コンパスシリーズ
コンパス医薬品情報学改訂第2版
理論と演習
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 小林道也/中村仁 |
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ISBN | : 978-4-524-40359-2 |
発行年月 | : 2018年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 256 |
在庫
定価4,620円(本体4,200円 + 税)
正誤表
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2020年02月17日
第1刷
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
演習問題の豊富な医薬品情報学の教科書。わかりやすくコンパクトにまとめられた各章で基礎を学んだ後、章末の演習問題に取り組むことにより、実務実習に出る前から手を動かし経験を積むことができる。演習問題はスモールグループディスカッションにも対応。今改訂では薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)へ対応。「患者情報」の章を新設し、さらに使いやすくなった。
1章 医薬品情報学総論
A 医薬品情報とは
1 医薬品と化合物(試薬)の違い
2 医薬品として必須の情報
3 医薬品情報の性質
4 医薬品情報の活用
5 医薬品情報の評価・創出
B 医薬品情報にかかわる法律と制度
1 法律,政令,省令
2 医薬品医療機器等法
3 薬剤師法
4 医薬品開発に関する厚生労働省令
5 レギュラトリーサイエンス
C 医薬品情報にかかわる職種
1 製薬企業などにおける医薬品情報にかかわる職種
2 医薬品卸売販売業者における医薬品情報にかかわる職種
3 病院・薬局における医薬品情報にかかわる職種
4 行政機関の医薬品情報に果たす役割
5 医薬品情報にかかわる認定専門薬剤師
2章 医薬品情報の発生過程
A 開発過程で得られる情報
1 医薬品の研究開発から製造販売承認
2 製造販売承認に必要な医薬品情報コンテンツ
3 コモン・テクニカル・ドキュメント(国際共通化資料,CTD)の構成
4 医薬品の製造販売承認審査
5 添付文書と医療用医薬品の承認審査情報
6 開発時の製造販売承認の際に必要な申請時情報の活用とその限界
B 市販後に得られる情報
1 GVPに関連する医薬品情報
2 GPSPに関連する医薬品情報
3 副作用・感染症報告制度
3章 医薬品の情報源
A 加工度による分類
1 加工度による医薬品情報の分類
2 医薬品情報の収集手順
3 一次資料
4 二次資料
5 三次資料
6 情報の検索方法
B 情報発信者による分類
1 厚生労働省など行政機関の提供する資料
2 製薬企業などの提供する資料
C 日常よく利用する医薬品情報源
1 医療用医薬品添付文書
2 一般用医薬品添付文書
3 医薬品インタビューフォーム
4章 医薬品情報の評価
A 医薬品情報の信頼性と妥当性
1 医薬品情報の評価に必要な基本的事項
2 種々の情報源の評価
B 医薬品の有効性の評価
1 医薬品の有効性評価のための基礎知識
2 有効性に関する医薬品情報の評価
3 医療施設における有効性情報の比較評価
C 医薬品の安全性の評価
1 医薬品の安全性を評価するしくみの概要
2 医薬品開発における安全性評価
3 市販後における医薬品の安全性評価
4 医療施設における医薬品の安全性評価
5 医薬品リスク管理計画(RMP)
D その他の評価(医薬品適正使用のための評価)
1 医薬品の採用・選択のための評価
2 医薬品適正使用のための評価
5章 医薬品情報の加工と提供
A 受動的医薬品情報提供
1 受動的医薬品情報提供に関する法律
2 受動的医薬品情報提供の流れ
3 医療スタッフへの受動的医薬品情報提供
4 患者への受動的医薬品情報提供
B 能動的医薬品情報提供
1 能動的医薬品情報提供に関する法律
2 能動的医薬品情報提供の流れ
3 医療スタッフへの能動的医薬品情報提供
4 患者への能動的医薬品情報提供
5 知的所有権の役割
6 守秘義務
6章 患者情報
A 情報と情報源
1 薬物治療に必要な患者情報
2 患者情報源の種類
B 収集・評価・管理
1 問題志向型システム(POS)
2 患者情報の記載方法
3 医薬品の効果や副作用を評価するために
4 守秘義務と医療分野における個人情報管理
7章 EBMと臨床研究
A EBMの概念とプロセス
1 EBMとは
2 EBMのプロセス
3 EBMの実践による利点と欠点
B 臨床研究の手法
1 臨床研究と倫理
2 生物統計
3 観察研究
4 介入研究
C 臨床研究の立案と実践
1 エンドポイント
2 サンプルサイズ
3 バイアスと交絡の回避
4 臨床適用上の結果の解釈
本書で対応する薬学教育モデル・コアカリキュラム一覧
索引
改訂第2版の序
医薬品は情報と一体となってはじめてその役割を果たすことができる。すなわち、最適な薬物療法を行うためには、医薬品の適正使用に必要な情報が患者や医療スタッフに提供され、活用されることが必要である。薬剤師から患者に薬がいったん渡った後は、患者自身で薬を管理し、時間がきたら薬を服用し、副作用が起これば患者自身でそれに気づかなければならない。薬剤師には、患者が何か薬の問題に直面した際に自分で解決できるために必要な情報を提供することが求められる。
一般に情報を他者に伝達する際には、何を伝えたかだけでなく誰が伝えたかということが重要となる。同じ情報でも、それを誰が媒介したかで受け取り方が変わってくる。信頼できる相手から伝わった情報は受け入れやすい。すなわち、薬剤師が患者に確実に情報を伝えるためには、まず患者との信頼関係を築く必要がある。そのためのコミュニケーション技術を身につけることも薬剤師には必要となる。
本書が「コンパスシリーズ」の1つとして2015年に上梓されてから3年が経過した。実務実習に必要な医薬品情報に関する知識をコンパクトにまとめ、得られた知識を活用できる演習問題を掲載しているスタイルが好評を得ている。
今回の改訂では、内容の見直しを行い、薬学教育モデル・コアカリキュラム(2013年度12月改訂版、2015年4月より実施)の「E3(1)医薬品情報」のうち初版で十分に対応できていなかった部分を追加するとともに、新たに「E3(2)患者情報」をカバーした。また、2017年6月に医療用医薬品添付文書の記載要領改正が発出され、2019年4月より施行されることになっているため、医療用医薬品添付文書の記載要領の改正に関する記述を追加した。
初版では、記述内容の誤りをいくつかご指摘いただき、正誤表にて対応させていただいた。本版ではそのようなことがないように十分に注意を払ったつもりだが、お気づきの点があれば編集部へご連絡いただきたい。
近年、薬剤師国家試験において、医薬品情報・医療統計分野の出題が増加し、難易度も高くなる傾向にあるように感じられる。これは、今後薬剤師がこれまで以上に高い医薬品情報活用スキルを身につける必要があることを示している。本書の特色である豊富な演習問題を、薬剤師の先生方の自己研鑽にも役立てていただければ幸いである。
本書の改訂にご尽力いただいた、南江堂の山本忠平氏、飯島純子氏、定郁里氏に心より感謝申し上げる。
2018年11月
小林道也
中村仁