看護学テキストNiCE
精神看護学I 精神保健・多職種のつながり改訂第2版
こころ・からだ・かかわりのプラクティス
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 萱間真美/野田文隆 |
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ISBN | : 978-4-524-25763-8 |
発行年月 | : 2015年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 184 |
在庫
定価2,310円(本体2,100円 + 税)
サポート情報
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2020年08月01日
最新情報に基づく補足(第1〜6刷) -
2017年02月09日
内容の一部補足のお知らせ(第1刷)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
精神看護学の基礎の理解を図れるように必要な知識をやさしく解説したテキスト。今改訂ではフルカラー化と2分冊化を実現。前版で好評だったケア対象者へのバイオ・サイコ・ソーシャルな側面からのアセスメントモデルの解説はそのままに、事例を用いて精神症状の理解を促す構成とした。精神保健、多職種連携、関連法規についての記述も充実させ読者の要望に応えた一冊。
はじめに
第I章 精神看護はどんな活動か
1.ケア対象者はどんな体験をしているのか
2.ケア対象者をトータルに理解するには−バイオ・サイコ・ソーシャルモデルを使って生物学的・心理学的・社会的側面から理解を深めよう
A.基本的な理解
B.バイオ・サイコ・ソーシャル(生物学的・心理学的・社会的)モデルとは
C.バイオ・サイコ・ソーシャル(生物学的・心理学的・社会的)な理解とは
D.バイオ・サイコ・ソーシャル(生物学的・心理学的・社会的)な看護を可能にするには
3.看護師は何をするのか−精神看護の目標と役割
A.ケア対象者が自分の力を信じられる援助
B.ケア対象者の安全と安寧を守る
C.よりよい状態を目標に
D.バイオ・サイコ・ソーシャルモデルによる疾病と障害の理解
4.多職種との協働−チーム医療
A.チーム医療とは何か
B.精神科でのチーム医療の必要性
C.チーム医療における各職種の役割
1.精神科医
2.精神保健福祉士
3.作業療法士
4.心理専門職
5.薬剤師
6.管理栄養士
7.ピアサポーター
D.病院におけるチーム医療と看護
E.地域におけるチーム医療と看護
F.リエゾンチームと看護師の役割
5.精神医療の歴史的変遷
A.世界における精神医療の歴史的変遷
B.日本における精神医療の歴史的変遷
C.近年における治療法と法制度の発展
D.日本における精神科看護者の出現
E.最近の精神保健の動向
6.人権を守るために−精神看護における基本的人権と倫理的問題
A.人権とは
B.医療者が行うべき倫理的配慮
C.とくに精神科医療場面で注意すべきこと
D.原則と倫理綱領
E.守秘義務と個人情報の保護
F.患者の権利と人間の尊厳
第II章 ライフサイクルと精神保健
1.ライフサイクルと精神看護の課題
A.エリクソンのライフサイクルにおける心理・社会的発達論
B.ライフサイクルに伴う危機状況
C.ライフサイクルから見た精神看護
2.周産期の精神の健康
A.マタニティ・ブルー
B.産後うつ病
C.新生児・乳児の母子相互関係
3.乳幼児期から学童期の精神の健康
A.児童虐待
B.いじめ
4.思春期と青年期の精神の健康
A.思春期と青年期にみられるメンタルヘルス上の問題
B.ケアと支援のポイント
5.成人期の精神の健康
A.成人期にみられるメンタルヘルス上の問題
B.産業場面や福祉との連携と看護の役割
C.自殺予防
6.老年期の精神の健康
A.老年期にみられるメンタルヘルス上の問題
B.老年期うつ病
C.認知症
第III章 事例から学ぶリエゾン精神看護
1.リエゾン精神看護とは
A.リエゾン精神看護の歴史と発展
B.リエゾン精神看護師の役割
C.リエゾン精神看護の対象者
D.リエゾン精神看護師の活動
2.身体症状症と病気不安症
3.睡眠障害・不眠
4.不安
5.抑うつ
6.怒り
7.拒絶・拒否
8.幻覚妄想
9.せん妄
10.拘禁反応・症状
11.看護師のメンタルヘルス
第IV章 精神保健と法律
1.精神保健関連法規
A.精神保健福祉法
B.障害者自立支援法から障害者総合支援法へ
C.障害者総合支援法
D.心神喪失者等医療観察法
E.児童虐待防止法
F.DV防止法
G.個人情報保護法
2.精神医療福祉の現状と課題
A.長期入院者の地域移行
B.長期入院を生み出さない急性期ケアの確立
C.地域ケアの充実
D.身体合併症ケアの充実
E.課題とされる領域のケア技術の普及
3.精神の健康に関する普及啓発活動
A.こころのバリアフリー宣言
B.健康日本21(第二次)
C.健康増進法
D.新健康フロンティア戦略
索引
はじめに
2010年にこの本の初版が出版されてから、5年が経ちました。5年といえば、看護を志す人が看護基礎教育を終え、少し仕事に慣れるくらいの年月です。しかし、精神保健医療福祉の領域では、いくつかの大きな変化がありました。障がい者をめぐる制度や、精神科医療に関する法律、診療報酬制度が、地域移行支援と地域定着に向けてさらに充実されました。2004年に地域移行支援への方針転換を明確に打ち出した精神保健医療福祉の改革ビジョンは2014年に評価の年を迎え、次の10年間への取り組みが始まりました。
このような時期に精神看護学を学ぶ皆さんに、時代の状況や法律、制度を正確に伝え、さらに治療や看護ケアの考え方、展開方法を伝えるために今版から2冊の構成にしました。必要な最新の知識を整理して伝える「精神看護学I」、そして「精神看護学II」では実習など実践の場で患者さんを理解し、ケアの実践に具体的につながる内容となっています。そのため、教科書を場によって使い分けることができます。
このボリュームは、卒業してからも皆さんの実践の疑問に的確に答えることのできる内容を含んでいます。量が多いだけではなく、オールカラーとし、イラストも増やして読みやすさにも配慮しました。
今改訂では、実践の背骨となるストレングスモデル、リカバリーの考え方も加筆しました。また、これからの看護職は、病院でも地域ケアでも、精神保健医療福祉の場では、多くの職種とともに働くことになります。それぞれの職種には歴史と文化があり、それを理解したうえでコミュニケーションをとり、ともに相手の強みを最大限に発揮してもらえるような関係性を築く必要があります。そのため、多職種連携の項目を新設しました。
こうした多くの知識を身につけ、じっくりと患者さんと話せるようになってほしいのです。知識が少ないと、自分自身が不安になるので、限られた知識の範囲に無理やり相手の話をあてはめようとします。知識に自信を持てると、相手の話をそのままに聞ける余裕が生まれ、範囲が広がります。誰に相談したらよいか、患者さん自身のストレングスを含めて、どんな資源が使えるかを患者さんと一緒に考えられるようになります。看護師が勝手に考えて、勝手に問題を決めつけ、勝手に解決するために知識を使うのではなく、対話ができるということが、看護師にとってはこれから益々大切になってきます。
この新しい時代に、患者さんや多職種と対話し、ともに働くことができる看護師を育てたいと願います。この新しい教科書が、皆さんの実践の道を照らす灯となりますように。
2015年10月
編集者