コンパスシリーズ
コンパス生化学
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 前田正知/浅野真司 |
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ISBN | : 978-4-524-40309-7 |
発行年月 | : 2015年1月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 442 |
在庫
定価5,280円(本体4,800円 + 税)
正誤表
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2018年03月23日
第1・2・3 刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
生化学領域における薬剤師国家試験レベルでの「ミニマムエッセンス」をおさえた教科書。基本事項をわかりやすく解説するだけでなく、薬理学へのつながり、疾病とのかかわりについてもコラム等で積極的に紹介。各成分・代謝経路がヒトのからだでどのような位置づけにあるのかを示し、統合的な理解を目指す構成とした。改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム対応。
I部 生命体の成り立ち
1章 細胞・組織・器官
A 細胞:生物の基本単位
1 細胞
2 原核生物と真核生物
3 細胞小器官
4 膜構造をもたない細胞内構造
B ヒトの体の成り立ち
1 ヒトの体の階層性
2 組織
3 系
II部 生体成分の構造・機能
2章 生体成分
1 生体成分
2 ヒトの体を構成する元素
3 主な生体分子
3章 糖質
A グルコース:最も大切な糖質
1 糖質とは
2 単糖
3 糖質の名称の付け方
4 アルドヘキソース
5 d-グルコース
6 水溶液中でのd-グルコースの構造
B グルコース以外の代表的な単糖、二糖
1 d-グルコース以外の代表的なアルドヘキソース
2 代表的なケトース、d-フルクトース
3 その他の代表的な単糖
4 単糖誘導体
5 代表的な二糖類
6 糖の還元性
C 代表的な多糖
1 ホモ多糖
2 ヘテロ多糖
3 複合糖質
D 糖質の定性および定量試験法
1 化学反応を利用した糖質の定性、定量試験法
2 酵素を用いたグルコースの定量
4章 アミノ酸・ペプチド
A アミノ酸の構造と性質
1 アミノ酸の基本構造
2 20種類の標準アミノ酸
3 アミノ酸の種類
4 アミノ酸の滴定曲線
B アミノ酸の定性および定量方法
C ペプチドの構造と生理活性
1 ペプチドとペプチド結合
2 ペプチド性ホルモンと生理活性ペプチド
3 アミノ酸誘導体ホルモン
5章 タンパク質
A タンパク質の構造
1 タンパク質の階層構造
2 タンパク質の一次構造
3 タンパク質の二次構造
4 タンパク質の三次構造
5 タンパク質の四次構造
6 タンパク質の高次構造の形成
7 タンパク質の変性と再生
8 タンパク質の翻訳後修飾
B タンパク質の分類と機能
1 タンパク質の機能による分類
2 タンパク質の化学組成による分類
3 細胞骨格を形成するタンパク質の種類と役割
C タンパク質解析の基礎技術
1 タンパク質の分離・精製と分子量の測定法
2 タンパク質のアミノ酸配列決定法
3 タンパク質の定性・定量試験法
6章 酵素
A 酵素
1 酵素とは
2 酵素触媒の有利性
3 酵素の触媒反応のメカニズム
4 酵素触媒反応の特徴
5 酵素複合体
6 酵素の分類と命名
B 酵素の反応速度論
1 酵素の反応速度論から何がわかるのか
2 基質濃度と酵素活性の関係
3 Km値と酵素活性の関係
C 酵素活性の阻害
1 不可逆的阻害
2 可逆的阻害
D 酵素反応の制御
1 酵素の量的な調節
2 質的な調節
E 代表的な酵素の測定法と酵素の応用
7章 核酸・ヌクレオチド
A 核酸の構成成分
1 塩基
2 糖
3 ヌクレオシド
4 ヌクレオチド
5 その他の特殊な塩基、ヌクレオシドを含む重要な化合物
B DNA、RNAの構造と機能
1 DNAの基本構造と性質
2 RNAの基本構造と機能
8章 ビタミン・金属
A 水溶性ビタミン
1 ビタミンB(1チアミン)−補酵素型TPP(チアミンピロリン酸)
2 ビタミンB(2リボフラビン)−補酵素型FAD,FMN
3 ビタミンB(6ピリドキシン)−補酵素型PLP、PMP
4 ビタミンB1(2シアノコバラミン)−補酵素型AdB12,MeB
5 ビタミンC(l-アスコルビン酸)
6 ナイアシン(ニコチン酸、ニコチンアミド)−補酵素型NAD+、NADP+
7 パントテン酸−補酵素型CoA
8 ビオチン
9 葉酸−補酵素型THF
B 脂溶性ビタミン
1 ビタミンA(レチノール)
2 ビタミンD(カルシフェロール)
3 ビタミンE(トコフェロール)
4 ビタミンK(フィロキノン、メナキノン)
C 必須微量元素
9章 脂質
A 脂質の特徴と分類
1 脂質の特徴と役割
2 脂質の分類
3 脂肪酸
4 中性脂肪
5 ろう
6 リン脂質
7 糖脂質
B イソプレノイド
1 テルペン
2 ステロイド
C エイコサノイド
10章 生体膜と輸送(和田戈虹)
A 生体膜の構造と性質
1 生体膜の共通性質
2 脂質の存在状態と役割
3 膜タンパク質の存在状態と役割
B 生体膜を横切る溶質の輸送
1 受動輸送
2 能動輸送
3 膜結合リボソームで合成されるタンパク質の膜透過
4 核膜孔を通る輸送
C 膜動輸送(小胞輸送)
1 エンドサイトーシス
2 エキソサイトーシス
3 小胞の細胞内運搬機構
III部 代謝
11章 異化と同化
1 自由エネルギー
2 エンタルピーとエントロピー
3 標準自由エネルギー変化
4 異化と同化
5 エネルギー通貨としてのATP
6 物質輸送とATP
7 ADPとATPの量比は細胞のエネルギー状態を示す
8 ATPが高エネルギー化合物である根拠
9 食物中の栄養成分の消化・吸収・体内運搬
12章 糖質代謝
A 糖質の消化・吸収・体内運搬
B 解糖系
1 解糖系の反応
2 解糖系のエネルギー収支
3 調節機構
4 グルコース以外の単糖の解糖系へのエントリー
5 乳酸発酵とアルコール発酵
C クエン酸回路
1 ピルビン酸からアセチルCoAへ
2 クエン酸回路の反応
3 調節機構
4 アミノ酸・脂肪酸の代謝とクエン酸回路
D 電子伝達・酸化的リン酸化
1 電子伝達系
2 酸化的リン酸化によるATPの合成
3 細胞質NADHのミトコンドリアへの輸送
4 グルコースの代謝によるATP合成の収支
5 ATP合成の阻害剤
E 光合成
F ペントースリン酸回路
1 ペントースリン酸回路の反応
2 NADPHの役割
G グリコーゲンの機能と代謝
1 グリコーゲンの機能・構造
2 グリコーゲンの合成・分解
3 グリコーゲン代謝の調節
H 糖新生
1 糖新生の反応
2 糖新生の基質
3 糖新生の調節
I インスリンとグルカゴン
1 インスリンとグルカゴン
2 血糖値の変動とその調節
3 インスリンおよびグルカゴンによる代謝調節
J 摂食、吸収時のエネルギー代謝と肥満
1 摂食、吸収時のエネルギー代謝
2 肥満
K 空腹時および飢餓時のエネルギー代謝
1 飢餓状態のエネルギー代謝
2 ケトン体の合成と利用
13章 脂質代謝
A 脂肪酸の合成・分解とエネルギー代謝
1 脂肪酸の代謝における位置づけ
2 脂肪酸の生合成
3 不飽和脂肪酸の合成
4 脂肪酸の分解
5 脂肪酸の運命
6 β酸化によるエネルギー産生効率
B コレステロールの生合成と代謝
1 コレステロールの代謝
2 コレステロールの生合成
3 コレステロール量のフィードバック調節
4 胆汁酸
C リン脂質の生合成と代謝
1 リン脂質の生合成
2 リン脂質代謝産物と生理活性
D 脂質の吸収と運搬
1 血漿リポタンパク質
2 脂質の吸収
3 リポタンパク質とコレステロールの運搬
4 脂溶性ビタミンの吸収と運搬
E ステロイドホルモン
1 ステロイドホルモン
2 性ホルモン
3 副腎皮質ホルモン
F エイコサノイド
1 アラキドン酸カスケード
2 プロスタグランジンとトロンボキサン
3 ロイコトリエン
14章 アミノ酸代謝
A アミノ酸の供給と利用
1 体内でのアミノ酸の役割と利用
2 アミノ酸の供給
B アミノ酸の窒素の代謝
1 アミノ基転移反応
2 酸化的脱アミノ反応
3 尿素回路
4 アミノ基の運搬
C アミノ酸の炭素骨格の代謝
1 アミノ酸代謝とクエン酸回路
2 ケト原性アミノ酸と糖原性アミノ酸
3 主なアミノ酸の分解経路
4 アミノ酸の代謝異常症
D アミノ酸代謝による生理活性物質の合成
1 脱炭酸反応による生理活性アミンの生合成
2 ポルフィリンとヘム代謝
3 その他の生理活性物質
E 一酸化窒素(NO)の生合成と役割
1 一酸化窒素(NO)の生合成
2 NOの作用機序
3 NOの生理作用
15章 ヌクレオチド代謝
1 ヌクレオチドの生合成
2 リボヌクレオチドからデオキシリボヌクレオチドへの変換
3 ヌクレオチドの分解
4 セカンドメッセンジャーとしてのヌクレオチド誘導体の生成と分解
5 ヌクレオチド代謝に関わる薬剤
16章 遺伝情報
A セントラルドグマ
1 遺伝情報の実体
2 セントラルドグマ
B セントラルドグマの修正
1 mRNA以外の転写
2 レトロウイルスと逆転写
3 インフルエンザウイルスとRNA複製
C タンパク質の一生
1 タンパク質の局在
2 タンパク質の翻訳後修飾と品質管理
3 タンパク質の分解
17章 代謝調節(前田正知)
A 細胞が細胞外からの情報に応答するメカニズム
1 細胞の情報伝達の基本様式
2 情報伝達に関わる分子
B ホルモンの産生臓器、生理作用、分泌調節
1 ホルモンの産生部位と分泌調節
2 遺伝子発現を調節するホルモン
3 カルシウム代謝とホルモン
4 糖代謝とホルモン
5 その他のホルモンと作用
C 水と電解質の恒常性維持
1 水と電解質の分布
2 酸塩基平衡
本書で対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム一覧
索引
序文
生命現象を化学的にとらえ理解しようとする生化学の領域は20世紀に大きな発展を遂げ,今や蓄積した情報量は膨大なものがある.また細胞生物学や分子生物学と融合するテーマも多く,その他の基礎領域も含め広く学ばねばならない薬学生にとって生化学はハードルの高い学習科目になってしまった感がある.しかしながら,医療現場がより近くなった6年制薬学教育では,体内で起きている事柄を学び理解することの重要性は一層増している.その中で,生体成分とその代謝が中心テーマである生化学を学ぶ意義は明らかである.
今回,改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムの生化学領域に沿った教科書を編集するにあたり,「ヒトのからだの再構築をコンセプトに,各成分・代謝経路がヒトのからだでどのような位置づけにあるのかを示し,各論だけでなく,統合的な理解を促す内容とする」ことを目標に,各章の執筆者に依頼した.さらに疾病とのかかわりについても紹介するとともに,薬理学や生理学にも関連させ,薬剤師国家試験の複合問題も意識した教科書作りを目指した.薬学部学生向けのわかりやすい構成,薬学部学生にとってミニマムエッセンスをおさえた内容というコンパスシリーズの基本には注意は払ったつもりであるが,どうしても発展的な内容まで踏み込まざるを得なかった.これは,生化学の扱う領域が広く深いということと,学生が他の参考書などで調べなくてもよいようにと配慮したためでもありご容赦願いたい.
本書では,各章の各大項目のはじめにコアカリの「到達目標(SBO)」と重要項目の“紹介・まとめ”である「ポイント」を明示し,学習の目標を理解しやすくした.また,「おさえておこう」や「ここにつながる」を設け,事前・事後の学習に役立つようにした.発展的な内容はコラムを中心に述べているが,注釈が必要な用語などはサイドスペースで補足説明して充実を図った.図表により「見た目」から理解させるという点も意識したつもりである.各章末には練習問題である「Exercise」を設けて各項目の理解度を確認できるようにしており,CBT対策にも役立てていただきたい.
薬学生諸君には本書を単に講義科目の教科書として使用するだけでなく,CBTや薬剤師国家試験に向けて使い込んでいただくことを願っている.また,読者諸氏からのご意見・ご指摘をいただきながらより良い教科書としていきたいと考えている.ご意見をお寄せ願えれば幸いである.
最後に,執筆を担当いただいた先生方には,短期間に精力的に作業を遂行して下さったことに感謝申し上げる.
2014年11月
前田正知
浅野真司