教科書

機能形態学改訂第3版

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 櫻田忍/櫻田司
ISBN : 978-4-524-40299-1
発行年月 : 2013年2月
判型 : B5
ページ数 : 344

在庫なし

定価6,600円(本体6,000円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

薬学部学生を対象とした機能形態学のテキスト。人体の構造と機能について、わかりやすい記述と図で効果的に解説。薬学部学生に必要な内容を厳選した構成が特長。「薬学教育モデル・コアカリキュラム」「薬剤師国家試験出題基準」に対応。

第1章 細胞・組織
1─1 細胞
1 細胞の構造
 a.細胞膜
2 細胞小器官の構造とはたらき
 a.小胞体
 b.リボソーム
 c.ゴルジ体(装置)
 d.リソソーム
 e.ペルオキシソーム
 f.ミトコンドリア
 g.核
 h.中心体
 i.細胞骨格
3 細胞間結合と細胞外マトリックス
 a.細胞間結合
 b.細胞外マトリックス
4 細胞の構成
 a.水
 b.タンパク質
 c.核酸
 d.脂質
 e.糖質
 f.無機物
1─2 組織
1 上皮組織
 a.形態的分類
2 支持組織
 a.結合組織
 b.軟骨組織
 c.骨組織
 d.血液とリンパ
まとめ
練習問題
第2章 末梢神経系
2─1 神経の基本的機能
1 ニューロンの形態
2 静止膜電位
 a.Na+ポンプ
 b.イオンチャネル
3 活動電位
 a.全か無の法則
 b.不応期
4 興奮伝導
 a.興奮伝導の3原則
5 神経繊維の種類
6 軸索輸送
7 ウォーラーの変性と再生
8 シナプス伝達
 a.シナプス伝達の一般的性質
2─2 神経系
1 末梢神経系
 a.体性神経
 b.自律神経
まとめ
練習問題
第3章 中枢神経系
3─1 脳と脊髄
1 中枢神経系の区分
2 脳室と脳脊髄液
3 髄膜
4 脳の血管
5 血液脳関門
3─2 脊髄
1 脊髄の形態
2 αおよびγ運動ニューロン
3 筋紡錘と腱紡錘
4 脊髄の機能
 a.脊髄反射
 b.脊髄の伝導路
3─3 脳幹
1 中脳
 a.脳幹網様体
 b.黒質
 c.腹側被蓋野
 d.中心灰白質(中脳水道周囲灰白質)
 e.赤核
 f.動眼神経副核(エジンガー・ウェストファル核)
2 橋
 a.青斑核
 b.縫線核
3 延髄
 a.呼吸中枢
 b.心臓中枢
 c.血管運動中枢
 d.消化器系に関係する中枢
4 脳幹の運動調節
 a.除脳固縮
 b.中脳の姿勢反射
3─4 間脳
1 視床
2 視床下部
 a.体温調節中枢
 b.摂食中枢
 c.飲水中枢
 d.性行動
 e.情動行動
 f.自律神経系の高位中枢
 g.下垂体ホルモンの調節
3─5 大脳基底核と小脳
1 大脳基底核
 a.大脳基底核の構造と線維連絡
 b.大脳基底核の機能
2 小脳
 a.小脳の構造
 b.小脳の求心路と遠心路
 c.小脳の機能
3─6 大脳半球
1 大脳皮質
 a.大脳皮質の層構造
 b.大脳皮質の機能
 c.脳波と睡眠
2 大脳辺縁系
 a.摂食行動
 b.性行動
 c.情動行動
 d.学習と記憶
3─7 脳神経と脊髄神経
まとめ
練習問題
第4章 筋肉・骨格系
4─1 筋肉
1 筋肉の種類
2 骨格筋の種類
 a.骨格筋の構造
 b.光学顕微鏡レベルの構造
 c.電子顕微鏡レベルの構造
 d.筋フィラメント
 e.筋小胞体と横行小管系
3 筋収縮のしくみ(滑り説)
4 興奮収縮連関
5 筋小胞体からのCa2+遊離機構
6 筋収縮のためのエネルギー源
7 筋収縮の形式
 a.筋収縮の測定法
 b.刺激速度と筋の反応
 c.強い刺激に対する筋の反応
 d.筋の疲労
 e.伸張反射
8 平滑筋
 a.構造と活動電位
 b.収縮機構
9 心筋
4─2 骨格
1 骨
2 骨の種類
3 骨の構造
 a.肉眼構造
 b.微細構造
4 骨の形成と成長
 a.骨構成細胞
 b.骨の形成、吸収、改造(リモデリング)
 c.骨組織の生成
 d.骨の成長
まとめ
練習問題
第5章 感覚器系
5─1 感覚の種類と性質
5─2 体性感覚
1 皮膚感覚
 a.触圧覚
 b.温度覚
 c.痛覚
2 深部感覚
3 体性感覚の伝導路
 a.触圧覚
 b.痛覚、温度覚
4 痛覚の内因性抑制機構
5─3 内臓感覚
5─4 視覚
1 眼球の構造
 a.通光器
 b.網膜
2 結像の機序
 a.光の屈折と屈折異常
 b.虹彩と瞳孔
 c.眼内圧
 d.両眼視
3 網膜における光受容機序
 a.視物質
 b.網膜の電位変化
4 視覚伝導路
5─5 聴覚
1 聴覚器
 a.外耳と中耳
 b.内耳
2 聴覚伝導路
5─6 平衡感覚
1 前庭器官の構造
2 半規管と平衡斑の機能
3 平衡感覚伝導路
5─7 嗅覚と味覚
1 嗅覚
2 味覚
5─8 皮膚
1 皮膚の構造と働き
 a.表皮
 b.真皮
 c.皮下組織
2 皮膚付属器官
 a.汗腺
 b.脂腺
 c.毛
 d.爪
まとめ
練習問題
第6章 消化器系
6─1 消化器系の構成
1 口腔
2 咽頭と食道
3 胃
 a.胃の構造
 b.胃粘膜
 c.胃の運動
4 小腸
 a.小腸の区分
 b.小腸壁の構造
5 大腸
 a.盲腸
 b.結腸
 c.直腸
6 肝臓と胆
 a.肝臓
 b.胆嚢
7 膵臓
8 腹膜
6─2 消化器系における消化と吸収
1 消化
2 口腔内の消化
 a.咀嚼
 b.唾液
 c.嚥下
3 胃の消化
 a.胃の運動
 b.胃液の組成
 c.胃液の分泌機構
4 小腸の消化
 a.膵液
 b.膵液の分泌
 c.腸液
 d.胆汁
 e.小腸の運動
5 大腸の消化
 a.排便
6 消化管における吸収
 a.糖質の吸収
 b.タンパク質の吸収
 c.脂質の吸収
7 肝臓のはたらき
 a.物質代謝
 b.胆汁の生成と分泌
 c.解毒
 d.アンモニアの無毒化
 e.ホルモンの不活性化
 f.血液量の調節
8 消化管ホルモン
 a.ガストリン
 b.セクレチン
 c.コレシストキニン
まとめ
練習問題
第7章 循環器系
7─1 心臓
1 心臓の形態
 a.冠状動脈
 b.心臓の壁
2 特殊心筋と固有心筋
3 循環
 a.血液の肺循環と体循環
4 心筋の微細構造
5 心筋細胞の電位変化
 a.静止膜電位
 b.活動電位
 c.不応期
6 心筋収縮の生化学的機序
 a.心筋の興奮収縮関連
 b.心筋の弛緩機構
 c.自律神経による心筋活動の制御
7 心臓周期
 a.心臓周期
 b.血圧
 c.心拍出量と心収縮力
 d.1回拍出量の調節とスターリングの法則
8 神経による調節
 a.自律神経
 b.心臓反射
9 心電図
10 心音
7─2 血管系
1 血管壁の構造
2 血管の分布
 a.動脈系
 b.静脈系
まとめ
練習問題
第8章 血液・リンパ系
8─1 血液の成分と主なはたらき
1 赤血球
 a.赤血球の構造
 b.赤血球の機能
2 白血球
 a.白血球の分類
3 血小板
4 血漿
 a.血漿の組成
 b.血漿タンパク質
 c.血糖
 d.無機成分
5 造血(血球の産生)
 a.造血の概要
 b.造血の異常
 c.赤血球の形成
 d.白血球の産生
 e.血小板の産生
6 赤血球の破壊
7 出血と止血
 a.止血の概要
 b.血小板血栓(一次血栓)
 c.血液凝固
 d.線維素溶解
 e.血液凝固の制御
 f.血液凝固の異常
 g.止血におけるカルシウムの役割
8 血液型
 a.赤血球の血液型
 b.白血球の型(白血球の抗原性)
8─2 リンパと免疫
1 リンパ
 a.免疫とリンパ
 b.リンパ
 c.リンパ管
 d.リンパ節
 e.分布
2 胸腺
3 脾臓
4 扁桃
5 免疫
 a.体液性免疫
 b.細胞性免疫
 c.サイトカイン
 d.アレルギー
まとめ
練習問題
第9章 呼吸器系
9─1 呼吸
9─2 呼吸器系の構成
1 鼻腔
2 喉頭
3 気管・肺
9─3 呼吸器系の機能
1 肺の機能
 a.呼吸器としての肺の機能
 b.肺の生体防御機能
 c.肺の代謝機能
2 呼吸運動
 a.胸郭の動き
 b.呼息と吸息
 c.呼吸筋
3 肺気量
4 肺、胸郭のコンプライアンスと気道抵抗
5 呼吸の神経調節機構
 a.呼吸中枢
 b.呼吸調節中枢
 c.呼吸の化学的調節
 d.呼吸の異常
6 肺胞と組織における酸素・二酸化炭素の交換
7 血液による酸素の運搬
8 血液による二酸化炭素の運搬
まとめ
練習問題
第10章 泌尿器系
10─1 腎臓
1 腎臓の構造
2 ネフロンの構造と機能
 a.腎小体(血液のろ過)
 b.尿細管(再吸収と分泌)
3 尿細管への分泌
4 腎臓による体液の調節
 a.レニンの分泌による血圧と体液量の調節
(レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系)
 b.酸・塩基平衡の維持
 c.血漿浸透圧の調節
5 その他の機能
 a.エリスロポエチンの分泌(赤血球の産生)
 b.活性型ビタミンD3の産生
 c.心房性ナトリウム利尿ペプチド
6 腎のクリアランス(清掃率)
 a.イヌリンクリアランス(糸球体ろ過量の指標)
 b.パラアミノ馬尿酸クリアランス(有効腎血漿流量の指標)
10─2 尿路
1 尿管
 a.構造
 b.機能
2 膀胱
 a.構造
 b.機能
3 尿道
 a.構造
 b.機能
まとめ
練習問題
第11章 内分泌系
11─1 内分泌系調節
11─2 ホルモン受容体
1 ステロイド・甲状腺ホルモン受容体スーパーファミリー
2 細胞膜受容体
 a.アデニル酸シクラーゼ型モデル
 b.ホスホリパーゼC型モデル
11─3 視床下部ホルモン
11─4 下垂体
1 下垂体前葉ホルモン
 a.成長ホルモン
 b.甲状腺刺激ホルモン
 c.副腎皮質刺激ホルモン
 d.性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)
 e.プロラクチン(乳腺刺激ホルモン)
2 下垂体後葉ホルモン
 a.オキシトシン
 b.バソプレシン
11─5 甲状腺ホルモン
 a.甲状腺ホルモンの生成・分泌調節
 b.甲状腺ホルモンの生理作用
 c.甲状腺ホルモンの分泌異常
11─6 副甲状腺ホルモン
11─7 副腎
1 副腎皮質
 a.副腎皮質ホルモンの分泌調節
 b.副腎皮質ホルモンの生理作用
 c.副腎皮質ホルモンの分泌異常
2 副腎髄質
 a.副腎髄質ホルモンの生理作用
11─8 膵臓ホルモン
1 インスリン
 a.インスリンの合成
 b.インスリンの分泌調節
 c.インスリンの作用機構
 d.インスリンの生理作用
2 グルカゴン
 a.グルカゴンの分泌調節
 b.グルカゴンの生理作用
11─9 生殖
1 女性生殖生理
 a.女性生殖器
2 男性生殖生理
 a.男性生殖器
まとめ
練習問題
薬学教育モデル・コアカリキュラム―本書における対応表
参考図書
索引

本書は2002年9月の初版発刊以来、機能形態学のテキストとして多くの薬学系大学で使用されてきた。この間、2006年4月には第2版を上梓した。そして、初版発刊からの節目である10年が経過した2012年に、第3版への改訂作業に着手した。
 2012年、日本全国の人々に朗報がもたらされた。京都大学の山中伸弥教授が、「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」により、ノーベル医学生理学賞を受賞されたのである。人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、さまざまな細胞への分化が可能で、再生医療・創薬への応用が期待されている。近い将来、疾病予防および治療に関わる分野において、新たにiPS細胞を用いた再生医療が加わることになるであろう。iPS細胞の医療への応用の可能性に象徴されるように、生命科学の進歩は目覚ましく、多様化し専門化している。医療系の学生には、その根幹をなす土台ともいえる基礎科学の一つである「機能形態学」を学んでいただけるよう、本書の改訂を行った。
 薬剤師国家試験の出題基準は、『薬学教育モデル・コアカリキュラム合本』(社団法人日本薬学会)において示されている内容を基本としており、機能形態学の分野については【C8生命体の成り立ち】の箇所に明記されている。本項の一般目標(GIO)は「生命体の成り立ちを個体、器官、細胞レベルで理解するために、生命体の構造と機能調節などに関する基本的知識、技能、態度を修得する」であり、(1)ヒトの成り立ち、(2)生命体の基本単位としての細胞、(3)生体の機能調節、(4)小さな生き物たち、の4つの分野に細分化され、それぞれに到達目標(SBO)が掲げられている。このうち本書では機能形態学の分野である(1)〜(3)について扱い、常にSBOを意識しながら勉強できるよう、各章ごとにSBOを配置した。
 改訂作業では著者のみならず、多方面からの御協力を仰いだ。御教示下さった先生方に心から御礼申し上げるとともに、今後も御叱正やコメントをいただければ嬉しく思う。
2013年1月
編者ら

9784524402991