教科書

シンプル衛生公衆衛生学2022

こちらの商品は改訂版・新版がございます。

監修 : 小山洋
編集 : 辻一郎/上島通浩
ISBN : 978-4-524-23156-0
発行年月 : 2022年3月
判型 : B5
ページ数 : 430

在庫なし

定価2,640円(本体2,400円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

保健医療福祉分野の専門職を目指す学生に求められる知識を最新の統計数値とともにわかりやすく解説.2022年度版では,最新の統計数値はもちろん,最新の社会・環境動向を反映!また,新規図版の追加や本文の図表化をすすめ,ビジュアルな紙面とした.衛生学・公衆衛生学の“知識”と“今”をシンプルにわかりやすく伝え,“これから”を考える力を養うために必読の一冊.

第1章 衛生学・公衆衛生学序論
 1─1 衛生学・公衆衛生学
 1─2 健康をめぐって
 1─3 生活と健康
 1─4 健康問題の変遷,公衆衛生と医療の歴史
 1─5 公衆衛生活動
 1─6 生命倫理─保健医療福祉の倫理
第2章 保健統計
 2─1 健康の測定と健康指標
 2─2 人口統計
 2─3 その他の統計
第3章 疫  学
 3─1 疫学とは
 3─2 疫学調査の手順と留意事項
 3─3 疾病の分類
 3─4 疾病量の把握
 3─5 疫学の方法
第4章 疾病予防と健康管理
 4─1 疾病リスクと予防医学
 4─2 健康管理
 4─3 健康増進
 4─4 健康日本21
第5章 主な疾病の予防
 5─1 感染症の予防
 5─2 循環器系の疾患の予防
 5─3 糖尿病・脂質異常症・痛風・メタボリックシンドロームの予防
 5─4 がんの予防
 5─5 腎疾患の予防
 5─6 アレルギー疾患の予防
 5─7 不慮の事故と自殺の防止
第6章 環境保健
 6─1 人間の環境
 6─2 環境の把握とその評価・対策
 6─3 物理的環境要因
 6─4 化学的環境要因
 6─5 生物的環境要因─微生物を中心に
 6─6 空気の衛生と大気汚染
 6─7 水の衛生と水質汚濁
 6─8 廃棄物
 6─9 衣食住の衛生
 6─10 公害と環境問題
 6─11 環境の管理
第7章 地域保健と保健行政
 7─1 地域社会と地域保健
 7─2 地域保健活動と行政
 7─3 消費者保健
第8章 母子保健
 8─1 母子保健の水準
 8─2 母子保健の課題
 8─3 母子保健活動と行政
第9章 学校保健
 9─1 子どもの健康状況
 9─2 学校保健とは
 9─3 学校保健の組織と運営
 9─4 学校保健管理
 9─5 歯科保健─小児を中心として
 9─6 学校環境管理
 9─7 学校保健教育
第10章 産業保健
 10─1 働く人々の健康
 10─2 労働災害・事故
 10─3 職業病
 10─4 職場における健康診断と健康増進
 10─5 勤労者の労働時間と余暇
 10─6 職場復帰
第11章 高齢者の保健・医療・介護
 11─1 老化とは
 11─2 高齢者の生活と健康
 11─3 高齢者の健康状態
 11─4 高齢者の保健と医療
 11─5 認知症と対策
 11─6 介護保険
 11─7 地域包括ケアシステム
第12章 精神保健
 12─1 精神保健と心の働きの理解
 12─2 精神の健康とは
 12─3 精神障害の分類と疫学
 12─4 主な精神疾患と精神保健の課題
 12─5 精神保健福祉活動
第13章 国際保健医療
 13─1 国際保健とは
 13─2 人種と民族と国
 13─3 相手国の情報入手と調査法
 13─4 開発途上国の健康問題と その対策
 13─5 日本の保健医療の国際協力
 13─6 国際機関を通じた協力─国連,WHOなど
 13─7 国際保健医療の展望
第14章 保健医療福祉の制度と法規
 14─1 保健医療行政の概要と基礎知識
 14─2 保健制度の仕組み─行政組織
 14─3 医療制度の仕組み
 14─4 保健医療行政に関するその他の事項
 14─5 医療保障・年金の仕組み
 14─6 社会福祉の仕組みと障害者福祉
付  録
参考図書
和文索引
欧文索引

 2022(令和4)年1 月7 日,世界の新型コロナウイルスの累計感染者数が3 億人を超え,死亡者数が547 万人を超えました(ジョンズ・ホプキンズ大学集計).その一方で,新型コロナウイルスが健康に及ぼす影響は多岐にわたっています.たとえばメンタルヘルスでは,最初の1 年間で,世界中で大うつ病性障害が5,320 万人(28%)増加し,不安障害が7,620 万人(26%)増加しました 1).また,全国のがん診療連携拠点病院などで2020(令和2)年に新たにがんと診断された人は前年と比べて6 万人(4.6%)も減りました 2).コロナ感染を恐れて検診や医療の受診を控えた結果と思われますが,がんの発見が遅れることで予後の悪化が懸念されています.さらに,日本認知症学会が専門医に行った調査によると,認知症の人のうち約4 割で症状が悪化しました 3).
 以上のように,感染症の蔓延は,それ自体による直接影響に加えて,様々な間接影響を人々にもたらします.それは自然災害でも同様です.たとえば2016(平成28)年に発生した熊本地震による,いわゆる災害関連死(避難生活中の心身の負担が原因で生じた疾病による死亡.脳血管疾患,心疾患,肺炎などが多い)は218 人に及び,地震による直接死の50 人を大きく上回っていたのです.
 ですから,私たち公衆衛生に従事する者は,1つひとつの健康課題を個別に考えるのではなく,その課題を生じた要因,その課題がもたらし得る影響について,その全体像をできるだけ幅広く考えていく必要があります.それこそが有効な対策を立案・実施するためのカギになるからです.健康課題の要因と影響を総合的に考えるためのヒントを本書から得ていただきたいという思いを持って,皆様方に2022 年度版『シンプル衛生公衆衛生学』をお届けします.
 さて本書は,年度版として毎年改訂を行っています.その特徴を活かせるように,最新の統計数値を取り入れています.今回は,全体としてコラムの見直しを図り,また新型コロナウイルス感染症に関する情報の更新,新たな知見の加筆を行いました.第1 章「衛生学・公衆衛生学序論」では健康に関する記載を刷新し,第6 章「環境保健」でパソコンリサイクル法・小型家電リサイクル法,食中毒発生時の行政対応とポジティブリスト制度について加筆し,第8 章「母子保健」では親の経済格差が子の健康格差に与える影響について加筆しました.
 なお,監修・編集体制では,小山 洋先生が編集者から監修者に移り,上島通浩先生が新たに編集者になりました.執筆者では,群馬大学大学院の浜崎 景教授,帝京大学の大久保孝義教授に加わっていただきました.
 本書は24 名の分担執筆によるものであり,執筆者との連絡調整などの膨大な作業を行って下さっている南江堂の飯島純子,山本忠平,吉野正樹の各氏に深謝いたします.
2022(令和4)年1月
編集者 辻 一郎 上島通浩
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1) Covid─19 Mental Disorders Collaborators. Lancet 398:1700─1712, 2021
2) 国立がん研究センター.https://ganjoho.jp/public/qa_links/report/hosp_c/hosp_c_registry.html
3) 日本認知症学会.https://square.umin.ac.jp/dementia/pdf/kekka.pdf

9784524231560