看護学テキストNiCE
小児看護技術改訂第2版
子どもと家族の力をひきだす技
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 今野美紀/二宮啓子 |
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ISBN | : 978-4-524-26852-8 |
発行年月 | : 2012年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 266 |
在庫
定価2,860円(本体2,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
『NiCE小児看護学概論』と対をなす小児看護技術の教科書。写真やイラストを多用したビジュアルな表形式で、根拠に基づいて技術を解説。子どもと家族(親)の力を最大限にひきだすためのコミュニケーション方法についても具体的に解説。改訂第2版では最新の知見に沿って救急救命処置技術を見直し、技術の根拠を追加したほか、一部の写真やイラストを改善した。
はじめに
第T章 アセスメント技術
1. 健康歴の聴取
A.健康歴の聴取に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
2 基本的な手技
3 健康歴の聴取の手順
skill 健康歴の聴取
2. 全身状態の把握
A.全身状態の把握に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
2 留意すべき子どもの権利と看護行為のあり方
3 全身状態の把握の手順
skill 全身状態の把握
3. バイタルサイン
A.バイタルサインの概要
B.体温測定に関する基礎知識
1 解剖・生理学、成長・発達の知識
2 使用する機器の知識
3 測定部位に関連した知識
トピックス 非接触式放射体温計
skill 腋窩検温
skill 直腸(肛門)検温
C.脈拍(心拍数)に関する基礎知識
1 解剖・生理学、成長・発達の知識
skill 脈拍測定
skill 心拍数測定
D.呼吸に関する基礎知識
1 解剖・生理学、成長・発達の知識
2 呼吸数を測定するそのほかの方法
skill 聴診器による呼吸数測定
E.血圧に関する基礎知識
1 解剖・生理学、成長・発達の知識
2 触診法による血圧測定
skill 聴診法による血圧測定(上腕動脈)
4. 身体計測
A.身体計測の概要
B.身長測定に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
skill 仰臥位での身長測定(乳児)
skill 立位での身長測定
C.体重測定に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
skill 仰臥位での体重測定(乳児)
skill 立位での体重測定
D.頭囲測定に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
skill 頭囲測定
E.泉門測定に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
skill 泉門測定
F.胸囲測定に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
skill 仰臥位での胸囲測定(乳児)
skill 立位での胸囲測定
G.腹囲測定に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
skill 腹囲測定
第U章 コミュニケーション技術―プレパレーション
1. プレパレーション
A.プレパレーションに関する基礎知識
1 小児の心理的混乱
2 プレパレーションとは
B.第1段階―通常の遊びを通したアセスメント
1 環境整備
2 遊びの計画
skill 通常の遊び
C.第2段階―入院オリエンテーションとプレイプレパレーション(情報提供)
1 入院オリエンテーション
2 プレイプレパレーションツール
3 発達段階別のプレイプレパレーションのポイント
4 場所
5 きょうだいの参加
6 同じ医療処置を受けた小児の参加
7 プレパレーションの計画
8 プレイプレパレーションの準備
skill 入院オリエンテーション
skill プレイプレパレーション
D.第3段階―ディストラクション
1 ディストラクションツール
2 発達段階別のディストラクションのポイント
skill ディストラクション
E.第4段階―処置後の遊び
1 処置後の遊びに使われるツール
トピックス プレパレーションの効果の測定方法
skill 処置後の遊び
トピックス プレパレーションに参画することに対する親の認識
第V章 検査・処置技術
1. 採血
A.採血に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 静脈血の採血/毛細血管血の採血
2. 採尿・導尿
A.採尿・導尿に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 採尿
skill 導尿
3. 咽頭・鼻腔培養
A.咽頭・鼻腔培養に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 咽頭・鼻腔培養
4. 骨髄穿刺・腰椎穿刺
A.骨髄穿刺に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 骨髄穿刺
B.腰椎穿刺に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 腰椎穿刺
5. 与薬
A.経口与薬に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 経口与薬
B.坐薬に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 坐薬の投与
C.注射に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 皮内注射
skill 皮下注射
skill 筋肉内注射
skill 静脈内注射
D.輸液管理・輸血に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 輸血の副作用
3 主な輸血製剤の取り扱い
skill 点滴静脈内注射
skill 輸血
E.点鼻・点耳・点眼に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 点鼻
skill 点耳
skill 点眼
F.吸入に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
3 吸入器の種類
skill ジェット式ネブライザーによる吸入
6. 吸引
A.鼻腔・口腔吸引に関する基礎知識
1 解剖・生理学、成長・発達の知識
skill 鼻腔・口腔吸引
B.気管内吸引に関する基礎知識
1 解剖・生理学、成長・発達の知識
skill 気管内吸引
7. 酸素療法
A.酸素療法に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
3 酸素療法の実施
skill 酸素療法
トピックス 酸素加湿について
8. 抑制
A.抑制に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 体幹の抑制
skill 四肢の抑制
トピックス 人権を尊重する看護
第W章 日常生活援助技術
1. 食事の援助技術(1)
A.食事に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
3 小児の食事・栄養の目的と意義
4 離乳食の援助に必要な知識
コーヒーブレイク 噛む力をつけよう
skill 調乳/授乳
skill 口唇口蓋裂の小児への授乳
skill 離乳食/介助方法
2. 食事の援助技術(2)―経管栄養
A.経管栄養に関する基礎知識
1 解剖・生理学、成長・発達の知識
skill 経管栄養
3. 清潔・衣生活の援助技術
A.清潔・衣生活に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill 沐浴および入浴
skill 清拭と陰部洗浄および殿部浴
skill うがいと歯磨き
skill 衣類の交換
4. 排泄の援助技術
A.排泄に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
skill おむつ交換
skill 肛門刺激(乳児)
コーヒーブレイク ストーマケア
skill 浣腸
5. 呼吸の援助技術―先天的な障害や病気により特別なニーズのある小児
A.呼吸に関する基礎知識
1 解剖・生理学の知識
2 成長・発達の知識
3 注意点とアセスメントの視点
skill 体位の工夫(体位変換、体位ドレナージ)
skill スクイージング
6. 移動の援助技術
A.移動に関する基礎知識
1 抱っこ
2 ベビーカー
3 車いす
4 ストレッチャー
skill 乳児の抱き方
skill ベビーカーでの移乗と移送
skill 車いすでの移乗と移送
skill ストレッチャーでの移乗と移送
コーヒーブレイク 抱っこやおんぶの補助具
7. 環境調整の技術―快適で安全なベッド環境整備
A.環境調整に関する基礎知識
1 成長・発達の知識
skill ベッドメーキング
skill 転倒・転落・外傷予防
コーヒーブレイク ベッド柵を利用したクッション
第X章 救急救命処置技術
1. 一次救命処置
A.一次救命処置に関する基礎知識
1 救命の連鎖
2 発達段階の違いと救命処置の流れ
3 一次救命処置のアルゴリズム
skill 乳児・小児の一次救命処置(流れ)
B.気道確保、胸骨圧迫、人工呼吸、AED
1 気道確保
2 胸骨圧迫
3 人工呼吸
4 AED(自動体外式除細動器)
skill 気道確保
skill 胸骨圧迫
skill 人工呼吸
skill AED
2. 二次救命処置
A.二次救命処置に関する基礎知識
1 二次救命処置
コーヒーブレイク 急変時の対処に自信をつけるには?
skill 二次救命処置
コーヒーブレイク 救命処置時の家族の立会い
索引
本書の初版は2009年5月に発行されました。それから現在までの間に、CoSTR 2010(心肺蘇生と救急心血管治療における科学と治療勧告についての国際コンセンサス)をふまえて日本で策定された、心肺蘇生と救急心血管治療のための「JRC(日本版)ガイドライン2010」が出されました。そして、それに沿った乳児・小児の一次救命処置のアルゴリズムが示されました。そこで本書の改訂第2版では、救急救命処置技術の見直しを行いました。また、本改訂では、この間に報告された新たな知見を実施の根拠に加え、写真やイラストを活用することによって実施の記述の理解が容易となり、より正確な看護技術の実施を導くような点から、一部の写真とイラストを改めました。さらに、読者の方々から頂いた貴重なご意見を検討し、実施の記述が抽象的であった箇所は、具体的な行動を導きやすくするように改めました。また、全体的には簡潔明瞭な記述となることを心がけました。
これまでの小児看護の実践のなかでは、小児にとって侵襲的な検査や処置時には親子が引き離され、小児の力は過小に評価されて身体は抑制され、小児の安楽や権利へ配慮した状態とは言いがたく、医療者主導のケアが散見されていました。しかし1994年、わが国は「児童の権利に関する条約」に批准し、1999年には日本看護協会から小児看護領域の業務基準「小児看護領域で特に留意すべき子どもの権利と必要な看護行為」が提示されました。しだいに看護のなかでも子どもの権利を尊重する機運が生じ、子どもが大切に扱われ、安全で安楽に配慮した看護とは何かが探求されつつあります。
一方、今日の小児医療をとりまく状況として、入院期間の短縮化、小児病棟の閉鎖と小児が入院する混合病棟の増加などがあります。そのため、今後は小児病棟以外の場でも小児をケアする機会が増し、親や家族に対してケアする方法を教授する役割が看護師に期待されています。
本書の特長
本書では、小児を「権利をもつ存在」と捉え、医療のなかで脅かされがちな権利が奪われることなくケアが進められる方法を提示するよう努めました。家族のあり方が多様化した今日ですが、小児の養育者役割を担っているものを本書では「親」としており、医療を受ける小児にとって、親は心の拠り所であることを前提としています。そして親が子どもの心の拠り所として機能するには、親(家族全体)に子どもを支える力がなくてはなりません。看護師には家族の力をひきだし、力づける援助が求められています。看護師にとって親は小児を支援するパートナーであり、双方の立場で協力し合うことによって、小児を尊重した安全で安楽なケアの実践基盤が整えられます。本書では、小児が1人でケアにのぞんだ場合の方法だけではなく、親が同席する場合に力を発揮できる方法についても紹介しています。小児看護に携わる看護師に必要とされる技術には、アセスメント技術、コミュニケーション、日常生活の援助技術、検査・処置の介助などがあります。本書では、小児と接するあらゆる場で必要となる技術を選び、その技術を安全・安楽に実施する方法や小児の解剖・生理、成長・発達に関する不可欠な知識についても記しました。各技術については、看護基礎教育課程の学生の皆さんが、「何をアセスメントし、どのような物品・手順で行うか」、「副作用・合併症があった場合に症状を把握し、その対応をどうするか」、「どのようなことを記録・報告するか」を理解しやすいよう、おのおのの実施方法をステップに分け、表形式にしてイラストや写真を多用しました。実施時には小児と親に「無理強い」することなく、少しでも彼らが主体的にケアに参加できるよう、彼らの力をひきだす技についても具体的に述べました。
第T章では、「アセスメント技術」として、発達段階を考慮した小児の健康状態、成長・発達の状態をアセスメントする方法について示しました。第U章では、「コミュニケーション技術−プレパレーション」として、小児の緊張を和らげ、病気・医療処置への理解と心の準備を助け、小児に接近していく技術として遊びを取り入れた方法とプレパレーションについて述べました。第V章では、「検査・処置技術」として、検査・処置の目的が遂行されるために安全で正確な実施方法を示すことに加え、小児の心身の苦痛ができるだけ少なく、かつ本人の意思が尊重されながら行われる倫理的な方法について述べました。第W章の「日常生活援助技術」では、どのような健康状態であってもケアが必要であるため、主に乳幼児をケアするうえで頻繁に用いられている技術を選択しています。健康な小児の発達段階に応じたケアの方法を中心に述べましたが、先天的な障害や病気などによって特別なニーズのある小児へのケアについても含めました。第X章では、「救急救命処置技術」として、小児の急変時に備えて、小児にかかわる看護師なら誰でも習得することを目指した一次救命処置の方法を中心に述べましたが、二次救命処置技術の方法についてもとりあげました。また、本文の内容に関連し、小児看護技術の最新の話題、注目を集めていることなどの余話をコラム(トピックス、コーヒーブレイク)として入れました。
なお、本書と対をなす『小児看護学概論−子どもと家族に寄り添う援助(改訂第 2 版)』では、小児看護を学ぶうえで基本となる理論と根拠に基づく実践的知識を集積し、多くの事例を取り入れ、小児と家族へケアを展開する際の思考過程が理解できるよう構成しています。
小児看護学を初めて学ぶ学生の皆さんに講義、学内演習、実習で広く活用していただくとともに、実践の場で活躍されている看護師の方々にも活用していただければ幸いです。また、本書に対するご意見やご感想などもぜひお寄せください。
2012年10月
今野美紀
二宮啓子