教科書

看護学テキストNiCE

成人看護学 慢性期看護改訂第3版

病気とともに生活する人を支える

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

編集 : 鈴木久美/籏持知恵子/佐藤直美
ISBN : 978-4-524-24198-9
発行年月 : 2019年3月
判型 : B5
ページ数 : 510

在庫なし

定価3,630円(本体3,300円 + 税)

サポート情報

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

慢性疾患を有する患者の身体的特徴だけでなく、患者とその家族がおかれた心理・社会的な問題を理解し、さらにその理解に基づいた看護実践を提供するための知識を習得できるテキスト。慢性疾患に大乗的な治療法別・疾患別の援助を1冊で学ぶことができる。今改訂では、最新の知見に基づいて全体を見直し、総論部分について「セルフマネジメント」「痛みの軌跡」「トランジションセオリー」といった理論・概念を新設するなど、いっそうの充実を図った。

第I章 慢性期看護とは
 1.慢性疾患の特徴
  A.慢性疾患のとらえ方
  B.慢性疾患の種類と経過
  C.慢性疾患の動向と社会の変化
 2.慢性疾患における治療の特徴
  A.慢性疾患における治療の考え方
  B.慢性疾患における治療法とその特徴
 3.慢性疾患を有する人をとりまく療養環境の特徴
  A.療養環境の変化と看護師の役割拡大
  B.病院・地域・在宅との連携
  C.医療費の問題
 4.慢性疾患を有する人に対する看護の役割
  A.慢性疾患を有する人が直面するインフォームド・コンセントと意思決定を支える援助
  B.慢性疾患を有する人の病気の受け入れ過程を支える援助
  C.慢性疾患を有する人のセルフマネジメントを促すための継続的支援
  D.慢性疾患を有する人の人権擁護および看護実践における倫理的問題へのかかわり
 5.慢性疾患を有する人にかかわる専門職とチーム医療
  A.チーム医療とは
  B.チーム医療の実践
第II章 慢性疾患を有する人とその家族の理解
 1.慢性疾患を有する人の身体的特徴
  A.加齢に伴う身体機能の変化
  B.慢性疾患および治療が及ぼす身体機能への影響
  C.成人期における加齢,慢性疾患,治療が及ぼす身体的影響について
 2.慢性疾患を有する人の心理的特徴
  A.成人の発達課題
  B.慢性疾患および治療が及ぼす心理過程の特徴
  C.慢性疾患および治療が及ぼす自己概念への影響
 3.慢性疾患を有する人の生活および社会的特徴
  A.役割とは
  B.慢性疾患および治療が及ぼす役割の変化
  C.慢性疾患および治療とセクシュアリティ
 4.慢性疾患を有する人を支える家族の特徴
  A.患者と家族を取り巻く問題
  B.家族に必要なケア
第III章 慢性疾患を有する人とその家族への援助・支援の基本
 1.治療・療養行動にかかわる主な理論・概念
  はじめに
  A.セルフケア
  B.セルフマネジメント
  C.自己効力感
  D.健康信念
  E.トランスセオレティカルモデル
  F.アドヒアランス
  G.病みの軌跡
 2.治療・療養を促進する支援
  A.セルフマネジメント能力を高める支援
  B.成人患者への教育的アプローチ
  C.相談技術
 3.社会資源の活用
  A.わが国の社会保障制度
  B.保健医療福祉制度
  C.事例でみる難病患者の社会資源の活用
  D.サポートグループやセルフヘルプグループ
第IV章 慢性疾患の主な治療法と治療を受ける患者の看護
 1.インスリン療法を受ける患者の援助
  A.インスリン療法の基礎知識
  B.インスリン療法を受ける患者の特徴
  C.インスリン療法を受ける患者への援助
 2.人工透析を受ける患者の援助
  A.人工透析の基礎知識
  B.人工透析を受ける患者の特徴
  C.人工透析を受ける患者への援助
 3.ペースメーカーを装着している患者の援助
  A.ペースメーカーの基礎知識
  B.ペースメーカーを装着している患者の特徴
  C.ペースメーカーを装着している患者への援助
 4.ステロイド療法を受ける患者の援助
  A.ステロイド療法の基礎知識
  B.ステロイド療法を受ける患者の特徴
  C.ステロイド療法を受ける患者への援助
 5.化学療法を受ける患者の援助
  A.化学療法の基礎知識
  B.化学療法を受ける患者の特徴
  C.化学療法を受ける患者への援助
 6.放射線療法を受ける患者の援助
  A.放射線療法の基礎知識
  B.放射線療法を受ける患者の特徴
  C.放射線療法を受ける患者への援助
 7.造血幹細胞移植を受ける患者の援助
  A.造血幹細胞移植の基礎知識
  B.造血幹細胞移植を受ける患者の特徴
  C.造血幹細胞移植を受ける患者への援助
 8.内分泌療法を受ける患者の援助
  A.内分泌療法の基礎知識
  B.内分泌療法を受ける患者の特徴
  C.内分泌療法を受ける患者への援助
 9.肝動脈塞栓療法を受ける患者の援助
  A.肝動脈塞栓療法の基礎知識
  B.肝動脈塞栓療法を受ける患者の特徴
  C.肝動脈塞栓療法を受ける患者への援助
第V章 慢性疾患を有する人とその家族への看護
 V-1 呼吸器系の障害を有する人とその家族への援助
  1.気管支喘息
   A.気管支喘息患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.気管支喘息患者および家族への援助
  2.慢性呼吸不全(慢性閉塞性肺疾患[COPD]を含む)
   A.慢性呼吸不全患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.慢性呼吸不全患者および家族への援助
  3.肺がん
   A.肺がん患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.肺がん患者および家族への援助
 V-2 循環器系の障害を有する人とその家族への援助
  1.高血圧
   A.高血圧患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.高血圧患者および家族への援助
  2.不整脈
   A.不整脈患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.不整脈のある患者および家族への援助
  3.虚血性心疾患(狭心症,心筋梗塞)
   A.虚血性心疾患患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.虚血性心疾患患者および家族への援助
  4.慢性心不全
   A.慢性心不全患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.慢性心不全患者および家族への援助
 V-3 消化器系の障害を有する人とその家族への援助
  1.胃・十二指腸潰瘍
   A.胃・十二指腸潰瘍患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.胃・十二指腸潰瘍患者および家族への援助
  2.慢性肝炎
   A.慢性肝炎患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.慢性肝炎患者および家族への援助
  3.肝硬変
   A.肝硬変患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.肝硬変患者および家族への援助
  4.肝臓がん
   A.肝臓がん患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.肝臓がん患者および家族への援助
  5.潰瘍性大腸炎
   A.潰瘍性大腸炎患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.潰瘍性大腸炎患者および家族への援助
  6.クローン病
   A.クローン病患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.クローン病患者および家族への援助
 V-4 代謝・内分泌系の障害を有する人とその家族への援助
  1.糖尿病
   A.糖尿病患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.糖尿病患者および家族への援助
  2.脂質異常症
   A.脂質異常症患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.脂質異常症患者および家族への援助
  3.甲状腺機能障害(亢進症・低下症)
   A.甲状腺機能障害(亢進症・低下症)患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.甲状腺機能障害(亢進症・低下症)患者および家族への援助
   C.そのほかの甲状腺機能障害について
 V-5 腎・泌尿器系の障害を有する人とその家族への援助
  1.慢性腎不全(慢性腎臓病)
   A.慢性腎不全患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.慢性腎不全患者および家族への援助
  2.前立腺がん
   A.前立腺がん患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.前立腺がん患者および家族への援助
 V-6 血液・免疫系の障害を有する人とその家族への援助
  1.再生不良性貧血
   A.再生不良性貧血患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.再生不良性貧血患者および家族への援助
  2.白血病
   A.白血病患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.白血病患者および家族への援助
  3.HIV感染症/AIDS
   A.HIV感染者/AIDS患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.HIV感染者/AIDS患者および家族への援助
  4.関節リウマチ
   A.関節リウマチ患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.関節リウマチ患者および家族への援助
  5.全身性エリテマトーデス
   A.全身性エリテマトーデス患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.全身性エリテマトーデス患者および家族への援助
 V-7 脳・神経系の障害を有する人とその家族への援助
  1.脳梗塞
   A.脳梗塞患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.脳梗塞患者および家族への援助
  2.パーキンソン病
   A.パーキンソン病患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.パーキンソン病患者および家族への援助
  3.筋萎縮性側索硬化症
   A.筋萎縮性側索硬化症患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.筋萎縮性側索硬化症患者および家族への援助
  4.重症筋無力症
   A.重症筋無力症患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.重症筋無力症患者および家族への援助
 V-8 感覚器系の障害を有する人とその家族への援助
  1.視覚障害
   A.視覚障害患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.視覚障害患者および家族への援助
  2.突発性難聴
   A.突発性難聴患者の身体的,心理・社会的特徴
   B.突発性難聴患者および家族への援助
第VI章 事例で考える
 A.治療継続がむずかしい患者への支援
 B.副作用が強い患者への症状マネジメント
 C.セルフモニタリングが必要な患者への教育的支援
 D.治療の意思決定に直面している患者の支援
 E.役割変更を迫られている患者・家族への支援
 F.急性増悪を繰り返す患者への教育的支援
第VII章 慢性期看護の今後の展望
 A.わが国の慢性疾患における医療・看護の現状と課題
 B.新たな慢性疾患管理の展開方法
 C.わが国における疾病管理:データヘルス計画と重症化予防
 D.今後の展望
設問 解答への視点(第VI章 事例で考える)
練習問題 解答と解説
索引

はじめに

 本書『看護学テキストNiCE成人看護学慢性期看護.病気とともに生活する人を支える』の初版は、看護実践能力の強化をめざして2008年に改定された看護基礎教育の指定規則の内容に即し、これからの看護基礎教育にふさわしい成人看護学テキストの一つとして刊行されました。医療の高度化が進み、患者像の複雑化や療養の場が多様化する中で、学生が、慢性疾患とともに生活する人を理解し、その人を支える慢性期看護の考え方を深め、臨地実習で看護実践を展開していく際に必要な基礎知識や技術、看護に対する姿勢を身につけるための道しるべとなるよう努めました。
 初版は2010年に、第2版は2015年に刊行されましたが、この10年間わが国ではさまざまな社会変動がありました。頻発する地震や台風による大規模な災害、加速する少子高齢化に伴う人口減少や疾病構造の大幅な変化、増えつづける生活習慣病を有する患者、分子生物学の飛躍的進歩に伴う多数の新薬開発、2035年問題を見据え、健康先進国をめざした保健医療福祉システムの改革など、われわれを取り巻く社会や医療環境は変わり続けています。このような大きな変化のなかで病気とともに生活する人をより深く理解し、科学的根拠に基づいた看護実践を展開するために、最新の統計や関係法規、診療ガイドライン等の知見を盛り込んだ改訂第3版を刊行することにいたしました。
 第3版では、第2版の構成を踏襲しつつ、第I章「慢性期看護とは」に療養環境の変化に伴う看護師の役割拡大や「地域完結型」医療である地域包括ケアシステムについて加筆しました。また、第II章「慢性疾患を有する人とその家族の理解」は記述を厚くし、対象理解が進むように心がけ、第III章にはセルフマネジメントの概念や病みの軌跡について、新たに項目を立てて充実させました。そのほか、最新の統計や保健医療福祉制度の改革に即して修正を加え、第V章「慢性疾患を有する人とその家族への看護」では、診療ガイドラインの改訂にあわせて疾患・治療および看護の内容を見直しました。
 本書を多くの学生の皆さんや看護教育に携わる教員の方々にご活用いただき、臨床現場に適したより充実したテキストとなるよう、忌憚のないご意見をいただけますと幸いです。

2019年1月
鈴木久美
籏持知恵子
佐藤直美

9784524241989