パートナー天然物化学改訂第4版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 森田博史/阿部郁朗 |
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ISBN | : 978-4-524-40377-6 |
発行年月 | : 2021年8月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 336 |
在庫
定価6,600円(本体6,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
生合成経路に基づいた分類と解説が特長の,薬学部向け天然物化学の定番書.天然物由来医薬品の薬理作用の章も設け,薬理学とのつながりも紹介.今改訂では,学習内容の整理の助けとなる,重要な天然物の構造と生合成単位のまとめ図を各章末に新設した.また,薬理作用の章の大幅刷新,付録の化合物一覧の拡充のほか,第十八改正日本薬局方対応など各種情報更新を実施した.
【主要目次】
総論
1.天然物と医薬品開発
A 素材となる生物
B 素材の選定・活性スクリーニング
2.天然物研究法
A 抽出・分離・精製
B 化学構造の決定
3.天然物と二次代謝産物
4.生合成単位と生合成経路
第1章 糖質
1.単糖類
A 単糖類
B 単糖の誘導体
2.少糖類,オリゴ糖
A 二糖類
B 三糖類,四糖類
C シクロデキストリン
3.配糖体
A 配糖体の分類
B 配糖体の命名法
4.多糖類
A ホモ多糖
B ヘテロ多糖
C 複合糖質
第2章 脂肪酸とポリケチド
酢酸-マロン酸経路
1.脂肪酸と脂質
A 脂肪酸
B 単純脂質
C 複合脂質
2.アラキドン酸誘導体
A プロスタグランジン
B トロンボキサン,プロスタサイクリン
C ロイコトリエン
D プロスタノイドと類似した構造をもつ天然物
3.芳香族ポリケチド
A フェノール誘導体
B アントラキノン誘導体
C その他の芳香族ポリケチド
4.還元型ポリケチド
A マクロリド
B ポリエーテル
第3章 芳香族化合物
シキミ酸経路
1.芳香族アミノ酸と安息香酸誘導体
A 芳香族アミノ酸
B 安息香酸誘導体
2.フェニルプロパノイド,クマリン類,リグナン類
A フェニルプロパノイド
B クマリン類
C リグナン類
3.フラボノイド,スチルベン類,スチリルパイロン類
A フラボノイド
B スチルベン類
C スチリルパイロン類
4.タンニン類
A 加水分解性タンニン
B 縮合型タンニン
5.その他の芳香族化合物
A ジアリールヘプタノイド
B ナフタレン系化合物
C クロマン類
第4章 テルペノイドとステロイド
テルペノイドの生合成経路
A イソプレノイド経路
1.モノテルペン
A 鎖状モノテルペン
B 環状モノテルペン
C イリドイド,セコイリドイド
D 変形モノテルペン
2.セスキテルペン
A 鎖状セスキテルペン
B 環状セスキテルペン
3.ジテルペン
A 非環状ジテルペン
B ラブダン系列の環状ジテルペン
C センブラン系列の環状ジテルペン
D その他の環状ジテルペン
4.セスタテルペン
A 非環状セスタテルペン
B 環状セスタテルペン
5.トリテルペン,トリテルペンサポニン
A 鎖状トリテルペン
B ダンマラン型トリテルペン
C ルパン型トリテルペン
D オレアナン型トリテルペン
E ウルサン型トリテルペン
F ラノスタン型トリテルペン
G プロトスタン型トリテルペン
H シクロアルタン型トリテルペン
I ククルビタン型トリテルペン
J 変形トリテルペン
6.カロテノド
A カロテン
B キサントフィル
C アポカロテノイド
D レチノイド
7.ステロイド
A ステロイドとは
B ステロイドの基本構造と名称
C ステロール
D ステロイドサポゲニン,ステロイドサポニン
E 強心ステロイド
F プレグナン誘導体
G 胆汁酸
H ステロイドホルモン
I ステロイドアルカロイド
第5章 アルカロイドおよびその他の含窒素化合物
アルカロイドの生合成
1.脂肪族アミノ酸由来のアルカロイド
A オルニチン由来のアルカロイド
B リシン由来のアルカロイド
C ニコチン酸由来のアルカロイド
D グルタミン酸由来のアルカロイド
2.チロシン由来のアルカロイド
A フェネチルアミンアルカロイド
B テトラヒドロイソキノリンアルカロイド
C 単純ベンジルイソキノリンアルカロイド
D 修飾型ベンジルイソキノリンアルカロイド
E フェネチルイソキノリンアルカロイド
F ヒガンバナ科アルカロイド
G モノテルペンイソキノリンアルカロイド
3.トリプトファン由来のアルカロイド
A 単純インドールアルカロイド
B モノテルペンインドールアルカロイド
C エルゴットアルカロイド
4.その他のアルカロイド
A ヒスチジン由来のアルカロイド
B アントラニル酸由来のアルカロイド
C ニコチン酸由来のアルカロイド
D フェニルアラニン由来のマオウ関連アルカロイド
E アミノ酸(フェニルアラニン,チロシン,メチオニン)を生合成起源とするその他の天然物
F ポリケタイド由来のアルカロイド
G テルペノイド由来のアルカロイド
H プリン由来のアルカロイド
5.ペプチドおよびその他のアミノ酸誘導体
A アミノ酸
B ペプチド
第6章 天然物由来医薬品の薬理作用
1.神経系作用薬
A 自律神経系・中枢神経系に作用する薬物
B 知覚/運動神経系に作用する薬物
2.循環器系作用薬
A 心不全治療薬
B 抗不整脈薬
C 脂質異常症治療薬
3.抗がん薬
A 微小管重合/脱重合阻害薬
B トポイソメラーゼ阻害薬
C DNAに対する付加体形成による阻害
4.抗生物質
A ペニシリン・クラブラン酸
B グリコペプチド系抗生物質
C ポリペプチド系抗生物質
D マクロリド系抗生物質
E アミノグリコシド系抗生物質
F テトラサイクリン系抗生物質
G リファンピシン
5.免疫抑制薬/抗アレルギー薬
A 免疫抑制薬
B 抗アレルギー薬
6.原虫感染症に対する薬物
A 抗マラリア薬
B 駆虫薬
7.抗真菌薬
8.その他
A 向筋肉性鎮痙薬
B 末梢血管拡張薬
C EPA・DHA製剤
D 抗凝固薬
E 尋常性白斑治療薬
F 骨粗鬆症治療薬
G 止瀉薬
H 瀉下剤
付録 日本薬局方収載天然有機化合物一覧
A 糖類
B 脂肪酸およびその誘導体
C 芳香族化合物
D テルペノイド
E ステロイド
F アルカロイド
G アミノ酸・ペプチド類
H その他の含窒素化合物
I 抗生物質
参考図書
索引
和文索引
欧文索引
南江堂の発刊するパートナーシリーズ「天然物化学」は,初版以来,改訂を重ねて「天然物化学」の教科書として多くの学生に利用されてきた.本書は,薬学教育モデル・コアカリキュラムにある目標に即して,学べて理解できる薬学部向けのスタンダードな教科書である.本年6 月に第十八改正日本薬局方が施行されたことを受け,第4 版では,それらに対応する改訂,訂正を行った.また,収載化合物の見直しを行い,医薬品と関連する天然物(医薬品として用いられている天然有機化合物,生薬の主成分や活性成分,医薬品のリード化合物となった天然有機化合物)は積極的に記載するとともに,最近のトピックスを盛り込み,学生がこの分野に興味を持ち,さらに深く学ぶきっかけにもなるように配慮した.
本書の最大の特徴は,生合成経路に基づいた分類と解説を行った点である.この工夫により膨大で複雑な天然有機化合物の構造を正しく認識し,より深く理解することが可能である.薬学領域にあっては,複雑な医薬品の化学構造から化学的,物理的性質を推定する技能修得にも効果が期待できる.一方,理学,農学,医学等々の他学部の学生向けの「天然物化学」の教科書としても適当であり,天然素材を扱う研究者の入門書としても利用できる.今回,新たに重要な天然物に関して生合成単位に基づいた解析を各章の最後にまとめた.本書の特徴を理解して,生合成的な視点からの天然有機化合物の構造を認識する力を養って頂きたい.
「天然物化学」は,生物活性天然物を含有する動植物などの生物資源,さらに,それらの薬理作用的な側面とも切り離すことができない.この点も十分に考慮して,可能な限り生物の学名を記載し,生物活性に関する章も別途に設けて大幅な改訂を行った.また,最新の知見に基づいたコラムも追加した.これらの内容は,4 年制(創薬)および6 年制(医療)の教育システムのいずれの分野においても必須と考えられ,本書が活用されることを期待する.
最後に,今回の改訂にあたって新しい執筆者の先生方とともに,打ち合わせや校正などで多大な労をとられた南江堂出版部の関係者に深甚なる謝意を表する次第である.
2021年7月
森田 博史,阿部 郁朗