教科書

やさしい保健統計学改訂第5版増補

: 縣俊彦
ISBN : 978-4-524-24124-8
発行年月 : 2019年3月
判型 : B5
ページ数 : 206

在庫あり

定価1,980円(本体1,800円 + 税)

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  • 主要目次
  • 序文

看護師・保健師養成校の学生が、保健統計学の基礎的な概念と手法を理解できるよう、身近な例題で解説したテキスト。数式や代数・記号の使用を厳選し、学習の目安となる項目の難易度とキーワードを明示するなど、初学者でも分かりやすい内容になっている。増補版では、国民保健の現状にあわせ、各種統計データの更新を行った。

1 保健統計の必要
2 尺度と度数分布
 2・1 統計資料の尺度
 2・2 度数分布表
 2・3 度数分布図の作成
3 代表値
 3・1 平均値
 3・2 中央値(中位数)・四分位数・百分位数
 3・3 最頻値
 3・4 代表値の特性のまとめ
4 散布度
 4・1 散布度(バラツキ)
 4・2 標準偏差
 4・3 標準偏差の和
 4・4 範囲(分布幅),四分位偏差
 4・5 平均偏差
 4・6 変異係数
5 相関と回帰
 5・1 相関係数
 5・2 相関関係と因果関係
 5・3 順位相関係数
 5・4 回帰直線
6 確率・順列・組み合わせ
 6・1 確 率
 6・2 順列
 6・3 組み合わせ
7 確率分布
 7・1 正規分布
 7・2 正規分布の性質
 7・3 一様分布
 7・4 二項分布
 7・5 指数分布
 7・6 ポアソン分布
 7・7 幾何分布
8 母集団統計値の推定
 8・1 母集団と標本
 8・2 母集団平均の推定
 8・3 母比率の推定
 8・4 母相関係数の推定
 8・5 標本設計,標本数(サンプル数)
9 仮説検定(1)
 9・1 仮説検定
 9・2 母分散が既知の場合の母平均に対する検定
 9・3 母分散が未知の場合の母平均に対する検定
 9・4 母比率の検定
 9・5 標本相関係数と母相関係数の比較
10 仮説検定(2)
 10・1 対応のない2組の平均値の差の検定
 10・2 対応のある2組の平均値の差の検定
 10・3 比率の差の検定
11 仮説検定(3)
 11・1 適合度の検定
 11・2 独立性の検定
 11・3 対応のある2標本の比較
 11・4 クラスカル・ウォリス検定
12 分散分析法
 12・1 一元配置分散分析
 12・2 二元配置分散分析
 12・3 ラテン方格法
13 国民保健の現状
 13・1 人口静態
 13・2 人口動態
14 統計図表の作成と分類
 14・1 統計図表の作成基準
 14・2 統計図表の分類
15 コンピュータを活用した統計解析の一例
 15・1 コンピュータの活用
練習問題解答
付表
 対数表
 二乗表
 標準正規分布表
 ポアソン分布表
 t分布表
 z変換表
 カイ二乗(χ2)分布表
 F分布表
 ウィルコクソンの符号付順位検定表
索引

改訂第5版増補の序

 本書は、看護学、およびその関連分野の人々を対象とした統計学の入門書である。初版の刊行から約25年、改訂5版の刊行から6年がたち、第13章の統計数値の更新とコンピュータに関連する記述を見直し、増補として刊行することとなった。とかく統計学は難しい、難解だ、などといわれ敬遠される学問領域に属している。しかし、小規模な調査や実験をしたとしても、それを研究会や地方会などで報告する場合には、統計的処理がなされていないと、意味がないとか、科学的でないといった非難・批判を受ける場合も間々みられる。そういった批判が必ずしも的を射ているとは限らないが、本書は、そのような状況に対応できるように統計学、とくに保健統計学の基礎的手法、標準的方法を中心に解説したものである。また、実際に調査や実験を行う前に、どのような点に注意して、調査計画や実験計画を組めばよいのか、などの点も標本抽出の考え方とともに解説している。
 わが国における看護職員養成教育は平成4年成立(平成23年改正)の看護師人材確保法(通称)や1県1看護大学構想の下、各地で看護大学、看護学部、看護学科、保健衛生学科が設立され、東京医科歯科大学、東京慈恵会医科大学などをはじめとして、現在では、看護系大学は250校以上になっている(平成30年4月)。従来の数校の看護師養成大学に加え、ようやく日本でもアメリカなみの看護教育が高等教育として活動を始めた感がある。しかし、平成18年4月の診療報酬改定(平成24年再改定)で、入院病棟の看護師配置によって、病院が受け取れる入院基本料が増減する新基準導入により、看護師集めを展開する大病院に対し防戦に追われる中小病院という構図で、看護師不足感はいっそう強まっている。2025年における看護師の需要は200万人、供給は180万人と見込まれており看護師不足という状況は当分続くものと考えられる。一方、看護師養成施設の大部分は専門学校のレベルが中心であり、看護教育の目的は実務に通じた看護師を養成することが主眼となっているのが現状であるのもまた事実である。
 こうした現状の下、本書は看護学生(大学、短大、専門学校)や保健師学校の学生が限られた時間での統計学、保健統計学の授業の中で、標準的な手法を理解し、保健統計の常識を身につけ、さらには、最近の情報社会の進展に対応できる能力を養成できるものとなっている。あるいは、実際の看護業務や保健師業務をはじめ、直面する問題の解決法に苦慮している看護師、保健師を対象読者として書かれているものである。
 すなわち、このテキストはコンピュータ技術の発展、対象読者(看護学生、保健師学生、若手の看護師、保健師など)の行動様式も考慮し、今までになかったものとなっている。そして、その特徴は、
 1。統計学の基礎に重点をおく
 2。むずかしい数式を少なくし、コラム解説“ちょっとした悩み”を設ける。
 3。例題を多くし、解説をていねいにする。
 4。情報社会の理解、コンピュータ教育も可能なものとする。
 5。国民保健の現状、将来なども含める。
である。
 「1。統計学の基礎に重点をおく」については、統計学の基礎的、入門的、標準的手法の解説に力点をおくということである。看護研究や地域での研究を進める場合にはさらに複雑な手法、たとえば多変量解析なども必要となる場合もあるだろうが、その際には他の参考書を利用するか、生物統計の専門家に相談する必要があるであろう。
 「2。むずかしい数式を少なくし、コラム解説“ちょっとした悩み”を設ける」については、数式の記述もできる限り日本語をそのまま用い、むずかしい数式記号はほとんどなくしたので、数式アレルギーの人たちにも入り込みやすいし、式の意味もわかりやすくなっていると思う。そして“ちょっとした悩み”では、一般のテキストでは説明されていないが、実際場面では、重要かつ、悩みやすい事項について解説しているので、実務、研究面で有用と思う。
 「3。例題を多くし、解説をていねいにする」ことで、実際に自分たちの直面する問題についても応用が簡単にできるものと考えられる。
 「4。情報社会の理解、コンピュータ教育も可能なものとする」や「5。国民保健の現状、将来なども含める」ということで、情報社会の現代、未来を生きていく若い看護師や保健師達のコンピュータに対する適応力を養い、保健医療従事者としての常識も身につくように心掛けている。
 また本書の記載内容は大きく4つのレベル(LEVEL)に分けて記載してある。各項目のはじめに示してあるので、自習の際の参考にしてほしい。LEVEL4は最初は読み飛ばして差し支えない。実際の必要な場面に遭遇したとき、他の参考書と併せて読んで理解していただきたい。
 レベルの内容は
  LEVEL1 基礎的必須事項
  LEVEL2 基礎的重要事項
  LEVEL3 やや応用的事項
  LEVEL4 応用的事項
となっている。おおよその目安として
  短大、専門学校 LEVEL1+2+3
  4年生大学、専攻科以上 LEVEL1+2+3+4
と考えてよいであろう。
 また、各章のはじめにKEYWORDSを設けたので、その言葉の意味内容はしっかり把握していただきたい。
 本書によって、統計嫌いの人が少しでも減り、保健統計学は便利で有用なものであることを理解してくれる人が増えることを願ってやまない。執筆にあたっては、完全無欠をめざしたつもりであるが、不備や欠点がみつかるかもしれない。お気づきの点があれば、遠慮なくご意見、ご批判をいただきたい。次回改訂の際の参考として利用させていただくつもりである。本書が多くの人の目にとまり、教育上、実務上に役立つことを願ってやまない。
 本書を執筆するにあたり、千葉大学医学部縣千聖氏、東京慈恵会医科大学梶原千絵子医師をはじめとする皆様にも多大な協力とご援助をいただいた。また、南江堂出版部諸氏にも非常にお世話になった。ここに記して感謝の意を表したい。

2019年2月
著者