教科書

製剤学改訂第7版

編集 : 山本昌/岡本浩一/尾関哲也
ISBN : 978-4-524-40347-9
発行年月 : 2017年4月
判型 : B5
ページ数 : 494

在庫あり

定価6,270円(本体5,700円 + 税)

  • 商品説明
  • 主要目次
  • 序文

物理薬剤学、生物薬剤学を含め、薬剤学で扱うすべての領域をカバー。医薬品製剤の調製から人体への適用及び効果発現までの過程をバランスよく解説。各章末に「学習のまとめ」と、解答・解説付きの「練習問題」を掲載し、講義の復習や知識の定着を助ける。今改訂では、第十七改正日本薬局方へ対応するとともに、平成25年度改訂版薬学教育モデル・コアカリキュラムにも準拠した。

1. 緒論−製剤学とは−
2. 製剤に関係する物理化学的基礎
 2.1 分子間相互作用
  A.ファンデルワールス力
  B.水素結合
  C.静電相互作用
  D.電荷移動相互作用
  E.疎水性相互作用
  F.複合体形成
 2.2 物質の存在状態と相平衡
  A.相変化に伴う熱の移動
  B.相平衡と相律
 2.3 溶液
  A.濃度の表現
  B.溶液に関する基礎原理
  C.溶媒間の溶質の分配
  D.溶解度
 2.4 界面現象と各種分散系
  A.表面張力とその測定法
  B.界面活性剤とその性質
  C.分子分散系,コロイド分散系
  D.乳剤
  E.懸濁剤
 2.5 化学反応速度論
  A.反応速度,反応速度定数,反応次数
  B.複合反応
  C.分解速度に関わる因子
  D.医薬品の分解と安定性
 2.6 レオロジー
  A.弾性および粘性
  B.粘弾性
  C.非ニュートン流動
  D.チキソトロピー
  E.レオロジー特性の測定
  F.高分子溶液の粘度と分子量
 2.7 粒子・粉体の性質
  A.粉体の一次物性
  B.粉体の二次物性
  C.粉体の水分との関わり
 2.8 拡散,溶解および放出
  A.拡散
  B.溶解
  C.膜透過
  D.固形材料の溶解に影響を及ぼす因子
  E.薬物の放出
3. 各種剤形
 3.1 製剤を構成する物質,材料
  A.製剤用添加剤
  B.新しい製剤素材
 3.2 日本薬局方製剤総則の剤形分類および定義
 3.3 経口投与する製剤
  A.散剤
  B.顆粒剤
  C.錠剤
  D.カプセル剤
  E.経口液剤
  F.シロップ剤
  G.経口ゼリー剤
 3.4 口腔内に適用する製剤
  A.口腔用錠剤
  B.口腔用液剤
  C.口腔用スプレー剤
  D.口腔用半固形剤
 3.5 注射により投与する製剤
  A.注射剤の臨床使用における注意
  B.注射剤の種類
  C.添加剤
  D.注射剤の製造と品質管理
  E.輸液剤
  F.浸透圧と電解質濃度
  G.注射剤の混注投与と配合変化
  H.注射剤の容器と管理
 3.6 透析に用いる製剤
  A.透析
  B.透析用剤と透析膜
 3.7 気管支・肺に適用する製剤
  A.吸入に適した粒子径
  B.吸入粉末剤
  C.吸入液剤
  D.吸入エアゾール剤
 3.8 目に投与する製剤
  A.点眼剤
  B.眼軟膏剤
 3.9 耳に投与する製剤
  A.点耳剤
 3.10 鼻に適用する製剤
  A.点鼻粉末剤
  B.点鼻液剤
 3.11 直腸に適用する製剤
  A.坐剤
  B.直腸用半固形剤
  C.注腸剤
 3.12 腟に適用する製剤
  A.腟錠
  B.腟用坐剤
 3.13 皮膚などに適用する製剤
  A.外用固形剤
  B.外用液剤
  C.スプレー剤
  D.軟膏剤
  E.クリーム剤
  F.ゲル剤
  G.貼付剤
 3.14 生薬関連製剤
  A.必ずしも生薬を含まない剤形
  B.生薬抽出製剤
4. 製剤の製造と製剤用機器
 A.溶解,ろ過
 B.粉砕,分級
 C.混合・練合
 D.乳化・懸濁化
 E.造粒
 F.乾燥
 G.打錠
 H.コーティング
 I.滅菌,無菌操作法
5. 製剤の品質確保,保証,試験法
 5.1 製剤の品質確保と保証
  A.医薬品の品質保証
  B.製剤の品質保証
  C.医薬品の容器・包装
 5.2 製剤に関する試験法
  A.化学的試験法
  B.物理的試験法
  C.粉体物性測定法
  D.生物学的試験法/生化学的試験法/微生物学的試験法
  E.製剤試験法
  F.容器・包装材料試験法
6. 薬物の生体内動態
 6.1 薬物の生体膜透過機構および吸収
  A.薬物の生体膜透過機構
  B.薬物の消化管吸収
  C.薬物の消化管吸収に影響する要因
  D.消化管以外の経路からの薬物吸収
  E.注射部位からの薬物吸収
 6.2 薬物の分布
  A.薬物の臓器分布に影響を及ぼす諸要因
  B.分布容積
  C.特殊臓器への薬物の移行
 6.3 薬物の代謝
  A.薬物代謝の様式
  B.薬物代謝酵素と代謝部位
  C.薬物代謝の変化(代謝阻害,代謝促進)
  D.薬物代謝に影響を及ぼす要因
 6.4 薬物の排泄
  A.腎臓の構造,腎排泄
  B.肝臓の構造,胆汁中排泄
  C.その他の排泄機構
 6.5 薬物速度論
  A.コンパートメントモデル
  B.クリアランスの概念と生理学的薬物速度論
  C.モデル非依存的解析法
  D.ファーマコダイナミクス
  E.バイオアベイラビリティ
  F.生物学的同等性
  G.初回通過効果
  H.病態時における薬物動態の変動
 6.6 Therapeutic Drug Monitoring(TDM)
  A.薬物血中濃度と薬効
  B.TDMのデータ解析に必要な患者情報
  C.薬物血中濃度の測定法
  D.主な薬物のTDMの実際
 6.7 薬物相互作用
  A.薬物相互作用とは
  B.吸収過程における薬物相互作用
  C.分布過程における薬物相互作用
  D.代謝過程における薬物相互作用
  E.排泄過程における薬物相互作用
  F.ファーマコダイナミクスにおける薬物相互作用
7. ドラッグデリバリーシステム
 A.ドラッグデリバリーシステムの概念
 B.薬物吸収の制御
 C.薬物放出の制御
 D.薬物標的指向の制御
付表 弱酸,弱塩基(共役酸)の酸解離定数
練習問題解答・解説
本書における薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)対応一覧
和文索引
欧文索引

改訂第7版の序

 本書出版の歴史は、1987年5月に大恟コ信先生、池田 憲先生、村西昌三先生の3名の先生方により編集された初版の発行に始まる。その後、日本薬局方は第十二改正(1991)、第十三改正(1996)が行われ、これら薬局方の改正に伴ってそれぞれに対応した本書の改訂版が発行された。すなわち、上記3名の編者により1992年4月に第2版、1997年4月に第3版が発行された。また、日本薬局方の第十四改正(2001)が実施された際に、編集陣が新しく交替し、四ツ柳智久先生、檀上和美先生、山本 昌の3名により2002年6月に第4版を発行した。その後、同じ3名の編者により第十五改正(2006)、第十六改正(2011)の公布とともに2007年4月には第5版を、また2012年4月には第6版を発行した。
 こうした変遷を経て、2015年秋に、南江堂から本書の第7版の編集依頼を受けた。今回の改訂は2016年に日本薬局方が第十七改正されたことに伴うものである。今回から編集陣が2名交替し、山本 昌、岡本浩一、尾関哲也の3名で新たに編集を担当することとなった。また、改訂の主なポイントは、(1)各項目に新しい知見を追加し、情報を更新すること、(2)日本薬局方第十七改正が実施されたことに伴う各項目の対応を行うこと、(3)新薬学教育モデル・コアカリキュラムへの対応を行うこと、の3点である。基本的な構成は第6版を踏襲したが、今回の改訂では新たに数名の先生方に執筆に御協力を頂いた。また、今版では、第3章各種製剤に生薬関連製剤を、第5章製剤の品質確保、保証、試験法に製剤に関する試験法を新たに追加し、さらなる内容の充実を図った。
 一般に、「製剤学」は、粉体工学、溶液論、界面化学、レオロジーなどの研究手法を用いて薬物の製剤化を行うとともに、製剤工程での単位操作の検討およびその理論を研究し新しい技術を開発する分野であり、物理薬剤学ときわめて関係が深い。一方、「薬剤学」は、薬物適用の方法論を研究することによって有効かつ安全性の高い医薬品製剤を提供することを目的とする学問であり、物理薬剤学と生物薬剤学の2つの大きな分野に分類できる。以上のように、本書の書名は「製剤学」という名称になっているが、実際には製剤学を含む物理薬剤学のみならず生物薬剤学の分野についても解説したものであり、薬剤学で取り扱うすべての領域をカバーしている。
 本書が主に薬剤師または薬学研究者を目指す薬学生にとって、製剤学・物理薬剤学に関する基礎理論、製造・製剤機器の概要および製剤の品質保証と確保などについて、また生物薬剤学の分野である薬物の生体内動態、薬物相互作用、薬物速度論およびドラッグデリバリーシステムなどを理解する上で有用なテキストになれば幸いである。

2017年2月
編者

9784524403479