1 分娩第1期(開口期)
  2 分娩進行のアセスメント
  3 産婦のアセスメントと援助
  4 産婦の心理的変化のアセスメントと援助
  5 胎児の健康状態のアセスメントと援助
  6 胎児付属物のアセスメントと援助
 D.分娩第2期のアセスメントと援助
  1 分娩第2期(娩出期)
  2 分娩進行のアセスメント
  3 産婦のアセスメントと援助
  4 産婦の心理的変化のアセスメントと援助
  5 胎児の健康状態のアセスメントと援助
  6 胎児付属物のアセスメントと援助
  7 遷延分娩時の看護
 E.分娩第3期のアセスメントと援助
  1 分娩第3期(後産期)
  2 分娩進行のアセスメント
  3 産婦のアセスメントと援助
  4 産婦の心理状態のアセスメントと援助
 F.分娩後2時間のアセスメントと援助
  1 産婦のアセスメントと援助
  2 褥婦の心理的アセスメントと援助
 G.周産期の異常出血時の看護
3.出生直後の新生児のアセスメントと援助
 A.出生前からの準備
 B.出生直後の新生児のアセスメントと援助
4.母子愛着形成のアセスメントと援助
 A.skin-to-skin contactとは
5.家族のアセスメントと援助
  1 夫
  2 上の子
  3 夫や上の子以外の家族
6.産科処置と産科手術
 A.分娩誘発・促進
 B.腟・会陰裂傷
 C.鉗子分娩、吸引分娩
 D.帝王切開
  1 帝王切開
  2 帝王切開を受ける産婦の看護

第III章 産褥期の看護
1.産褥期の経過
 A.産褥の定義
 B.褥婦の生理的変化
  1 生殖器の変化
  2 全身の変化
 C.褥婦の心理・社会的変化
  1 心理的適応
  2 新たな関係性の獲得
  3 親役割の獲得
  4 社会的役割の調整と社会的手続き
  5 産褥期の心理的ハイリスク状態
 D.家族の心理・社会的変化
  1 父親の心理的・社会的変化
  2 きょうだいの心理的・社会的変化
  3 祖父母の心理的・社会的変化
2.産褥期のヘルスアセスメントと看護
 A.産褥期のヘルスアセスメントの視点
 B.生殖器の復古状態のアセスメントと看護
  1 生殖器の復古状態のアセスメント
  2 看護
 C.全身の回復状態および不快症状のアセスメントと看護
  1 全身の回復状態および不快症状のアセスメント
  2 看護
 D.母乳育児に関するアセスメントと看護
  1 母乳育児に関するアセスメント
  2 看護
 E.育児技術習得状態のアセスメントと看護
  1 育児技術習得状態のアセスメント
  2 看護
 F.母子の愛着・絆形成の状態のアセスメントと看護
  1 母子の愛着・絆形成の状態のアセスメント
  2 看護
 G.家庭・社会生活への適応に関するアセスメントと看護
  1 家庭・社会生活への適応のアセスメント
  2 看護
   skill 新生児の清拭
   skill オムツ交換
   skill 更衣
3.帝王切開術後の褥婦の看護
 A.帝王切開術後の褥婦の看護
  1 子宮復古および全身状態回復への援助
  2 母乳育児確立への援助
  3 帝王切開術後の褥婦の心理的援助

第IV章 新生児の看護
1.新生児とは
 A.新生児の定義
 B.新生児の分類
  1 妊娠期間による分類
  2 出生体重による分類
  3 妊娠期間と出生体重による分類
2.新生児の子宮外生活適応のアセスメントと援助
 A.新生児のヘルスアセスメントの視点
 B.観察の留意点
 C.新生児の身体的特徴
  1 体格
  2 成熟度
  3 姿勢
  4 奇形
  5 皮膚
 D.呼吸の適応状態のアセスメントと援助
  1 第1呼吸の機序
  2 呼吸の特徴
  3 呼吸の観察
  4 呼吸の援助
 E.循環・血液の適応状態のアセスメントと援助
  1 胎児循環から新生児循環、成人循環への移行
  2 血液の特徴
  3 循環器系の観察と援助
 F.体温調節の適応状態のアセスメントと援助
  1 体温調節の特徴
  2 体温低下の影響
  3 体温の観察
  4 体温喪失因子とその予防
 G.栄養・代謝の適応状態のアセスメントと援助
  1 新生児の消化器系の解剖機能的特徴
  2 新生児の水分代謝の特徴
  3 新生児の栄養必要量
  4 ビリルビン代謝
  5 新生児の代謝異常等検査
 H.感染防御機構と感染予防
  1 新生児の感染防御機能の特徴
  2 感染予防
  3 清潔への援助
   skill 体重計測
   skill 身長計測
   skill 胸囲計測
   skill 頭囲計測
   skill 皮膚温測定(腋窩温、頸部温)
   skill 直腸温測定
   skill 哺乳びん授乳
   skill 沐浴(施設内で行う場合)
3.新生児の発達状況のアセスメントと援助
 A.新生児の運動機能の発達
 B.新生児の心理社会的発達と看護
  1 新生児の認知能力
  2 成長と発達
  3 新生児の心理社会的発達への援助
4.新生児の異常と看護
 A.新生児仮死
 B.分娩外傷
 C.低出生体重児
  1 低出生体重児とは
  2 低出生体重児・早産児の看護
 D.新生児一過性多呼吸
 E.先天異常を有する新生児への看護
5.新生児の事故と安全
 A.新生児の事故の状況
 B.新生児の医療事故の防止
 C.新生児の事故
  1 新生児の転落事故
  2 新生児の取り違え事故
  3 新生児の誘拐事件

付録 事例から理解する母性看護過程の展開
資料
練習問題 解答と解説
索引

母性看護学は、生涯を通じた性と生殖の健康の維持・増進・疾病予防を基盤として、次世代の育成を目指すことを役割としています。性と生殖の健康という観点から、母性看護学の対象には女性、男性、子ども、家族、社会環境が含まれます。したがって、少子化、家族形態の多様化など、近年の社会環境の変化に応じて、母性看護学の果たす役割は拡大するとともに、より個別的な看護実践が求められるようになっています。
 母性看護学の中でも、マタニティサイクルにおける看護は、看護基礎教育において、看護実践まで経験する分野です。母性看護の実践では、対象者が持っている強みを活かして、今ある良い状態よりも、さらに高いレベルの生活機能を獲得することを支援するという、ウェルネスの考え方も重要になります。
 本書は、看護学生が看護学実習・臨床という実践の場で、より活用できることを目指して、編集・執筆しました。妊婦、産婦、褥婦、新生児および家族に、適切な看護を行うために必要な知識は、看護学生のレベルに焦点を当てて、最小限に抑えるとともに、できる限り看護実践のための根拠(エビデンス)を示すようにしました。
 講義でも実際の看護実践場面がイメージしやすいように、各章は妊婦、産婦、褥婦、新生児および家族を理解してアセスメントするための根拠に基づく知識、アセスメントと看護の実際という、アセスメントから看護実践へ、という思考過程に沿った構成としました。
 本書の特長は、初学者には理解がむずかしい、妊産褥婦および新生児の形態や構造および機能について、複合的かつ全体的なとらえ方ができるようにしている点です。写真やイラストを数多く取り入れ、視覚的に理解を深められるように工夫しました。
 本書のもう1つの特長は、事例展開の演習や看護学実習での活用のしやすさです。本書の付録には、母性看護学実習でもっともよく受け持つ、正常経腟分娩後の褥婦と、近年、受け持つことが多くなった帝王切開術後の褥婦の2事例を紹介しています。特定の理論枠組みは用いていませんので、どの学校でも活用できます。また、事例に関する情報は、多くの病院で用いられている看護記録用紙をモチーフにしているので、看護学生にとっては、どのような記録用紙類から情報収集するか、ということの具体的なイメージを助けるものとなります。また、全体像から導き出された課題ごとに、目標、具体策を提示し、その後の看護の展開も提示しています。詳しくは事例の前文をご覧ください。
 本書が母性看護学を学ぶ学生のみなさんにとって、講義の理解を助け、演習や実習でも広く活用していただくものになることが編者一同の願いです。そして、母性看護学への学びを深めるとともに母性看護学の奥深さや楽しさを感じてもらえたら望外の幸せです。
2012年5月 編者一同

9784524253524