Fitzpatrick's Dermatology. 9th ed., in 2 vols.
著者 | : S.Kang, M.Amagai, A.L.Bruckner, et al.(eds.) |
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出版社 | : MCGRAW-HILL EDUCATION |
ISBN | : 978-0-07-183779-8 |
ページ数 | : 3949pp. |
出版年 | : 2019年 |
在庫
定価114,840円(本体104,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 書評
高い評価を得ている皮膚科学の名著が,新たな編集チームにより完全アップデート!
約半世紀にわたって皮膚科学分野の礎として世界的に知られているテキストである本書は,皮膚の基礎科学から臨床における皮膚疾患の管理まで,すべての要点をカバーする.
世界的に著名な500人を超える寄稿者たちの知識とアドバイスが集約されており,臨床医,医学生,教育者のすべてに有用なリファレンスである.
基礎科学と臨床医学を絶妙なバランスで織り交ぜて展開する本書は,取り上げる範囲の広さ,詳細さ,説明のクオリティにおいて他に類を見ない名著である.
新版でもこの伝統を引き継ぎながらも,今日の診療や教育の内容に沿うように大幅にアップデートされている.
新版のここに注目!
●新たなエディター陣:
各方面の専門家や国際的に多様な面々が揃い,これまでの版の功績を積み重ねていくために注力するとともに,新たな洞察や見識を加えている.
●再編成・アップデートされたコンテンツ:
まず最初に重要かつ一般的な基礎科学の概念を幅広く取り上げ,それに続いて臨床的側面(関連する疾患特異的病態生理学,臨床的特徴,診断,臨床経過,管理など)にフォーカスを当てる構成となっている.
●他に類を見ないビジュアル・プレゼンテーション:
3,000を超える画像・イラスト(2,700ものフルカラー写真を含む)が収載.また,図表と "At-a-Glance" コーナーは,すべて新たに収載されたものか完全に改訂されたものとなっている.
●さらに使いやすくなったインデックス:
索引が改善され,概念・疾患・治療法に関する必要情報に素早くたどり着くことができるようになった.
Part I: Introduction
Part II: Diagnosis and Treatment in Dermatology
Part III: Disorders of Skin and Mucous Membranes
Part IV: Disorders of Skin Appendages
Part V: Environmental and Occupational Skin Problems
Part VI: Neurocutaneous and Psychocutaneous Disorders
Part VII: Developmental Skin Changes
Part VIII: Skin Tumors and Skin Cancer
Part IX: Skin in Systemic Diseases
Part X: Skin Infections, Infestations, Bites and Stings
待ちに待ったFitzpatrick’s Dermatologyの改訂「第9版」である。私も1年以上前から予約していたが、出版の度重なる延期の連絡がくるたび、残念に思うと同時に、最新の情報が盛り込まれたFitzpatrick’s Dermatologyが届くのが、さらに待ち遠しくなっていた。実際に手にしてみると、まさに期待通りの一冊(2分冊)であった。前版は白が基調の表紙だったが、今版は黒を基調に金色と白の文字が並んでいて、格好いい。かなり分厚く、重くなった印象はあるが、昨今の皮膚科領域での新知見の多さを考えると、このくらいは必要だろう。書棚に並べると抜群の存在感である。大項目は色別にページが分けられており、分厚くても必要なページを開けやすい。各章では、これまでのFitzpatrick’sと変わらず、はじめに「AT-A-GLANCE」が設けられ、これを読めば、その章の要点がわかるようになっている。疫学、病態、臨床症状、病理、診断、治療が疾患ごとに記載されていて、必要な情報だけを容易に読み拾うことができる。さらに、章を通読すれば、その疾患についての網羅的な知識が得られる。図表、イラストもカラーでみやすく、記載も簡潔である。臨床写真、病理組織写真も貴重なものも含めて豊富に、十分なスペースをとって大きめに掲載されているので、特徴がわかりやすい。以前からの写真に加えて、新規の写真も多数加えられている。引用文献も各章の最後にのっているので、記載の根拠を勉強したいと思ったときに参照できる。2017年までの文献が引用されており、発売されたばかりの今は、どの章も最新の知識であふれているので、各疾患についてのreview数編をまとめて読むよりも、はるかに効率よく学べる。私たちの教室では月に一回程度、各章ごとに若手向けの勉強会を行なっているが、英語が苦手な先生でもAT-A-GLANCEと図表、イラストだけ目を通してもらうと、十分な知識量が得られる。Fitzpatrickを若手向けの勉強会に用いているのは、この教科書が世界標準であるとの、絶対的な信頼感があってのことである。
今改訂で私が注目していたのは、各皮膚疾患の病態の説明である。医学の進歩とともにアトピー性皮膚炎、乾癬といった炎症性皮膚疾患、腫瘍免疫の理解に必要とされる基礎医学知識は膨大となった。母斑、母斑症の新規原因遺伝子もどんどん発見され、その役割から臨床症状が説明され新規治療の開発につながっている。抗体製剤をはじめとする新規治療薬の作用機序も複雑である上、マイクロビオームなど、現在進行形で明らかになっている知見もあり、これだけの情報をどのようにFitzpatrickはまとめてくれるのか、と思っていた。しかしそこはさすがにFitzpatrick、正統な教科書らしく、非常に簡潔に確実にわかっているところだけが記載されていて、読みやすい。皮膚免疫学、解剖、病理についても十分にページをさいて、別にわかりやすく説明されている。特に痒みについても神経がIL-4受容体を発現しているという最新の知見まで網羅されていて感動した。
今版では編集者のメンバーが大きく変わったが、中でも特筆すべきは初めて編集者に日本人皮膚科医が加わったことである。2019年現在、日本皮膚科学会理事長であられる天谷雅行先生が7人の編集者の中の1名として加わり、また執筆者にも日本人皮膚科医が以前にも増して多く加わっている。そのため、これまでよりも、より親しみを感じる世界の教科書となっている。空いた時間にパラパラ眺めても、じっくり読んでも、楽しめる。ぜひ先生方のお手元に置いていただきたい一冊である。
評者■ 帝京大学医学部皮膚科学講座 多田 弥生
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