組織細胞生物学原書第3版
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監訳 | : 内山安男 |
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ISBN | : 978-4-524-26971-6 |
発行年月 | : 2015年11月 |
判型 | : A4変型 |
ページ数 | : 720 |
在庫
定価9,350円(本体8,500円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
組織学を基に分子細胞生物学、病理学、臨床医学とを結びつけた世界的に定評のある教科書。今改訂では、情報更新に加え、新たに章末にまとめ項目を追加し今まで以上に深い知識を得ることができるようになった。見やすいと好評な図や写真は、新たなものへの描き換えや、より鮮明な写真への差し替えによりさらにわかりやすいものへ変更。医学部、生命科学系の学生や院生、研究者にも有用な一冊。
第I部 基本組織と統合細胞生物学
第1章 上皮
上皮の一般的分類
上皮の極性
頂上領域の分化
細胞接着分子
ADAMタンパク質
細胞接着装置
臨床的意義:ヒトの疾患におけるコネキシンの変異
基底膜
細胞と細胞,細胞と基底板の相互作用
細胞骨格
微細フィラメント
微小管
中心体:微小管形成中心
線毛と鞭毛における微小管
臨床的意義:微小管を標的とした薬剤と不妊
微小管−モータータンパク質によって動力を受ける輸
送担体に対する細胞骨格の軌道
軸索輸送
ミオシンファミリーはF-アクチンと連合して収縮構造を作る
ミオシン軽鎖キナーゼによる軽鎖のリン酸化
中間径フィラメント
ヘミデスモソームと中間径フィラメント
臨床的意義:中間径フィラメントと水疱症
細胞の核
核膜と核膜孔複合体
核細胞質輸送:RAN-GTPase
クロマチン(染色質)
量的代償作用:一方のX染色体の不活性化
核小体
核酸の局在
細胞周期
オートラジオグラフィとFACS:細胞周期のダイナミクスの解析
核膜の崩壊と再形成
腫瘍抑制遺伝子
臨床的意義:網膜芽細胞腫遺伝子と他の抑制遺伝子
細胞分裂
テロメア,老化,がん
臨床的意義:化学療法におけるp53タンパク質の役割
核型
基本的概念の整理 上皮
第2章 上皮腺
上皮腺の発生
上皮腺の分類
分泌部は単一の細胞あるいは多数の細胞からなる
分泌部の形態
分泌の種類
分泌機構
細胞質膜
細胞膜
リン脂質二重層
膜タンパク質
凍結割断:表面と割断面の間の相違
輸送体とチャネルタンパク質
小胞体
粗面小胞体
タンパク質合成と選別
ゴルジ装置
ゴルジ装置の機能
エクソサイトーシスまたは分泌経路とエンドサイトーシス経路
クラスリン被覆小胞とCOP被覆小胞の選別
目的とする膜への小胞の融合はNSFとSNAREタンパク質を必要とする
リソソーム選別経路:M6PとM6P受容体の意義
受容体依存性エンドサイトーシス:コレステロールの取り込み
臨床的意義:家族性高コレステロール血症
リソソームと細胞内消化
臨床的意義:リソソーム蓄積異常
ミトコンドリア
ミトコンドリアはアポトーシス,ステロイド合成,熱産生に関与する
臨床的意義:ミトコンドリアの遺伝
ペルオキシソーム
臨床的意義:ツェルウェーガー症候群
コンセプト・マップ 上皮腺
基本的概念の整理 上皮腺
第3章 細胞のシグナル伝達
細胞シグナル伝達機構
細胞シグナル伝達分子の作用機構
一酸化窒素
細胞シグナル伝達分子は細胞表面の受容体と結合する
細胞表面受容体による細胞内シグナル伝達の経路
臨床的意義:治療薬の対象,チロシンキナーゼ
細胞内細胞シグナル伝達の主要経路
cAMP経路
cGMP経路
ホスホリパーゼC-Ca2+経路
転写因子NF-κBの経路
Ca2+-カルモデュリン経路
MAPキナーゼ経路
JAK-STAT経路
転写因子遺伝子:SOX
幹細胞,多能性細胞株
培養条件下での細胞増殖,老化,テロメラーゼ
アポトーシスあるいはプログラム細胞死
アポトーシスについて線虫が示すこと
細胞外シグナルがアポトーシスを開始する:Fas受容体/Fas リガンド
カスパーゼ:細胞死の抑制因子と実行因子
Bcl-2はBaxを介してミトコンドリアシトクロムcの放出を制御している
アポトーシスの臨床的意義:免疫系におけるアポトーシス
アポトーシスの臨床的意義:神経変性疾患
タンパク質分解にかかわる3つの主要な機構
原型がん遺伝子とがん遺伝子
基本的概念の整理 細胞のシグナル伝達
第4章 結合組織
分類
結合組織を構成する細胞
コラーゲンの合成,分泌,会合
臨床的意義:エーラス・ダンロス症候群
弾性線維の合成,分泌,重合
臨床的意義:マルファン症候群
マクロファージ
肥満細胞
臨床的意義:肥満細胞とアレルギー過敏反応
形質細胞
細胞外マトリックス(ECM)
細胞外マトリックス(ECM)の分解
臨床的意義:腫瘍浸潤における分子生物学
脂肪組織
臨床的意義:肥満
軟骨
軟骨の成長(軟骨形成)
軟骨の種類
骨
成熟骨の肉眼的構造
成熟骨の顕微鏡的構造
骨膜と骨内膜
骨マトリックス
骨を構成する細胞
骨芽細胞と骨細胞
臨床的意義:骨芽細胞から骨細胞への分化
破骨細胞
破骨細胞の分化
臨床的意義:骨粗鬆症と骨軟化症
コンセプト・マップ 結合組織
基本的概念の整理 結合組織
第5章 骨形成
骨形成(骨発生,骨化)
膜内骨化
軟骨内骨化
二次骨化中心と骨端成長板
臨床的意義:骨端成長板と小人症
軟骨内骨化帯
骨幹の幅の成長
骨リモデリング
臨床的意義:遺伝性の骨変性疾患
関節
臨床的意義:関節リウマチ
コンセプト・マップ 骨形成
基本的概念の整理 骨形成
第6章 血液と造血
血液
血漿
血液の細胞性要素:赤血球(RBC)
臨床的意義:細胞骨格とヘモグロビンの異常
臨床的意義:胎児赤芽球症
白血球
顆粒球
無顆粒球
臨床的意義:白血球はホーミング機構により感染部位に移動する
臨床的意義:白血球接着不全症
臨床的意義:喘息における肥満細胞と好酸球の相互作用
血小板
臨床的意義:血小板減少症
臨床的意義:止血と血液凝固カスケード
造血
造血細胞群
臨床的意義:造血系の成長因子
赤芽球系細胞
白血球の発生
顆粒球
無顆粒球:リンパ球
単球
臨床的意義:コロニー刺激因子とインターロイキン
血小板と巨核球
臨床的意義:トロンボポエチン
臨床的意義:幹細胞因子(c-kitリガンドとしても知られる)
臨床的意義:トランスフェリンと鉄代謝産物
コンセプト・マップ 血液と造血
基本的概念の整理 血液と造血
第7章 筋組織
骨格筋
骨格筋筋線維(筋細胞)の特徴
筋原線維:サルコメア単位の繰り返し
サルコメアの細いフィラメントと太いフィラメントの構成成分
筋の収縮機序
クレアチンリン酸:エネルギー源のバックアップ
脱分極シグナルはT細管によって筋細胞内に伝えられる
神経筋接合部:運動終板
臨床的意義:神経筋伝達の異常
カルシウムが筋の収縮をコントロールする
臨床的意義:筋ジストロフィ
臨床的意義:衛星細胞と筋の再生
筋紡錘
心筋
臨床的意義:心筋細胞の細胞膜上の輸送タンパク質群
臨床的意義:心筋梗塞
平滑筋
平滑筋の収縮機序
コンセプト・マップ 筋組織
基本的概念の整理 筋組織
第8章 神経組織
神経組織の概要
神経系の発生
ニューロン
ニューロンの種類
ニューロンや軸索の集合をさす用語
シナプス終末とシナプス
臨床的意義:狂犬病ウイルスの軸索輸送
グリア:中枢神経内の「結合組織」
星状膠細胞(アストロサイト)
稀突起膠細胞(オリゴデンドロサイト)とシュワン細
胞:髄鞘形成
髄鞘:タンパク質と脂質成分
臨床的意義:脱髄疾患
臨床的意義:神経変性疾患
小膠細胞(ミクログリア)
上衣
脈絡叢
脳脊髄液
臨床的意義:脳と血管間の物質透過性の障壁
末梢神経系
末梢神経の構造
臨床的意義:節性脱髄と軸索の再生
感覚性神経節
自律神経系
神経組織学で用いられる手法
コンセプト・マップ 神経組織
基本的概念の整理 神経組織
第9章 感覚器:視覚器と平衡聴覚器
眼
眼の発生
眼球の外層
強膜
角膜
中層:ブドウ膜
眼球内の3つの部屋
水晶体
臨床的意義:白内障
眼の調節機能
内層:網膜
臨床的意義:網膜剥離
網膜の細胞層
視細胞:杆体と錐体
伝達ニューロン:双極細胞と神経節細胞
連合ニューロン:水平細胞とアマクリン細胞(無軸索細胞)
支持をする神経膠細胞:ミュラー細胞
網膜の機能的に特殊化した部位
眼瞼,結膜,涙腺
臨床的意義:赤目
耳
外耳
中耳
内耳
内耳の発生
内耳の構造
前庭器官
半規管
臨床的意義:メニエール病
耳石器
蝸牛
音を感知するしくみ
臨床的意義:聴覚障害
コンセプト・マップ 感覚器:眼と耳
基本的概念の整理 感覚器:眼と耳
第II部 生体防御系
第10章 免疫・リンパ系
免疫・リンパ系の構成
自然免疫と獲得免疫
獲得免疫の特性
B細胞
T細胞
主要組織適合複合体とヒト白血球抗原
T細胞受容体複合体
CD4,CD8補助受容体
MHC分子と獲得免疫応答
胸腺内で分化するT細胞は特異的な細胞表面分子を発現する
T細胞を介する免疫
どのようにヘルパーT細胞は助けるのか
細胞傷害性T細胞はどのようにして傷害するか
調節性T細胞,サプレッサーT細胞,エフェクターT細胞
臨床的意義:後天性免疫不全症候群
臨床的意義:アレルギー
補体系
リンパ性器官
リンパ節
リンパ節の構造
臨床的意義:リンパ節炎とリンパ腫
胸腺
胸腺の発生
臨床的意義:ディジョージ症候群
胸腺の構造
脾臓
脾臓の血管系
白脾髄
赤脾髄
臨床的意義:鎌状赤血球症
臨床的意義:養子細胞性免疫療法
コンセプト・マップ 免疫・リンパ系
基本的概念の整理 免疫・リンパ系
第11章 外皮系
皮膚の概観とその種類
表皮
臨床的意義:創傷治癒
臨床的意義:乾癬
ケラチノサイトの分化
メラノサイト
ランゲルハンス細胞(樹状細胞)
メルケル細胞
真皮
血管系とリンパ系
臨床的意義:血管系疾患
感覚受容器
皮下組織(浅在筋膜)
皮膚付属器
毛
ケラチノサイトの幹細胞と毛包
腺
汗腺
臨床的意義:汗腺と嚢胞性線維症
指爪
コンセプト・マップ 外皮系
基本的概念の整理 外皮系
第III部 血液循環系
第12章 心血管系
心血管系の一般的特徴
心臓
心臓刺激伝導系
心筋線維とプルキンエ線維の相違
動脈
大径の弾性型動脈は搬送血管である
臨床的意義:大動脈瘤
中径の筋型動脈は分配血管である
細動脈は抵抗血管である
毛細血管
毛細血管は物質交換血管である
毛細血管の3つの型:連続型,有窓型,不連続型
静脈
静脈は収容・貯留血管である
リンパ管
臨床的意義:浮腫
特殊な毛細血管の配列:糸球体と門脈系
内皮細胞を介しての血流調節
臨床的意義:粥状硬化症
脈管形成と血管新生
臨床的意義:腫瘍の血管新生と兵糧攻め治療
コンセプト・マップ 心血管系
基本的概念の整理 心血管系
第13章 呼吸器系
呼吸器系の概観
鼻腔と副鼻腔
咽頭鼻部
嗅上皮
喉頭
気管
気管支樹の肺内区域
肺小葉と肺細葉
臨床的意義:肺気腫
臨床的意義:喘息
無線毛のクララ細胞
臨床的意義:嚢胞性線維症
肺の呼吸部
肺胞は肺細葉の機能単位である
II型肺胞細胞
臨床的意義:急性呼吸促迫症候群
胸膜
臨床的意義:胸膜疾患
コンセプト・マップ 呼吸器系
基本的概念の整理 呼吸器系
第14章 泌尿器系
腎臓
腎臓の血管系
直血管
腎葉と腎小葉の違い
尿細管系はネフロンと集合管からなる
腎小体
腎小体:糸球体濾過関門
臨床的意義:糸球体濾過不全
臨床的意義:先天性ネフローゼ症候群
メサンギウム
臨床的意義:嚢胞性線維症
糸球体傍装置
近位曲尿細管:再吸収コンポーネント
ヘンレのループ
遠位曲尿細管
集合管
間質細胞
尿の排泄路(尿路)
水とNaCl吸収の制御
レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系
対向流増幅機序と交換機構
臨床的意義:利尿薬の作用機序
コンセプト・マップ 泌尿器系
基本的概念の整理 泌尿器系
第IV部 消化器系
第15章 上部消化管
消化管の概要
上部消化管:口,食道,胃
口(口腔)
舌
歯
歯の発生
象牙芽細胞
セメント質
エナメル芽細胞
消化管の一般構造
消化管の微小血管系
臨床的意義:胃の微小循環と胃潰瘍
消化管の神経分布
食道
臨床的意義:嚥下と嚥下障害のメカニズム
胃
噴門部
胃底腺の機能
壁細胞による塩酸の分泌
臨床的意義:ヘリコバクター・ピロリ感染
胃腸内分泌細胞
臨床的意義:ゾリンガー・エリソン症候群
幽門腺
胃の粘膜,粘膜下組織と筋層
コンセプト・マップ 上部消化管
基本的概念の整理 上部消化管
第16章 下部消化管
小腸
腸管壁
小腸の微小循環
小腸の神経支配と運動性
十二指腸,空腸および回腸の組織学的な相違
絨毛とリーベルキューン陰窩
吸収上皮細胞(腸細胞)
杯細胞
腸内分泌細胞
小腸の保護
腸のタイト結合バリア
パイエル板
臨床的意義:M細胞を粘膜ワクチンベクター(媒介物)の標的とする形質細胞と分泌型IgA2量体
パネート細胞
臨床的意義:炎症性腸疾患と腸管細菌叢
臨床的意義:吸収不良症候群
大腸
臨床的意義:ヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸)
臨床的意義:家族性ポリポーシス遺伝子と結腸直腸の発がん性
コンセプト・マップ 下部消化管
基本的概念の整理 下部消化管
第17章 消化腺
消化腺の種類
唾液腺の分岐導管系
唾液は唾液腺の主な産物である
耳下腺
臨床的意義:おたふくかぜ(ムンプス,流行性耳下腺炎),狂犬病,腫瘍
顎下腺
舌下腺
膵外分泌部
臨床的意義:膵臓がん
膵腺房の機能
臨床的意義:急性膵炎と嚢胞性線維症
肝臓
肝小葉
肝小葉の機能的みかた
肝細胞
ペルオキシソーム
臨床的意義:肝臓蓄積症
臨床的意義:アルコール中毒と脂肪肝(アルコール性脂肪肝炎)
臨床的意義:類洞周囲細胞
胆汁:分泌機構
ビリルビンの代謝
胆汁の組成
臨床的意義:胆汁分泌を障害する病理的状態
臨床的意義:高ビリルビン血症
胆嚢
コンセプト・マップ 消化腺
基本的概念の整理 消化腺
第V部 内分泌系
第18章 神経内分泌系
視床下部-下垂体系の要点
下垂体
下垂体の発生学上の由来
下垂体の血液供給路:視床下部-下垂体門脈系
下垂体前葉(主部)の組織学
酸好性細胞から分泌されるホルモン:成長ホルモンとプロラクチン
成長ホルモン(GH)
臨床的意義:巨人症(小児)と末端肥大症(成人)
プロラクチン
臨床的意義:高プロラクチン血症
塩基好性細胞から分泌されるホルモン:性腺刺激ホルモン,甲状腺刺激ホルモン(TSH),副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
性腺刺激ホルモン:卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)
臨床的意義:不妊症
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
臨床的意義:甲状腺機能低下症
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)
臨床的意義:クッシング病
神経性下垂体
臨床的意義:尿崩症
松果体
松果体の発生
松果体の組織学
松果体は「暗闇のホルモンhormone of darkness」であるメラトニンを分泌する
日周性の体内時計
臨床的意義:思春期早発症
コンセプト・マップ 神経内分泌系
基本的概念の整理 神経内分泌系
第19章 内分泌系
甲状腺
甲状腺の発生
甲状腺の組織学的構築
甲状腺の機能
臨床的意義:甲状腺機能亢進症(グレーブス病)と甲状腺機能低下症
カルシウム調節
上皮小体(副甲状腺)
上皮小体の発生
上皮小体の組織学的構築
副甲状腺ホルモンの機能
臨床的意義:副甲状腺機能亢進症,副甲状腺機能低下症,およびCaSR遺伝子変異
C細胞(甲状腺傍濾胞細胞)
臨床的意義:多発性内分泌腺腫症
ビタミンD
臨床的意義:くる病と骨軟化症
副腎
副腎の発生
胎児の副腎皮質の機能
副腎皮質の組織学的構築
副腎髄質
カテコールアミンの作用は,αおよびβ-アドレナリン受容体を介して発揮される副腎への血液供給路
臨床的意義:副腎皮質の分泌異常
臨床的意義:副腎髄質からのカテコールアミンの過剰
分泌
臨床的意義:先天性副腎皮質過形成
膵内分泌部(膵島)
膵臓の発生
ランゲルハンス島(膵島)
臨床的意義:ATP感受性K+チャネルとインスリン分泌
臨床的意義:インスリンと糖尿病
コンセプト・マップ 内分泌系
基本的概念の整理 内分泌系
第VI部 生殖器系
第20章 精子発生
精巣
精上皮
セルトリ細胞
精祖細胞
精母細胞
減数分裂
精子細胞
精子形成完了時に起こる現象
精子の構造
臨床的意義:精子発生に影響する病理的な条件
温度
停留精巣
がん化学療法
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
精索捻転症
精索静脈瘤
ライディッヒ細胞
臨床的意義:ステロイド産生急性調節タンパク質
男性生殖路のホルモン制御
精子発生周期
臨床的意義:エピジェネティックス・リプログラミング
コンセプト・マップ 精子発生
基本的概念の整理 精子発生
第21章 精子輸送と成熟
精巣の発生
精巣決定因子が精巣の発達をコントロールする
女性と男性の内性器発生におけるミュラー管抑制ホルモンとテストステロンの役割
精巣下降
臨床的意義:クラインフェルター症候群
臨床的意義:アンドロジェン非感受性症候群(精巣性女性化症候群)
臨床的意義:5α-還元酵素欠損症
精子成熟の経路
付属生殖腺
精嚢
前立腺
臨床的意義:良性前立腺肥大症と前立腺がん
男性と女性の尿道
尿道球腺
陰茎
臨床的意義:勃起障害
コンセプト・マップ 精子輸送と成熟
基本的概念の整理 精子輸送と成熟
第22章 卵胞の発達と月経周期
女性生殖管の発達
卵巣の分化
女性生殖管の分化
外性器の分化
臨床的意義:女性生殖管の発達異常
臨床的意義:卵巣の発達異常−ターナー症候群
卵巣
卵巣周期
卵胞形成中の一次卵母細胞と顆粒層細胞の物質交換
卵胞閉鎖あるいは変性
排卵期
黄体期:黄体
排卵のホルモン調節と黄体
卵管
子宮
子宮内膜の血管新生と月経
臨床的意義:子宮内膜症
子宮頸部
臨床的意義:子宮頸部上皮内腫瘍とヒトパピローマウイルス(HPV)感染
腟
臨床的意義:診断細胞病理学
恥丘,大陰唇と小陰唇
尿道と腺(尿道傍腺とバルトリン腺)
コンセプト・マップ 卵胞の発達と月経周期
基本的概念の整理 卵胞の発達と月経周期
第23章 受精・着床・乳汁分泌
受精
受精過程の透明帯
胎盤形成
胚盤胞の着床
栄養膜の分化
着床中の脱落膜細胞の役割
一次絨毛,二次絨毛および三次絨毛の形成
胎盤の組織学的特徴
母体成分と胎児成分
胎盤血循環
絨毛膜絨毛の構造
臨床的意義:胎盤の異常
異所性妊娠
前置胎盤(妊娠後半期)
胎盤剥離(妊娠後半期)
子宮弛緩症
癒着胎盤
臨床的意義:妊娠性絨毛性疾患(栄養胚芽性疾患)
臨床的意義:胎盤の機能
ガス交換
母親免疫グロブリンの輸送
Rh(D抗原)同種免疫反応
ステロイドホルモン産生:胎児-胎盤単位
タンパク質ホルモンの産生:黄体-胎盤移行
イオンとグルコースの盛んな輸送
胎児性アルコール症候群
感染病原体
乳汁分泌
乳腺
乳腺の発達
授乳中の吸乳
臨床的意義:アンドロジェン非感受性症候群
臨床的意義:良性乳腺疾患と乳がん
コンセプト・マップ 受精,着床,乳汁分泌
基本的概念の整理 受精,着床,乳汁分泌
索引
監訳にあたって
本書の訳を世に問うて既に10年が過ぎた。本書は組織学に基盤を置き、形態に留まらず組織細胞の機能に大きく踏み込み、組織細胞の細胞生物学的な理解が得られるように構成されている。アメリカの生命科学/基礎医学の分野が大きく変貌して、神経科学と細胞生物学に大きく分かれた。研究者にとっては非常に便利になった。私が学んだ頃は、基礎医学の研究分野はきちんと分かれて、組織学は総論と各論の講義があった。私が学んだ大学には内分泌研究所があり、研究所のスタッフも組織学の講義・実習に参加されていたので、機能と形態の両面からの講義を聞くことができ面白かったのを記憶している。現在は、生命科学の分野は相互乗り入れが進み、組織学の教科書にごく当たり前に生化学的な記載がなされている。細胞膜から遺伝子へ、遺伝子から細胞内の効果器への解析が進んだ。ゲノム解析、遺伝子発現、タンパク質発現等、様々なレベルで解析が進んできた。これによって、組織学に負わされている項目が増加し、組織学を修了すると細胞と器官の理解が大いに進む。
私は学生の頃から、生命現象の原理を求めることに興味を持っていた。しかし、卒業して、生化学の助教授の先生から疾患が教えてくれることの重要さを指摘され、それがその後の研究生活で大いに役立った。よく言われることではあるが、正常な生命現象を理解するためには異常をしっかりと観察すること、基礎医学の中で疾患を解明することの重要さを認識し、それが私達の課題でもあることに気づかされた。生命現象を解析する手段はたくさんあるが、どのような方面から解析を始めようが行き着く先は一つと考えられる。それらの医学・生命科学の分野の中で、形態学は、最も基本的な学問で、医学・生命科学の分野で初めに習う学問体系である。組織学の本は、総論で細胞の成り立ち、上皮、結合組織、筋、神経の各組織について扱い、各論で器官を扱うのが一般的である。組織学の基本は、組織を構成する細胞とその細胞が存在する環境を理解することにある。細胞や環境に異常が起これば組織細胞は病的状態に陥る。この変化がどのように起きてくるかは、病理学の範疇に入る。しかし、各器官の細胞とその環境を細胞生物学的な観点から考え、病理学的な変化を視野に入れた組織学の成書はこれまでにない。
本書では、組織・細胞の構造のみならず、それらの場で遺伝子とその産物がいかなる働きをしているかも扱っている。その背景には、古典的な学問領域の枠を乗り越えて、常にすべての分野を統合して物事を考えていく姿勢の重要さを大事にしていることがある。この姿勢は本書の随所にみられる。たとえば、組織細胞の機能発現に直結する遺伝子・分子の異常と疾患については、“臨床的意義”として扱っている。本書も大筋では、古典的な組織学の道筋をたどっている。しかし、従来の組織学と異なり全体を大きく6つのパートに分けている。第I部は総論に相当する部で、基本的な組織学と統合された細胞生物学を扱っている。第II部からVI部で器官系を扱っているが、古典的な組織学と異なり、機能的に関連した器官を統合して5つの器官系に分類している。この器官系の集合体を理解するための見出しにも特徴がある。さらに、本書の最も大きな特徴は、visual approachと称して視覚に訴える模式図と写真で、本書の内容をほとんど網羅できるように工夫している点にあり、本版ではさらに内容の充実を図っている。これらの図版については、著者のAbraham L.Kierszenbaum教授と著者として新たに加わったLaura L.Tres教授が長年月をかけて作成、訂正してきたものと思われる。これにより本書を使う諸氏が、各事項の本質を容易に理解できるものと思われるし、このような整理の仕方が学問の理解に重要だということを身につけることもできる。これらの図版の作成に払った著者らの努力に深く敬意を表するものである。
翻訳にあたって、初版で気になっていた点の訂正に加え、多くの新たに加わった内容の訳出に際しては初版と同様に、平易な文章になるように心掛けた。用語は、解剖学用語集、分子細胞生物学で一般的に使われる用語に準拠した。原文で意味不明な点、新たな理解を必要とする点には訳註を入れた。極力原文に忠実であることを心掛けると共に、ごく最新の事実関係にも訳註を入れることができた。しかし、訳の不備な点もあるものと思われる。読者の方々の忌憚のないご意見が頂ければ幸甚である。
2015年10月
内山安男