雑誌

別冊整形外科

No.56 関節周辺骨折

最近の診断・治療

編集 : 高岡邦夫
ISBN : 978-4-524-27756-8
発行年月 : 2009年10月
判型 : A4
ページ数 : 248

在庫品切れ・重版未定

定価6,820円(本体6,200円 + 税)


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  • 主要目次
  • 序文

骨折は整形外科での主要な治療対象であるが、その治療方法は損傷の程度や部位、また症例に応じて千差万別であり、整形外科医として成熟するには長年の経験と技術が必須である。本特集号では、多様な骨折治療に対する術前計画の詳細をはじめ、新しい手技、治療法のコツ、また問題点の検討といった関節周辺骨折治療の現在を部位ごとに網羅的に扱う内容とした。

I.肩関節
肩関節周辺骨折―肩甲骨関節窩骨折・肩甲骨頚部骨折への対応
上腕骨近位部3-4part骨折に対する観血的(閉鎖的)整復・創外固定法―治療概念と実際
上腕骨大結節骨折に対する鏡視下骨接合術

II.肘関節
高齢者(70歳以上)における上腕骨遠位端骨折に対する治療と問題点
粉砕型尺骨近位端部骨折の治療
橈骨近位端骨折に対する治療
固定材料にポリエチレン混合糸を用いた肘頭骨折の引き寄せ締結法
橈骨頚部骨折に対する最小侵襲手術

III.手関節、手根骨、指関節
外来診療における橈骨遠位端骨折に対する保存的治療の適応と限界
橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定の治療成績
尺骨遠位端骨折に対するプレート固定―特に高齢女性に対して
背側月状骨窩骨片を伴う橈骨遠位端関節内骨折に対する掌側および背側プレート固定の有用性
舟状骨骨折に対するAcutrack Screwの治療成績
切断指に合併した指関節周辺骨折の治療―創外固定器利用による関節可動域の向上
陳旧性近位指節間関節脱臼骨折に対する手術的治療
陳旧性第5手根中手関節内骨折に対する第4・5中手骨基部固定手術

IV.股関節
大腿骨頚部骨折(転位型)におけるHanssonピンシステムによる骨接合術
大腿骨頚部骨折に対するDual SC Screwによる低侵襲骨接合術
大腿骨頚部骨折に対して通常の手術器械を用いて行う最小侵襲人工骨頭置換術―5cm以下の後側方アプローチ手技
大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の診断と治療
股関節鏡を用いて治療した大腿骨頭骨折

V.膝関節
大腿骨遠位部骨折に対するNon-Contact-Bridging Plateを用いた骨接合術
ロッキングプレートを用いたAO分類C型大腿骨遠位部骨折の治療
膝関節周辺骨折に対するstaged management
大腿骨顆部・顆上骨折に対するIlizarov創外固定器を用いた整復手技―minimally invasive plate osteosynthesisに先立って行う整復操作
膝蓋骨骨折に対する骨接合術―新しい固定材料としてのポリエチレン編糸の有用性
脛骨プラトー骨折に対するCannulated Bone Tampを用いた最小侵襲手術
脛骨プラトー骨折に対する術中3-D CT、ナビゲーションシステムを使用した小侵襲手術
脛骨プラトー骨折に対する鏡視下整復固定術の工夫
ダブルプレートによる脛骨近位部骨折の治療戦略

VI.足関節、足根骨
足関節周囲骨折に対する治療法の選択
閉経後女性の脛骨遠位端骨折に対する創外固定と内固定の併用による低侵襲手術
粉砕型ピロン骨折に対するIlizarov創外固定
腓骨骨折合併ピロン骨折に対する手術的治療
踵骨裂離骨折に対する人工靱帯を併用した観血的整復術・内固定術の治療経験
距骨頚部骨折の治療
踵骨骨折手術におけるCアーム型CTの有用性
踵骨骨折の術後成績

外傷による骨折が整形外科領域の主要な治療対象であることは現在でも変わりはない。骨折はどの部位であっても千差万別であり、それぞれの症例の特徴に応じた適切な治療が求められる。治療法の選択に当たっては、骨折のみならず靱帯損傷、神経血管損傷、その他の軟部組織の損傷の評価も必要であり、それら全ての状態を把握して分類、手術適応、手術法選択、後療法などについての周到な計画のもとに進められるべきである。その治療計画と正確な実施が良好な治療成績を左右することは論をまたない。しかし実際の診療では様々な困難に遭遇して治療が難渋することもあり、骨折治療は今後も大きな臨床研究の対象となり続けるであろう。
 また、近年の老齢者増加による骨粗鬆症や認知症を伴った骨折患者の増加により、骨折治療の低侵襲化、治療期間の短縮、早期回復などへの配慮が求められており、骨折治療技術の更なる発展が必要とされているのではないであろうか。特に関節周辺骨折は関節機能の障害を来しやすく、治療期間が長引くことが多い。また、その成績は初期治療の成否が大きく影響する。初期治療の原則は正確な整復と強固な固定、適正な後療法である。関節周辺骨折においても然りであるが、その達成には困難を伴うことが瘻々あることは、読者諸氏が認めるところと思う。
 一方で、近年の医療工学の発達は骨折治療技術にも大きな変化をもたらしている。特に画像診断技術では、三次元CTによる関節周辺骨折の三次元での観察が可能となり、術前計画の有力な参考資料となっている。また、その三次元CTデータを用いたナビゲーション手術は低侵襲での正確な整復と固定に有用である。外傷後関節症防止のための関節面の的確な整復には関節鏡も応用されてきた。医用材料工学の進歩も骨折治療に進歩をもたらしており、種々の新しい固定材料が開発されて実用化されている。今後も医療工学の発達に伴って骨折治療の効率化が進むことであろう。
 本特集号ではそれぞれの部位の関節周辺骨折治療において経験豊富な先生方より充実した内容の論文を投稿していただいて編集を行った。未だ問題が多い関節周辺骨折治療の現状把握と診療の参考としていただければ幸いである。
2009年9月
大阪市立大学名誉教授
高岡邦夫