薬学生のための漢方医薬学改訂第3版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 | : 山田陽城/花輪壽彦/金成俊/小林義典 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-40336-3 |
発行年月 | : 2017年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 458 |
在庫
定価5,500円(本体5,000円 + 税)
正誤表
-
2019年01月18日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

漢方の概念、理論から漢方薬の薬理作用、適応、薬剤師業務まで、漢方について薬学生が修得すべき内容を丁寧に網羅した教科書。今改訂では最新の知見に対応させたほか、一部章立てを変更して漢方製剤に関する情報を集約し、より学びやすい構成とした。改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム対応(対応項は一目でわかるマーク付き)、第十七改正日本薬局方対応。
第1章 漢方医学総論
1 漢方医学総論
A 漢方医学の特徴と西洋医学との相違点
B 漢方医学の復興
C 現代医療における漢方医学
D 漢方治療の適応・不適応
E 日本の医療のあり方
F 課題
2 漢方医学の理論
A 陰陽理論
B 五行理論
C 病因
3 漢方医学の診断
A 四診(診断の基本)
B 八綱(陰陽・表裏・寒熱・虚実)
C 気血水とその機能低下による症状
D 証の概念
4 漢方医学の歴史
A 中国
B 日本
第2章 漢方薬学総論
1 本草学
A 本草学とは
B 本草学的薬能
C 修治
2 漢方薬に用いる生薬
A 生薬とは
B 基原植物
C 生薬の分類
3 漢方製剤の種類と剤形
A 漢方製剤の種類
B 漢方薬の剤形
C 漢方薬と民間薬の相違
4 原料生薬の流通
A 原料生薬の現状
B 生薬供給国の変化と現状
C 原料生薬が抱える問題
D 医薬品と食品の区分
5 漢方薬の品質管理
A 生薬の生産・加工・製品化まで
B 品質評価
C 生薬の品質管理
D 医療用漢方エキス製剤の品質管理
第3章 漢方処方の疾患への応用
1 医療用漢方製剤の適用
A 医療用漢方製剤
B 漢方医学に基づく処方の適用
2 現代医療における漢方処方
A 処方選択における注意
B 各疾患における処方の適用
3 漢方におけるEBM
A EBMとは
B 漢方におけるEBM
第4章 漢方薬の作用メカニズム
1 漢方薬理の特徴
A 証と病態動物モデル
B 経口投与と漢方薬の代謝
C 漢方薬は多成分系の薬物
2 主な漢方処方の薬理作用と作用機序
A 免疫系疾患に対する漢方処方
B 腎臓疾患に対する漢方処方
C 精神・神経疾患に対する漢方処方
D 婦人科系疾患に対する漢方処方
E 呼吸器疾患に対する漢方処方
F 循環器疾患に対する漢方処方
G 消化器疾患に対する漢方処方
H 内分泌疾患に対する漢方処方
I 疼痛に対する漢方処方
3 漢方薬の複合効果
A 薬理学的複合効果
B 薬剤学的複合効果
4 漢方薬の吸収と代謝
5 新薬との併用効果
第5章 医療漢方薬学
1 漢方薬の調剤・服薬指導・製剤
A 煎剤の調剤
B 医療用漢方製剤の調剤
C 製剤
D 薬歴
E 処方鑑査
F 調剤過誤防止への取り組み
2 漢方薬の服薬指導
A 処方の目的と内容の把握
B 初診患者に必要な服薬指導
C 服薬指導の実際
3 入院患者の薬剤管理
A 入院患者と薬剤管理の特徴
4 漢方薬の使用上の注意と薬物相互作用
A 漢方薬の副作用(有害作用)
B 漢方薬の副作用発現回避のための注意事項
第6章 世界の伝統医学と補完(相補)・代替医療
1 世界の伝統医学
A 中国の伝統医学(中医学)
B 韓国の伝統医学(韓医学)
C インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)
D イスラムの伝統医学(ユナニ)
E チベットの伝統医学
2 補完(相補)・代替医療
A 米国国立補完統合衛生センターの分類
B 国内厚生労働省研究班の分類
付録
1 新一般用漢方処方
2 医療用および一般用漢方製剤に用いられる構成生薬
参考文献
索引
改訂第3版の序
薬学生の漢方医薬学教育のための教科書として刊行された本書は、2012年の改訂版刊行から5年を経過しこの度改訂第3版刊行の運びとなった。初版の刊行時と比較しても、わが国は超高齢社会の到来などを背景に現代医療の中で漢方薬の役割は多岐にわたり益々重要となっている。また6年制に移行した薬学教育も11年を経過し医療人としての教育の更なる充実が急がれている。2001年度に「和漢薬を概説できる」という項目が取り入れられた医学教育モデル・コアカリキュラムとその後の改定カリキュラムのもと、現在では全ての大学医学部において漢方医学の教育が行われるようになっており、これに対応した薬学教育が求められている。薬学教育モデル・コアカリキュラムでは当初、化学系薬物、「自然が生み出す薬物」の項目に漢方薬と漢方医学に関する教育が加えられた。しかし2015年以降の改訂コアカリキュラムにおいて、漢方薬、漢方医学の教育は「医療薬学」の項目の「医療の中の漢方薬」に位置付けられるようになったことから、6年制薬学教育ではこれまで以上に現代医療における臨床に関連した漢方医薬学教育の実践が求められている。
本改訂版は前版と同様、薬学生向けに、薬剤師になった時に知っておくべき漢方薬の知識を中心に、「漢方医学総論」「漢方薬学総論」「漢方処方の疾患への応用」、「漢方薬の作用メカニズム」、「医療漢方薬学」、「世界の、伝統医学と補完(相、補)・代替医療」、「付録」から構成されている。主な改訂点として、日本薬局方の第十七改正および一般用漢方処方、薬局製剤の改訂に準拠して各章の見直しを行ったことや、「漢方医学の診断」では薬学生にも必要な漢方医学に関わる用語の解説などを加え理解しやすくしたこと、医療用漢方製剤、一般用漢方処方、薬局漢方製剤の関連を比較して理解しやすくしたこと、「主な漢方処方の薬理作用と作用機序」については、日本薬局方収載処方を中心に医薬品情報や研究情報として最新の知見を加えたこと、「漢方薬の使用上の注意と薬物相互作用」や「補完(相補)・代替医療」も最新情報に改訂したこと、付録の「医療用および一般用漢方製剤に用いられる構成生薬」では薬能についても付し処方の作用を理解しやすくしたことなどが挙げられる。また、コアカリキュラムにおけるSBO対応の項目も付記することで、全体を通じ学習しやすいような工夫を加えた。
執筆には漢方の臨床現場で漢方医薬学を実践している北里大学東洋医学総合研究所と同北里生命科学研究所、同薬学部の教職員や旧職員など関係者があたっている。
本書は、6年制の薬学教育を通じその関連科目の修学に合わせ、章ごとの教育が可能なように構成されていることから、薬学生ばかりでなく、漢方薬を勉強しようとする薬剤師や大学院生、薬学研究者、チーム医療に関わる医療従事者、その他の研究者にも役立つ成書と考えられる。
2017年2月
山田陽城
花輪壽彦
金成俊
小林義典
