雑誌

別冊整形外科

No.52 高齢者骨折に対する私の治療法

編集 : 岩本幸英
ISBN : 978-4-524-27752-0
発行年月 : 2007年10月
判型 : A4
ページ数 : 316

在庫品切れ・重版未定

定価6,600円(本体6,000円 + 税)


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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

高齢化社会を迎えたわが国では高齢者のQOL低下が今後の大きな社会問題となっており、その一大要因として骨折・転倒があげられる。本特集号では骨粗鬆症による上肢・脊椎・下肢骨折の治療法を柱に、最先端の外科的治療法やオリジナルな治療法、薬物療法や運動療法、また転倒予防を含む骨折の防止策からリハビリテーションの取り組みまで幅広く収載している。

I.骨粗鬆症に伴う上肢の骨折
1.上腕骨近位端
●高齢者上腕骨近位端骨折に対する最小侵襲プレート骨接合術
●高齢者の上腕骨近位端骨折に対する治療―新しい髄内固定材料を用いて
●上腕骨近位部骨折に対する髄内釘(Polarus Humeral Nail)の手技と適応
●高齢者における上腕骨近位端骨折に対する順行性直線型髄内釘法
●中高齢者の上腕骨近位端骨折に対する髄内釘固定の有用性
●高齢者上腕骨近位端骨折に対するロッキングコンプレッションプレートを用いた最小侵襲プレート骨接合術の治療経験

2.肘関節周囲
●高齢者上腕骨遠位端骨折に対する手術的治療
●上腕骨通顆骨折に対するヘッドレスコンプレッションスクリューによる治療
●高齢者の肘関節外傷に対する人工肘関節全置換術

3.橈骨遠位端
●高齢者の橈骨遠位端骨折に対する手術法の工夫
●高齢者の橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートによる治療
●高齢者の橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定法
●高齢者の橈骨遠位端骨折に対するロッキングプレート固定の治療成績


II.骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折(偽関節も含む)
1.保存的治療
●骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の保存的治療―基本的な考えと問題点
2.手術的治療
●骨粗鬆症性脊椎椎体骨折後偽関節に対する私の手術適応と工夫
●骨粗鬆症椎体骨折偽関節に対する経皮的椎体形成術─手術適応と術後長期成績
●骨粗鬆症性椎体偽関節に対するポリメチルメタクリレートによる経皮的椎体形成術─スクリューの併用と術後体幹ギプスの有用性
●新鮮脊椎圧迫骨折に大田棒で経皮的経椎弓根的整復後リン酸カルシウム骨ペーストを充填した椎体形成術―小児用膀胱バルーン使用の有無による比較
●胸腰椎移行部の骨粗鬆症性脊椎破裂骨折に対する局所麻酔下経皮的ハイドロキシアパタイト充填療法
●骨粗鬆症性椎体骨折後遅発性障害に対する手術的治療―後方インストゥルメントを併用したハイドロキシアパタイトブロックによるkyphoplasty
●骨粗鬆症性椎体偽関節に対する後方進入脊椎短縮骨切り術―超高分子量ポリエチレンケーブルを用いたLuque法

III.骨粗鬆症に伴う下肢の骨折
1.大腿骨頭
●大腿骨頭の軟骨下脆弱性骨折に対する人工骨頭置換術
2.大腿骨頚部・転子部
●大腿骨近位部骨折の予後―手術不能例・早期死亡例の増加
●大腿骨頚部・転子間骨折に対する早期手術の取り組み
●大腿骨近位部骨折患者における入院後感染症の検討
●大腿骨頚部骨折に対する新しい骨接合材料
●高齢者大腿骨近位部骨折に対する遠位固定型セメントレス大腿骨ステムの有用性―いわゆるトラブルケース3例
● Hansson Twin Hook System による大腿骨近位部骨折の治療
●Hansson Twin Hook Systemを用いたcompression hip screw法による高齢者大腿骨頚部骨折の治療経験
●大腿骨転子部骨折に対する髄内釘手術の問題点とその解決
●不安定型の大腿骨転子部骨折に対する整復操作の工夫
●90歳以上の大腿骨転子部骨折に対するProximal Femoral Nail Antirotationの使用経験
●高齢者の大腿骨転子部骨折に対するHanssonピン強斜位固定法
●大腿骨転子部骨折に対するAsian Intramedullary Hip Screw
●高齢者の大腿骨転子部骨折に対するAsian Intramedullary Hip Screw
●大腿骨頚基部骨折に対する最小侵襲手術の工夫
3.大腿骨顆部・顆上
●寝たきり状態の高齢者の大腿骨骨幹部骨折に対するEnder釘を用いた小侵襲手術
●高齢者に生じた大腿骨顆部・顆上骨折の治療成績
●高齢者の大腿骨顆部・顆上骨折の治療成績
●高齢者の大腿骨顆部・顆上骨折に対する逆行性髄内釘固定術─手術上のポイント
●高齢者の大腿骨顆部・顆上骨折に対する逆行性髄内釘の治療成績
●高齢者大腿骨遠位部骨折に対する最小侵襲プレート骨接合術
● 高齢者人工股関節周辺骨折に対するロッキングコンプレッションプレートを用いた最小侵襲プレート骨接合術の治療経験

4.足部
●高齢者の踵骨骨折に対して中空スクリューを用いた治療法

IV.転倒予防プログラム・リハビリテーションおよび装具
1.転倒予防教室
●短期間(6週間)転倒予防教室での運動機能の変化―1年後の転倒と骨折頻度
●エクササイズボールを用いた転倒予防教室
●各種疾患を伴う患者を対象とした病院内での転倒予防
2.転倒・骨折予防の生活指導・生活援助
●高齢者に対する転倒予防策
●パワーリハビリテーションが片麻痺を有する高齢者の運動機能、骨密度、軟部組織組成に及ぼす治療効果
3.ヒッププロテクター
●ヒッププロテクター装着に影響を与える因子の検討
4.寝たきりを防ぐ骨折後のリハビリテーション
●超高齢者における大腿骨近位部骨折術後歩行能力の検討
●大腿骨頚部骨折術後早期リハビリテーションの取り組み―地域連携クリティカルパス導入とその効果

V.骨粗鬆症に対する治療
1.骨折予防の薬物療法
●骨粗鬆症に対する薬物治療―服薬コンプライアンスあるいはアドヒアレンスの検討
●骨粗鬆症・骨折予防のための検査および薬物・運動療法
2.運動療法
●骨粗鬆症に対する皮膚冷刺激低負荷運動

わが国は現時点ですでに高齢化社会を迎えているが、その傾向は今後ますます顕著になるといわれている。国立社会保障・人口問題研究所による統計では、2004(平成16)年調査の日本人の平均寿命は男性78.6歳、女性85.6歳であり、男性・女性ともに世界一であった。また、老年人口の割合は2000年に17.4%であったが、2014年には25%台、2050年には35.7%の水準に達し、2.8人に1人が65歳以上となると推定されている。このような社会的背景から、加齢に伴う運動器疾患は確実に増加するであろう。すでに厚生労働省の統計データの「要介護者の原因」では“骨折・転倒”が上位にランクされており、骨折による高齢者のQOL低下が今後の大きな社会問題になると考えられる。この高齢者骨折に対する適切な治療と社会復帰への支援は、われわれ整形外科医の大きな使命である。
 高齢者骨折に対する最新の治療法の中には既存の教科書に記載されていないものがある。長年の経験に裏打ちされたオリジナルな治療法のうち、世の中に知られていないものも数多く存在する。また、近年研究が盛んになった転倒予防の取り組みについても最新の情報を得たい。
 以上のような考えのもとに、今回、「高齢者骨折に対する私の治療法」という特集を組んだところ、全国の先生方から55編という多数の論文をお寄せいただいた。
その内容は、最先端の外科的治療法から、保存的治療法、転倒予防を含む骨折の防止策にまで及んでおり、さわめて幅広く多彩な論文を収載することができた。誌面を借りて執筆された先生方に心から御礼申し上げたい。
 今回の特集号に集められた情報を全国の整形外科医が共有し、日常の診療に生かすことにより、骨折に伴うQOL低下に苦しむ国民が1人でも多く救われることを願ってやまない。
2007年9月
九州大学教授
岩本幸英