雑誌

別冊整形外科

No.78 骨粗鬆症と骨粗鬆症関連骨折に対する診断と治療

編集 : 大川淳
ISBN : 978-4-524-27778-0
発行年月 : 2020年10月
判型 : A4
ページ数 : 200

在庫あり

定価7,150円(本体6,500円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文

超高齢社会を迎えたわが国では、骨粗鬆症の克服はいまだ重要課題である。骨粗鬆症リエゾンサービスをはじめとした地域での骨粗鬆症対策も活発化している。脆弱性骨折に対する治療法も大きく変わった。こうした骨粗鬆症および関連骨折の病態の解明と診断方法の進歩、また、薬物治療の工夫、手術的治療の適応に対する検討や成績の工夫・効果などについて広く論文を取り上げた。

I.診断と評価
 骨粗鬆症の画像評価−DXA,QUS,QCT,HR-pQCT
 経皮的胸腰椎後方固定術後の局所後弯進行因子−CTにおけるHounsfield値の有用性
 骨粗鬆症診断と治療における既存CTの有用性−骨粗鬆症性椎体骨折の既往を見つけ出す
 骨微細構造および有限要素法(μFEM)による骨粗鬆症性椎体骨折の部位予測と骨折機序の解明−縦断的研究
 一次骨折予防のためのFracture Risk Assessment Tool(FRAX)活用法
 CT検査用坐位補助椅子を使用した坐位荷重位CT撮影は荷重位単純X線撮影と比較して新鮮骨粗鬆症性椎体骨折の診断に有用である
 後弯変形の評価は全脊柱アライメントで十分か−後弯変形を伴う高齢者の姿勢および三次元動作解析による検討
 早期変形性膝関節症における骨髄病変と骨代謝の関連
II.薬物治療
 骨粗鬆症の病態が運動器疼痛発生に関与するメカニズム−後肢非荷重モデルマウスを用いた検討
 副作用を考慮した骨粗鬆症治療薬の選択
 ゾレドロン酸,ロモソズマブの骨粗鬆症に対する臨床成績および骨粗鬆症治療を導入・継続するための診察におけるポイントとコツ
 ビスホスホネートと活性型ビタミンD製剤併用療法による骨密度増加の関連因子
 デノスマブ治療時に使用するビタミンD製剤の違いによる骨代謝の変化−活性型ビタミンDと天然型ビタミンD使用時の違い
 テリパラチドを使用する際は副甲状腺機能亢進症に注意が必要である
 テリパラチド(遺伝子組換え)にエルデカルシトールを併用し高カルシウム血症をきたした1例
III.脊椎骨折の病態と治療
 骨粗鬆症性椎体骨折における厳密な入院安静管理による治療成績
 骨粗鬆症性椎体骨折に対する装具治療の前向きランダム化比較研究
 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の保存的治療−体幹装具の違いによって椎体圧潰に差が生じるのか
 骨粗鬆症性椎体骨折に対する外固定法別の治療成績−軟性コルセット,硬性コルセット,体幹ギプス間での比較・検討
 骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に対する経皮的椎体形成術のハイドロキシアパタイト法とballoon kyphoplastyの治療成績
 経皮的椎弓根スクリューを使用した椎体形成併用後方固定術における術前の脊椎不安定性を指標にした術後の矯正損失量予測
 Ankylosing spinal disorders(強直性脊椎炎・びまん性特発性骨増殖症)に伴う脊椎骨折の治療戦略−胸椎および腰椎におけるASD(AS/DISH)に伴う脊椎骨折のCT,MRIを用いた骨折型の分類
 椎間孔に及んだ腰椎椎体下縁後壁骨折により生じた腰下肢痛の特徴と骨癒合過程の観察
IV.骨盤骨折の病態と治療
 骨盤脆弱性骨折の診断と治療
 脆弱性仙骨骨折の治療経験
 脆弱性骨盤輪骨折Rommens分類type IIIaに対する治療
 高齢者骨盤輪骨折の診断と治療−地域包括ケアシステムを適用した介入
 骨盤周囲の脆弱性骨折治療における三次救命救急センターのはたすべき役割
V.上肢骨折の病態と治療
 骨癒合促進のためのテリパラチドを用いた上腕骨近位端骨折の治療効果
 上腕骨近位端骨折における人工骨頭置換術の結節癒合不良因子
 テリパラチド酢酸塩と超音波骨折刺激装置の併用で偽関節が治癒した2例
 一般整形外科医が理解しておくべき脆弱性橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレートを用いた手術的治療のピットフォール−「遠位設置型は危険,近位設置型は安全」は本当か
 高齢者の橈骨遠位端骨折に対する手術的治療の成績と課題
 橈骨遠位端骨折後の橈骨骨密度と手関節機能回復
VI.下肢骨折の病態と治療
 大腿骨近位部骨折治療の動向
 両側大腿骨近位部骨折
 非定型大腿骨骨折の病態と治療に関する系統的レビュー
 インプラント周囲骨折の診断と治療
 単純X線像では診断困難な大腿骨近位部骨折におけるMRIの有用性
 秋田県の100歳以上超高齢者大腿骨近位部骨折に対する手術および骨粗鬆症治療介入の現状
VII.リエゾンサービス
 十日町病院におけるリエゾンサービス(ウルトラリエゾン)の短期的アウトカム
 地域でつなぐ再骨折予防の輪−当院骨粗鬆症リエゾンの取り組み
 骨粗鬆症リエゾンサービス−多職種連携を中心に
 ProjectF始めました



 超高齢社会を迎えた我が国でもようやく大腿骨近位部骨折の増加が頭打ちになりつつあるようですが、骨粗鬆症の克服は整形外科にとっても医療行政にとってもいまだ重要課題です。そのため、骨粗鬆症リエゾンサービスと呼ばれる、地域での骨粗鬆症対策活動も活発化しています。薬物治療では、骨吸収抑制作用を有するビスホスホネート、骨形成促進作用を有するテリパラチドに加え、デノスマブ・ロモソズマブなどの抗体薬も新たに上市され、ビタミンDとともに病態に合わせた多様な薬剤選択が可能になりました。
 脆弱性骨折に対する診断・治療法も大きく変わりました。MRIによる新鮮骨折診断がルーチンとなった一方で、CTの高機能化による精密な診断が可能になっています。橈骨遠位端骨折に対しては手術的治療が標準になり、脊椎椎体骨折では椎体形成術に加えて経皮的あるいは小切開の低侵襲固定手術が進歩しました。姿勢異常を呈した場合には椎体置換や骨切り術も適応されていますが、それらの意義を再評価する時機です。従来からの装具による保存的治療に関してしっかりとした比較試験が行われ、経験則ではなく科学的視点に立った治療戦略が可能になりました。診断が困難であった骨盤周囲の脆弱性骨折に対しては、CTやMRIによる正確な診断に基づいた的確な手術戦略が提唱されています。
 本誌において骨粗鬆症をテーマとして扱うのは2011年以来8年ぶりとなります。上述のようにこの間には病態の理解と診断法が進歩し、また、薬物治療、装具・手術的治療についても科学的な評価が進みました。さらに、地域をあげて予防に取り組む骨粗鬆症リエゾンサービスも含めて、数々の素晴らしい論文から、現在の骨粗鬆症治療の到達点を俯瞰していただければ幸いです。

2020年10月
東京医科歯科大学教授
大川淳