雑誌

別冊整形外科

No.60 骨粗鬆症

新たなる骨折を防ぐ最新の治療戦略

編集 : 遠藤直人
ISBN : 978-4-524-27760-5
発行年月 : 2011年10月
判型 : A4
ページ数 : 234

在庫品切れ・重版未定

定価6,930円(本体6,300円 + 税)


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  • 序文

骨粗鬆症はロコモティブシンドロームの主要な要因の一つであり、高齢者社会の現在、重要な問題となっている。骨粗鬆症の現状、骨粗鬆症による疼痛対策と管理を明確にした。特に骨粗鬆症による脊椎椎体骨折、橈骨・上腕骨骨折、大腿骨頚部骨折、骨盤部骨折の病態・診断・治療における最新の知見をまとめ、予防やリハビリテーションについても掲載する。

I.骨粗鬆症の病態と転帰
 1.病態、バイオメカニクス、骨折危険因子
  Wnt共役受容体である低密度リポ蛋白質受容体関連蛋白質5(Lrp5)はメカニカルストレスによる骨形成において必須である
 2.転帰、生命予後、ADL、QOL
  大腿骨転子部骨折手術例の生命予後と危険因子
  高齢者両側大腿骨近位部骨折の死亡率と骨粗鬆症治療薬投与率の検討

II.診断・スクリーニング
  骨脆弱性骨折患者における骨代謝マーカーの変動―骨代謝マーカー(I CTP)によって骨脆弱性骨折を骨転移から鑑別することは可能か
  骨脆弱性骨折が骨代謝マーカーに与える影響
  骨粗鬆症患者におけるビスホスホネート治療と血清低カルボキシル化オステオカルシンの関係性
  血中ホモシステイン高値例と血中ホモシステイン正常例における骨粗鬆症性骨折の発生頻度の比較・検討
  尿中ペントシジン高値例における骨折の発生頻度
  骨粗鬆症診断における大腿骨二重エネルギーX線吸収法の重要性

III.疼痛の機序と管理
 1.骨粗鬆症による疼痛
  骨折のない骨粗鬆症による疼痛の機序
 2.疼痛対策と管理
  骨粗鬆症治療薬による疼痛改善とQOLおよび逆流性食道炎に対する効果

IV.脊椎椎体骨折の病態・診断・治療
 1.病態と症状
  骨粗鬆症患者における脊柱変形と全脊柱立位矢状面バランスがQOLに及ぼす影響
 2.診断(臨床骨折、形態骨折)、画像診断
  骨粗鬆性椎体骨折の診断と治療戦略―びまん性特発性骨増殖症との関係から
  骨粗鬆症に伴う脊椎椎体骨折の画像的評価と安静期間
 3.保存的治療
  骨粗鬆症性椎体骨折に対する保存的治療―外固定法別の骨癒合率および日本整形外科学会腰痛評価質問票(JOABPEQ)評価
 4.手術的治療―適応と手術術式
  骨粗鬆症性椎体骨折新鮮例に対するハイドロキシアパタイトブロックを用いた椎体形成術の長期治療成績
  骨粗鬆症性椎体骨折後遅発性麻痺に対して後方固定を併用したハイドロキシアパタイトブロックによる椎体形成術の治療成績
  骨粗鬆症性椎体骨折後の偽関節に対する椎体形成術
  椎弓根スクリューポリメチルメタクリレート(PMMA)補強法は骨粗鬆症性椎体骨折に対する初期固定性を向上させる―PMMA補強法の有用性と問題点
  脊椎椎体骨折に対するポリメチルメタクリレートを用いた経皮的椎体形成術の問題点
  下位腰椎骨粗鬆症性椎体圧潰に対する手術的治療
  骨粗鬆性椎体圧迫骨折に対する脊椎後方短縮骨切り術
 5.偽関節、脊柱後弯変形に対する手術
  骨粗鬆症性胸腰椎椎体骨折偽関節に伴う遅発性脊髄障害に対する除圧および後弯矯正操作を行わない後方固定術の治療成績
  ―生命予後および歩行機能予後にも注目して
  骨粗鬆性椎体偽関節による遅発性神経麻痺の病態と後方インストゥルメント併用の椎体形成術の手術的治療
  陳旧性骨粗鬆症性圧迫骨折・偽関節に対する固定術では後弯を許容したほうが他部位での骨折発生が少ない
  ―ステロイド性骨粗鬆症とParkinson病を除いた検討

V.上肢(橈骨・上腕骨)骨折の病態・診断・治療
 1.病態
  橈骨遠位端骨折の病態・診断・治療
 2.手術的治療
  高齢者上腕骨近位部骨折に対する最小侵襲プレート骨接合術の治療成績―骨粗鬆症患者の低侵襲手術はどこまで可能か

VI.大腿骨近位部(頚部)骨折の病態・診断・治療と連携
 1.手術適応と手術術式
  大腿骨転子部骨折の治療成績―sliding hip screw法とshort femoral nail法の比較
  Short femoral nailシステムのラグスクリューのスライディングに関する考察
 2.連携―クリニカルパス(病院から診療所を含めての地域連携)
  診療報酬改定後の維持期ネットワークに向けた取り組み
  急性期病院における大腿骨頚部骨折治療およびクリニカルパスの変遷
 3.反対側の骨折防止策
  地域連携パスを利用した反対側骨折予防の工夫

VII.骨盤、その他の部位の骨折の病態・診断・治療
  骨盤部脆弱性骨折の病態・診断・治療
仙骨における脆弱性骨折(insufficiency fracture)の診断と骨折パターン
  高齢者脛骨プラトー骨折における内固定とIlizarov創外固定の治療成績の比較・検討
  非外傷性の高齢者踵骨骨折の発生頻度に関する調査・検討
  妊娠後骨粗鬆症における骨代謝状態

VIII.治療戦略と関連問題
 1.予防と治療のガイドラインに基づく治療戦略
  予防と治療のガイドラインに基づく最新の骨粗鬆症治療戦略
  骨粗鬆症治療効果とコンプライアンス維持に影響を与える因子としてのビタミンD不足
 2.関連問題―顎骨壊死、SSBT(骨代謝回転の過剰抑制)と非典型骨折
  ビスホスホネート製剤による骨形成マーカー、骨吸収マーカーの過剰抑制はどのくらいの割合で起こっているのか
  ビスホスホネート製剤服用中に生じた非定型大腿骨骨折3例の術後骨代謝マーカーの推移
  非定型大腿骨転子下骨折に対する治療を行ううえでの留意点
  骨粗鬆症治療におけるビスホスホネート製剤関連顎骨骨髄炎・顎骨壊死問題

高齢者社会の現在、骨粗鬆症を基盤とする骨折患者と骨折予備軍が多数おられる。骨粗鬆症患者では1回骨折した方は次なる骨折のリスクが高いことから、本特集号では「骨粗鬆症―新たなる骨折を防ぐ最新の治療戦略」を取り上げた。
 「骨粗鬆症の病態と転帰」の項では疫学、骨折発生率、骨折危険因子、ADL、QOL、予後について、次いで「診断・スクリーニング」の項では代謝マーカー、DXAによるアプローチについて執筆いただいた。疼痛は骨粗鬆症患者のQOLに影響する重要な愁訴であることから、「疼痛の機序と管理」として取り上げている。
 また、骨粗鬆症性骨折で最も高頻度の脊椎椎体骨折については、病態と症状、診断、保存的および手術的治療、偽関節について執筆いただいた。脊椎椎体骨折は症状を伴う臨床骨折と症状を伴わない形態骨折があるが、その実数、実態や予後は明らかでない。手術的治療では脆弱骨をいかに整復し、どのような固定(範囲、方法、インプラントの要否)をするか、骨欠損部の補填をどのように行うかなど、議論は尽きない。高齢者の脆弱骨折であり、骨の量的および質的評価を基盤とした治療計画の立案が望まれる。さらに上肢骨折(橈骨遠位端・上腕骨)では、病態・治療について執筆いただいた。
 一方、大腿骨近位部骨折はADLが障害され、寝たきりにもつながる重篤な病態である。認知症や内科疾患などの合併症を多く持っておられる方もあり、手術を選択しない(できない)例も見られる。周術期管理を含めての手術適応、脆弱な骨への手術方法もホットな話題である。さらに急性期病院で手術を終えた方の行き先は大きな問題であり、地域連携パスの活用が望まれ、そのためには多くの病院・施設、多職種スタッフを含めての連携を図ることが重要である。
 骨粗鬆症と骨折への対策は国を挙げての大きな課題であり、整形外科医は積極的に取り組む責務がある。2011年秋には「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(改訂版)」の出版が予定されており、治療戦略を立てる上での指針となろう。
 最新の内容を執筆いただいた各先生方に感謝し、また読者の方には本特集を参考にし、骨折高リスク者への積極的治療を通して次なる骨折の予防に努めていただくことを心より願うものである。
2011年9月
新潟大学教授
遠藤直人