柔道整復
衛生学・公衆衛生学改訂第5版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 公益社団法人全国柔道整復学校協会 |
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編集 | : 鈴木庄亮/小川正行/横山和仁/黒沢美智子 |
ISBN | : 978-4-524-26244-1 |
発行年月 | : 2011年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 280 |
在庫
定価5,500円(本体5,000円 + 税)
正誤表
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2013年03月11日
第1刷・第2刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
柔道整復師を目指す学生向けに、衛生学・公衆衛生学習得に必要な基礎知識をわかりやすく解説した教科書。今改訂では、統計数値を更新するとともに、最新の関連法規、社会動向に対応して記述を一新。章構成にも工夫を凝らし、より理解しやすい章立てとした。柔道整復師国家試験出題基準に準拠。
1 衛生学・公衆衛生学の歴史と公衆衛生活動
A 衛生学・公衆衛生学の歴史
B 公衆衛生活動
1 人口統計および保健衛生統計
2 健康教育
3 試験検査と環境保健
4 保健福祉サービスおよび保健福祉事業
5 保健医療計画と行政
6 公衆衛生活動の分類
a.疾病予防活動・健康増進・健康の危機管理
b.環境保健活動
c.栄養改善運動
d.食品衛生
e.保健・医療・福祉制度の管理運営
2 健康の概念
A 健康の語源と理解
B 健康を維持するうえでの生活の役割
C 慢性疾患と生活
1 生活環境
2 食物と食事
3 アルコール性飲料
4 喫煙
5 運動
6 睡眠
D 健康の測定
1 人口統計
a.人口ピラミッド
b.人口静態統計と人口動態統計
2 健康水準
3 健康指標
a.死亡をもとにした指標
b.出生をもとにした指標
c.世帯と医療機関への調査をもとにした指標
d.その他の健康指標
3 疾病予防と健康管理
A 疾病の自然史と予防
B 病因と危険因子
C 疾病予防の段階
1 一次予防
a.健康増進(管理)・健康教育
b.特異的予防
2 二次予防:早期発見と早期治療
3 三次予防
a.悪化防止(能力低下防止)
b.リハビリテーション
D 加齢・生活習慣と疾病
E 健康管理のスペクトラムと活動の構成
F 集団検診
G 健康管理の技法
H 健康管理の今後
4 感染症の予防
A 感染症とは
1 感染と発病
2 感染症成立の条件
a.感染源
b.感染経路
c.宿主の感受性
3 ウイルス感染症
a.気道疾患を起こすウイルス感染症
b.神経疾患を起こすウイルス感染症
c.ヘルペスウイルス感染症
d.ウイルス性肝炎
e.発疹を起こすウイルス感染症
f.その他のウイルス感染症
4 細菌感染症
a.グラム陽性球菌感染症
b.グラム陰性球菌感染症
c.腸内細菌感染症
d.嫌気性菌感染症
e.抗酸菌感染症
f.その他の細菌感染症
g.マイコプラズマ感染症など
5 その他の感染症
a.クラミジア感染症
b.リケッチア感染症
c.スピロヘータ感染症
d.原虫感染症
e.真菌感染症
f.寄生虫疾患
6 院内感染
7 最近の感染症の動向
B 感染症の予防対策
1 感染症予防の原則
2 感染源対策
a.外国からの感染症侵入の防止
b.国内における流行防止対策
3 感染経路対策
4 感受性宿主対策
5 予防接種
a.目的と意義
b.ワクチンの種類
b─1:弱毒生ワクチン
b─2:不活化ワクチン
c.予防接種の種類と実施方法
5 消毒
A 消毒とは
1 消毒の意義
2 消毒法の目的による分類
3 消毒法の条件
a.消毒法に望まれる条件
b.消毒薬の効力を左右する条件
4 消毒実施上の注意
a.患者消毒と予防消毒
b.消毒の対象
5 微生物の種類と消毒に対する強さ
B 消毒の種類と方法
1 理学的消毒法
a.日光消毒
b.紫外線消毒
c.焼却法
d.乾熱滅菌法
e.低温消毒法
f.その他の消毒法
2 化学的消毒法
a.消毒薬の選択
b.消毒方法
c.消毒の基本
C 消毒法の応用
1 手指の消毒法
a.機械的清拭法
b.化学的清拭法
2 皮膚の消毒法
3 施術における消毒
a.施術者
b.施術所
4 水の消毒
5 院内感染対策と消毒(感染症の予防)
a.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
b.肝炎ウイルス
c.エイズ
d.スタンダード・プリコーション(標準予防策)
6 環境衛生(環境保健)
A 環境とは
1 非生物的環境(無機的環境)
2 生物的環境(有機的環境)
3 人工的環境
B 人間(主体)─環境系
C 生体における量─影響関係
D 環境問題
1 世界人口の急増
2 地球環境の温暖化
3 再生不能な資源の枯渇
4 熱帯雨林の消失
5 生物種の減少(生物多様性の保全対策)
6 砂漠化
7 酸性雨
8 フロンによるオゾン層の破壊
E 環境の把握
F 環境の評価
G 物理的環境要因
1 気温、湿度、気流、輻射熱
a.測 定
b.暑熱や寒冷の影響─気候と健康
2 気候─気候と疾病
3 騒 音
4 電離放射線
H 化学的環境要因
1 化学物質に対する考え方
a.侵入経路
b.毒性および毒性試験
c.その他の指標
2 化学的環境要因
a.健康と直接関係する物質
b.健康に対して間接的に影響を及ぼす物質
c.通常、健康にほとんど影響のない物質
d.新しい物質
3 喫煙と健康
I 生物的環境要因
J 公害
a.ことばの由来
b.公害の考え方
c.歴史
d.わが国の公害の定義と特徴
e.わが国の4大公害訴訟
f.わが国の環境問題
g.地球規模からみた環境問題
K 空気の衛生と大気汚染
a.空気と人間
b.体温調節に及ぼす空気の影響
c.空気の性状
c─1:空気の正常成分
c─2:空気の異常成分
L 環境のアセスメントとモニタリング
M 環境基準とその設定
N 環境政策と環境行政
O 地球環境の管理
P 最近の環境問題
a.化学物質
b.内分泌かく乱物質
c.石綿(アスベスト、いしわた、せきめん)
7 生活環境・食品衛生活動
A 水の衛生と水質汚濁
1 上水
2 下水
3 水質汚濁
a.健康被害
b.生活環境被害
c.今後の問題
B 衣服
1 衣服の目的と求められる質
2 衣料用繊維の性質と皮膚の衛生
3 繊維の加工剤の皮膚への影響
C 住居
1 健康な住居の原則
2 屋内の空気汚染による健康影響
3 住居内のカビ、害虫、ネズミと健康被害
D 食品
1 食品中の病原菌による健康被害
2 食品中の有害化学物質による健康被害
3 動物性自然毒、植物性自然毒による中毒
E 食品衛生活動
1 監視施設
a.食品関係営業施設
b.監視指導
2 輸入食品の監視
3 食品の安全対策
F 栄養改善活動
1 制度の概要
2 栄養対策の現状
3 日本人の食事摂取基準(栄養所要量)
a.エネルギー
b.栄養素
G 廃棄物処理
1 廃棄物の種類
2 廃棄物処理
H 消費者保健活動
8 母子保健
A ライフサイクルと母子保健
1 ライフサイクル
2 ライフサイクルと有害因子
B 母と子のかかわり
1 母体と胎児
2 母子相互作用
C 母子保健の指標
1 乳児死亡
2 周産期死亡
3 幼児死亡
4 死 産
5 妊産婦死亡率
6 母性保健
7 小児保健
a.発育・発達の経過
b.発育・発達の年次推移
D 母子保健行政
E 母子保健対策
F 家庭保健の現状
G わが国の母子保健事業の成果と今後の動向
9 学校保健
A 学校保健の意味
B 学校保健対策(領域と構成)
C 保健教育と保健管理の特質
D 学校保健の組織と運営
1 学校保健関係職員
a.常勤の主な保健関連担当者
b.非常勤の担当者
2 学校保健組織活動
E 学校保健管理
1 健康診断
2 健康相談
3 感染症予防
F 学校環境管理
G 保健教育
1 教育課程における保健教育の構成
2 保健学習
3 保健指導
H 学齢期の健康状況の統計
I 応急手当(応急処置)
J 健康異常の新しい傾向
10 産業保健
A 産業保健の目的
B 働く人々の健康問題史
C 最近の職場の特徴
1 就業者と雇用者
2 失業率、フリーター、ニート
3 産業別人口の推移
4 労働時間
5 職場ストレスの増加
6 労働者の自殺
D 労働災害の動向
1 労働災害と業務上疾病の発生状況
2 産業疲労
3 メンタル・ヘルス不調による労災
4 労災補償
E 職業病とその対策
1 物理的環境因子による健康障害
a.熱中症
b.減圧症
c.騒音性難聴
d.振動障害
e.放射線障害
2 化学的な要因による障害
a.一酸化炭素中毒
b.酸欠症
c.有機溶剤中毒
d.金属中毒
e.じん(塵)肺
f.職業性皮膚障害
g.職業性喘息
h.職業がん
3 作業態様に起因する障害
a.頸肩腕障害
b.腰痛症
c.VDT作業による健康障害
F 職場における健康診断と健康増進
1 一般健康診断
2 特殊健康診断
3 臨時の健康診断
4 健康保持増進事業
5 作業関連疾患
G 勤労者の生活と余暇
H リハビリテーションと職場復帰
1 労災リハビリテーション作業所
2 職場復帰(復職)
11 成人・高齢者保健
A 成人・高齢者の健康状態
B 成人・高齢者の有訴者率、受療率
C 成人保健(成人病から生活習慣病へ)
1 がん(悪性新生物)
2 脳血管疾患(脳血管障害)
3 心疾患(心臓病)
a.慢性リウマチ性心疾患
b.虚血性心疾患
c.肺循環疾患およびその他の型の心疾患
4 高血圧性疾患
a.本態性高血圧症
b.血圧分類と高血圧の病期分類
5 糖尿病
D 高齢者の生活と高齢者保健・福祉対策
1 高齢者医療確保法
2 認知症高齢者支援対策
3 高齢者福祉対策
4 介護保険
12 精神保健
A 精神保健の定義と歴史
B 精神の病気
1 統合失調症
2 心身症
3 不安障害
a.パニック発作
b.広場恐怖
c.心的外傷後ストレス障害(PTSD)
d.その他
4 発達障害
a.精神遅滞
b.学習障害
c.運動能力障害(発達性協調運動障害)
d.コミュニケーション障害
e.広汎性発達障害
f.その他
5 摂食障害
6 物質関連障害
7 パーソナリティー障害
8 認知症
9 気分障害
10 神経症
11 その他の精神障害
a.適応障害
b.身体表現性障害
c.一般身体疾患による精神疾患
d.その他
C 精神保健活動とその原則
13 地域保健と国際保健
A 地域とその特徴
B 地域社会のとらえ方
1 都市化・情報社会化
a.農村社会の縮小
b.都市化
c.ネット(ワーク)社会
d.健康都市
2 核家族化・単身世帯化
C 地域保健とは
a.プライマリ・ヘルス・ケアの展開
b.ヘルス・プロモーション
c.高齢者の保健・医療・福祉
D 地域保健活動
1 保健活動の対象者
2 地域保健活動の進め方
3 地域保健活動の現状
E 保健に関する国際協力と世界保健機関
1 WHOの活動
2 日本とWHOとの関係
3 国際的な環境保全戦略
4 二国間医療協力
5 国際協力の経済的側面
14 衛生行政と保健医療の制度
A 衛生行政の考え方
B わが国の衛生行政機構(組織)の概要
1 国
2 都道府県
3 保健所
4 市区町村
C 関連機関の役割
D 保健医療行政の財政
1 国の予算
2 地方公共団体の保健医療行政予算
E 医療施設
1 病院
2 診療所
F 保健医療従事者
G 医療保険
1 制度の概要
2 保険給付
a.被用者保険、全国健康保険協会(協会けんぽ)など
b.国民健康保険
c.高齢者医療
H 公費(負担)医療
I 国民医療費
1 国民医療費の動向
2 国民医療費の分析
a.一般診療、歯科診療、薬局調剤別にみた医療費
b.年齢階級別にみた医療費
c.傷病別にみた医療費
d.財源別にみた国民医療費
J 健康づくり
K 保健・医療・福祉関係の法規
15 医療の倫理と安全の確保
A 医療および公衆衛生活動の問題と倫理
a.医療の倫理関係の問題
b.公衆衛生活動に伴う問題と倫理
B 医療の安全の確保
1 国の対策
a.医療機関における安全対策
b.医薬品・医療用具等にかかわる安全性の向上
c.医療安全に関する教育研修
d.医療安全を推進するための環境整備等
2 用語の解説
a.医療事故
b.医療過誤
c.ヒヤリ・ハット事例
3 医療事故の防止
a.失敗、エラーおよび違反
b.医療事故の要因
c.インシデント・レポート
d.医療事故防止の方策
e.院内感染防止
f.医療安全と柔道整復師
4 医療裁判
a.医療訴訟とは何か
b.法的根拠
c.インフォームド・コンセント
16 疫学
A 疫学とは
1 疫学の意義
2 疫学の方法
B 病因論:疾病の成り立ち
C 集団の健康状態の把握
1 調査対象(全数調査と標本調査)
2 異常者数の把握
3 危険曝露人口の把握
4 比と割合と率
5 有病率、罹患率、死亡率
a.有病率
b.罹患(発生)率
c.死亡率
6 標準化(年齢調整)
D 調査方法
1 記述疫学
2 分析疫学
a.コホート研究
b.症例対照研究
c.2つの分析疫学研究の長所と短所
3 既存資料を用いた生態学的研究
4 調査方法によるエビデンスのレベル
E 調査結果の解釈と評価
1 バイアス
a.選択バイアス
b.情報バイアス
2 交絡
3 因果関係
F 国際疾病分類ICD─10
索引
本書、社団法人全国柔道整復学校協会監修の教科書『衛生学・公衆衛生学』は、1995(平成7)年の初版以降、1998(平成10)年の改訂第2版、2003(平成15)年改訂第3版、2007(平成19)年の改訂第4版と中規模の改訂を行い、それぞれの中間年には保健統計などの数値更新を含む小改訂を15年にわたって行ってきた。
この度、新しい時代に対応するために多数の執筆者の交替を行い、内容も大幅に刷新して、大改訂の『衛生学・公衆衛生学改訂第5版』を送り出すことになった。
私たちは幼児期、および小中高校時代は「保健」の名のもとに、健康な生活習慣が身につくように躾けられ、学習してきた。この保健学習をさらに詳しく専門的にしたのが「衛生学・公衆衛生学」であるといってもよい。人々の傷病を予防し健康を保持・増進するためには、家庭・学校・職場・地域社会において、生活環境、食事と栄養、活動と休養などが適正で、そのための法律・制度と施設・機関などがよく整備・活用されることが必要である。
医学はますます進歩し、医療は高度になりかつ専門分化が進んでいる。他方で医療は全人医療(プライマリ・ケア)がひき続き重要視されている。患者側の多様なニーズに対するためには、多くの専門家(機関)の間の連携が必要である。柔道整復師もコメディカルの一端を担う存在であるから、高齢者と生活困窮者が増える中、現行の日本の保健・医療・福祉の現状をよく知らねばならない。
本書は、社団法人全国柔道整復学校協会の監修のもとに、柔道整復師国家試験出題基準にも沿った改訂がなされた。柔道整復の施術自体も関係する「医療の倫理と安全の確保」は新しく章を起した。また、「疫学」の章は必要事項に限定した。第6、7章の環境と食品関係は書きかえ、「第10章産業保健」は新しく書き下ろした。
本書の製作に当たって、同協会の教科書委員会と加盟校の教師側の具体的なご要望ご指摘を頂いて、必要な改善を行うことができた。記して感謝する。
できあがった本書は最新の必要な内容が盛られ正確に記述されたと自負しているが、ご使用各位には引き続きご叱声を頂き、一層良い教科書にしていきたい。
2011年2月吉日
著者代表 鈴木庄亮