別冊整形外科
No.80 骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2)
 
				
			| 編集 | : 松田秀一 | 
|---|---|
| ISBN | : 978-4-524-27780-3 | 
| 発行年月 | : 2021年10月 | 
| 判型 | : A4 | 
| ページ数 | : 200 | 
在庫
定価7,150円(本体6,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文

骨・軟部腫瘍の領域では世界をリードする研究成果も日本から発信され,さまざまな進歩がみられる.前号(その1)では総論的事項を取り上げたが、本号(その2)では骨・軟部腫瘍の治療各論を取り上げた. 良性腫瘍に対するさまざまな取り組み・手術のコツや、悪性の骨・軟部腫瘍の切除後の再建そして化学療法などの併用療法といった多岐にわたる論文を収載している.また、多くの整形外科医に求められる転移性骨腫瘍についても多くの論文を取り上げた.
別冊整形外科80 
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) 
 
T.良性軟部腫瘍・腫瘍類似疾患の治療 
 手指腱滑膜巨細胞腫(腱鞘巨細胞腫)の手術  北川泰之 
 孤立性(孤在性)線維性腫瘍の病態と治療―特に脊椎脊髄領域での発生例  古矢丈雄 
 
U.悪性軟部腫瘍の治療 
  未分化多形肉腫の診断と治療  森 智章 
  粘液線維肉腫の再発因子  溝尻直毅 
  悪性軟部腫瘍肺転移に対する治療アプローチ  河本旭哉 
  頭皮部発生肉腫の手術的治療マネジメント―頭皮部発生類上皮肉腫の1例  小柳広高 
 
V.良性骨腫瘍・腫瘍類似疾患の治療 
 1)骨巨細胞腫 
  骨巨細胞腫の基本と治療―再発防止の工夫  小松幸子 
  デノスマブの時代の骨巨細胞腫の治療  浦川 浩 
  デノスマブ時代を迎えた骨巨細胞腫治療の変遷  浅野尚文 
 2)単純性骨嚢腫 
  単純性骨嚢腫の病因  星 学 
  単純性骨嚢腫の治療  須佐美知郎 
 3)類骨骨腫 
  類骨骨腫の臨床像(画像所見,発生部位,局在,年齢)の特徴と治療成績  渡部逸央 
  類骨骨腫のマネジメント  大戎直人 
  類骨骨腫の基本からより低侵襲な手術的治療まで  岡本正則 
  類骨骨腫に対するO-armガイド下手術の有用性  小池 宏 
 4)その他 
  軟骨芽細胞腫の診断と治療  弘實 透 
  短管骨発生の内軟骨腫に対する病巣掻爬術の工夫―自家製水圧掻爬ツールの使用経験  大幸英至 
  内軟骨腫掻爬後の骨欠損に対する多孔質ハイドロキシアパタイト・コラーゲン複合体の有用性  土田真嗣 
 
W.原発性悪性骨腫瘍の治療 
  軟骨肉腫の診断と治療のトピックス  竹山昌伸 
 
X.再建法,その他 
 1)人工関節 
  大腿骨遠位腫瘍用人工膝関節再置換術におけるimpaction bone grafting法の有用性と手術手技の実際  鬼頭宗久 
  骨端線閉鎖前の小児悪性骨腫瘍に対する延長型人工関節の長期成績とカスタムメイド人工関節を用いた骨端線温存の工夫  津田祐輔 
 2)骨欠損への対応 
  悪性骨・軟部腫瘍切除後の骨欠損に対する術中体外放射線照射自家骨移植術による再建  出淵雄哉 
  悪性骨・軟部腫瘍切除後の骨性再建における自家加温処理骨の長期成績  生田国大 
 3)軟部組織再建 
  骨・軟部腫瘍切除に伴う軟部組織欠損に対する再建方法  寺内 竜 
  広範切除後皮膚欠損に対する組織再建術―持続陰圧療法を併用して  寺内 竜 
  軟部肉腫の広範切除後巨大組織欠損に対する自家複合組織移植による集学的再建術の取り組み  長谷川英雄 
 4)その他 
  ナビゲーション支援下骨・軟部腫瘍手術  家口 尚 
  骨・軟部腫瘍領域における人工関節周囲感染の予防と治療  白井寿治 
  回転形成術の臨床経験  富田雅人 
 
Y.転移性骨腫瘍の治療 
 1)薬物治療(骨修飾薬,化学療法,など) 
  転移性骨腫瘍の薬物療法―骨修飾薬の合併症対策  薛 宇孝 
  肺癌基節骨転移の1例―集学的治療により機能的および画像的改善が得られた症例  井上三四郎 
 2)脊椎転移への手術的治療脊椎転移に対する手術的治療  角谷賢一朗 
 3)四肢骨転移への手術的治療 
  四肢長管骨転移に対する外科的治療  田中太晶 
  大腿骨転移性骨腫瘍のマネジメント―病的骨折の危険予測  西庄俊彦 
  大腿骨転移に対する手術的治療―術式の選択方法と注意点  田中厚誌 
  上腕骨転移性骨腫瘍に対する再建法による患肢温存手術  安田剛敏 
  上腕骨近位部転移性骨腫瘍に対するリバース型人工肩関節置換術を行った2例  河南勝久 
序 
 
 日本整形外科学会では骨・軟部腫瘍の学術集会を独立して開催するなど、以前より骨・軟部腫瘍の診療、研究、教育に力を入れており、世界をリードする研究成果も日本から発信されています。また近年、骨・軟部腫瘍の領域ではさまざまな進歩がみられます。診断技術、がんゲノムに基づいたprecision medicineの取り組み、粒子線治療をはじめとした放射線治療、新しい分子標的治療、さらには免疫療法の取り組みもはじまっています。
 このたび「骨・軟部腫瘍のマネジメント」という企画をたてました。大変多くのご投稿を頂き、1冊では収録できないほどの投稿数になりましたので2冊に分けてお届けすることになりました。本号(その2)は治療各論として、良性および悪性骨・軟部腫瘍の治療について取り上げています。沢山のご投稿を頂き、心より御礼申し上げます。
 良性の骨・軟部腫瘍は、がんセンターや大学などの専門施設以外で治療されることも多いかと思います。さまざまな治療の取り組み・手術のコツなどが紹介されていますので、是非参考にして頂ければと思います。悪性の骨・軟部腫瘍は、腫瘍を切除するだけではなく、切除後の再建、そして化学療法などの併用療法が重要になってきます。本号は再建法についても多くの投稿を頂いていますので、是非ご一読ください。最後に転移性骨腫瘍について取り上げています。がん患者の生存率向上とともに、骨転移の発生頻度は増えてきており、転移性骨腫瘍への対応は多くの整形外科医に求められています。薬物療法、手術的治療をはじめとしたマネジメントの参考にして頂ければと思います。
 このたび2号にわたって骨・軟部腫瘍の特集を組ませて頂きましたが、日本のトップランナーの先生方の熱意により、この領域の診断・治療は大きく進歩していることを強く感じました。本特集内容が先生方の日常診療に役立ち、多くの先生方が骨・軟部腫瘍の治療、そして研究に興味を持って頂けることを祈念しています。 
 
2021年4月 
京都大学教授 
松田秀一 


 
 
		
