シンプル衛生公衆衛生学2023
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 小山洋 |
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編集 | : 辻一郎/上島通浩 |
ISBN | : 978-4-524-20375-8 |
発行年月 | : 2023年3月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 424 |
在庫
定価2,860円(本体2,600円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
保健医療福祉分野の専門職を目指す学生に求められる知識を最新の法規・制度・統計数値とともにわかりやすく解説.2023年度版では,フルカラー化と新規図表により紙面をさらにビジュアル化!視覚的な情報でより深い理解へとつなげる.衛生学・公衆衛生学の“知識”と“今”をシンプルにわかりやすく伝え,“これから”を考える力を養うために必読の一冊.
衛生学・公衆衛生学序論
1-1 衛生学・公衆衛生学
1-2 健康をめぐって
1-3 生活と健康
1-4 健康問題の変遷,公衆衛生と医療の歴史
1-5 公衆衛生活動
1-6 生命倫理―保健医療福祉の倫理
保健統計
2-1 健康の測定と健康指標
2-2 人口統計
2-3 その他の統計
疫 学
3-1 疫学とは
3-2 疫学調査の手順と留意事項
3-3 疾病の分類
3-4 疾病量の把握
3-5 疫学の方法
疾病予防と健康管理
4-1 疾病リスクと予防医学
4-2 健康管理
4-3 健康増進
4-4 健康日本21
主な疾病の予防
5-1 感染症の予防
5-2 循環器系の疾患の予防
5-3 糖尿病・脂質異常症・痛風・メタボリックシンドロームの予防
5-4 がんの予防
5-5 腎疾患の予防
5-6 アレルギー疾患の予防
5-7 不慮の事故と自殺の防止
環境保健
6-1 人間の環境
6-2 環境の把握とその評価・対策
6-3 物理的環境要因
6-4 化学的環境要因
6-5 生物的環境要因―微生物を中心に
6-6 空気の衛生と大気汚染
6-7 水の衛生と水質汚濁
6-8 廃棄物
6-9 衣食住の衛生
6-10 公害と環境問題
6-11 環境の管理
地域保健と保健行政
7-1 地域社会と地域保健
7-2 地域保健活動と行政
7-3 消費者保健
母子保健
8-1 母子保健の水準
8-2 母子保健の課題
8-3 母子保健活動と行政
学校保健
9-1 子どもの健康状況
9-2 学校保健とは
9-3 学校保健の組織と運営
9-4 学校保健管理
9-5 歯科保健―小児を中心として
9-6 学校環境管理
9-7 学校保健教育
産業保健
10-1 働く人々の健康
10-2 労働災害・事故
10-3 職業病
10-4 職場における健康診断と健康増進
10-5 勤労者の労働時間と余暇
10-6 職場復帰
高齢者の保健・医療・介護
11-1 老化とは
11-2 高齢者の生活と健康
11-3 高齢者の健康状態
11-4 高齢者の保健と医療
11-5 認知症と対策
11-6 介護保険
11-7 地域包括ケアシステム
精神保健
12-1 精神保健と心の働きの理解
12-2 精神の健康とは
12-3 精神障害の分類と疫学
12-4 主な精神疾患と精神保健の課題
12-5 精神保健福祉活動
国際保健医療
13-1 国際保健とは
13-2 人種と民族と国
13-3 相手国の情報入手と調査法
13-4 開発途上国の健康問題とその対策
13-5 日本の保健医療の国際協力
13-6 国際機関を通じた協力―国連,WHOなど
13-7 国際保健医療の展望
保健医療福祉の制度と法規
14-1 保健医療行政の概要と基礎知識
14-2 保健制度の仕組み―行政組織
14-3 医療制度の仕組み
14-4 保健医療行政に関するその他の事項
14-5 医療保障・年金の仕組み
14-6 社会福祉の仕組みと障害者福祉
付 録
参考図書
和文索引
欧文索引
コラム
人々が健康に暮らすうえで必要不可欠なものとは何でしょうか?きれいな空気と水,安全な環境,栄養,教育,健康的な生活習慣,保健医療ケアなど,さまざまなものが考えられます.一方,ヘルスプロモーションの概念を定めたオタワ憲章(→367頁)は,健康の前提条件8項目を挙げていますが,その第1が「平和」です.そして昨年,私たちは平和の重要性を痛感させられました.2022(令和4)年2月24日に始まったロシア軍のウクライナ侵攻により,数十万人の死傷者と数百万人の避難民が発生しました.現地では飢餓や感染,深刻な寒さが人々を苦しめています.さらに食糧やエネルギーなどの価格の高騰,貿易や金融を通した経済危機が世界中で進行しています.それらによる健康被害は,どれほどの規模に及ぶのでしょうか.
ポピュレーションアプローチ(→57頁)という予防医学の新しい方向性を提唱された英国のジェフリー・ローズ博士は,ご著書『予防医学のストラテジー』1)のなかで「健康にとっての最大の脅威は戦争である」としたうえで,「世界であれ国内であれ,人々の健康を心配し改善したいと願っている人たちすべてにとって,戦争および戦争の準備を止めさせることは,優先順位の第1位です.これが成功しなければ,他のあらゆる努力も空しいものになりかねません」と述べています.そして,その書の扉には「私たちは,私たち全員へ責任を負っている」というドストエフスキーの言葉が記されています.
公衆衛生に従事する者には人々と社会を健康にしていくという崇高な使命と責任があることを,私たちはいま改めて感じています.その思いを持って,皆様方に2023年度版『シンプル衛生公衆衛生学』をお届けします.
さて本書は,年度版として毎年改訂を行っています.その特徴を活かせるように,最新の統計数値を取り入れています.今回は,本文の全てをフルカラー化し,新規の図表も加えました.また,コラムの見直し,新型コロナウイルス感染症をはじめ情報の更新・追加,新たな知見の加筆を行いました.第1章ではヘルスプロモーションやラロンドレポートを,第3章では横断研究を,第4章では健康日本21(第二次)の最終評価結果を,第6章では再興感染症・建築物衛生法・マイクロプラスチックを,第7章ではヘルスリテラシーやソーシャルキャピタルを,第8章ではこども家庭庁や新生児マス・スクリーニング検査をそれぞれ加筆しました.さらに,アナフィラキシーショック,ライフコースからみたメンタルヘルスの重要性について,それぞれコラムを新設しました.なお,執筆者では,金沢医科大学の西野 善一教授に加わっていただきました.そして,2022年版まで第6章で「衣食住の衛生」をご担当いただいていた北海道医療大学の工藤禎子教授がご病気のために逝去されたことを謹んでお知らせいたします.
2023(令和5)年1月編集者 辻 一郎、上島通浩