教科書

看護学テキストNiCE

母性看護学II マタニティサイクル改訂第2版

母と子そして家族へのよりよい看護実践

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 大平光子/井上尚美/大月恵理子/佐々木くみ子/林ひろみ
ISBN : 978-4-524-25535-1
発行年月 : 2018年4月
判型 : B5
ページ数 : 532

在庫なし

定価3,960円(本体3,600円 + 税)

サポート情報

正誤表

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

妊婦・産婦・褥婦・新生児に適切な看護を行うために必要な基礎知識が身につき、アセスメントと援助に対する思考過程が理解できる好評テキストの改訂版。看護技術を豊富な写真とイラストでビジュアルにわかりやすく解説。付録の事例で母性看護過程の展開を追うことで、実習がより充実する。今改訂では平成30年度看護師国家試験出題基準に対応。また、冒頭で「看護の視点」を解説することで、看護の方向性やポイントを把握できるようにした。

第I章 妊娠期の看護
 1.妊娠期の概観
  A.妊娠期の看護の視点
  B.妊娠期の経過の全体像
 2.妊娠とは
  A.妊娠期間の定義
  B.妊娠期の経過
 3.妊娠に伴う生理的変化と胎児の健康状態に関するアセスメントと援助
  A.妊婦・胎児へのアセスメントの視点
  B.胎児の発育に伴う母体の変化のアセスメント
  C.胎児の健康状態のアセスメント
  D.妊娠に伴う生理的変化および不快症状のアセスメント
  E.妊婦のセルフケア能力を高めるための援助
 4.親になっていく過程のアセスメントと援助
  A.妊婦・家族員の関係再調整と援助
  B.母親になっていく過程のアセスメントと援助
  C.父親・兄/姉・祖父母になっていく過程のアセスメントと援助
  D.出産・育児に向けた生活の調整
 5.ハイリスク妊婦への看護の実際
  A.ハイリスク妊婦への看護の視点
  B.切迫流・早産妊婦への看護の実際
  C.妊娠悪阻妊婦への看護の実際
  D.妊娠高血圧症候群妊婦への看護の実際
  E.糖代謝異常妊婦への看護の実際
  F.胎盤位置異常妊婦への看護の実際
  G.多胎妊婦への看護の実際
第II章 分娩期の看護
 1.分娩期の概要
  A.分娩期の看護の視点
  B.分娩期の経過の全体像
 2.分娩とは
  A.分娩の定義
  B.分娩の分類
  C.分娩
 3.正常分娩の経過とアセスメントと援助
  A.分娩の前兆
  B.分娩開始
  C.分娩第1期のアセスメントと援助
  D.分娩第2期のアセスメントと援助
  E.分娩第3期のアセスメントと援助
  F.分娩後2時間(分娩第4期)のアセスメントと援助
 4.分娩期の正常経過からの逸脱と看護
  A.分娩期の正常経過からの逸脱への看護の視点
  B.娩出力の異常と看護援助
  C.骨産道の異常と看護援助
  D.軟産道の異常と看護援助
  E.胎児に関する異常と看護援助
  F.胎児付属物の異常と看護援助
  G.周産期の異常出血と看護援助
  H.遷延分娩と看護援助
 5.出生直後の新生児のアセスメントと援助
  A.出生前からの準備
  B.出生直後の新生児のアセスメントと援助
 6.家族のアセスメントと援助
 7.産科処置と産科手術
  A.分娩誘発・促進
  B.吸引分娩,鉗子分娩
  C.軟産道の損傷
第III章 産褥期の看護
 1.産褥期の概観
  A.産褥期の看護の視点
  B.産褥期の経過の全体像
 2.産褥期の経過
  A.産褥の定義
  B.褥婦の生理的変化
  C.新たな関係性の獲得
  D.社会的役割の調整と社会的手続き
 3.産褥期の身体状態のアセスメントと援助
  A.産褥期の身体状態のアセスメントの視点
  B.生殖器の復古状態のアセスメントと援助
  C.全身の回復状態および不快症状のアセスメントと援助
  D.母乳育児に関するアセスメントと援助
 4.親になっていく過程のアセスメントと援助
  A.親になっていく過程のアセスメントの視点
  B.育児知識・技術習得状態のアセスメントと援助
  C.母子の愛着・絆形成の状態のアセスメントと援助
  D.家庭・社会生活への適応に関するアセスメントと援助
 5.褥婦の正常経過からの逸脱と援助
  A.褥婦の正常経過からの逸脱への看護の視点
  B.子宮復古不全と援助
  C.産褥熱と援助
  D.血栓塞栓症と援助
  E.排尿障害と援助
  F.尿路感染と援助
  G.乳腺炎と援助
  H.育児不安と援助
  I.マタニティーブルーズと援助
  J.産後精神障害と援助
 6.生まれた子どもが障害をもつ家族の援助,子どもを亡くした家族の援助
  A.先天異常・障害をもつ子どもの家族の心理と援助
  B.子どもを亡くした家族の心理と援助(ペリネイタル・ロス・ケア)
第IV章 帝王切開を受ける妊産褥婦への看護
 1.帝王切開を受ける妊産褥婦への看護
  A.帝王切開
  B.帝王切開を受ける妊婦の看護
  C.帝王切開後の褥婦の看護
第V章 新生児の看護
 1.新生児とは
  A.新生児への看護の視点
  B.新生児の定義
  C.新生児の分類
  D.新生児の生理的特徴
  E.新生児の感染防御機能の特徴
  F.新生児の発達
 2.新生児の子宮外生活適応のアセスメントと援助
  A.新生児のヘルスアセスメントの視点
  B.観察内容および方法と留意点
  C.新生児の身体的特徴とフィジカルアセスメント
  D.呼吸の適応状態のアセスメントと援助
  E.循環のアセスメントと援助
  F.体温調節のアセスメントと援助
  G.栄養・代謝のアセスメントと援助
  H.新生児の感染予防
 3.新生児の発達状況のアセスメントと援助
  A.新生児の成長と発達
  B.新生児の心理・社会的発達への援助
 4.新生児の健康問題と看護
  A.健康問題をもつ新生児への看護の視点
  B.新生児仮死
  C.分娩外傷
  D.低出生体重児
  E.新生児一過性多呼吸
  F.胎便吸引症候群
  G.治療を要する黄疸
  H.新生児一過性ビタミンK欠乏症
  I.低血糖症
  J.新生児感染症
  K.先天異常を有する新生児への看護
 5.新生児の事故防止と安全
  A.新生児の事故の状況
  B.新生児の医療事故の防止
  C.新生児の施設内の事故防止
  D.新生児の家庭における事故予防と安全
付録 事例から理解する母性看護過程の展開
 A.経腟分娩事例
 B.帝王切開事例
資料
 資料1 血液検査項目と基準値
 資料2 胎児心拍数モニタリング
 資料3〜10 関連法規
練習問題 解答と解説
索引

はじめに

 本書『NiCE母性看護学II マタニティサイクル』は、看護基礎教育の学生を読者対象とし、2012年に刊行しました。対をなす『NiCE母性看護学I概論・ライフサイクル』で学んだ知識をベースとして、妊産褥婦と新生児、家族の身体・心理・社会的状況を理解し、適切な看護・援助を行うための知識や思考が身に付くことに主眼を置き編纂しています。
 改訂第2版では、初版の方針・内容を踏襲したうえで、以下のように改訂しました。
 まず、本書の方針として、家族の在り方が多様化する中で、父親、母親、パートナーという視点だけでなく、親、カップル(夫婦)、家族など多様な視点でとらえることを重視しました。また、医療・保健の中心が病院・施設から地域に移行しているなか、マタニティサイクルにおける援助においても、子育てが日々の暮らしの中で行われることを重視し、妊産褥婦・新生児・家族が生活している地域を含めてとらえることを意識するようにしました。
 構成においては、妊娠期、分娩期、産褥期の章の導入に経過図を掲載し、各期・新生児の看護援助の全体像をとらえることができるよう配慮しました。また、ハイリスク妊娠が増え、帝王切開となる率も上昇していることを鑑み、帝王切開の章を新たに設け、帝王切開を受ける女性に対する妊娠期から分娩期、産褥期までの包括的な援助を学べるようにしました。各項目における看護・援助の解説においては、冒頭に「看護の視点」の見出しを設け、看護の方向性・ポイントを把握しやすいようにしました。加えて、分娩期、産褥期、新生児の章では、初版の読者から要望の多かった「正常経過からの逸脱、健康問題」の節を新設し、内容を充実させました。
 以上のように、改訂第2版では、社会状況の変化、読者の利便性や要望を踏まえ、いっそう充実した内容になっています。
 マタニティサイクルにおける看護には、対象者の生命・生活・暮らしを支えつつ、親と子が親子・家族になっていくプロセスを支えるという使命があります。そのためには、問題志向・問題解決志向に偏らず、『NiCE母性看護学I』で学んだ概念や理論を活かし、対象者を尊重し、対象者のもつ力や強みに焦点をあて、対象者自身のもてる力を発揮できる支援を基本とする考え方を身につけてもらいたいと思います。対象者自身の体験を活かしながら支援することは、対象者が今直面している問題だけでなく、これから起こり得る困難な問題に取り組む姿勢を育むことにつながり、対象者自身が問題に立ち向かい、新たな目標に向かって進んでいくことを支えることにつながります。
 子どもとして育てられた人が親となり、自分の子どもを育て、その子どもが親になってまた自分の子どもを育てるという、親子の関係性を育む連続性は、さまざまな受け止め方を経て、次の世代に心理的遺産として受け継がれていきます。本書で学ぶ学生のみなさんが、このマタニティサイクルとライフサイクルの有機的な連続性を意識して、より良いケアを創造してくださることを願ってやみません。本書がその一助になれば幸いです。

2018年2月
編者一同

9784524255351