衛生薬学
基礎・予防・臨床
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 今井浩孝/小椋康光 |
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ISBN | : 978-4-524-40317-2 |
発行年月 | : 2016年5月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 662 |
在庫
定価7,700円(本体7,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
「骨太」をコンセプトとした衛生薬学の教科書。基礎からしっかり解説するだけでなく、必要に応じてアドバンストな内容まで網羅し、より深い理解を目指した構成。アドバンストな内容はマークを付し、区別がつくよう配慮した。また、医療分野との関連を「コラム」等で積極的に紹介し、医療現場や薬剤師業務とのつながりも見えるよう工夫した。
第1部 健康
第I章 社会・集団と健康
1 健康と疾病の概念
A 健康と疾病の概念の変遷
1 健康と疾病の概念
2 社会環境と疾病構造の変遷
3 疾病予防から健康増進を担う包括的医療
2 保健統計
A 人口統計の意義
1 集団の健康水準と人口統計
2 健康指標
B 人口統計と疾病統計
1 人口統計
2 疾病統計
C わが国における死因別死亡率の変遷
1 死因の分類
2 主要な死因別死亡率の変遷
3 主要4死因による死亡率の推移
4 主要4死因別死亡の状況
5 年齢階級別死因
3 疫学
A 疫学の役割
B 疫学の三要因
C 疫学の種類
1 記述疫学(記述疫学研究)
2 分析疫学
3 介入研究(実験疫学)
D 疫学調査結果の解析
1 χ2(カイ二乗)検定
2 相対危険度と寄与危険度
3 オッズ比
4 信頼区間
5 交絡因子
6 バイアス
7 因果関係の判定基準
8 メタ・アナリシス
第II章 疾病の予防
1 疾病の予防とは
A 疾病予防の段階
1 疾病予防の概念
B わが国の健康増進政策
1 わが国の健康増進対策の沿革
2 健康日本21(第二次)
3 健康増進法
4 その他の健康増進対策
2 感染症とその予防
A 感染症の特徴
1 感染症とは
2 感染源・感染経路に対する対策
3 日和見感染と院内感染
4 新興感染症と再興感染症
B 感染症とその対策
1 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)
2 主な感染症の特徴と発生動向
3 検疫感染症と輸入感染症
4 性感染症
C 予防接種
1 予防接種とは
2 予防接種の種類
3 予防接種法
4 予防接種の不適当者ならびに接種注意者
3 生活習慣病とその予防
A 生活習慣病の種類とその予防
1 悪性新生物(がん)
2 心疾患,脳血管疾患
3 糖尿病
4 高血圧
5 脂質異常症
6 肥満
7 メタボリックシンドローム
8 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
B 食生活や喫煙などの生活習慣と疾病とのかかわり
1 食生活
2 喫煙
4 母子保健
A 新生児マススクリーニングの意義と代表的な検査項目
1 フェニルケトン尿症
2 ホモシスチン尿症
3 メープルシロップ尿症
4 ガラクトース血症
5 クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)
6 先天性副腎過形成症
7 その他
B 母子感染
1 母子感染の経路と主な疾患
2 TORCH症候群
3 母子感染の予防
5 学校保健
A 学校薬剤師の役割
6 高齢者保健
A 高齢者保健対策
7 労働衛生
A 労働衛生
1 労働災害
2 職業性疾病
3 労働衛生管理
第III章 栄養と健康
1 栄養
A 五大栄養素の役割
1 糖質
2 脂質
3 タンパク質,アミノ酸
4 ビタミン
5 水
6 ミネラル(無機質)
B 栄養素の消化,吸収,代謝
1 糖質
2 タンパク質の消化,吸収,代謝
3 脂質の消化,吸収,代謝
4 栄養素の主な先天的代謝疾患
C 食品中の三大栄養素の栄養的価値
1 臓器による異なる栄養素の利用
2 エネルギー産生における三大栄養素の相互変換
3 食品中の糖質の栄養価
4 食品中の脂質の栄養価
5 食品中のタンパク質の栄養価
D 五大栄養素以外の食品成分の機能
1 食物繊維
2 コエンザイムQ10(ユビキノン)
3 L-カルニチン
4 グルコサミン
5 ヒアルロン酸Na
6 ラクトフェリン
7 EPA/DHA
8 ファイトケミカル
9 トコトリエノール
10 そのほかの特定保健用食品の関与成分
E エネルギー代謝にかかわる基礎代謝量,呼吸商,推定エネルギー必要量
1 利用エネルギーおよびアトウォーター係数
2 呼吸商(RQ)
3 食事誘発性熱産生(特異動的作用)
4 基礎代謝量と基礎代謝基準値
5 活動時のエネルギー消費と身体活動レベル
6 推定エネルギー必要量(EER)
7 BMI
F 日本人の食事摂取基準(2015年版)
1 日本人の食事摂取基準(2015年版)
2 設定指標
G わが国における栄養素摂取および健康状態の現状
1 平成25年国民健康・栄養調査結果より
H ライフステージにおける栄養の必要性
1 妊婦・授乳婦と栄養
2 小児と栄養
3 成人と栄養
4 高齢者と栄養
I 栄養素の過不足と疾病
1 エネルギー摂取の過不足と疾病
2 ビタミンの過不足と疾病
3 ミネラルの過不足と疾病
J ライフステージにおける疾患と栄養管理
1 妊婦・授乳婦の疾患と栄養管理
2 小児の疾患と栄養管理
3 成人の疾患と栄養管理
4 高齢者の疾患と栄養管理
K 疾病治療と栄養
1 栄養サポートチーム(NST)
2 栄養ケア(栄養管理)
3 栄養・食事療法と栄養補給法
4 病態別の栄養管理法
2 食品機能と食品衛生
A タンパク質の変質
1 変質と腐敗
2 腐敗により生成する物質
3 腐敗の指標
4 腐敗細菌
B 炭水化物の変質
1 非酵素的反応による褐変
2 酵素的反応による褐変
C 油脂の変敗機構と変質試験
1 油脂の自動酸化機構と生成物
2 油脂の変質試験
3 油脂の自動酸化における変質試験値の経時変化
D 食品の変質に関与する因子と変質防止法
1 腐敗の防止
2 油脂の変敗の防止
E 食品成分由来の発がん物質
1 発がん性のリスク分類
F 食品添加物
1 食品衛生法と食品添加物
2 食品添加物規制の変遷
3 食品添加物の指定と安全性
4 指定制度による食品添加物の分類
5 規格基準
6 表示
7 食品添加物の国際規格
8 食品添加物の用途と主な添加物
9 食品添加物の摂取量
G 特別用途食品と保健機能食品
1 特別用途食品
2 特定保健用食品
3 栄養機能食品
4 機能性表示食品
H 遺伝子組換え食品
1 遺伝子組換え農作物
2 わが国における遺伝子組換え食品の現状
3 遺伝子組換え食品の安全性
4 表示
I 食品衛生に関する法的規制
1 食品の安定・安全な供給について
2 食品安全行政について
3 食中毒と食品汚染
A 微生物による食中毒
1 食中毒の分類と経口感染症
2 食中毒の発生状況
3 細菌性食中毒
4 ウイルス性食中毒
5 原虫による食中毒
6 寄生虫による食中毒
B 自然毒による食中毒
1 動物性自然毒
2 植物性自然毒
C 化学物質食品汚染の具体例
1 有害金属による食品汚染
2 マイコトキシンによる食品汚染
3 残留農薬による食品汚染
4 食品中の残留動物用医薬品
5 有機塩素系化合物(ダイオキシン類,PCB,DDT)
6 食品添加物の不正使用による過剰摂取
7 その他の食品汚染事例
第2部 環境
第IV章 毒性学
1 化学物質の毒性
A 化学物質の体内動態
1 膜輸送
2 吸収
3 分布
4 排泄
B 化学物質の代謝
1 薬物代謝酵素の特徴
2 第I相反応
3 第II相反応
C 化学物質の毒性発現機構と標的臓器
1 肝臓
2 腎臓
3 肺
4 神経系
5 血液
6 皮膚
7 感覚器
8 生殖器
D 化学物質の毒性
1 重金属
2 有機化合物
E 化学物質に対する生体防御機構阿南弥寿美
1 メタロチオネイン
2 活性酸素に対する防御
F 乱用薬物の健康および社会への影響
1 乱用薬物
2 薬物乱用の動向
3 依存性と耐性
4 乱用薬物
G 化学物質による中毒に対する処置
1 吸収の阻害
2 排泄の促進
3 解毒薬・拮抗薬
H 中毒原因物質の試験法
1 中毒原因物質の分類
2 中毒原因物質の抽出方法
3 簡易スクリーニング法
4 確認試験および定量法
2 化学物質の安全性評価と適正使用
A リスクコミュニケーションに基づいたリスク回避
1 化学物質のリスク
2 リスクの評価
3 リスクコミュニケーション
B 化学物質の毒性試験
1 OECD テストガイドライン
2 毒性試験法
C 毒性試験結果の解析
1 量-反応関係
2 化学物質の有害性の指標
D 化学物質の安全性評価
1 ヒトに対する化学物質の毒性評価(リスク評価指標)
2 実験動物データからヒトへの外挿
3 発がん物質のリスク評価
4 化学物質のリスク管理
E 有害化学物質による人体影響を防ぐための法的規制
1 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
2 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質把握管理促進法:化管法)
3 化学物質による発がん
A 発がん物質
1 発がん物質の代謝活性化と発がん機構の概略
2 一次発がん物質
3 二次発がん物質(代謝活性化による究極発がん物質の生成)
B 遺伝毒性試験
1 微生物を用いる復帰突然変異試験(Ames試験)
2 哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験
3 げっ歯類を用いる小核試験
C 多段階発がん過程
4 放射線の生体への影響
A 電離放射線の種類と性質
1 α線
2 β−線
3 β+線
4 γ線
5 X線
6 中性子線
7 重粒子線
B 放射性核種と生体との相互作用阿南弥寿美
1 放射性核種
2 放射能と半減期
3 放射線の単位
C 電離放射線の生体影響
1 身体的影響と遺伝的影響
2 確率的影響と確定的影響
3 電離放射線の作用に影響を及ぼす因子
4 電離放射線の標的臓器
D 電離放射線の防御
E 非電離放射線
1 紫外線
2 可視光線
3 赤外線
4 電波
第V章 生活環境と健康
1 地球環境と生態系
A 地球環境と生態系
1 地圏,水圏,大気圏,生物圏
2 生態系
B 化学物質の環境内動態
1 化学物質の発生
2 大気圏中の化学物質
3 地圏中の化学物質
4 水圏中の化学物質
5 生物濃縮
6 残留性有機汚染物質
C 地球環境問題と国際的な取り組み
1 オゾン層の破壊
2 地球温暖化
3 酸性雨
4 海洋の汚染
5 熱帯雨林の減少
6 砂漠化
7 野生生物種の減少
8 有害廃棄物の越境移動
D 環境問題に関する討論
2 環境保全と法的規制
A 典型七公害と四大公害
1 公害の定義
2 典型七公害とその現状
3 わが国における公害事例
B 環境基本法
1 環境基本法の理念と基本施策
2 環境基準
C 公害・環境汚染防止のための法規制
1 大気汚染防止のための法規制
2 水質汚濁防止のための法規制
3 水環境
A 上水
1 人と水環境
2 水道の沿革
3 水道の定義
4 原水
5 浄水方法
6 水道水の水質基準と水質試験
B 下水
1 下水道の沿革
2 下水道の定義,種類,方式
3 下水処理
C 水質汚濁
1 水質汚濁
2 水質汚濁の法律と規制
3 水質汚濁指標
4 自浄作用
5 富栄養化
4 大気環境
A 大気環境と健康
1 大気汚染物質
2 有害大気汚染物質
B 大気環境汚染物質の測定
1 大気汚染物質の測定方法
2 有害大気汚染物質の測定方法
C 大気環境と気象条件
5 室内環境
A 室内環境を評価するための代表的な指標
1 室内環境に影響を及ぼす物理的な要因
2 室内環境に影響を及ぼす化学的な要因
3 室内環境の保全
B 室内環境と健康との関係
1 健康に影響を与える室内環境要因
2 室内環境における化学物質曝露
3 シックハウス症候群と化学物質過敏症(多種化学物質過敏状態)
6 廃棄物
A 廃棄物の種類と処理
1 廃棄物の種類
2 一般廃棄物の排出と処理
3 産業廃棄物の排出と処理
B 廃棄物処理の問題点と対策
1 不法投棄とマニフェスト制度
2 循環型社会の形成
C 医療廃棄物
索引
序文
衛生薬学は、人々の健康の維持・増進に貢献するため、生体内や環境中で引き起こされる事象を、化学反応や分子レベルで理解し、応用し、そして実践する学問領域である。すなわち、人々が清澄な環境の中で天寿を全うするために、薬剤師や創薬研究者などが具体的にどう行動すべきかを学ぶ実学である。この衛生薬学という学問領域には、栄養学、食品衛生学、保健統計学、疫学、毒性学、環境科学などの多岐にわたる分野が含まれているが、それぞれの分野において、「基礎・予防・臨床」という視点で執筆・編集を行ったことが本書の特徴である。また本書では、医療の担い手たる薬剤師を育成する6年制課程と創薬研究者としての活躍が期待される4年制課程の学部教育に必要な内容はもとより、卒後も衛生薬学の学修に利用できるような“骨太”の内容を網羅している。
2015(平成27)年度から、2013(平成25)年12月に改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づく新たな薬学教育が開始された。本書では新しいコアカリキュラムに示されているSBOごとに項目を構成し、学修者の利便性を確保した。また新しいコアカリキュラムでは、大学独自のSBO項目を薬学アドバンスト教育として設定することが求められている。本書ではコアカリキュラムのSBOの範囲を超えるものの、各執筆者および編者が重要と考える項目について、アドバンストであることを明示し、学修項目に加え解説した。
本書を手にし、学修した多くの薬学生が、衛生薬学に興味を持ち、衛生薬学分野で将来活躍してくれれば、編者としては望外の喜びである。
2016年3月
編者