教科書

柔道整復

施術の適応と医用画像の理解

監修 : 公益社団法人全国柔道整復学校協会
共著 : 細野昇/川口央修
ISBN : 978-4-524-24155-2
発行年月 : 2019年3月
判型 : B5
ページ数 : 152

在庫あり

定価2,860円(本体2,600円 + 税)

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  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

前半は柔道整復師が日常業務で患者を危険に曝さないために必要な能力を養うため、外傷に類似した症状を示す疾患の判別や外傷に潜んでいる危険な徴候を解説。後半は近年柔道整復の現場で利用されることが多くなってきている超音波画像診断装置の理解を念頭に様々な医用画像について解説。患者の利益に寄与するために、これからの柔道整復師に求められる知識を教授する一冊。

1 柔道整復術の適否を考える
 A 施術の適応判断の必要性
 B 適応の判断
  1 患者安全の確保
  2 外傷の施術適応の判断
  3 外傷か疾病かの判断
  4 適応を判断する手順
 C 柔道整復術非適応が疑われる症状と所見
  1 局所の診察で注意すべき徴候
  2 全身状態の確認で注意すべき徴候
2 損傷に類似した症状を示す疾患
 A 内臓疾患の投影を疑う疼痛
  1 損傷に類似した症状を示す患者の判断と対応
  2 背部の痛み
  3 胸部の痛み
  4 腹部の痛み
  5 肩の痛み
  6 上肢の痛み
 B 腰痛を伴う疾患
  1 腰痛を伴う疾患
  2 腰痛を訴える患者の判断と対応
  3 腰痛の注意事項
 C 化膿性の炎症など
  1 化膿性炎症などが疑われる患者の判断と対応
  2 急性化膿性骨髄炎
  3 皮膚の細菌感染症
  4 結晶誘発性関節炎
 D 軟部組織の圧迫損傷(褥瘡)
  1 褥瘡
  2 褥瘡の予防と対応
3 血流障害を伴う損傷
  A 血流障害が疑われる場合の判断と対応
  B 骨折
  1 上腕骨顆上骨折
  2 大腿骨顆上骨折
 C 脱臼
  1 肩関節脱臼
  2 肘関節脱臼
  3 膝関節脱臼
4 末梢神経損傷を伴う損傷
 A 末梢神経損傷が疑われる場合の判断と対応
  1 橈骨神経麻痺
  2 正中神経麻痺
  3 尺骨神経麻痺
  4 総腓骨神経麻痺
  5 その他の神経麻痺
  6 トリックモーション
 B 骨折
  1 上腕骨骨幹部骨折
  2 上腕骨顆上骨折
  3 脛骨顆部・腓骨頭骨折
  4 その他の骨折
 C 脱臼
  1 肩関節脱臼
  2 肘関節脱臼
  3 膝関節脱臼
  4 その他の脱臼
 D 骨折・脱臼に伴わない末梢神経損傷
  1 saturday night palsy
  2 リュックサック麻痺
  3 正座などによる総腓骨神経麻痺
 E 外固定に起因する末梢神経損傷
  1 鎖骨骨折・肩鎖関節脱臼の固定
  2 上肢の固定
  3 下肢の固定
  4 外固定による末梢神経損傷の予防
5 脱臼骨折
 A 脱臼骨折が疑われる場合の判断と対応
 B 脱臼骨折
  1 肩関節脱臼骨折
  2 肘関節脱臼骨折
  3 股関節脱臼骨折
  4 足関節脱臼骨折
6 外出血を伴う損傷
 A 外出血がある場合の判断と対応
  1 開放性骨折
  2 開放性脱臼
  3 皮膚・筋損傷
 B 骨折
  1 開放性骨折
  2 骨折部付近の創傷
 C 脱臼
  1 開放性脱臼
  2 脱臼関節付近の創傷
 D 軟部組織損傷
  1 皮膚損傷
  2 開放性筋損傷
7 病的骨折および脱臼
 A 病的骨折および脱臼が疑われる場合の判断と対応
 B 病的骨折
  1 骨嚢腫による骨折
  2 がんの骨転移による骨折
 C 病的脱臼
  1 麻痺性脱臼
  2 拡張性脱臼
  3 破壊性脱臼
8 意識障害を伴う損傷
 A 頭部外傷の症状
  1 軽度な頭部外傷
  2 重度な頭部外傷
 B 意識障害がみられる場合の判断と対応
  1 脳振盪
  2 軽度の意識障害
 C 骨折
  1 脳頭蓋の骨折
  2 脳損傷を伴う危険のある骨折
 D 脱臼
  1 頭部の脱臼
  2 脳損傷を伴う危険のある脱臼
 E 軟部組織損傷
  1 頭部・顔面部の打撲
  2 脳損傷を伴う危険のある頸部損傷
9 脊髄症状のある損傷
 1 完全損傷
 2 不全損傷
 A 脊髄症状がみられる場合の判断と対応
  1 中心性脊(頸)髄損傷
  2 脊髄空洞症
  3 脊柱管狭窄症
 B 骨折
  1 頸椎の骨折
  2 胸椎・胸腰椎移行部・腰椎の骨折
  3 非骨傷性頸髄損傷
 C 脱臼
  1 頸椎の脱臼
  2 胸椎の脱臼
  3 胸腰椎移行部の脱臼
 D 軟部組織損傷および疾患
  1 中心性脊(頸)髄損傷
  2 脊髄空洞症
  3 脊柱管狭窄症
10 呼吸運動障害を伴う損傷
 A 異常呼吸がみられる場合の判断と対応
 B 骨折
  1 頸椎の骨折
  2 胸椎の骨折
  3 胸部外傷
 C 脱臼
  1 頸椎の脱臼
  2 胸椎の脱臼
  3 胸鎖関節脱臼
 D 軟部組織損傷
  1 胸部打撲
11 内臓損傷の合併が疑われる損傷
 A 内臓損傷が疑われる場合の判断と対応
  1 肝損傷を疑う患者
  2 腎損傷を疑う患者
  3 膀胱・尿道・直腸損傷を疑う患者
 B 骨折
  1 肋骨骨折
  2 骨盤骨折
 C 脱臼
  1 股関節脱臼骨折
 D 軟部組織損傷
  1 小児の胸部打撲(心臓震盪,心室細動など)
  2 体幹部の軟部組織損傷
12 高エネルギー外傷
 A 高エネルギー外傷患者の判断と対応
 B 骨折
  1 多発骨折
  2 粉砕骨折
 C 脱臼
  1 多発脱臼
  2 複数脱臼
13 医用画像の理解
 A 医用画像とは
 B 放射線の概要
  1 X線の発見
  2 X線の特性
 C X線発生装置の概要
  1 基本構造
  2 発生するX線の種類と特徴
 D 主要な部位の一般撮影法
  1 骨・関節のX線像に求められる事柄
  2 体位
  3 撮影方向
  4 撮影の実際
 E 画像のデジタル化
  1 デジタル画像システムの実際
  2 デジタル画像の形成
  3 デジタル画像の応用
 F X線CTの概要
  1 CTの原理
  2 CT画像の特性
  3 CT撮影の実際
 G 磁気共鳴検査の概要
  1 MRIシステムの装置構成
  2 核磁気共鳴の原理
  3 MRIの画像形成方法
  4 各種撮像法
  5 MR検査の手順
  6 MR検査の留意点
  7 画像の比較
 H 超音波画像装置の概要
  1 原理
  2 装置
  3 超音波画像検査の特徴
  4 アーチファクトの実際
  5 運動器系の画像
 I 核医学検査の概要
  1 概要
  2 測定装置
  3 臨床画像の実際
索引

序文

 近年、医療界が置かれている環境は、少子高齢化、高度な医療技術の開発、多様化した医療提供の場などで大きな変化がみられる。また、医療に対する国民の希求は、安全・安心の重視、質の重視へと方向が転換してきている。一方、医療従事者の間でも患者個人の価値観の多様化に対応して、患者およびその家族の意思の尊重、QOLの重視といった認識が広まっている。こうした変化に伴い柔道整復師にも一層の資質向上が求められている。そのような中、平成28(2016)年に公表された厚生労働省の「柔道整復師学校養成施設カリキュラム等改善検討会」の報告書では、教育に必要な総単位数の引き上げに伴い、専門分野の教育内容に「柔道整復術適応の臨床的判定(医用画像の理解を含む)」が加えられた。追加の目的は「新たに追加する『柔道整復術の適応』で得た知識を活用し、臨床所見から判断して施術に適する損傷と、適さない損傷を的確に判断できる能力を身に付け、また、安全に柔道整復術を提供するため、医用画像を理解するため」としている。
 柔道整復師の施術を求めて訪れる患者には、非外傷性の疾患も含まれている。これらを適切に除外するだけでなく、外傷でも柔道整復術では対応しきれないものは除外しなければならない。柔道整復師は適応する損傷に対して質の高い柔道整復術を提供するだけでなく、その特徴、限界を知り、症状や所見から適否を厳密に判断して、最適な治療環境が選択できるよう支援することも重要な使命の一つである。
 本書の前半の記述では、外傷に類似した症状を示す疾患の判別や外傷に潜んでいる危険な徴候を列挙し、日常業務で患者を危険に曝さない能力の獲得に主眼を置いた。主たる目的は、危険な徴候の発見であり、疾患名および損傷組織の特定や損傷状態の確定ではない。
 本書の後半では、近年柔道整復の現場で利用される機会が増加している「超音波画像診断装置」の理解を念頭に、様々な医用画像機器で画像が成立する基本的な原理を記述し、それぞれの画像の特性や判断における要点について記述している。
 各種画像診断装置の性能が向上し、施術に関する判断の参考にするうえでの有用性が高まっている一方で、とくに超音波画像診断では習熟した医師でも結果の判断には非常に難しい部分があり、柔道整復師が判断する場合には、更に誤った認識につながる懸念が払拭しきれていない。結果を判断の参考にする場合には、その危険性についてとくに留意が必要で、安易な判断はかえって危険性が高まることを認識していなければならない。
 本書が、柔道整復業界並びに柔道整復師教育の健全な発展に少しでも寄与することができれば幸いである。
 本書の執筆に際して、貴重なX線画像の提供とご懇篤な指導を賜りました、矢島整形外科院長矢島秀世先生、CT画像ならびにMRIを提供いただいた、埼玉精神神経センター様、医用画像撮影の施設を提供いただいた、呉竹メディカルクリニック院長有沢 治先生、診療放射線技師本合祥哲氏、大野裕介氏、理事長坂本 歩先生、超音波画像の提供とご指導を賜りました、むさしの整骨院院長新井達也氏に心から感謝の意を表します。

2019年2月
細野昇
川口央修