雑誌

臨床雑誌内科≪月刊≫

総合内科医としてのインプレッシブ・ケース集(Vol.133 No.1)2024年1月号

総合内科医はいるのか?

発行年月 : 2024年1月

在庫あり

定価2,970円(本体2,700円 + 税)


  • 主要目次
  • 序文

[特集]
総合内科医としてのインプレッシブ・ケース集 総合内科医はいるのか? 
企画:國松淳和
 
[Chapter 1]序論
 総合内科医はいるのか?  國松淳和
 
[Chapter 2]私のインプレッシブ・ケース
 Case 1 精神病院に内科医はいるのか? 小野正博
 Case 2 その腹痛は何か? 井口正寛
 Case 3 先生に伝えなくてはいけないことがあるんです 矢吹 拓
 Case 4  「胸痛」を主訴に受診した血液疾患 佐々木裕哉
 Case 5  謎の低蛋白血症 狩野俊和
 Case 6  専門医を蝕む病患者を救えなくなる内科診療 櫻井俊之
 Case 7  果たせなかった夢 峯村信嘉
 Case 8  「感性」が捉えた大腸がん 矢郷祐三
 Case 9  高血糖,体重減少の原因は何? 辻本哲郎
 Case 10 オッカムとヒッカムのせめぎ合いと微生物の正直さ 渋江 寧
 Case 11 パンデミックの片隅で 鄭 真徳
 Case 12 自分を広げるチャンスを逃すな 植西憲達
 Case 13 キャラの濃い患者様で,傾聴が必要です 谷崎隆太郎
 Case 14 アナフィラキシーショック症例に潜む違和感 高岸勝繁
 Case 15 主訴の奥の病態を見極める患者の手を離さない 片岡仁美
 Case 16 不明熱の現病歴を患者とともに追いかけると…… 西澤 徹
 Case 17 大丈夫じゃないと言って! 板金 広
 Case 18 下痢,肩凝りからの汎収縮期雑音の原因は? 山本舜悟
 Case 19 “Lung in a barrel”syndrome 佐藤達哉
 Case 20 頭痛のため紹介された90歳代女性 大岩 寛
 Case 21 レアな病態のさらに裏もあると予想すべし 藤川達也
 Case 22 若い外国人労働者を救わねば 仲里信彦

[鼎 談]
 総合内科医はいるのか? 國松淳和[司会]・佐藤泰吾・玉井道裕
 
[連載]      
新連載 ほんとに意味あるの? その感染対策・感染症治療
 連載開始にあたって/第1回 マスクまわり 中村 造
内科医が精神科のくすりを処方する。
 第11 回 その気質に気分安定薬@ 國松淳和
イメージで捉える呼吸器疾患
 第14回 鳥関連過敏性肺炎(鳥飼病)「2年前から咳が続いて困っています」 皿谷 健
Focus On
 肺移植の適応と実際 登 祐哉
 
[投稿]  
症例
fibrous strand による牽引が原因と考えられた高度大動脈弁閉鎖不全の1例 藤吉秀樹
 
[書評]
間宮家の皮膚科医 須田隆文
本日の内科外来(改訂第2版) 稲葉俊郎
ベクトル視点でやさしく読み解く 呼吸器外科手術解剖イラスト 里内美弥子

 本特集に通底するテーマは,見てのとおり「総合内科(医)」である.「総合内科とは?」という課題について議論されているのを見かけることはたまにあるが,結局は「総合」という言葉の捉え方(の個人差)に行き着くと個人的には思っている.
 もし「総合」というのを「全人的」のような意味で捉えている医学生・医師がいたら,それは実に危ういことだと思う.実は三省堂の『スーパー大辞林3.0』というスマホアプリでは,「全人的医療」について以下のように説明している.
 ぜんじんてきいりょう【全人的医療】:個々の疾患のみを対象にするのではなく,患者の心身の状態や過去の病歴,家族環境,生活環境などにも着目し,病んでいる人間の全体像をとらえて診療する総合的な医療.→クオリティー—オブ—ライフ・ホリスティック—ヘルス
 また,「全人的」という語を検索してみると,ヒットするのは医療系ばかりで,主に緩和医療関連の事柄の見出しである.緩和ケアの世界にはトータルペインという言葉があって,それについてのアンサー的な概念が「全人的医療」なのかもしれない.
 総合内科というのものが,“全人的内科”と同義とは思えないところが私にはある.内科学が総合的であることの意味や意義は,「全人的」などとは別の次元にあるような気がしてならない.やや大上段に構えすぎたが,本特集のねらいの源泉はそのようなところにある.
 私からの投げかけは,「総合内科医とよべる臨床医はいるのだろうか?」,すなわち総合内科医というものが「居るのか?」また「要るのか?」というものである.
 本特集では,このことを直接的に扱うのは序論そして鼎談のなかでのみにとどめた.実際には,私にとって「この先生の診療や人となりをもっと知りたい」と思える臨床医をまず独断で選び,そしてその先生方に印象に残った症例の叙述をお願いし,それぞれの先生の臨床医としての姿を読者が窺い知ることができるように仕向けた.
 いつも思うが,症例記述というのは,単なる例外的な事例報告ではない.個別的ではあるが,汎用性がないわけではない.むしろ個別性が高ければ高いほど,ある読み手にとっては抽象的な理解となり,未来の未知の問題に強くなることができると信じている.とにかく今日は,読み物を読むつもりで気軽に通読してみていただきたい.

國松淳和
(南多摩病院 総合内科・膠原病内科)

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