健康・栄養科学シリーズ
食べ物と健康 食品の加工
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 |
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編集 | : 太田英明/北畠直文/白土英樹 |
ISBN | : 978-4-524-26848-1 |
発行年月 | : 2015年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 222 |
在庫
定価2,640円(本体2,400円 + 税)
正誤表
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2016年03月31日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
健康や栄養に深く関わる食品表示と制度、規格基準、また、食品の生産から加工・流通・貯蔵・包装の方法、各食品の加工法、加工食品の特徴など、身近な食品を扱う際に必須の知識をわかりやすく学べるよう解説。化学の知識を復習しながら効果的に理解できるよう構成。最新トピックのコラム、章末の練習問題も充実。管理栄養士国家試験出題基準「食べ物と健康(5、6)」に準拠。「食べ物と健康I 食品の科学と技術」の改訂新版。
第1章 食品の加工
A.食品加工の意義・目的
1 可食化
2 安全性の確保
3 嗜好性の確保
4 栄養性・機能性の向上
5 保存性の向上
6 利便性・簡便性の付与
7 経済性の改善
第2章 食品の表示と規格基準
A.食品の表示の種類と規格基準
1 期限表示
2 成分表示
3 品質表示基準
4 新しい食品表示法の概要
B.健康や栄養に関する表示の制度
1 栄養表示制度
2 保健機能食品制度
3 特別用途食品
4 いわゆる健康食品の概略
第3章 食品流通・保存と栄養
A.生産条件と栄養
1 生産地と栄養成分
2 収穫時期と栄養成分
3 栽培条件と栄養成分
B.食品流通の概略
1 食品の特性・品質と流通
2 食品流通の特徴
3 主な食品の流通
C.保存による栄養成分の変化とその制御
1 呼吸と蒸散
2 酵素による成分変化
3 酸化
D.環境条件による食品・栄養成分変化
1 温度
2 水分
3 空気組成、ガス環境
4 pH
5 光
E.食品保存の方法
1 低温による保存
2 水分活性の調節による保存
3 空気組成の調節による保存
4 pH低下による保存
5 食品照射による保存
6 燻煙による保存
7 食品添加物による保存
8 殺菌による保存
F.各食品の保存上の特徴
1 穀類
2 いも類
3 野菜・果実
4 食肉
5 魚介類
第4章 食品加工と栄養、加工食品とその利用
A.食品加工の方法
1 物理的操作
2 化学的操作
3 生物学的操作
B.食品加工にともなう食品・栄養成分の変化
1 物理的変化
2 化学的変化
3 生化学的変化
4 生物的変化
C.食品成分間反応
1 成分間反応による食品特性の変化
2 代表的な食品成分間反応
3 成分間反応によるたんぱく質や色素の変化
第5章 植物性食品の栄養と加工
A.穀類
1 米
2 小麦
3 とうもろこし
4 その他の穀類
B.いも類
1 じゃがいも
2 さつまいも
3 こんにゃくいも
4 その他のいも類
C.豆類、種実類
1 大豆加工食品
2 大豆以外の加工食品
3 種実類
D.野菜類、きのこ類
1 漬物
2 トマト加工品
3 ウスターソース類
4 野菜ジュース
5 乾燥野菜
6 きのこ類の加工品
E.果実類
1 ジャム類
2 果実飲料
3 砂糖漬け
4 缶詰・びん詰
5 乾燥果実
6 冷凍果実
F.藻類
1 藻体の加工食品
2 成分抽出利用
第6章 動物性食品の分類と加工
A.肉類
1 食肉の加工方法
2 ハム、ベーコン類
3 ソーセージ類
4 プレスハム
5 熟成加工食肉類
6 ハンバーガーパティ類
7 缶詰、乾燥食肉類
B.魚介類
1 水産加工品の特徴
2 水産加工品
C.乳類
1 牛乳および乳製品の種類
2 飲用乳
3 発酵乳・乳酸菌飲料
4 練乳
5 粉乳
6 クリーム
7 アイスクリーム類
8 バター
9 チーズ
D.卵類
1 鶏卵の一次加工品
2 鶏卵の二次加工品
第7章 油脂、調味料、香辛料、嗜好飲料の栄養と加工
A.食用油脂
1 油脂の分類
2 植物油脂
3 動物油脂
4 加工油脂
B.甘味料
C.調味料
D.香辛料
1 香辛料抽出と製造法
2 発酵と主要化学成分
3 加工香辛料
E.嗜好飲料
1 緑茶類
2 ウーロン茶
3 紅茶
4 コーヒー
5 ココア
6 その他
第8章 微生物利用食品、その他の食品の栄養と加工
A.微生物利用食品
1 アルコール飲料
2 発酵調味料
3 その他の微生物利用食品
B.その他の食品
1 調理済み食品
2 冷凍食品・チルド食品
第9章 器具と容器包装
A.容器の材料・形態
1 容器の材料
2 容器の形態
B.包装による食品・栄養成分の変化
1 重量変化
2 味および栄養価の変化
C.包装による品質変化
1 色調変化
2 におい変化
D.素材による環境汚染
1 内分泌攪乱化学物質
2 容器リサイクル
参考図書
練習問題解答
索引
はじめに
平成14年に施行された管理栄養士養成課程の新たなカリキュラムの教育内容は、管理栄養士が傷病者の栄養指導を担うだけでなく治療方針の策定に参画する機会が増えることにも配慮しており、広義の栄養科学の進展のために大変喜ばしいものであった。同年にその内容に沿って国家試験出題基準(ガイドライン)がとりまとめられ、平成17年度(第回)以降の国家試験の範囲と水準が明示された。その改定において、これまで「食品学総論」、「食品学各論」、「食品加工学」、「食品衛生学」、「調理科学」といった名称で講義が行われていた科目が、食品関連分野として「食べ物と健康」という1つの分野にまとめられ、栄養科学の基礎専門科目として位置付けられた。
その後の管理栄養士を取り巻く状況や学術の進歩に合わせて改定された国家試験出題基準(平成22年)では、「食べ物と健康」の出題のねらいとして、(1)食品の分類及び成分を理解し、人体や健康への影響に関する基礎的知識を問う、(2)食品素材の成り立ちを理解し、食品の生産から加工、流通、貯蔵、調理を経て人に摂取されるまでの過程における安全性の確保、栄養や嗜好性の変化についての理解を問う、(3)食べ物の特性をふまえた食事設計及び調理の役割の理解を問う、の3点が挙げられた。
食品の原料は、岩塩や海水から精製される食塩などを除いて、そのほとんどが動植物、すなわち生物であり、腐敗、品質劣化が起きやすい。このため、保蔵性を付与し、食べやすく嗜好性を高めた加工食品は、現代食生活において不可欠である。食品加工の科学技術の発展は日進月歩であり、その適用範囲は急速に拡大している。栄養指導・栄養管理を行う管理栄養士・栄養士は、業務として食品の表示と規格、食品素材の特性、食品加工の基礎知識に精通することが求められている。
2007年に刊行された、本書の前身にあたる『食べ物と健康I−食品の科学と技術』では平成22年の出題基準の改定に対応することが難しくなったため、その編集方針を受け継ぐべく、本書『食べ物と健康−食品の加工』ならびに『食べ物と健康−食品の科学』を企画・刊行した。本書は『食品の科学』同様、管理栄養士養成施設における教育・研究に実績がある専門家を中心に執筆者を厳選し、食品表示・規格、食品加工・保蔵の原理から生産・加工・流通過程の栄養と品質変化、加工食品について、詳細に解説した。限られた紙面ではあるが、管理栄養士国家試験出題基準に照らし合わせ、基礎から応用へ導く視点で構成されている。
執筆者の積極的な協力を得て上梓された本書は、管理栄養士養成施設に相応しい特長をもった教科書であると確信しているが、なお足りない点もあるのではないかと危惧する。これらについては読者諸賢のご指導を賜わり、より良い教科書に改訂していきたい。
2015年2月
編集者を代表して
太田英明