シンプル理学療法学シリーズ
地域リハビリテーション学テキスト改訂第2版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
監修 | : 細田多穂 |
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編集 | : 備酒伸彦/樋口由美/対馬栄輝 |
ISBN | : 978-4-524-26957-0 |
発行年月 | : 2012年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 332 |
在庫
定価4,620円(本体4,200円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
医療・福祉の観点から地域リハビリテーションについて解説した、高齢者・障害者の生活自立支援に必要な知識・技術を習得するためのテキスト。地域リハビリテーションの現場で求められる知識(法律、行政とリハビリテーションとのかかわりなど)が充実しているのが特徴。今改訂では、2012年診療報酬・介護報酬同時改定に対応。新しい「介護予防事業」についても詳しく解説し、障害者福祉や生活環境の解説をさらに充実させた。
総論
1 地域リハビリテーションの考え方
A ノーマライゼーション(Normalization、等生化)
[1]成り立ち
[2]定義
[3]世界・わが国への展開
B 地域リハビリテーションの定義
C 理学療法士が担う役割の範囲
D 時代とともに変わる高齢者リハビリテーションと介護
E 地域リハビリテーションで求められる考え方と姿勢
[1]正解は1つではないことを知る、他者と相談をする(連携とリーダーシップ)
[2]生活支援のためには身体機能以外の要素の重要性を認識して活用する
a.介入(者)は常に善であるとは限らない
b.生活機能は身体機能のみによって決まるものではない
c.動機(意欲)の重要性
F まとめ
2 制度の変遷
A 制度を知ることの意義
[1]何のために制度を知る必要があるのか?
a.理学療法(士)の価値を示すため
b.制度にとらわれない視点をもつため
c.変遷を知るため
B 制度の変遷
[1]第二次世界大戦前から戦後、1950年代まで
[2]1960年代
[3]1970年代
[4]1980年代
a.老人保健法の実施
b.CBRの考え方
[5]1990年代
a.ゴールドプランの策定
b.訪問看護、リハビリテーションの基盤整備
[6]2000年代
a.介護保険法の成立
b.介護予防一予防のターゲットの推移一
c.障害者の福祉施策
d.高齢者の医療の確保に関する法律
C まとめ
各論
3 制度
A 地域リハビリテーションにおける「制度」のとらえ方
[1]制度の重なりの理解
[2]保健・予防とリハビリテーションとの関係
B 介護保険法
[1]保険者と被保険者
[2]サービスの提供までの手続き
a.介護保険の申請から一次判定まで
b.要介護度の決定(二次判定)
c.介護サービス計画の作成
d.サービスの利用
e.介護認定の有効期間
C 障害者総合支援法
[1]障害者自立支援法から障害者総合支援法へ
[2]サービス体系
D 高齢者の医療の確保に関する法律と健康増進法
[1]後期高齢者医療制度(長寿医療制度)
[2]健康増進法による健康増進事業
[3]特定健康診査および特定保健指導
E 制度の連携の理解
[1]保健・予防に関する事業と介護保険の関連
[2]医療・介護保険における制度間、制度内の連携
[3]地域リハビリテーションを推進するために
[4]社会資源の活用一インフォーマルサービスとの連携
4 行政職としての理学療法士
A 本章の趣旨
B 企画に携わる理学療法士に求められるもの
[1]説明する能力
[2]広い概念をもつこと
a.概念駆動型処理とデータ駆動型処理
b.概念を広げるために必要な態度
c.事実に基づいた状況判断
C 具体的事業の実例
[1]高齢者の能力を活用した福祉用具供給事業
[2]失語症キャンプ
D ケア論が制度論を築く
5 地域リハビリテーションにおける関連職種との連携
A 定義からみた連携の重要性
B 連携する主な専門家
[1]介護支援専門員
[2]医師
[3]歯科医師
[4]看護師(訪問看護師)
[5]保健師
[6]作業療法士
[7]言語聴覚士
[8]社会福祉士
[9]介護福祉士
[10]訪問介護員
[11]薬剤師
[12]栄養士(管理栄養士)
[13]歯科衛生士
[14]福祉用具専門相談員
[15]健康運動指導士
C 連携する主な機関および施設
[1]医療機関
[2]保健機関
[3]介護保険関連施設
6 サービスを提供する場面ごとの理学療法(1)介護老人保健施設
A 介護老人保健施設の変遷と基本理念
[1]変遷
[2]基本理念
B 介護老人保健施設の機能
[1]施設サービスと居宅サービス
[2]医療機能の強化
C 介護老人保健施設におけるリハビリテーション
[1]考え方
[2]リハビリテーションマネジメント
[3]理学療法士の役割と業務
[4]利用者、家族へのアプローチ(入所から退所まで)
a.入所前
b.入所―2週間以内
c.日々の流れ
d.再評価―退所
e.退所時
[5]他職種との連携
[6]地域との連携
D 介護老人保健施設におけるリスクマネジメント
E 今後の課題
7 サービスを提供する場面ごとの理学療法(2)介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
A 介護老人福祉施設の概略
B 介護老人福祉施設の運営
[1]入所までの流れ
[2]入所後の流れ
[3]人員配置
[4]生活支援の内容
[5]生活支援の手法
C 介護老人福祉施設入所者の状態像、生活像
[1]施設での生活がほぼ自立しているグループ(要介護1に相当)
a.状態像
b.生活像
[2]施設での生活に部分的に介助を要するグループ(要介護2―3に相当)
a.状態像
b.生活像
[3]施設での生活全般にわたり、ほぼ全介助を要するグループ(要介護4―5に相当)
a.状態像
b.生活像
D 介護老人福祉施設における理学療法士の役割
[1]動作能力、身体機能の評価
a.動作能力の評価
b.身体機能の評価
[2]ケアプラン立案
a.見守りや介助の必要な動作と、その介助方法および介助量
b.適切な移動手段
c.必要な生活環境整備
d.介助時に注意を要する事項例
[3]生活のためのリハビリテーション
a.目標
b.入所者の生活機能を後退させる危険因子
c.ニーズ
d.アプローチ内容
8 サービスを提供する場面ごとの理学療法(3)訪問リハビリテーション
A 訪問リハビリテーションにかかわる制度と事業運営
[1]制度
a.医療保険における基本方針
b.介護保険における基本方針
[2]事業運営
B 訪問リハビリテーションのサービスの実際
[1]サービス提供前の流れ(事前訪問)の5つの段階
a.第1段階:サービス利用の相談・申し込み
b.第2段階:サービス利用者情報の整理
c.第3段階:利用者や関係者と事前訪問の日程調整
d.第4段階:サービス提供に関する契約を交わすための事前訪問
e.第5段階:初回訪問準備
[2]サービス提供時の流れ(初回訪問、定期訪問)の5つの段階
a.第1段階:入居のあいさつ
b.第2段階:オリエンテーション
c.第3段階:サービス提供(評価と治療)
d.第4段階:フィードバック
e.第5段階:退居のあいさつ
[3]サービス提供に必要な5つの専門技術
a.評価の技術
b.ニーズ確認の技術
c.目標設定の技術
d.問題解決(ニーズ解決)の技術
e.課題解決(ニーズ解決)の技術
C 訪問リハビリテーションの今後の課題
9 サービスを提供する場面ごとの理学療法(4)通所リハビリテーション
A 通所リハビリテーションとは
B 在宅の障害者、障害高齢者の生活機能・構造と通所リハビリテーション
[1]生活機能低下の特徴
a.脳卒中モデル
b.廃用症候群モデル
c.認知症モデル
[2]生活構造の特徴
a.一般国民の生活構造
b.障害高齢者の生活構造
C 通所リハビリテーションの形態、機能と役割
D 介護予防通所リハビリテーションの実際
[1]運動器の機能向上
a.目的
b.評価
c.プログラム
[2]栄養改善
[3]口腔機能の向上
E 通所リハビリテーションの実際
[1]対象者の特性
[2]リハビリテーション
[3]通所リハビリテーションの流れと理学療法士の役割
F 通所リハビリテーションの目標(ゴール)
G 今後の課題
10 サービスを提供する場面ごとの理学療法(5)通所介護(デイサービス)
A 通所介護とは
B 通所介護の法的な要件
[1]通所介護の目的
[2]提供すべきサービス
a.基本サービス(法的要件)
b.加算サービス
c.その他
[3]その他、法的に定められている要件
C 通所介護のサービス提供の意義
[1]利用者の社会的孤立感の解消
a.対象となる利用者像
b.通所介護における効果
[2]心身の機能の維持
a.対象となる利用者像
b.通所介護における効果
[3]利用者の家族の身体的および精神的負担の軽減
a.対象となる利用者像
b.通所介護における効果
D 通所介護のサービス提供の実際
[1]通所介護計画に基づいたサービスの提供
[2]通所介護におけるリスクの管理
[3]他サービス機関との連携
E 通所介護における理学療法士の役割
11 介護保険での理学療法(1)地域包括ケア
A 地域包括ケアとは
[1]地域包括ケアの概要・基本的な考え方
[2]地域包括ケアの背景
a.人口構造の変化
[3]地域包括ケアの範囲
[4]地域包括ケアシステムの構成
[5]地域包括ケアシステムの運用
a.地域包括ケアマネジメント
b.地域包括ケアでのサービス提供の視点
c.地域包括ケアシステムにおける連携
B 介護予防と地域支援事業
[1]介護予防の概要
a.介護予防の基本的な考え方
b.介護予防での事業体系
c.介護予防の対象者
[2]地域支援事業の概略
a.地域支援事業の構成
b.地域支援事業での介護予防事業
C 二次予防事業対象者と介護予防ケアマネジメント
[1]二次予防事業対象者のスクリーニング
a.二次予防事業対象者の把握方法
b.二次予防事業対象者の決定方法
[2]介護予防ケアマネジメント
a.地域包括支援センター
b.地域包括支援センターの4機能
12 介護保険での理学療法(2)介護予防事業と予防給付
A 介護予防事業とは
[1]介護保険制度と介護予防事業
[2]介護予防における一次予防、二次予防の概念
[3]一次予防
[4]二次予防
a.早期発見:基本チェックリストの実施率
b.早期対処:通所型・訪問型介護予防事業への参加率
c.「予防重視型システム」から「地域包括ケアシステム」へ
d.「通所型」および「訪問型」介護予防事業
B 運動器の介護予防事業における理学療法士の役割
[1]プログラム前後の評価(アセスメント)
a.運動器の機能向上
b.運動器疾患対策
[2]目標設定について
[3]プログラム内容
a.運動器の機能向上
b.運動器疾患対策
C 予防給付(要支援1、2対象)
13 介護保険での理学療法(3)介護給付
A 介護保険給付とは
B 介護給付
C 介護給付の種類
[1]介護保険施設入所要介護者への給付
[2]居宅要介護者への給付
D 理学療法士のかかわり
[1]理学療法実施における留意点
[2]理学療法士の視点
E 介護給付の実際
F 今後の課題(理学療法士の将来像)
[1]理学療法士に望まれていること
[2]理学療法士が今後意識しなければならないこと
基礎となる知識・技術
14 生活環境概論(1)生活環境学概論
A 理学療法における生活環境学の必要性
B 理学療法士養成における生活環境学
C 生活環境学に関連する制度の変遷と背景
[1]生活面からの取り組み
[2]環境面からの取り組み
D 生活環境改善の手法(総論)
[1]生活環境学を基盤とする具体的サービスとその効果
a.具体的サービスとは
b.サービスの内容
[2]生活環境上の問題解決のための3つの段階
a.第1段階:潜在しているニーズの顕在化
b.第2段階:評価および計画(段取り).そして施工(導入)
c.第3段階:フォローアップとモニタリング
E 生活環境改善に必要な建築用語の知識
F 生活環境改善の手法(各論)
[1]アプローチおよび玄関における生活環境整備
a.敷地と玄関土間との段差
b.上がり框部分の段差
[2]廊下や居間、寝室における生活環境整備
a.段差の解消
b.水平手すりの設置
c.垂直手すりの設置
d.居間に必要な機能
e.寝室に必要な機能
[3]トイレにおける生活環境整備
a.立ち座りに必要な「前方空間」の確保
b.手すり設置位置の重要性
c.便座周囲をベンチ化する方法
[4]風呂場における生活環境整備
a.段差を解消する
15 生活環境概論(2)福祉用具論
A 福祉用具に関連する制度の変遷
[1]労働者災害補償保険法と児童福祉法
a.労働者災害補償保険法
b.児童福祉法
[2]身体障害者福祉法と心身障害者対策基本法
a.身体障害者福祉法
b.重度身体障害者(児)日常生活用具給付等事業
[3]そのほかの福祉用具に関連した制度
[4]福祉用具の開発と普及のための法律
a.福祉用具の定義
b.福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律
[5]介護保険制度と福祉用具
B 福祉用具導入の視点とポイント(総論)
[1]適合
[2]適合に必要なアセスメントの3つの視点
a.障害者本人に関する視点
b.介護者や家族、社会に関する視点
c.住環境に関する視点
C 福祉用具導入の視点とポイント(各論)
[1]移動にかかわる主な福祉用具
a.車いす
b.杖
c.歩行器、歩行車
d.各種リフト(浴室で使用するもの以外)
[2]睡眠環境整備にかかわる主な福祉用具
a.特殊寝台(介護用電動ベッド)
b.電動ベッドに付随する福祉用具
[3]トイレにかかわる主な福祉用具
a.ポータブルトイレ
b.立ち上がり補助便座
c.その他の排泄支援機器
[4]浴室にかかわる主な福祉用具
a.シャワーいす、バスボード、浴槽内いす
b.キャスター付きシャワーいす
c.入浴用リフト
[5]環境制御装置
[6]レクリエーション関連機器
[7]障害者スポーツ関連機器
16 リハビリテーション介入の効果判定
A 何をもって効果判定とするか
[1]運動機能の評価
[2]介入効果としてのエンドポイントとアウトカムを考える
B 介入効果を調べる
[1]研究デザイン
a.横断研究
b.縦断研究
c.比較研究
d.データのバイアス
e.ランダム化比較試験
[2]データの考え方
C 効果の判定
[1]データの観察
[2]統計解析
a.差の検定
b.相関係数
c.X2検定
17 対人援助技術
A 対人援助とは
[1]ソーシャルワークの種類
B ケースワークとは
[1]ケースワークの援助関係
[2]リハビリテーションの専門職業的援助関係の特殊性
[3]専門職業的対人関係(ラポール)
[4]援助者の自己覚知
C ケースワークの原則
[1]個別化
[2]意図的な感情表現
[3]受容
[4]統制された情緒的関与
[5]非審判的態度
[6]クライエントの自己決定
[7]秘密保持
D 工ンパワメント
[1]エンパワメントとは
[2]対人援助におけるパワーの理解
[3]エンパワメント・アプローチの方法
E コミュ二ケーション技法
[1]コミュニケーション実施の配慮
a.受け手の能力への配慮
b.つたえる場の配慮
c.相手との物理的距離の配慮
[2]コミュニケーションの種類と留意点
a.言語的コミュニケーションの留意点
b.非言語的コミュニケーションの留意点
F 対人援助における面接技法
[1]面接の構造化
[2]面接技法
a.傾聴技法
b.観察技法
c.関係技法
d.共感技法
[3]効果的な面接技法
a.うなずき
b.繰り返し
c.感情の反射
d.要約、明確化
e.支持
18 疾患・状態像の理解(1)認知症
A 認知症とは
[1]認知症の定義
[2]原因疾患
[3]中核症状と行動・心理症状
[4]認知症のステージ
B 疾患の特徴と治療および対処法
[1]血管性認知症(VD)
[2]アルツハイマー型認知症(AD)
[3]レビー小体型認知症(DLB)
[4]前頭側頭葉変性症(FTLD)
C 認知症における生活の困難性
[1]アイデンティティ崩壊の不安
[2]視聴覚の混乱
[3]時間の感覚の混乱
[4]場所の混乱
[5]セルフケア困難
[6]コミュニケーションの障害
D 家族の介護負担の軽減
E 地域の協力
[1]安心して住める地域づくり
[2]徘徊セイフティネットワーク
19 疾患・状態像の理解(2)精神領域(統合失調症、双極性障害)
A 精神疾患とは
[1]精神医療の歴史
[2]精神疾患の概念
[3]精神疾患の分類
[4]精神疾患の評価
a.精神症状の把握
b.情報の収集
c.その他の評価
[5]精神機能の概要
a.意識
b.知能
c.性格
d.記憶
e.感情
f.欲動と意志
g.自我意識
B 精神疾患の状態像と治療
[1]統合失調症
a.疫学と分類
b.状態像
c.治療
[2]双極性障害
a.疫学と分類
b.状態像
c.治療
C 精神疾患に対する適切なリハビリテーションサービス
D 精神疾患における日常生活の障害
a.日常生活活動
b.対人関係能力
E 精神科領域における理学療法の役割
20 疾患・状態像の理解(3)発達障害(運動発達遅滞、精神発達遅滞)
A 発達障害とは
B 運動発達遅滞および精神発達遅滞
[1]運動発達遅滞および精神発達遅滞とは
[2]運動発達遅滞と精神発達遅滞の関係
[3]重症心身障害と重度重複障害の概念
C 発達障害の主な基礎疾患
[1]運動発達遅滞が主となる疾患
a.脳性麻痺
b.筋ジストロフィー
c.二分脊椎症
[2]精神発達遅滞が主となる疾患
a.ダウン(Down)症候群
b.てんかん
c.その他の基礎疾患
D 発達障害における日常生活の障害
[1]姿勢保持・随意運動の障害
a.姿勢保持や随意運動の障害が要因となる二次障害
[2]呼吸機能の障害
[3]摂食・嚥下機能の障害
E 発達障害の理学療法
[1]姿勢の検討
[2]運動療法
[3]呼吸理学療法
ケーススタディ
21 実際の事例(1)脳卒中
A 事例紹介
[1]一般情報
[2]身体機能
[3]ADL
[4]1日の生活状況
[5]住環境
B 本事例への介入
[1]問題点とその要因
[2]評価とその方法
[3]介入内容
22 実際の事例(2)呼吸器疾患(在宅酸素療法)
A 事例紹介
[1]一般情報
[2]理学所見、身体機能所見
[3]ADL
[4]住環境
B 本事例への介入
[1]問題点の抽出
[2]介入目標
[3]介入内容
[4]考察
23 実際の事例(3)進行性の難病
A 事例紹介
[1]一般情報
[2]住環境
[3]在住地域の特性
[4]ADL
B 本事例への介入
[1]問題点の抽出
a.対象者に関連する現状のまとめ
b.今回解決したい生活上の問題点(ニーズ)
[2]介入ポイント
[3]介入内容
[4]考察
24 実際の事例(4)精神疾患
A 事例紹介
[1]一般情報
B 本事例への介入
[1]問題点の抽出
a.精神機能
b.地域生活への適応能力
[2]介入のポイント
[3]介入内容
a.リハビリテーションの目標達成に必要な介入
b.理学療法の役割
25 実際の事例(5)認知症
A 事例紹介
[1]一般情報
[2]ADL
[3]IADL
[4]記憶とコミュニケーション
[5]住環境
B 本事例への介入
[1]問題点の抽出
[2]介入ポイント
[3]介入内容
a.リハビリテーション
b.地域支援
26 実際の事例(6)経済的状況
A 事例紹介
[1]一般情報
[2]心身状態
[3]経済的問題の発端と経緯
B 本事例への介入
[1]問題点の抽出
[2]介入ポイント
[3]介入内容
27 実際の事例(7)家族関係
A 事例紹介
[1]一般情報
[2]ADLおよび介護状況
[3]ある日の出来事から
B 本事例への介入
[1]問題点の抽出
[2]介入ポイント
[3]介入内容
[4]考察
28 実際の事例(8)重症心身障害
A 事例紹介
[1]一般情報
[2]身体機能
[3]ADL
B 本事例への介入
[1]問題点の抽出
[2]介入ポイント
[3]介入内容
[4]考察
参考文献
索引
和文索引
欧文索引
この序を執筆する2週間前、スウェーデン市民の「介護に関する生の声」を聞くためにストックホルムの街を歩いていた。
「あなたは、親の介護を子がすべきだと思いますか」という問いに、ほとんどの人が「YES」と答えた。成人した子が親と同居することは皆無に近い国柄での回答としては意外に思われるかもしれない。ただしこれには後がある。「その介護とは何ですか」の問いに彼らの多くは「心の支え」と口をそろえた。
社会保障、ことに高齢期の住まいや具体的なケアサービスが充実している(させた)国の市民ならではの意識と言えるだろう。さらに質問を進めると、彼らがリハビリテーションやケアサービスの内容を熟知していること、そしてそれらに信頼を寄せていることがはっきりとわかった。
わが国において理学療法士が仕事をする場は、今のところほとんどが医療機関である。一方で、在宅リハビリテーション、通所リハビリテーション、さらにはケアのリーダーとして活躍する場も確実に増加している。このことは喜ばしい限りであるが、同時に、そのような場面で理学療法士が本当に役立つかどうかを厳しい目で試されているという緊張感を持つ必要がある。
医療の中では確固たる位置を得た理学療法(士)であるが、地域リハビリテーションやケアの場面で、我々の仕事が市民に豊かな安心感を提供できるようになるためには、いま一歩の努力が必要である。そしてその努力は、単に理学療法士の職域拡大や地位向上にとどまるものではなく、広く国民の福祉に寄与するためのものであるという覚悟も必要である。
本書は初版の企画段階からこのようなことを意図して、地域リハビリテーションにかかる理念から具体的な手法までを盛り込んできた。 改訂第2 版に向けては、この基本的な態度を踏襲しながらさらに内容を吟味し改訂を加えた。
また、地域リハビリテーションに関わる法・制度については出版ぎりぎりまで最新の内容を編み、また内容に正確さを期すために南江堂の諸氏には極めて精緻な編集を行っていただいた。さらに内容が我々の独善に陥らぬよう、本書に著者として記載のないたくさんの方々からお知恵をいただいた。合わせて深く感謝を申し上げたい。
本書が、市民に安心感を提供できるような理学療法士を育てるための一助となることを願って、改訂第2版の序としたい。
平成24年10月
編者を代表して
備酒伸彦