シンプル理学療法学シリーズ
理学療法概論テキスト改訂第3版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 中島喜代彦/森田正治/久保田章仁 |
ISBN | : 978-4-524-25482-8 |
発行年月 | : 2017年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 202 |
在庫
定価4,400円(本体4,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
入学して間もない学生が理解できるように内容をコンパクトに精選したテキスト。「理学療法とは?」「理学療法士とは?」の疑問に対し、平易な表現、具体的な説明を用い、実際の臨床現場の様子も含め、理学療法士を目指す学生に必要十分な情報を提供する。今改訂では各種統計数値のアップデート、法制度の改定に伴う内容更新を行った。また、一部章項目の見直しも行い、より講義を進めやすい構成とした。
理学療法とは
1 理学療法って何だろう?中島喜代彦
A 理学療法の定義
1 理学療法という名称について
2 さまざまな理学療法の定義
B 理学療法を構成する各種技術
1 運動療法
2 物理療法
3 日常生活活動の指導
4 補装具療法
5 環境整備関連
C 理学療法の歴史
1 理学療法の歴史
2 わが国における歴史
D 理学療法とリハビリテーション
1 リハビリテーションの語源
2 リハビリテーションとノーマライゼーション
3 リハビリテーションの種類
4 リハビリテーションの流れと最終目標
5 理学療法とリハビリテーションの結びつき
E 理学療法と障害
1 理学療法と障害の接点
2 障害モデル
3 国際障害分類(ICIDH)から国際生活機能分類(ICF)へ
2 理学療法士に関連する法律を学ぼう
A 法規の種類
1 国による法規
2 地方自治体による法規
B 「理学療法士及び作業療法士法」の誕生
C 「理学療法士及び作業療法士法」を解剖する
D その他の関連法規
専門職としての理学療法士
3 理学療法士の役割
3-1 理学療法(士)に求められる使命,倫理って何だろう?
A 理学療法士の使命
1 理学療法の「対象」や「目的」からみた理学療法士の使命とは?
2 理学療法の「手段」からみた理学療法士の使命とは?
B 理学療法士の倫理
1 守秘義務と個人情報保護
2 説明と同意そして意思決定
3 自己決定権の尊重
3-2 理学療法の対象・領域って何だろう?
A 理学療法の対象
1 身体障害者福祉法に基づく理学療法の対象者
2 理学療法診療ガイドライン
B 理学療法の領域
1 診療科目
2 治療医学としての理学療法の転機
3 保健・福祉領域における理学療法の展開
4 地域包括ケアシステム
5 理学療法診療ガイドラインの適用例
4 理学療法士に求められる臨床思考って何だろう?
A 臨床推論clinical reasoning(クリニカルリーズニング)
5 理学療法の実際ってどんな流れなの?
A 理学療法の流れ(理学療法過程)
1 理学療法の処方
2 評価
3 目標設定
4 治療計画
5 再評価
6 記録報告
7 医療分野での特徴
8 介護・福祉分野での特徴
B クリニカルパス
1 クリニカルパスとは
2 クリニカルパスの導入目的
3 クリニカルパス導入と運用
4 クリニカルパスの基本構成とその効果
5 パス検証のためのバリアント分析
6 理学療法士って,どんなところで活躍しているの?75
6-1 医療の現場
A 医療の場の分類
1 医療関連施設について
2 医療法における病床の種類による分類
3 医療施設で働く医療従事者数と理学療法士数(日本理学療法士協会会員)の概況
4 施設別にみた理学療法士(日本理学療法士協会会員)就職者数
5 常勤理学療法数別にみた施設数
B 理学療法士が活躍する医療の場の変還
1 勤務場所
2 対象疾患
3 勤務形態
C 医療の場の実際
1 病期に応じた理学療法の現場
2 病床について
6-2 保健・福祉の現場
A 理学療法士が活躍する保健・福祉の場の変遷
B 保健・福祉の場の実際
1 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム),介護老人保健施設での理学療法士の仕事
2 訪問看護ステーションでの理学療法士の仕事
3 通所リハビリテーションでの理学療法士の仕事
4 通所介護での理学療法士の仕事
5 肢体不自由児施設,重度心身障害児施設での理学療法士の仕事
C 地域包括ケア,保健・予防の取り組み
1 地域包括ケアシステムとは何か
2 理学療法士が地域包括ケアにかかわっている事例の紹介
3 保健・予防への取り組み事例の紹介
6-3 教育・研究の現場
A 理学療法士が働く教育・研究施設
B 教育・研究に従事する理学療法士
1 理学療法士養成校で働く理学療法士
2 研究施設で働く理学療法士
6-4 スポーツの現場
A スポーツ関係に従事する理学療法士
1 理学療法士が働くスポーツ関係施設
2 スポーツ関係施設で働く理学療法士
3 スポーツ関係施設で働く理学療法士の仕事している人の場合
4 スポーツ現場で働くトレーナーの仕事
7 理学療法士の職能って何だろう?
A 理学療法士で組織される職能団体
B 世界理学療法連盟(WCPT)
C アジア理学療法連盟(ACPT)
D 諸外国の理学療法教育制度と直接診療(開業権)
E 公益社団法人 日本理学療法士協会(JPTA)
1 日本理学療法士協会の歩み
2 理学療法士会
3 職能団体としての日本理学療法士協会の活動内容
F 日本理学療法士連盟の歩み
理学療法士と教育
8 理学療法(士)教育とは?
A 世界における理学療法教育の変遷
1 米国
2 英国
3 カナダ
B わが国における理学療法教育の現状と課題
1 養成校数増加の変遷
2 指定規則の変遷
3 日本理学療法士協会「教育ガイドライン」におけるモデル・コア・カリキュラム
C 医学教育に相応したCBTやOSCEにたどり着けるのか
1 医学教育の現状
2 理学療法教育におけるOSCEの現状と課題
D 臨床実習のあるべき姿
1 卒前教育の集大成としての臨床実習の意義
2 臨床実習の現状と課題
3 クリニカル・クラークシップ
4 臨床実習指導者の研修制度
E 卒後教育システム
1 生涯学習システムの基本理念
2 新人教育プログラム
3 専門領域研究部会
4 専門理学療法士制度
5 日本理学療法士学会
6 卒後教育の今後
9 フィールドワークをやってみよう
A 病院または施設見学
1 病院または施設見学の意義と目的
2 病院または施設見学時の心得
B QOLを求めて
1 QOLの背景
2 QOLの概念
3 QOLの実際
C QOLを意識したフィールドワーク
1 ノーマライゼーション
2 バリアフリー
3 ユニバーサルデザイン
10 理学療法研究ってどうすればいいの?
A なぜ理学療法士に研究が必要なのか
1 良き理学療法士になるため
2 臨床をより豊かにするため
B 研究の対象とデザインの作り方
1 医学研究の領域
2 臨床的疑問
3 研究デザイン
C 研究とEBPT
1 理学療法の臨床判断とその根拠
2 EBPTの実践方法
3 EBPTに関する理解を深めるために
4 EBPTの今後の課題
D 研究に必要な統計的知識
1 統計の基礎
2 疫学研究における検査
E 理学療法士はどのように研究成果を公表しているか
1 理学療法研究を公表する
2 理学療法研究を発表する
理学療法士に必要な管理や運営
11 理学療法士に必要な管理や運営上,知っておくべきことって何だろう?
11-1 理学療法と報酬
A 医療保険および介護保険制度
1 医療保険制度
2 介護保険制度
B 理学療法と関連する施設基準と報酬
1 医療保険領域での施設基準と診療報酬
2 介護保険領域での施設基準と介護報酬
C 医療経済学の視点の必要性
1 医療経済学とはどんな学問なのか?
2 経済効率を考えた医療サービスのあり方
3 医療・介護サービスの質向上,効率化を目指す
D 業務上かかわってくる社会資源について
1 福祉用具と住宅改修について
2 施設サービス
3 このようなときには
4 そのほかの福祉サービス
11-2 理学療法と管理
A 医療上の管理
1 リスク管理の必要性について
2 TQC,TQMの考え方
3 ISO(国際標準化機構)について
4 患者満足度の向上について
B 医療事故の防止
1 インシデント,アクシデント
2 医療訴訟について
C 感染予防策
1 標準予防策
参考文献
索引
改訂第3版の序
理学療法概論に関するテキストは非常に多くのものが刊行されているなか、「シンプル理学療法学シリーズ」の第1巻目『理学療法入門テキスト』は2007(平成19)年12月に初版を刊行し10年が経過した。改訂第2版では章立てを含め内容を見直し、講義の実情を踏まえ『理学療法概論テキスト』に書名を改称した。改訂第2版の特長として、以下の点をあげる。
まず、1つ目は、初版の刊行後に日本理学療法士協会から『理学療法教育ガイドライン』と『理学療法診療ガイドライン 第1版』が発行されたことを受け、これらの情報についても触れたことである。2010(平成22)年4月に出された『理学療法教育ガイドライン』では、理学療法士の養成過程における到達目標が具体的に明示されるとともに、理学療法教育のコア・カリキュラムが提示された。また、2011(平成23)年11月に出された『理学療法診療ガイドライン』では、16の領域における理学療法介入の推奨グレードとエビデンスレベルに加えて、理学療法評価(指標)の推奨グレードと詳細なアブストラクトなどが提示された。なお、今版でもこれらの非常に有益な情報を網羅しており、是非とも一読していただきたい。
2つ目は、これまでの書籍にない新たな特長であるが、本書の内容で最新情報に位置づけるものは南江堂のウェブサイト上で参照できるようにしたことである。特に、介護・診療報酬など逐次改定される情報は必要に応じて最新情報に更新している。
3つ目は、入学初期に導入されることの多い障害体験や、医師の処方から理学療法の実際までの一連の過程などは、イメージしやすいMOVIE(動画)を作成した。さらに、近年、さまざまな養成校が学生の技能評価として取り組みはじめている客観的臨床能力試験(OSCE:objective structured clinical examination)の一場面もMOVIEで提示しつつ、その場面で使用されている実施課題、シナリオ、評価基準などもウェブサイト上に掲載した。
今回の改訂での最大の特長は、本文をフルカラー印刷へ移行したことであり、それに伴い記載内容を反映した図表を多く取り入れたことである。また、ウェブサイト上に掲載されている情報はQRコードを本文の対応箇所につけ、スマートフォンなどを用いて即時的に閲覧できるように工夫した。さらに、国家試験問題の多様化に対応して国際生活機能分類(ICF)に関する詳細部分を加筆した点に加え、臨床実習の教育モデルとしてのクリニカル・クラークシップにおいて活用可能なチェックリスト(サンプル)をウェブサイト上に掲載するなど、臨床的にも活用可能な情報を提供している。
本書は、初学者が理学療法(士)の意味を理解しやすいように内容を見直し、南江堂のウェブサイト上で情報を共有しつつ、ページ数を抑えてきた。また、可能な限り平易な言葉や文章を用いてはいるが、本書の活用を通して講義を担当される先生方や学生諸君からの忌憚のないご意見・ご批評をいただければ幸いである。
最後に、本書の刊行にあたり、さまざまな助言をいただいた埼玉県立大学 細田多穂名誉教授、ならびに編集のお手伝いをいただいた南江堂の野村真希子氏と吉野正樹氏に感謝の意を表したい。
平成29年11月
編者を代表して 森田正治