雑誌

別冊整形外科

No.57 股関節疾患の治療

up-to-date

編集 : 岩本幸英
ISBN : 978-4-524-27757-5
発行年月 : 2010年4月
判型 : A4
ページ数 : 238

在庫品切れ・重版未定

定価6,820円(本体6,200円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文

股関節疾患は大腿骨頸部骨折、先天性股関節脱臼、変形性股関節症、大腿骨頭壊死症など疾患数が多く治療法も多彩なため、数多くの優れた保存的治療や手術法が開発され、近年では人工股関節やコンピュータ支援手術、関節鏡をはじめとした低侵襲手術も行われている。本特集号では保存療法、装具療法、オリジナルな外科的治療法はもちろんのこと、創意工夫を加えた手術法、後療法まで幅広く取り上げた。

I.小児股関節疾患の治療
  先天性股関節脱臼―その発生素因と治療戦略
  先天性股関節脱臼保存的治療の進歩
  西尾式臼蓋形成術―Y軟骨が開存している小児で著しい臼蓋形成不全を呈する症例に対する新しい骨盤骨切り術
  早期診断・治療した乳幼児化膿性股関節炎
  単純性股関節炎の臨床像およびCairdの予測因子を用いた小児化膿性股関節炎との鑑別
  Perthes病保存的治療の進歩
  不安定型大腿骨頭すべり症に対する徒手整復と内固定による治療
  大腿骨頭すべり症に対するfemoroacetabular impingementを回避するための骨頭下頚部楔状骨切り術

II.成人股関節変性疾患の治療
1.変形性股関節症
1)骨切り術
  偏心性寛骨臼回転骨切り術の術前作図方法
  Chiari骨盤骨切り術の長期成績
  青壮年期の進行期および末期変形性股関節症に対する大腿骨外反屈曲骨切り術の有用性
2)人工股関節全置換術
  三次元下肢アライメント評価システムを用いた股関節における三次元的評価の試み
  人工股関節全置換術におけるカップ設置の術前アセスメント
  さまざまな変形性股関節症に対する三次元computer aided design and manufacturingを用いた手術方法の選択と術前計画
  原臼位臼蓋カップ設置ガイドの作成と臨床応用
  三次元術前計画ソフトを用いた人工股関節全置換術の術前計画
2.大腿骨頭壊死症
  大腿骨頭回転骨切り術における骨切りガイドの有用性
  大腿骨頭壊死症に対する大腿骨頭表面置換術
  Mayo骨温存型ステムの有用性
3.大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折
  大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折
  大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の治療
4.関節リウマチ
  関節リウマチにおける人工股関節全置換術
5.Femoroacetabular impingement
  Femoroacetabular impingementの診断と治療
  Femoroacetabular impingementに対する鏡視下手術の経験
  Femoroacetabular impingementに対するsurgical dislocation法の手術手技
6.人工関節後の弛み、感染
  細粒状骨移植を併用したセメントレスポーラスカップによる臼蓋側再置換術
  Impaction bone grafting法による股臼側人工股関節再置換術
  セメントレスロングステムを用いた人工股関節再置換術―有限要素法解析結果から得られた適切な遠位部横止めスクリュー刺入部位
  巨大近位大腿骨骨欠損に対するsegmental allograft compositeを用いた再建法
  人工股関節および人工骨頭感染例の検討
7.その他
  難治性化膿性股関節炎に対する筋皮弁移植術
  従来法では治療困難な難治性股関節傷病に対する有茎血管柄付き腸骨移植の有用性
  人工股関節全置換術後の周術期静脈血栓症への取り組み―未分画ヘパリンを用いて
  インプラント特徴点を用いた人工股関節のイメージマッチング
  Hip-spine症候群―変形性股関節症患者に合併する腰椎分離、すべりおよび変性側弯の疫学調査

III.腫瘍性疾患の治療
  股関節における滑膜性軟骨腫症の診断と治療
  股関節滑膜性骨軟骨腫症に対するsurgical dislocation法を用いた腫瘤摘出術
  股関節に発症した色素性絨毛結節性滑膜炎の診断・治療
  大腿骨近位転移性骨腫瘍に対する人工骨頭置換術後の予後と歩行機能
  骨転移による大腿骨近位病的骨折に対する腫瘍用人工骨頭置換術の治療成績
  股関節周囲の類骨骨腫に対するCTガイド下ラジオ波焼灼術

IV.外傷の治療
  True lateral viewを用いた大腿骨近位部骨折の治療
  大腿骨転子部骨折に対する治療法の選択
  大腿骨転子部・転子下偽関節の治療戦略
  大腿骨頚部疲労骨折の診断と治療
  大腿骨頚部骨折に対するanatomical large headを用いた人工股関節全置換術
  大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術の工夫―短時間手術をめざして
  最小侵襲セメント人工骨頭置換術の検討
  大腿骨頚部骨折に対するセメント人工骨頭置換術のポイント

股関節疾患は症例数が多く、各疾患に対する治療法も多彩です。そのため古くから整形外科領域の花形として大きな関心を集め、数多くの優れた保存的治療法や手術的治療法が開発されてきました。
 たとえば先天性股関節脱臼については、病因・病態が明らかになり、画期的な装具療法であるリーメンビューゲル法の普及、優れた手術法の開発により、治療成績が著しく改善されました。また、先天性股関節脱臼以外の小児股関節疾患についても、次々に優れた治療法が開発されました。変形性股関節症に対する骨切り術は、わが国オリジナルの数多くの術式が開発され、その有効性が立証されてきました。大腿骨頭壊死症に対する大腿骨頭回転骨切り術も、有効な術式であることが世界的に広く認知されています。人工股関節に関しては、数多くのアプローチの方法、優れたインプラントが開発され、ナビゲーションなどのコンピュータ支援手術もめざましい進歩を遂げています。さらに人工股関節の普及に伴い、revision surgery の技術も次第に発達してきました。高齢化社会を迎え、大腿骨頚部骨折は急増しており、手術法のみならず早期社会復帰に向けた後療法にも大きな進歩がみられます。最近のトピックスである関節鏡をはじめとした低侵襲手術は、股関節疾患に対しても行われています。たとえば、近年femoroacetabular impingementの概念が提唱され、その治療に鏡視下手術が応用されています。オリジナルの手術法を十分に理解、把握した上で、程度の多寡を問わずmodifyすることは有用であり、時代の要請でもあります。従来の方法にちょっとした工夫を加えることで手術手技が容易となり、治療期間を短縮できることがあるからです。
 以上のような背景のもとに、本号では「股関節疾患の治療‐up‐to‐date」と題した特集を組ませていただいたところ、保存的治療法、オリジナルな手術法、従来法に創意工夫を加えた手術法、コンピュータ支援手術などについて、珠玉の論文を数多くお寄せいただきました。本特集号が、読者の皆様の明日からの診療に役立ち、ひいては股関節疾患に苦しむ数多くの人々にとって大きな福音となることを願ってやみません。
2010年3月
九州大学教授
岩本幸英