コンパスシリーズ
コンパス生物薬剤学
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 岩城正宏/伊藤智夫 |
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ISBN | : 978-4-524-40256-4 |
発行年月 | : 2010年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 174 |
在庫
定価4,180円(本体3,800円 + 税)
サポート情報
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2015年03月12日
改訂薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)対応表
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
薬物動態を初めて学ぶ薬学生向けの教科書。コンセプトは「CBT対応・わかりやすい・ミニマムエッセンス」。解剖生理学的な図を多く取り入れ、ビジュアルで理解できるよう工夫されている。わかりやすく整理された内容で、基礎からしっかりと学ぶことができる。薬学教育モデル・コアカリキュラム[C13(4)薬物の臓器への到達と消失]を網羅。
1章 総論
A 生物薬剤学とは
B 薬物の体内動態と薬効発現
C 投与経路と剤形
D 創薬・創剤と生物薬剤学
E 医療と生物薬剤学
2章 生体膜の構造と薬物の生体膜透過機構
A 生体膜の構造
まとめ
B 生体膜の透過機構
1 物質の膜透過機構
2 単純拡散
3 pH分配仮説
4 担体輸送
まとめ
C 輸送担体(トランスポーター)
1 輸送担体の分類
2 促進拡散
3 能動輸送
a 一次性能動輸送
b 二次性能動輸送
まとめ
3章 吸収
A 消化管吸収
1 消化管の構造と機能
a 消化管の構造
b 消化管の機能
2 生物学的利用率
a 消化管における脈管系と初回通過効果
b 生物学的利用率
まとめ
B 薬物の消化管吸収に影響する因子
1 薬物の消化管吸収に影響する因子
a 薬物の物理化学的特性
b 薬物の物理化学的特性以外の要因
2 吸収が変動する具体例
a 胃内容排出速度の影響
b 胆汁酸分泌の影響
c 併用薬の影響
まとめ
C 非経口吸収
1 消化管以外の粘膜からの吸収
2 注射部位からの吸収
a 投与方法
b 注射投与の例
3 経皮吸収
a 吸収部位
b 全身用経皮投与剤の例
4 経肺吸収
a 吸収部位
b インスリンの経肺投与の例
5 その他の経粘膜吸収
a 経粘膜投与
b ブセレリン酢酸塩の経鼻投与
c ニトログリセリンの舌下投与
d リドカインの直腸内投与
まとめ
4章 分布
A 分布に影響する因子
1 物理的化学要因
2 毛細血管透過性
3 組織細胞膜透過性
4 血流速度
5 血漿タンパク結合
6 組織内結合
まとめ
B 分布容積とその変動要因
1 分布容積
2 分布容積の変動要因
3 タンパク結合の解析法
4 リンパ管移行
まとめ
C 脳への移行
1 血液脳関門と血液脳脊髄液関門の解剖学的構造
2 脳移行機構
a 脳への取り込みに働く血液脳関門のトランスポーター
b 脳からの排出に働く血液脳関門のトランスポーター
c タンパク質を運ぶ輸送系
d 血液脳脊髄液関門の輸送系
まとめ
D 胎児への移行と胎盤関門
1 胎盤関門の解剖学的構造
2 胎児移行機構
まとめ
5章 代謝
A 生体内での薬物の代謝による化学構造の変化と薬物代謝部位
1 薬の生体内運命における薬物代謝(代謝)の役割
2 主な薬物代謝部位
3 薬物代謝酵素の細胞内局在性
まとめ
B 薬物代謝に関与する酵素(酸化、還元、加水分解、抱合)とその反応機構
1 薬物代謝酵素の代謝様式と薬物代謝における役割
2 第I相反応に関わる薬物代謝酵素
a 酸化反応に関わる薬物代謝酵素
b 還元反応に関わる薬物代謝酵素
c 加水分解反応に関わる薬物代謝酵素
3 第II相反応に関わる薬物代謝酵素
a UDPグルクロン酸転移酵素
b 硫酸転移酵素
c N−アセチル転移酵素
d グルタチオンS−転移酵素
まとめ
C 薬物代謝酵素による薬物の代謝活性化と不活性化
まとめ
D 薬物代謝酵素活性の変動要因
1 薬物代謝酵素の阻害
a 同一CYPの基質結合部位での競合的阻害(可逆的阻害)
b CYPのヘム鉄(Fe2+)への薬物の配位結合(可逆的阻害)
c CYPヘム鉄(Fe2+)への代謝物または代謝中間体の結合(不可逆的阻害)
d 代謝中間体によるCYPヘム鉄(Fe2+)のアルキル化(不可逆的阻害)
e 代謝中間体によるCYPアポタンパク質部分の修飾
f その他
2 薬物代謝酵素の誘導
a アリールハイドロカーボン受容体を介した誘導
b 核内受容体を介した誘導
3 薬物代謝酵素遺伝子の遺伝子多型
a CYPの遺伝子多型
b N−アセチル転移酵素2(NAT2)の遺伝子多型
4 年齢等の内的要因
まとめ
E 肝初回通過効果と生物学的利用率(バイオアベイラビリティー)
まとめ
F 肝クリアランスおよび肝固有クリアランス
1 肝クリアランス(CLh)
a 全身クリアランスと肝クリアランス
b 肝臓での薬物消失速度と肝クリアランス
2 肝固有クリアランス(Clint・h)
3 肝代謝律速と肝血流律速
a 肝固有クリアランス律速(肝代謝律速)
b 肝血流律速
まとめ
6章 排泄
A 腎排泄
1 腎臓の構造
2 糸球体ろ過
3 尿細管分泌
a 有機アニオン輸送
b 有機カチオン輸送
c 薬物相互作用―尿細管分泌過程の阻害
4 尿細管再吸収
a 単純拡散
b 能動的再吸収
c 膜動輸送―腎毒性薬物
5 腎クリアランス
a ネフロンによる薬物移行のパターン
b 糸球体ろ過速度
c 薬物の腎クリアランス
まとめ
B 胆汁中排泄
1 肝臓の構造
2 肝細胞内への移行
a 薬物相互作用―肝細胞内移行の阻害
3 胆汁中への移行
a 薬物相互作用―胆汁中移行の阻害
4 胆汁中排泄の支配要因
5 腸管循環
まとめ
C 唾液・乳汁中などへの排泄
1 唾液への排泄
2 呼気への排泄
3 母乳(乳汁)への薬物移行
まとめ
7章 薬物動態の変動要因
A 薬物相互作用
1 薬物動態学的相互作用
a 消化管吸収過程における相互作用
b 代謝過程における相互作用
c 排泄過程における相互作用
2 薬力学的相互作用
B その他の変動要因
1 薬物の物理化学的要因
2 生体側の生理的要因
a 年齢
b 妊婦
c 疾病
d 遺伝的な要因
まとめ
参考文献
まとめ解答
索引
6年制薬学教育の指針となる薬学教育モデル・コアカリキュラムにおいては、生物薬剤学は「薬の効くプロセス」という大項目のなかの「薬の効き方‐薬物の臓器への到達と消失、薬物動態の解析」という項目に相当する。これらは薬物動態学や薬物速度論とよばれる薬学独特の学問分野であり、創薬・創剤技術者として医薬品の研究・開発に従事し、あるいは薬剤師として医薬品の適正使用を実践するうえで必須の内容である。加えて、近年のゲノム科学や薬理遺伝学の発展とともに生物薬剤学の分野も新しい知見が爆発的に増え、今日その学ぶべき内容は膨大なものとなっている。
このような状況を鑑みて、本書は、学ぶ内容をミニマムエッセンスに絞り込んで、生物薬剤学を学ぶ薬学生か平易に理解できるように企画された。もちろん、薬学共用試験CBTにも対応できるよう、薬学教育モデル・コアカリキュラムの到達目標を念頭においた構成となっている。なお、薬物速度論(ファーマコキネテイックス)は思い切って、本書の内容から削除した。この部分については他書で勉強していただきたい。
本書では、学習の“コンパス”となるよう、学習前にあらかじめ押さえておくべき項目や、学習した内容が他のどの部分につながるかを明示することで、学習内容を関連づけて理解できるように配慮した。また、図をできる限り多く取り入れることで、理解しやすい構成に心がけた。さらに、まとめと復習を兼ねて、各項目のポイントを穴埋め問題形式で入れてあり、理解の確認ができるようにした。
本書が薬剤師および薬学技術者をめざす薬学生のみならず、現場の薬剤師の方々が薬物の体内動態を理解するための参考書となれば幸いである。
2010年3月
岩城正宏
伊藤智夫