教科書

運動器超音波画像の読みかた

: 仲村一郎
ISBN : 978-4-524-24929-9
発行年月 : 2019年2月
判型 : A4変型
ページ数 : 350

在庫あり

定価6,600円(本体6,000円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文
  • 書評

運動器の各部位について、見開きでプローブを当てる箇所、実際の超音波画像、簡単な解説、超音波画像を基にした解剖図、部位の説明を明示したアトラス。鮮明な画像とわかりやすいシェーマで超音波画像と解剖図を頭の中で有機的に結び付けることが可能。超音波を用いるすべての医療スタッフとその養成課程の学生に手にしていただきたい一冊!

I.上肢
 1.肩
 肩関節の上面と前面
  1.1 肩関節上面
  1.2 烏口肩峰アーチ
  1.3 腱板疎部:上面
  1.4 腱板疎部:中部
  1.5 腱板疎部:遠位部
  1.6 腱板疎部:結節間溝部
  1.7 上腕二頭筋腱移行部
  1.8 上腕二頭筋腱移行部
 肩関節後面
  1.9 肩甲骨内側部(矢状断)
  1.10 肩甲骨外側部(矢状断)
  1.11 肩甲骨最外側部(矢状断)
  1.12 腱板後部(矢状断)
 腱板
  1.13 腱板を構成する腱
  1.14 棘上筋腱/棘下筋腱
  1.15 大結節面
  1.16 棘下筋
  1.17 棘上筋
  1.18 棘下筋付着部
  1.19 肩甲下筋
  1.20 上腕二頭筋長頭
 2.上腕
 前方筋区画
  2.1 上腕二頭筋腱
  2.2 上腕二頭筋
  2.3 上腕筋起始部
  2.4 上腕中央部
  2.5 上腕二頭筋と上腕筋
  2.6 上腕遠位部
  2.7 神経血管束(近位部)
  2.8 神経血管束(上腕中央部)
  2.9 神経血管束(遠位部)
 後方筋区画
  2.10 上腕三頭筋起始部
  2.11 螺旋溝
  2.12 上腕三頭筋共通腱膜
  2.13 橈骨神経と上腕深動脈
  2.14 顆上隆起
  2.15 上腕三頭筋遠位部
  2.16 肘頭窩
 3.肘
 肘前面
  3.1 上腕遠位部
  3.2 肘関節面
  3.3 前腕近位部
  3.4 回外筋部
 肘後面
  3.5 上腕三頭筋遠位部と脂肪体
  3.6 後方関節面
  3.7 橈骨頭
 4.前腕
 前腕腹側
  4.1 モバイル・ワッドと屈筋群
  4.2 浅層および深層の屈筋群
  4.3 前腕中間部
  4.4 横屈筋中隔
 前腕背面
  4.5 伸筋筋区画
  4.6 骨間膜
  4.7 伸筋群
  4.8 モバイル・ワッド
  4.9 回外筋と伸筋群
  4.10 上腕二頭筋停止部
 5.手関節
 手関節腹側
  5.1 方形回内筋
  5.2 橈尺関節
  5.3 舟状月状関節
  5.4 手根管近位部
  5.5 横手根靱帯
  5.6 手根管遠位部
 手関節背側
  5.7 伸筋区画
  5.8 第3伸筋区画の変異
  5.9 近位手根列
  5.10 遠位手根列
  5.11 手関節橈側の矢状断
  5.12 手関節尺側の矢状断
  5.13 手指の腹側
II.下肢
 6.股関節
 股関節前面
  6.1 股関節前面
  6.2 下前腸骨棘
  6.3 大腿直筋起始部
  6.4 大腿骨頭
  6.5 大腿骨頚部
  6.6 大腿筋膜張筋
  6.7 大腿直筋
  6.8 大腰筋・大腿直筋の矢状断
  6.9 大腿直筋の矢状断
 股関節外側面
  6.10 腸脛靱帯
  6.11 大転子前面
  6.12 大殿筋
  6.13 中殿筋
  6.14 腸骨中部
  6.15 腸骨後部
  6.16 殿筋群の矢状断
  6.17 中殿筋と小殿筋の矢状断
  6.18 中殿筋と中殿筋断裂の矢状断
 股関節後面
  6.19 殿筋群の長軸断
  6.20 梨状筋と坐骨孔
  6.21 梨状筋と上双子筋
  6.22 上双子筋
  6.23 内閉鎖筋
  6.24 下双子筋
  6.25 大腿方形筋
  6.26 ハムストリング起始部矢状断と坐骨神経矢状断
  6.27 短外旋筋群内側面と短外旋筋群外側面
 7.大腿
 大腿前部
  7.1 大腿前内側部
  7.2 大腿神経・伏在神経
  7.3 大腿四頭筋近位部
  7.4 大腿四頭筋中央部
  7.5 大腿四頭筋遠位部
  7.6 大腿直筋腱
 大腿内側部
  7.7 恥骨筋および閉鎖神経
  7.8 内転筋群
  7.9 神経血管束
  7.10 長内転筋
  7.11 長内転筋と大内転筋
  7.12 大内転筋
  7.13 内転筋裂孔
 大腿後部
  7.14 坐骨結節
  7.15 高エコー三角
  7.16 共通腱と坐骨神経
  7.17 大腿骨後面中央部
  7.18 ハムストリングの筋群
  7.19 坐骨神経
  7.20 大腿動脈と内転筋裂孔
 8.膝関節
 膝前部
  8.1 膝伸展機構の正常矢状断と関節滲出液を伴う場合の矢状断
  8.2 膝近位部の矢状断
  8.3 膝近位部の横断面
  8.4 正常膝の横断面
  8.5 関節滲出液を伴う膝の横断面
  8.6 多量の関節滲出液の貯留
  8.7 膝前内側部
 膝後部
  8.8 膝窩上部
  8.9 膝窩中央部
  8.10 大腿骨後顆
  8.11 脛骨高原
  8.12 膝窩筋
 9.下腿
 下腿前方
  9.1 総腓骨神経
  9.2 総腓骨神経分岐部
  9.3 長母趾伸筋起始部
  9.4 浅腓骨神経
  9.5 下腿前面遠位部
 下腿後方
  9.6 下腿後面近位部
  9.7 長趾屈筋起始部
  9.8 下腿後面中央部
  9.9 筋間膜
  9.10 下腿後面遠位部
  9.11 下腿後面の矢状断
  9.12 足底筋腱
  9.13 膝窩.胞の破裂
  9.14 腓腹筋部分断裂
  9.15 筋間に生じた血腫
 10.足関節
 足関節の前外側面
  10.1 前外側の筋群
  10.2 伸筋腱
  10.3 足背動脈
  10.4 距骨滑車部
  10.5 長母趾伸筋
  10.6 前脛骨筋
  10.7 長趾伸筋
 足関節の後内側面
  10.8 足関節の後内側面
  10.9 足根管
  10.10 屈筋支帯
  10.11 載距突起
 足関節後部
  10.12 足関節後部の矢状断
索引

訳者序文

 「面白い超音波画像のアトラスがあるのですが、翻訳してみませんか?」。南江堂編集部からこんな声を掛けていただいたのは、平成30年6月のことである。
 超音波画像は、この10年で最も急速に普及した画像診断ツールである。全国津々浦々の病院、診療所など様々な施設に超音波画像装置が置かれている。その理由は実にたくさんある。患者にその場で病状を説明できる便利さ、放射線被曝のないこと、持ち運びのしやすさ、腱などを動的に観察できる点、ドプラ・モードで血流の状態を確認できる点など、枚挙に暇がない。かくいう私自身も、関節リウマチの滑膜炎の診断に超音波画像を好んで用いる一人である。
 一方、超音波画像は基本的に白黒画像である。またプローブの当て方が的確でないと、オリエンテーションがつかず、画像に映る筋骨格の解剖名すらわからない。ベテランの読者諸氏には、この砂嵐のような白黒画像は放送終了後の深夜のテレビ画面を彷彿とさせるであろう。まさに真夜中に砂嵐のなかで迷子になった気分である。
 John Cianca先生とShounuck Patel先生の手による本書は、こんな悩みを一挙に解決してくれる良書である。まずどこでもよいから、ページを開いていただきたい。真っ先に目に飛び込んでくるのは美しいカラーのイラストである。この瞬間、モノ・トーンの画像に新しい命の息吹が吹き込まれるのだ。画像とイラストが見開き2ページにまとまっているもの便利である。読者は関心のある部位の超音波画像とその解剖をいとも簡単に理解することができる。
 すぐさま翻訳の決意を固めた私は、翌7月から夏休みの宿題のごとく本書の翻訳に取り掛かった。それは決して長く苦しい作業ではなく、自分の解剖学の知識が再構成される実り多い時間であった。老婆心ながら、本書の使い方の一例を説明する。まず左頁下の全身像で、プローブの位置を確認する。次に左頁の表示のない超音波画像を読影してみる。もちろんすべてがわかる必要はない。わからない筋・腱・骨は右頁のイラストで確認する。最後に解剖名が記された右下の画像を使って、もう一度解剖を復習する。さらに解説を読めばなおよい。このような流れで学習を進めれば、超音波画像の読影力が瞬く間に身につくこと請け合いである。
 本書は超音波画像を目にする機会のあるすべての医療従事者にとって、必携の書となろう。このような良書を翻訳する機会に恵まれたことは大変名誉なことであり、心からのお礼を申し上げたい。本書が読者諸氏の明日からの診療のお役に立つことができれば、この上ない喜びである。

翻訳作業を終えて平成最後の終戦の日を過ごしている旧軽井沢にて
帝京平成大学大学院健康科学研究科 専攻長・教授
仲村一郎

 超音波検査が、整形外科医必須のツールとなって久しい。評者の専門とする肩関節に関しても、メディアやインターネットなどの情報を通して、腱板断裂など肩変性疾患に関する患者の知識は以前より向上している。外来でX線検査だけ行い、「骨には異常ないです。年齢的には五十肩だからリハビリしましょう」では通じない時代となっている。
 最近は診断学のみならず、治療法においてもエコーが威力を発揮する。肩峰下滑液包へ注射をする際に、以前は盲目的に肩峰下よりまず腱板に当てた後に、シリンジに圧を加え少しずつ引きながら抵抗の消失したところで注射する、いわゆるloss of resistanceの要領で行っていた。しかしながらエコーで観察すると、肩峰下滑液包の幅は2mm以下と非常に狭く、これまでの盲目的な注射は三角筋内に一部漏れていた可能性がある。また、最近ではエコーガイド下筋膜リリースも注目を集めている。筋外膜間への局所麻酔薬や生理食塩水の注入が筋膜性疼痛症候群に効果的であることが明らかとなったが、限局された部位に正確な注射を行うためにはエコーは必須である。一方で、エコー本体は年々小型化がすすんでおり、スポーツの現場では携帯可能なスピーディな診断ツールとして重宝されるようになった。
 これらエコー技術の習得に関しては、各種ハンズオンセミナーが組まれることが多くなってきたが、都市部開催が多いため、地方臨床医にはハードルが高く、また費用も決して安くない。必然的に解剖書に頼らざるをえないが、白黒画像でかつ的確なプローブの当て方に依存するエコー画像との完全な対比は既存の教科書では困難である。実際、患者にエコーを当てながらその画像陰影の解釈に四苦八苦した経験のある臨床医は多いのではないであろうか。本書は、そういった時間的に制約があり、独学で運動器超音波検査を習得せざるをえない臨床医にとって、もっとも必要な解剖断面像を提供してくれる。
 評者は、エコー検査に関しては言語で理解するというより、ビジュアルで理解する必要があり、その感覚を養うのが重要と考えている。実際、患者にエコーを当てながら画像陰影を解説してもらうのがもっとも学習効果があると思われるが、本書はそのような感覚を養ううえで非常に役立つ。画像とイラストが見開き2頁にまとまっているため、超音波画像と解剖とを正確に対比することができ、正しい断面を出すためのプローブの位置、そのための肢位のとり方まで解説されている。運動器超音波で深部組織の描出を妨げるのが骨や石灰化などによる音響陰影であるが、断面像が非常に豊富に掲載されているため、それを含む画像も記載されている。エコーでは描出されない部位も示されており、エコー検査の限界も含めて参考になる。
 本書は手にとって眺めるだけでも楽しく、まるで地図をみているような感覚であるが、一方で評者はトレーニング書としての活用もすすめたい。左側の頁にはエコー画像とプローブの位置が図示されているため、これで局所解剖のあたりをつけて、その後に右頁上の解剖イラストとそれに対比した右頁下の図示されたエコー画像を見比べると、その正誤が明らかとなる。もちろん、これらのトレーニングで身につけた解剖の知識が、その部位を実際に執刀する際に役立つことはいうまでもない。また、自分の専門以外の部位のエコー画像も参考になる。当然ながら、靱帯、腱、滑液包などほかの関節部位と共通するものもあり、それに伴って靱帯の線維化、腱の石灰化、滑液包内の滑膜肥厚などの病態も共通するわけで、さまざまな部位で正常と異常の区別を学ぶことができる。
 運動器超音波検査はまだまだ発展性のある分野で、知られていない知見も多くある。本書の解説を参考にしながら、実臨床において病態画像の新たな発見も生まれるかもしれない。外来に1冊常備しておきたい本として、本書を推薦したい。

臨床雑誌整形外科70巻12号(2019年11月号)より転載
評者●鹿児島大学整形外科教授 谷口昇