看護学テキストNiCE
小児看護学概論改訂第2版
子どもと家族に寄り添う援助
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 二宮啓子/今野美紀 |
---|---|
ISBN | : 978-4-524-26851-1 |
発行年月 | : 2012年12月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 410 |
在庫
定価3,300円(本体3,000円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
子どもと家族を中心とする看護を基本理念とし、子どもの権利を尊重した看護実践能力を身につけるための新しい教科書。豊富な図表を用い、事例を多く取り入れ、根拠に基づいた小児看護の基礎知識、思考過程をわかりやすく解説。改訂第2版では最新の情報に加えて、国試・実習で重要となる「代表的な疾病」の解説を追加し、ますます実習にも役立つ内容とした。
はじめに
第T章 小児看護を実践するための基礎知識
1.小児看護とは
A.小児看護の対象
1 小児
2 家族
B.小児看護の目的
C.小児看護の役割と責務
1 小児の成長・発達の促進
2 小児の健康増進
3 小児の苦痛緩和
4 小児の疾患管理
5 家族の支援
6 他職種との連携
2.小児看護の移り変わり―歴史的変遷と課題
A.小児医療の変遷
B.小児看護の始まりと変遷
C.小児看護の課題
コーヒーブレイク 「母子同室」と「母親の付き添い」の混乱
3.小児の人権
A.子ども観の変遷
B.子どもの権利
C.子どもと家族をとりまく社会の変化と子どもの権利
D.小児医療と子どもの権利
1 子どもの成長・発達とインフォームド・コンセント
2 小児医療における意思決定の特徴
3 子どもの権利擁護に対する医療者の認識
4 病院環境における子どもの権利擁護
E.小児看護と倫理的配慮
1 子どもの権利擁護に必要な看護師の能力
2 小児看護実践における子どもの権利擁護に必要な看護行為
F.生命倫理と小児看護
1 小児医療の進歩
2 子どもの臓器移植
トピックス 改正臓器移植法の施行に向けた日本小児看護学会の見解
4.小児看護における理論
A.ボウルビィの愛着理論
1 愛着行動
2 愛着行動の発達過程
3 母子分離に対する子どもの反応
B.ピアジェの認知発達理論
C.エリクソンの自我発達理論
5.小児看護における法律
A.わが国の母子保健政策の変遷
B.児童福祉法
C.母子保健法
D.児童虐待の防止等に関する法律
6.遊びと教育
A.子どもの権利と遊び・教育
B.遊び
1 小児にとっての遊びの定義と意義
2 遊びの分類と発達
3 入院している小児と遊び
トピックス 遊びを用いたアプローチを専門とするさまざまな職種
C.教育
1 小児にとっての教育の意義
2 病気や障害をもった小児の教育のしくみ
トピックス 特別支援学校等で小児への医療的ケアは教師が行ってもよいか
3 入院している小児と教育
7.小児と家族
A.母性と父性
1 母性
2 父性
3 親性
B.システムとしての家族
1 家族とは
2 システムとして捉える家族
3 個人の健康と家族の健康
4 家族のセルフケア機能と看護
5 家族の発達過程
6 家族の構造と機能
コーヒーブレイク ステップファミリー(stepfamily)とは
C.これからの小児と家族の看護の方向性
1 看護師―患者と家族のパートナーシップ
2 患者と家族中心のケア(patient and family-centered care)
コーヒーブレイク 患者と家族中心のケアのコア概念にのっとった看護実践
第U章 小児の病気・事故の予防と健康増進(ヘルスプロモーション)
1.健康増進に向けた政策
A.ヘルスプロモーション
1 ヘルスプロモーションとは
2 子どもの権利とヘルスプロモーション
B.わが国における健康増進に向けた政策や法律
1 政策や法律の経緯
2 健やか親子21
3 食育基本法
4 子育てを支援する政策や法律
トピックス ワーク・ライフ・バランス
2.健康増進のための社会制度―社会資源の活用
A.子どもと家族の健康を支える社会資源
1 社会資源とは
2 さまざまな社会資源
B.母子保健サービス
トピックス ポピュレーションアプローチとハイリクアプローチ
C.予防接種
1 予防接種の意義と予防接種法
2 予防接種の実際
D.多様な保育サービス
1 保育所
2 認定こども園
3 学童を対象としたサービス
E.社会資源を活用するうえでの配慮
3.小児をとりまく環境と対策
A.わが国における小児の傷害の特徴
1 小児の不慮の事故割合、自殺割合の推移
2 小児と情報化社会
B.セーフティプロモーション
C.小児の傷害を防ぐための看護の役割
コーヒーブレイク エコチル調査始まる
第V章 小児の成長・発達と看護
1.成長・発達の基礎知識
A.小児の成長・発達とは
1 小児の成長・発達
2 成長・発達の原則
B.形態・機能的発達―身体の形・働きの成長を知る
1 形態的発達
2 機能的発達
C.心理・社会的発達―知力・こころ・社会性の成長を知る
1 認知
2 情緒
3 コミュニケーション(言語発達)
4 遊び
5 母子関係の発達
6 社会性
D.成長・発達に影響を与える要因
E.成長・発達の評価(アセスメント)
1 身体的アセスメント
2 身体発育の評価
3 精神・運動機能の評価
4 家庭環境のアセスメント
2.新生児期の看護
A.形態的発達
B.機能的発達
1 母体外環境への適応
2 運動能力
3 感覚機能
C.心理・社会的発達
D.小児と家族の日常生活への援助
E.新生児期に起こりやすい健康問題と援助
1 愛着形成の促進
コーヒーブレイク 低出生体重児のカンガルーケアと出生直後の早期母子接触
2 新生児期の母親の育児上の心配
代表的な疾病 低出生体重児
代表的な疾病 呼吸窮迫症候群
代表的な疾病 頭蓋内出血
代表的な疾病 未熟児網膜症
3.乳児期の看護
A.形態的発達
B.機能的発達
C.心理・社会的発達
D.小児と家族の日常生活への援助
E.乳児期に起こりやすい健康問題と援助
1 乳幼児突然死症候群(SIDS)
2 児童虐待
4.幼児期の看護
A.形態的発達
B.機能的発達
C.心理・社会的発達
コーヒーブレイク 子どもの社会のルール
D.小児と家族の日常生活への援助
コーヒーブレイク 食事時の工夫
E.幼児期に起こりやすい健康問題と援助
1 児童虐待
コーヒーブレイク 子どもの水遊び
2 気管支喘息などのアレルギー疾患
3 感染症
4 不慮の事故
5.学童期の看護
A.形態的発達
B.機能的発達
C.心理・社会的発達
D.小児と家族の日常生活への援助
E.学童期に起こりやすい健康問題と援助
1 肥満、痩身(やせ)
2 いじめ
3 不登校
6.思春期の看護
A.形態的発達
B.機能的発達
C.心理・社会的発達
D.小児と家族の日常生活への援助
E.思春期に起こりやすい健康問題と援助
1 肥満
2 神経性無食欲症(拒食症)
3 うつ、自殺
4 いじめ、不登校
コーヒーブレイク 家庭環境のストレスが肥満を引き起こした例
5 喫煙、飲酒
6 性意識の変化と性の逸脱行動
7 小児のセルフケアへの援助
第W章 症状別にみる小児の看護
1.痛み
A.痛みの基礎知識
B.痛みのアセスメント
C.痛みのある小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
コーヒーブレイク 体位の工夫―うつぶせ寝
2.発熱
A.発熱の基礎知識
B.発熱のアセスメント
トピックス 発熱と生存率の関係
C.発熱のある小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
トピックス 発熱に対する母親の認識と不安
代表的な疾病 川崎病
3.脱水
A.脱水の基礎知識
B.脱水のアセスメント
C.脱水を伴う小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
4.嘔吐
A.嘔吐の基礎知識
B.嘔吐のアセスメント
C 嘔吐を伴う小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
5.下痢
A.下痢の基礎知識
B.下痢のアセスメント
C.下痢を伴う小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
6.発疹
A.発疹の基礎知識
B.発疹のアセスメント
C.発疹のある小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
7.呼吸困難
A.呼吸困難の基礎知識
B.呼吸困難のアセスメント
C 呼吸困難のある小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
コーヒーブレイク 体位の工夫―うつぶせ寝
8.けいれん
A.けいれんの基礎知識
B.けいれんのアセスメント
C.けいれんのある小児の看護の実際
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
第X章 状況別にみる小児と家族の看護
1.外来における小児と家族の看護
A.小児を対象とする外来の特徴と看護の役割
B.外来における小児と家族への看護の実際
1 緊急性の判断
2 感染症の予防
3 安全の確保
4 診療の介助
5 検査・処置時のケア
6 小児と家族のセルフケアの支援
7 育児支援
C.小児の外来の環境
D.事例(1)―受診時の様子を捉え、小児の主体的な治療への取り組みにつなげる外来での看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
E.事例(2)―成長・発達を見据えたセルフケア移行への支援
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
2.入院における小児と家族の看護
A.小児の入院の動向
1 入院期間の短縮化
2 混合病棟の増加
B.小児の入院環境
1 物理的環境
2 人的環境
C.入院時の小児と家族への援助
1 外来における援助
2 ヘルスアセスメント
3 病棟オリエンテーション
4 入院に伴う不安の軽減
D.入院中の小児に対する援助
1 安心感の保障
2 生活リズム
3 遊びの援助
4 学習の継続
5 予期されるできごとへの心理的準備
E.入院中の小児の家族に対する援助
F.在宅療養に向けた小児と家族への援助
1 入院初期からの方向づけ
2 他部門との連携・社会資源のコーディネート(調整)
G.事例(3)―初めて母親と離れて入院した幼児の分離不安
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
3.在宅療養している小児と家族の看護
A.在宅療養を必要とする小児と家族の特徴と援助
1 在宅療養を必要とする小児
2 在宅療養を必要とする小児の家族
3 発達段階に応じた小児の生活と疾患管理への援助
4 在宅療養している小児の家族への援助
B.多職種との連携と社会資源の活用
C.事例(4)―人工呼吸管理での在宅移行
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
4.検査・処置を受ける小児と家族の看護
A.小児の検査・処置の特徴
B.検査・処置を受ける小児の反応とプレパレーション
1 検査室・処置室の環境
2 ディストラクション
3 メディカルプレイ(遊びによる医療的説明)
4 処置後の遊び
C.検査・処置中の小児の安全・安楽への援助
1 必要最小限の抑制
2 声かけ
D.検査・処置を受ける小児の家族への援助
1 検査や処置を受ける際の家族の心理
2 検査や処置における家族への援助
トピックス 親が付き添うことの必要性
E.事例(5)―小児白血病の3歳児が筋肉内注射を受ける際の看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
5.手術を受ける小児と家族の看護
A.小児の手術の特徴
B.手術を受ける小児の反応とプレパレーション
C.手術を受ける小児の術前・術中・術後の看護
1 手術前の看護
2 手術室および回復室での看護
3 手術直後の看護
4 日帰り手術
D.手術を受ける小児の家族への援助
E.事例(6)―ケアや処置への不安が強い術後1日目の男児への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
代表的な疾病 直腸肛門奇形(鎖肛)
代表的な疾病 食道閉鎖症
代表的な疾病 胆道閉鎖症
代表的な疾病 腸重積症
代表的な疾病 扁桃肥大[アデノイド(咽頭扁桃)増殖症、口蓋扁桃肥大]
代表的な疾病 先天性股関節脱臼
代表的な疾病 鼠径ヘルニア
6.救急における小児と家族の看護
A.小児救急をめぐる社会的状況
B.小児救急外来を訪れる小児の特徴
1 小児患者の特徴
2 小児救急外来を訪れる小児の主訴と重症度
3 小児の熱傷の特徴と重症度
C.小児の事故・外傷の特徴
1 事故で受診した小児の親への対応
2 小児の事故・外傷と虐待
3 小児の主な誤飲物質と処置
4 小児の溺水と処置
D.小児救急における看護対応
E.小児救急におけるトリアージ
1 小児救急医療におけるトリアージとは
2 看護師に求められるトリアージの能力
トピックス 小児救急患者のトリアージ
F.事例(7)―左上腕部の熱傷で救急外来を受診した1歳6ヵ月の男児への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
7.終末期における小児と家族の看護
A.小児の死の概念
1 健康な小児の死の概念
2 病気体験のある小児の死の概念
B.終末期における小児の心理
C.小児の終末期における家族の心理
D.終末期の小児の緩和ケアと死にゆく小児の家族への援助
E.事例(8)―再発を繰り返し、病院で家族とともに終末期を過ごした男児
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
第Y章 特別な支援を必要とする小児と家族の看護
1.先天性障害をもつ小児と家族の看護
A.先天性障害とは
B.先天性障害をもつ小児と家族の特徴と援助
1 出生前に診断された両親の特徴と援助
2 出生後の看護
トピックス 遺伝カウンセリング
3 成育過程における看護
C.事例(9)―先天性心疾患をもつ乳児と家族への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
代表的な疾病 心室中隔欠損症(VSD)
代表的な疾病 心房中隔欠損症(ASD)
代表的な疾病 動脈管開存症(PDA)
代表的な疾病 ファロー四徴症(TOF)
代表的な疾病 口唇口蓋裂
代表的な疾病 ダウン症候群
2.長期療養が必要な小児と家族の看護
A.長期療養が必要な小児と家族の特徴
1 長期療養が必要な小児の特徴
2 長期療養を必要とする小児のセルフケア
3 ノーマライゼーション
4 慢性的な経過をたどる小児の健康障害を支える制度
B.長期入院(療養)が小児と家族に及ぼす影響
C.生活制限のある小児と家族への援助
D.退院から在宅への移行期の小児と家族への援助
E.キャリーオーバー
F.事例(10)―小児1型糖尿病で教育入院となった学童への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
代表的な疾病 ネフローゼ症候群
代表的な疾病 小児糖尿病
代表的な疾病 若年性特発性関節炎(若年性関節リウマチ)
代表的な疾病 てんかん
代表的な疾病 気管支喘息
代表的な疾病 アトピー性皮膚炎
3.がんの小児と家族の看護
A.小児がんとは
B.確定診断から治療開始までの小児と家族への援助
1 発症による衝撃と苦痛の大きい検査
2 意思決定
3 CV挿入
C.化学療法を受けている小児と家族への援助
コーヒーブレイク 脱毛を気にする小児
D.清潔隔離が必要な小児と家族への援助
1 感染予防
2 隔離による孤独
E.退院を控えた小児と家族への援助
F.事例(11)―化学療法を受ける小児と罪悪感をもつ家族への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
代表的な疾病 白血病
4.感染症をもつ小児と家族の看護
A.小児の感染症の現状と看護の役割
B.よくみられる感染症
1 呼吸器感染症
2 消化器感染症
3 そのほかの感染症
C.感染症をもつ小児の看護
1 急性期症状の観察と緩和
2 環境調整と感染防止
3 隔離が必要な小児と家族への援助
D.事例(12)―急性胃腸炎の小児への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
代表的な疾病 急性糸球体腎炎(溶血性連鎖球菌感染後)
5.身体障害のある小児と家族の看護
A.身体障害のある小児の現状
1 身体障害とは
2 身体障害のある小児と家族をとりまく環境
B.脳性麻痺のある小児と家族の看護
1 脳性麻痺とは
2 脳性麻痺のある小児の健康問題と看護
3 脳性麻痺のある小児と家族のハビリテーション
4 リハビリテーションチーム
C.重症心身障害のある小児と家族の看護
1 重症心身障害児とは
2 重症心身障害のある小児の健康問題と看護
3 重症心身障害のある小児の家族への援助
D.事例(13)―脳性麻痺・重症心身障害のある女児と家族への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
3 援助の具体策の一例
6.発達障害のある小児と家族の看護
A.発達障害とは
B.定義と診断基準
1 自閉症
2 アスペルガー症候群
3 注意欠陥/多動性障害
4 特定不能の広汎性発達障害
C.発達障害のある小児と家族の現状
D.発達障害者への対応
E.連携施設
F.事例(14)―軽度発達障害が明らかになった小学生と家族への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
7.児童虐待を受けた小児と家族の看護
A.児童虐待の現状
B.児童虐待に対する看護職の役割
1 看護職のかかわり
2 児童虐待に対するアセスメント
C.虐待を受けた子どもと親への支援
1 医療機関における対応の基本
2 虐待を受けた子どもへの包括的ケア
3 親に対する援助
4 看護師の感情コントロール
D.児童虐待における通告と関係機関連携
1 通告
2 関係機関連携
E.事例(15)―被虐待歴のある母親に虐待を受けた幼児への看護
1 問題の捉え方
2 看護実践と考え方
トピックス トリプルP
8.災害を受けた小児と家族の看護
A.小児看護学における災害看護とは
B.災害を受けた小児に起こりやすい症状や状況
1 小児の発達段階別での反応
2 特別な支援が必要な小児に起こりやすい状況
C.災害を受けた小児と家族へのケア
トピックス BASIC-Ph多次元モデル
第Z章 これからの小児看護
1.小児看護と専門看護師
A.専門看護師(CNS)とは
B.専門看護師の役割
C.キャリアディベロップメントの1つとしての専門看護師
2.小児看護と研究
A.小児看護とEBP
1 EBPとは
2 システマティックレビューとは
3 EBPを進めるうえでの課題
B.小児看護学研究の動向と今後の課題
コーヒーブレイク 日本から小児ケアのエビデンスを発信しよう
3.英国の小児看護
A.英国の小児看護実践
B.英国の小児看護教育
C.英国の小児看護研究
D.日本と英国の小児看護の比較
4.米国の小児看護
A.米国の小児看護の歴史
B.米国の小児看護実践
C.米国の小児看護研究
D.日本と米国の小児看護の比較
練習問題 解答と解説
索引
本書の初版が出版されてから3年半が経ちました。その間に小児医療・看護に関係する法律や診療報酬の改定、新しい治療法や医療機器の開発、蓄積された研究成果に基づいたガイドラインの改定など小児をとりまく状況は変化しています。改訂第2版では、それらの変化に対応し、小児をとりまく最新の状況が理解できるようにしました。また、読者の方々から頂いたご意見などを反映させ、「状況別にみる小児と家族の看護」や「特別な支援が必要な小児と家族の看護」における事例の状況を理解する際に欠かせない小児の代表的な疾病について、病態や治療および看護の概要をコンパクトにまとめて提示し、ますます実習にも役立てていただけるようにしました。さらに、看護のポイントや事例における看護目標が目立つように色を変えるなど、全体的に見やすく整理しました。
高度医療は、複雑な健康問題をもつ小児と家族の増加をもたらすとともに、入院期間の短縮化や医療的ケアを必要とする小児の在宅化をもたらしました。それに伴い、医療法の改正、診療報酬の改定が行われ、在宅医療・福祉の充実が図られています。医療的ケアを行いながら在宅で生活する小児や学校に通う小児も増加しています。2005年度より特別支援学校に看護師が本格的に導入され、看護師が常駐していることが当たり前になってきましたが、さらに、在宅療養の充実を図るために、介護福祉法の一部改正に伴う社会福祉士及び介護福祉士法の改正が行われ、医療者以外の人が一定の研修を受けることによって特定の医療的ケアを合法的に実施できる制度が2012年4月から開始されました。特別支援学校では教諭が一定の研修を受けて特定の児童生徒に合法的に医療的ケアが実施されるようになっています。それにより、特別支援学校における看護の役割にも少しずつ変化が生じています。
また、臓器移植法が2009年に改正され、2010年7月よりドナーの年齢制限がなくなり、家族の承諾だけで臓器移植ができるようになりました。2011年5月には6歳未満児のドナーによる臓器移植が初めて行われました。
さらに、近年の地球の温暖化や気候の変動による世界各地での集中豪雨や地震などの自然災害が多発しています。2011年に発生した東日本大震災では、震災による被害に加えて、二次災害として原子力発電所の事故による放射能汚染の問題をもたらしました。それらは小児に身体的にも精神的にも多大な影響を及ぼしました。そのため、本書では、第Y章「特別な支援を必要とする小児と家族の看護」に「8。災害を受けた小児と家族の看護」を追加しました。また、国際的な視野を広げるために、第Z章「これからの小児看護」に「4。米国の小児看護」を追加しました。
本書の特長
本書では、小児を家族のなかの存在として位置づけ、小児と家族を中心とする看護を基本理念として、とりまく社会や状況を理解し、子どもの権利を尊重した援助が考えられるような内容としました。
看護基礎教育課程の学生の皆さんが、小児と家族に対する看護実践を行うために必要な基礎知識を身につけ、「どのようにアセスメントし、援助を行えばよいか」という小児看護を展開する思考過程が理解できるように構成しています。また、基礎知識として提示した援助方法がエビデンスに基づいた知識であることを理解できるようにするとともに、多くの事例を用いて解説を加えることにより、学生の皆さんが、小児や家族のイメージを具体的に描きやすいようにしました。
第T章では、「小児看護を実践するための基礎知識」として、小児看護とは何か、小児看護の歴史的変遷と課題、小児の人権、小児看護における理論などについて、第U章では、「小児の病気・事故の予防と健康増進(ヘルスプロモーション)」として、健康増進のための社会制度、子どもをとりまく環境や対策について述べました。また、第V章では、「小児の成長・発達と看護」として、第1節で成長・発達の総論的な内容について述べ、第2節以降で各発達段階の特徴、健康的な生活を維持するために必要な看護について、家族看護の視点を含めて述べました。第W章の「症状別にみる小児の看護」では、各症状についての基礎知識、アセスメントのしかた、看護の実際について述べました。第X章の「状況別にみる小児と家族の看護」と第Y章の「特別な支援を必要とする小児と家族の看護」では、さまざまな状況にある小児と家族の理解を深めるために必要な基礎知識、事例による看護の展開という2本立てで構成しました。第Z章は「これからの小児看護」について述べ、小児看護の方向性を示しました。また、小児看護に関心をもってもらうために本文の内容と関連して、小児看護にまつわる余話をコラム(トピックス、コーヒーブレイク)として入れ、看護師国家試験の対策として、国家試験の出題形式で練習問題を設けました。さらに、演習や臨地実習で、小児と家族のニーズに合った看護を考え、実践する際に役立てていただけるように、小児の代表的な疾病について、(1)病態・症状、(2)治療、(3)予後、(4)看護のポイントなどをまとめ、第V章〜第Y章に挿入しました。
また、本書の技術編である『小児看護技術―子どもと家族の力をひきだす技(改訂第2版)』では、写真やイラストを多用して「看護技術の手順と根拠」を示し、学生の皆さんが小児看護学実習で戸惑いやすい「親が同席している場面における子どもの力をひきだす技術」についても述べています。
小児看護学を初めて学ぶ学生の皆さんに講義や実習で活用していただくとともに、実践の場で活躍している看護師の方々にも広く活用していただければ幸いです。また、本書に対するご意見やご感想などもぜひお寄せください。
2012年10月
二宮啓子
今野美紀