コンパスシリーズ
コンパス薬物治療学
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 原明義/小山進 |
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ISBN | : 978-4-524-40358-5 |
発行年月 | : 2019年2月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 602 |
在庫
定価6,600円(本体6,000円 + 税)
正誤表
-
2020年10月02日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
薬学部生にとっての薬物治療学領域におけるミニマムエッセンスを、平易な文章と豊富な図表でまとめた教科書。用語解説、項目ごとの内容まとめ、章末問題なども設定し、初学者にもわかりやすい紙面構成とした。薬物治療が重要な疾患に重点をおいたメリハリのある記述で、近年の国試出題内容も網羅。薬剤師国家試験出題基準、薬学教育モデル・コアカリキュラム対応。
1章 臨床検査の要点
A 臨床検査とは
B 尿検査
C 糞便検査
D 血液学的検査
E 血液凝固機能検査
F 脳脊髄液検査
G 血液生化学検査
H 免疫学的検査
I 動脈血ガス分析
J 代表的な生理機能検査
K 病理組織検査
L 画像検査
M 微生物検査
N フィジカルアセスメント
2章 精神疾患
A 統合失調症
B うつ病(大うつ病性障害)
C 双極性障害(躁うつ病)
D 不安神経症(不安神経症)
D-1 パニック障害
D-2 全般性不安障害(GAD)
D-3 その他
E 心身症
F 不眠症
G ナルコレプシー
H 薬物依存症
I アルコール依存症
J 注意欠如・多動性障害(ADHD)
3章 神経・筋疾患
A てんかん
B 脳血管疾患
B-1 脳内出血
B-2 くも膜下出血
B-3 脳梗塞(脳血栓,脳塞栓)
B-4 一過性脳虚血発作
C パーキンソン病
D 認知症
D-1 アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)
D-2 脳血管性認知症
E 片頭痛
F 髄膜炎・脳炎
F-1 感染性髄膜炎・脳炎
F-2 自己免疫性脳炎
G 多発性硬化症(MS)
H 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
I クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)
J 進行性筋ジストロフィー
K ギラン・バレー症候群
L 重症筋無力症
4章 アレルギー・免疫疾患
A 炎症の病態,創傷治癒の過程(病態生理,症状等)
B アナフィラキシーショック
C 関節リウマチ(RA)
D 後天性免疫不全症候群(AIDS)
E 全身性エリテマトーデス(SLE)
F シェーグレン症候群
G ベーチェット病
H 強皮症
I 多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)
5章 骨・関節疾患
A 骨粗鬆症
B 変形性関節症
B-1 変形性膝関節症
B-2 変形性股関節症
C 骨軟化症(くる病を含む)
6章 循環器疾患
A 不整脈
B 心不全
C 虚血性心疾患
C-1 狭心症
C-2 心筋梗塞
D 高血圧症
E 閉塞性動脈硬化症(ASO)
F その他の循環器疾患
F-1 心原性ショック
F-2 弁膜症
F-3 先天性心疾患
F-4 感染性心内膜炎
7章 血液・造血器疾患
A 貧血
A-1 鉄欠乏性貧血
A-2 巨赤芽球性貧血(悪性貧血など)
A-3 再生不良性貧血
A-4 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)
A-5 腎性貧血
A-6 鉄芽球性貧血
B 播種性血管内凝固症候群(DIC)
C 血友病
D 紫斑病
D-1 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
D-2 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
E 白血球減少症
F 血栓塞栓症
F-1 深部静脈血栓症(DVT)
F-2 肺血栓塞栓症(PTE)
G 白血病
G-1 急性骨髄性白血病(AML)
G-2 慢性骨髄性白血病(CML)
G-3 急性リンパ性白血病(ALL)
G-4 慢性リンパ性白血病(CLL)
G-5 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)
H 悪性リンパ腫(ML)
H-1 ホジキンリンパ腫(HL)
H-2 非ホジキンリンパ腫(NHL)
I 多発性骨髄腫(MM)
8章 腎・泌尿器疾患
A 概説
B 急性および慢性腎不全
B-1 急性腎不全
B-2 慢性腎不全
C 慢性腎臓病(CKD)
D ネフローゼ症候群
E 急性および慢性糸球体腎炎
E-1 急性糸球体腎炎
E-2 慢性糸球体腎炎
E-3 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)
F 糖尿病(性)腎症
G 薬剤性腎障害(DKI)
H 排尿障害
H-1 過活動膀胱(OAB)
H-2 低活動膀胱(UAB)
I 尿路結石
J 尿路感染症
J-1 腎盂腎炎
J-2 膀胱炎
J-3 尿道炎
9章 生殖器疾患
A 概説
B 前立腺肥大症
C 子宮内膜症
D 子宮筋腫
E 異常妊娠
E-1 流産・切迫流産
E-2 切迫早産
E-3 異所性妊娠
E-4 妊娠高血圧症候群
F 異常分娩
F-1 遷延分娩・分娩停止
F-2 前期破水
G 不妊症
H 性機能不全
H-1 勃起障害
H-2 性欲低下障害
H-3 性嫌悪障害
H-4 早漏
H-5 膣内射精障害
H-6 性交疼痛症
H-7 膣けいれん
I 性感染症
I-1 梅毒
I-2 淋病
I-3 クラミジア症
I-4 トリコモナス症
10章 呼吸器疾患
A 呼吸器系の構造
B 気管支喘息
C 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
D 急性上気道炎(かぜ症候群を含む)
E 気管支炎(細菌性含む)
F 間質性肺炎
G 肺炎
H レジオネラ感染症
I 百日咳
J マイコプラズマ肺炎
K ニューモシスチス肺炎
L 肺アスペルギルス症
M 胸膜炎
11章 消化器疾患
A 消化器系器官の名称と位置
B 胃食道逆流症
C 消化性潰瘍
D 胃炎
E 炎症性腸疾患
F 過敏性腸症候群
G 便秘・下痢
H 悪心・嘔吐
I 痔
J 消化管アレルギー
K 肝疾患
K-1 肝炎
K-1-1 急性肝炎
K-1-2 慢性肝炎
K-2 肝硬変
K-3 薬剤性肝障害
L 膵炎
M 胆道疾患
M-1 胆石症
M-2 胆道炎
N 消化器感染症
N-1 感染性腸炎
N-2 急性虫垂炎
N-3 腹膜炎
N-4 病原性大腸菌感染症
N-5 偽膜性大腸菌感染症
N-6 ウイルス性下痢症
N-7 食中毒
N-8 赤痢
N-9 コレラ
N-10 腸チフス
N-11 パラチフス
12章 代謝性疾患
A 糖尿病とその合併症
A-1 糖尿病(DM)
A-2 1型糖尿病
A-3 2型糖尿病
A-4 糖尿病の急性合併症
A-4-1 糖尿病性ケトアシドーシス
A-4-2 高血糖高浸透圧症候群
A-5 糖尿病の慢性合併症
A-5-1 細小血管障害
A-5-2 糖尿病神経障害
A-5-3 糖尿病網膜症
A-5-4 糖尿病腎症
A-5-5 大血管障害(糖尿病合併動脈硬化症)
B 脂質異常症
C 高尿酸血症・痛風
C-1 高尿酸血症
C-2 痛風
D 低血糖症
13章 内分泌疾患
A バセドウ病
B 甲状腺炎
B-1 亜急性甲状腺炎
B-2 慢性甲状腺炎(橋本病)
C 尿崩症
D 先端巨大症
E 高プロラクチン血症
F 下垂体機能低下症
G ADH不適合分泌症候群(SIADH)
H 副甲状腺機能亢進症・低下症
H-1 副甲状腺機能亢進症
H-1-1 原発性副甲状腺機能亢進症
H-2 副甲状腺機能低下症
I クッシング症候群
J アルドステロン症
J-1 原発性アルドステロン症
K 褐色細胞腫
L 急性および慢性副腎不全
L-1 副腎クリーゼ
L-2 アジソン病
14章 眼疾患
A 眼の構造・機能
B 緑内障
C 白内障
D 加齢性黄斑変性
E 角膜炎
F 結膜炎(アレルギー性含む)
G 網膜症
H ぶどう膜炎
I 網膜色素変性症
15章 耳鼻咽喉疾患
A 耳鼻咽喉の構造と機能
B めまい
B-1 動揺病
B-2 メニエール病
C アレルギー性鼻炎(花粉症を含む)
D 副鼻腔炎
D-1 急性副鼻腔炎
D-2 慢性副鼻腔炎
E 中耳炎
E-1 急性中耳炎
E-2 慢性中耳炎
E-3 滲出性中耳炎
E-4 真珠腫性中耳炎
E-5 好酸球性中耳炎
F 口内炎・咽頭扁桃炎
F-1 口内炎
F-2 咽頭扁桃炎
G 喉頭蓋炎
H 咽頭結膜熱
16章 皮膚疾患
A アトピー性皮膚炎
B じん麻疹
C 接触性皮膚炎
D 光線過敏症
E 薬疹
E-1 軽症・中等症の薬疹
E-2 重症薬疹
E-2-1 スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)
E-2-2 中毒性表皮壊死症(TEN)
E-2-3 薬剤性過敏症症候群(DIHS)
F 水疱症(天疱瘡・類天疱瘡)
G 乾癬(尋常性乾癬)
H 皮膚のウイルス感染症
H-1 単純疱疹(ヘルペス)
H-2 水痘・帯状疱疹
H-2-1 帯状疱疹後神経痛
H-3 突発性発疹
I 皮膚の細菌感染症
I-1 膿皮症
I-2 尋常性ざ瘡(にきび)
I-3 ハンセン病
J 皮膚の真菌感染症
J-1 皮膚真菌症(白癬)
J-2 カンジダ症
K 褥瘡(床ずれ)
L 熱傷
17章 感染症
A 結核と非結核性抗酸菌症
A-1 結核
A-2 非結核性抗酸菌症
B ヘリコバクター・ピロリ感染症
B-1 胃・十二指腸潰瘍と胃癌
B-2 胃MALTリンパ腫
B-3 特発性血小板減少性紫斑病
C 薬剤耐性菌による院内感染
C-1 MRSA感染症
C-2 多剤耐性緑膿菌(MDRP)
C-3 多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDR-AB)
C-4 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
C-5 セラチア属
D 全身性細菌感染症
D-1 ジフテリア
D-2 劇症型A群β溶血性連鎖球菌感染症
D-3 新生児B群連鎖球菌感染症
D-4 破傷風
D-5 敗血症
E ウイルス感染症
E-1 インフルエンザ
E-2 麻疹
E-3 風疹
E-4 流行性耳下腺炎
E-5 伝染性紅斑(リンゴ病)
E-6 手足口病
E-7 サイトメガロウイルス感染症
E-8 伝染性単核球症
F 真菌感染症
F-1 クリプトコックス症
G 原虫感染症
G-1 マラリア
G-2 トキソプラズマ症
G-3 赤痢アメーバ症
H 寄生虫感染症
H-1 蟯虫症
H-2 回虫症
H-3 アニサキス症
18章 悪性腫瘍
A 消化器系の悪性腫瘍
A-1 胃癌
A-2 食道癌
A-3 肝癌
A-4 大腸癌
A-5 胆嚢・胆管癌
A-6 膵癌
B 肺癌
C 頭頸部および感覚器の悪性腫瘍
C-1 脳腫瘍
C-2 網膜芽細胞腫
C-3 喉頭癌
C-4 咽頭癌
C-5 鼻腔・副鼻腔癌
C-6 口腔の悪性腫瘍
D 乳癌
E 生殖器の悪性腫瘍
E-1 前立腺癌
E-2 子宮癌
E-3 卵巣癌
F 腎・尿路系の悪性腫瘍
F-1 腎癌
F-2 膀胱癌
G 悪性黒色腫
H 骨肉腫
19章 その他の薬物療法
A 移植医療
B がん終末期医療と緩和ケア
参考表1 主な臨床検査の基準値一覧
参考表2 本書収載の感染症一覧
本書で対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム一覧
索引
序文
現在、医療の中心的役割を担っているのは薬物治療と言っても過言ではない。薬物治療では、当然ながら有効性と安全性が重視される。治療薬1つをとってみても、それがどのような患者に適しており、どのような患者に不適切かを判断するにはさまざまな知識を必要とする。たとえば、国民病とも言える高血圧症の薬物治療において、多種ある降圧薬のなかから適切な降圧薬を選択するには、高血圧の程度、年齢、合併症や危険因子の有無、生活習慣、妊娠の有無などさまざまな患者情報とともに、各降圧薬の特徴や副作用、使用上の注意などを十分考慮して総合的に判断する能力が必要である。薬物治療が高度化・複雑化しているなか、薬剤師が高い専門能力をもって医療に参画するのは当然であろう。したがって、6年制薬学部学生に求められるものの1つは、有効性・安全性の高い適切な薬物治療の基本を身につけることであり、それゆえ薬物治療学の果たす役割は大きいと言える。
2015年から導入されている改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、「薬理・病態・薬物治療」の一般目標(GIO)として、「疾病に伴う症状などの患者情報を解析し、最適な治療を実施するための薬理、病態・薬物治療に関する基本的事項を修得する」ことが掲げられ、具体的な疾患名が示されている。これに薬剤師国家試験出題基準の例示を含めると、約200種類の疾患に関する知識が6年制薬学課程で要求されている。本書は、これらの疾患すべてについて病態生理から治療までを、“わかりやすく”解説することを目的として、現在薬学部で当該領域を担当している15名の教員によって作成された。病態・薬物治療を理解するには、臨床検査学や薬理学の基礎知識が不可欠であることから、検査・診断を総括した内容を「臨床検査の要点」として第1章に配置し、治療薬の作用機序や専門用語の解説を脚注に記載した。また、図表を多用し視覚的にも理解しやすくしたほか、項目ごとに“ポイント”を示し、各章末に一問一答問題(Exercise)を設けて重要項目の確認・復習ができるように配慮した。
本書が、病態・薬物治療学の学習および修得に役立つことを願っている。また、薬学生だけでなく、医療関連学部の学生や薬剤師をはじめ医療に携わっている方々にも活用していただければ幸いである。最後に、本書の発刊に際して、丁寧な執筆にご尽力いただいた各先生方、企画・編集に多大なご協力とご助言をいただいた南江堂出版部の野澤美紀子氏、飯島純子氏、宮本博子氏をはじめ関係諸氏に、厚く御礼を申し上げる。
2018年11月
原明義、小山進