教科書

理学療法管理学

良質な医療・介護提供のための管理運営・政策論

監修 : 植松光俊
編集 : 中川法一/田中昌史
ISBN : 978-4-524-25209-1
発行年月 : 2018年10月
判型 : B5変型
ページ数 : 178

在庫あり

定価3,850円(本体3,500円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

平成30年度からの新しい指定規則で加わった科目「理学療法管理学」にマッチした教科書。様々な現場で長年、管理業務に携わってきたその道の専門家たちが「理学療法における管理」についてわかりやすく解説。また、その管理をよりよい医療・介護につなげるために理学療法士として知らなくてはいけない保健、医療、福祉に関する制度についても言及。さらに、制度のなかで理学療法士がより活躍できるようにするための政策提言などの方法についても示した。

第1章 管理運営
 A.部門管理
 B.管理者の役割
 C.管理手法
 D.OJTでの教育管理の基本原則
 E.労務管理
 F.管理者の力量と資質
 G.リスクマネジメント論
 H.感染予防
第2章 良質な医療の提供
 A.コミュニケーションスキル
 B.BSCによる目標管理黒澤和生
 C.SWOT分析
 D.病院機能評価,ISO9000,JCIなどの紹介
 E.ドナベディアンモデル
 F.ペイ・フォー・パフォーマンス(P4P)
 G.PDCA(EPDCA)サイクル
 H.EBM(EBPT)とNBM
 I.情報提供
第3章 記録方法とデータ管理
 3-1.臨床現場におけるデータ管理
  A.診療集計による業務管理
  B.診療集計のデータが意味するもの
  C.診療記録の記載
  D.問題志向型医療記録(POMR)
  E.症例報告の書き方
 3-2.ビッグデータと政策
  A.ビッグデータ収集の意義
  B.管理者ネットワークの意義
  C.パブリックコメント(要望書)
第4章 社会保障と保険制度
 4-1.医療・介護の制度と報酬
  A.診療報酬(体系,性格,改定,手順など)
  B.医療保険制度と介護保険制度
  C.わが国の医療の特徴
  D.地域包括ケアシステム
 4-2.政策とその形成過程
  A.政策とは
  B.理学療法政策に関する省庁
  C.政策形成過程
  D.政策形成に影響する要因と合意形成
 4-3.医療・介護の財政および制度と保険点数
  A.財源
  B.国民皆保険制度の崩壊の危機と未来
  C.点数化の根拠(パワーバランス)
  D.日数制限,疾患別の歴史と弊害
  E.点数向上のための方略的活動
  F.保険点数と理学療法士の賃金の関係
  G.地域での戦略的活動
第5章 身分法と職能団体
 5-1.理学療法士の身分法とその職能団体
  A.理学療法士及び作業療法士法
  B.法の階層性と医師法・保助看法との関係
  C.職能団体とは
  D.日本理学療法士協会(JPTA)の概要
  E.生涯学習支援と協会への所属意義
 5-2.理学療法士の業務と政治活動の必要性
  A.法改定の必要性と方向性(意義)
  B.理学療法士の政治参画
  C.日本理学療法士連盟の活動
  D.日本理学療法士連盟の役割と活動の意義
  E.理学療法士の人数構成とそれに伴う問題
第6章 職域の拡大
 6-1.職域拡大とその背景
  A.企業
  B.経営学(経営計画)・マーケティング
  C.法的根拠と制限
  D.ウィメンズヘルス,産業理学療法,予防理学療法
 6-2.職域拡大の現状と方向性
  A.病院(病床)の機能分化と理学療法士人員
  B.理学療法士の企業と職域拡大
  C.女性活躍への期待
  D.職域拡大に向けた戦略
第7章 理学療法士の未来像
 7-1.取り巻く社会情勢に適合した理学療法士へ
  A.理学療法士としての社会活動:社会保障の方向性と理学療法のあり方
  B.報酬制度などの変遷からみた理学療法業務に求められるもの
  C.関連医療専門職の養成と理学療法士教育のあり方
  D.病院や施設から地域へ
 7-2.社会情勢を踏まえた未来への開拓
  A.わが国および理学療法士としての政策課題
  B.理学療法士養成の必要性と受給計画
  C.医療専門職での比較(賃金,および就労状況について)
  D.人員配置(施設基準,病棟基準について)
  E.理学療法士教育課程
参考文献
索引

序文

 現在、理学療法士養成校の数が増え、毎年約一万人以上の新人理学療法士が誕生しており、今まで以上に臨床現場での管理や運営を担うための教育が必要とされております。そこで、これらの養成校においても「理学療法管理学」等の講義が行われるようになってきております。また、日本理学療法士協会は、理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の改定案骨子において「理学療法管理学」を義務付けることを求め、改定された指定規則で単位化されることが決定しました。また日本理学療法士協会は重点事業の一つとして、病院や施設などの管理者の質の向上のための研修に取り組んでいます。しかし一方で、これらの講義にマッチする教科書は刊行されておらず、教科書のニーズは大きくなってきておりました。
 管理運営とは「目標達成に向けて、材料や人的資源を利用して、合理的、経済的、効率的に活用して仕事の成果をあげる過程のこと」といわれています。
 そこで、臨床現場において患者・障害者等に対して一定水準以上の治療等のサービスが効果的に提供されるために必要なマネジメントの知識として、職場管理・運営、必要なスタッフ研修のあり方や理学療法にかかわる各種の記録・報告のもつ意義を理解するとともに、環境整備や事故対応策の知識と基本対応技術についても学ぶこと、また医療・介護サービス技術の価値を裏付けるものとしての保険制度とその報酬の仕組みを理解し、コスト感覚をもつことの重要さについて学ぶための要素を的確に取り込んだ教科書として、本書を企画しました。
 以上のような要件に加えて、さらにもう少し広い視点での地域住民、さらには国民を対象とした理学療法サービス水準についての考える学問が、「理学療法政策学」であります。国民の最低限の保健・医療を保証するとした責務の一端を担う国家資格職の一つである「理学療法士」を目指す者が、理学療法提供における課題とその解決のための政策形成の必要性について理解を深めておくことは、実務現場に出た時の職能意識(日本理学療法士協会および日本理学療法士連盟における生涯学習活動力)を向上させるための思考基盤・資質として重要であります。
 こうした状況を背景に、この度本書を刊行する運びとなりました。本書は、学生にとって「理学療法管理とは何か」、「専門職者として資源を効果的・効率的に活用するための手段」等をわかりやすくまとめ、わが国の理学療法管理学・政策学のスタンダードな教科書となることを目指しております。まだまだ十分でないところもあるかと思います。講義される先生方や学生諸君には是非とも忌憚のないご意見・ご批評をいただければと切にお願いするところであります。

平成30年8月
監修および編集を代表して 植松光俊

9784524252091