やさしい生理学改訂第6版
こちらの商品は改訂版・新版がございます。
編集 | : 彼末一之/能勢博 |
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ISBN | : 978-4-524-26229-8 |
発行年月 | : 2011年4月 |
判型 | : B5 |
ページ数 | : 340 |
在庫
定価2,640円(本体2,400円 + 税)
- 商品説明
- 主要目次
- 序文
コメディカル学生向けの生理学入門教科書。各章の導入となる「アウトライン」と、関連するトピックスを取り上げた「ワンポイントメモ」は、生理学への理解と興味を助ける。健康科学分野の、運動・骨・加齢の生理学、生体のリズムの章立ては本書の特色。今改訂では「成長・生殖」の章を新設、難解な神経の章をわかりやすくした。さらに各章末に臨床事項をコラムとして追加(2項)した。
1章 生理学とは
A.生体の機能
1 細胞の構造と機能
2 組織
3 生体の機能系と器官
B.生体の特性
1 生体の恒常性
2 刺激と興奮
3 刺激と適応
C.生理学と人間生活
1 生理学と環境
2 生理学と健康
a.超高齢社会
b.生活習慣病
c.加齢と長寿社会
メモ 基礎医学と治療医学
疾病・加齢
治療・予防
2章 血液と体液
A.体液の区分と組成
B.血液の成分と血液量
1 血液の成分
2 血液量
3 血漿の組成
C.血液細胞とその機能
1 赤血球
a.形態と機能
b.ヘモグロビン
c.赤血球の分化成熟
2 白血球
a.顆粒球
b.リンパ球
3 血小板
4 血球の分化
D.止血機構
1 血小板凝集
2 血液凝固
3 線維素溶解
4 凝固異常・抗凝固剤
E.血液型
1 ABO式血液型
2 Rh式血液型
3 交叉適合試験
メモ パイプと液体
疾病・加齢
治療・予防
3章 循環
A.循環の概念
1 循環の役割
2 循環系の構成
B.心臓の役割
1 心臓の機能的解剖
2 心臓の電気的活動
a.形態と機能
b.心筋細胞の興奮と収縮のカップリング
c.心臓での興奮の発生と伝導
3 心電図
a.心電図測定法
b.正常心電図
c.心電図と心臓の異常
4 心臓の血液拍出の仕組みとその調節
a.心臓の活動周期と血行動態
b.心拍出量の調節
c.一回拍出量の調節
d.心拍数の調節
C.血管系の役割
1 大動脈
a.動脈圧の成因
b.動脈圧測定法
c.平均動脈圧
2 細動脈
a.血管抵抗と血管径
b.血流量調節機構
3 毛細血管
a.拡散
b.限外濾過
4 リンパ系
5 静脈
a.静脈系の構造と働き
b.静脈還流量に影響を与える因子
D.動脈圧の調節
1 神経性動脈圧調節(圧受容器反射)
a.求心経路(圧受容器)
b.遠心経路
2 液性(ホルモン)動脈圧調節
メモ 白衣高血圧
疾病・加齢
治療・予防
4章 呼吸
A.呼吸器の構成
1 肺、気道、胸郭系
a.肺、気道系
b.胸郭系
2 呼吸筋
a.吸息筋
b.呼息筋
B.呼息と吸息
1 呼吸と肺内圧、胸腔内圧、肺弾性圧の関係
2 肺の弾性と肺胞表面活性物質
C.肺容量
1 呼吸気量
D.肺胞換気と肺胞内ガス組成
1 肺胞換気
a.死腔
b.肺胞換気量
2 肺胞内ガス組成
E.血液によるガス運搬
1 血液による酸素の運搬
2 血液による二酸化炭素の運搬
F.血液のpH緩衝作用
G.呼吸中枢
H.呼吸の化学的調節
1 化学受容器
2 血中PCO2、PO2変化に対する換気応答
I.低酸素症
1 低酸素性低酸素症
a.高所環境における低酸素性低酸素症
b.呼吸器疾患による低酸素性低酸素症
2 低酸素性低酸素症以外の低酸素症
メモ 呼吸のO2ドライブとCO2ドライブ
疾病・加齢
治療・予防
5章 消化と吸収
A.食物の消化管内移動
B.消化管の構造
1 消化管壁
2 小腸絨毛
C.栄養素の消化と吸収
1 糖質(炭水化物)の消化と吸収
2 蛋白質の消化と吸収
3 脂質の消化と吸収
4 食物繊維
5 ビタミンの吸収
6 ミネラルの吸収
7 水の吸収
D.神経とホルモンによる調節
1 神経による調節
2 ホルモンによる調節
E.消化液分泌
1 唾液の分泌
2 胃液分泌
a.胃酸分泌
b.胃液分泌の調節
3 膵液の分泌
4 胆汁の分泌
5 腸液の分泌
6 肝臓
F.消化管運動
1 咀嚼と嚥下
2 胃の運動
3 小腸の運動
4 大腸の運動
5 排便
G.大腸での消化と吸収
疾病・加齢
治療・予防
6章 尿の生成と排泄
A.腎の構造と機能
1 肉眼的構造
2 ネフロン
B.糸球体における濾過
C.尿細管における再吸収と分泌
1 尿細管における再吸収
a.イオンおよび水
b.糖およびアミノ酸
2 尿細管における分泌
D.尿の濃縮と希釈
1 対向流増幅系
2 対向流交換系
3 対向流系による希釈尿、濃縮尿の産生
E.腎血流量とその調節
1 腎血流の自動調節
F.クリアランスによる腎機能の測定
1 糸球体濾過量の測定
2 腎血流量の測定
G.腎における酸と塩基の調節
1 酸性尿の生成
a.重炭酸塩の再吸収
b.リン酸塩の排泄
c.アンモニアの排泄とH+イオンの分泌
2 アルカリ性尿の産生
H.腎機能の日内リズム
I.体液の調節
1 腎臓による体液の調節
a.浸透圧調節系
b.体液量調節系
c.ナトリウム利尿ホルモン
2 飲水による体液の調節
J.尿の組成と排尿
1 尿の組成
2 排尿
疾病・加齢
メモ 年齢と水分バランス
治療・予防
7章 代謝
A.エネルギー代謝
1 食品のエネルギー価
2 エネルギー消費量の測定法
a.直接法
b.間接法
c.非熱量的測定法
3 エネルギー代謝の内訳
a.基礎代謝
b.安静代謝
c.活動代謝
d.エネルギー必要量
B.肥満(脂肪組織)に関連するホルモン
1 レプチン
2 アディポネクチン
3 PAI-1
4 レジスチン
疾病・加齢
治療・予防
8章 体温
A.体温とその調節
1 体温
a.恒温動物と変温動物
b.体温測定法
c.生体内の温度分布
2 熱出納
a.熱産生
メモ 非ふるえ熱産生と脱共役蛋白質
b.熱放散
3 発汗
a.汗腺
b.汗の成分
c.発汗反射
4 体温調節
a.体温の調節範囲
b.体温調節反応
c.体温調節中枢
d.体温調節機構
5 体温の異常
a.発熱
b.高体温
c.低体温
B.体温の日内リズム
C.運動時の体液と体温
1 運動時の体液
a.運動による血液配分の変化
b.運動強度と体液量
c.発汗による体液量の減少
2 運動時の体温
a.運動時の熱産生
b.運動時の体温上昇が運動能力に与える影響
c.運動時の体温調節
d.運動時の体温調節に与える影響因子
3 運動時の体液量と体温調節・運動能力の関係
a.体液量と体温調節能力
b.体液量と運動能力
c.脱水による運動能力低下の要因
d.飲水による脱水の回避
疾病・加齢
治療・予防
9章 内分泌
A.内分泌一般
1 ホルモンと内分泌とは
2 ホルモンによる情報伝達
3 ホルモンの種類とその合成
a.アミン型(アミノ酸誘導体)ホルモン
b.ペプチドホルモン
c.ステロイドホルモン
4 ホルモンの放出
5 ホルモン分泌の調節
6 ホルモンの作用
a.内部環境の恒常性維持
b.外部環境変化に対する反応
c.エネルギー代謝
d.形態の完成
e.生殖機能の維持
B.内分泌器官
1 視床下部と下垂体
a.視床下部ホルモン
b.下垂体ホルモン
2 副腎
a.副腎髄質
b.副腎皮質
3 膵臓
4 甲状腺
メモ イソフラボン
疾病・加齢
治療・予防
10章 成長・生殖
A.女性の生殖機能
1 女性の生殖器の解剖
2 女性の生殖に関係するホルモン
a.視床下部
b.下垂体
c.卵巣
3 月経周期の調節
a.卵胞期と排卵期におけるホルモン動態
b.黄体期におけるホルモン動態
c.月経周期
4 妊娠と分娩
a.卵の形成と受精・着床
b.胎盤の機能
c.妊娠中の母体の変化
d.分娩
e.授乳
B.男性の生殖機能
1 男性の生殖器の解剖
2 男性の生殖機能の調節
3 精子
C.成長・生殖に関係するホルモン
1 生殖腺の性分化におけるホルモン
a.生殖腺の分化
b.内生殖器の性分化
c.外生殖器の性分化
d.精巣下降
2 思春期の発来
a.二次性徴
b.思春期の発来機序
3 胎児の成長を促す胎盤のホルモン
4 生殖機能の老化
a.女性における生殖機能の老化
b.男性における生殖機能の老化
疾病・加齢
治療・予防
11章 筋収縮
A.筋肉の種類と機能
B.骨格筋の微細構造
C.筋収縮の仕組み
1 興奮収縮連関
2 筋収縮の滑走説
3 筋収縮の分子機構
4 筋の力学的特性
D.筋収縮のエネルギー源と仕事
1 収縮のエネルギー源
2 仕事と熱発生
E.筋収縮の型
1 単収縮と強縮
2 等張力性収縮と等尺性収縮
3 異常な収縮
F.心筋の特徴
G.平滑筋の特徴
メモ 筋肉痛
H.筋運動のエネルギー
1 運動時のエネルギー消費
2 筋運動時のエネルギー供給
a.クレアチンリン酸系
b.解糖系
c.有酸素系
3 運動後のエネルギーの回復
メモ 有酸素運動と無酸素運動
疾病・加齢
治療・予防
12章 神経系の基礎
A.神経系の分類
1 ニューロンの構造とその機能
B.ニューロンの興奮
1 静止状態の膜電位
2 活動電位(インパルス、発火)の発生
3 興奮の伝導
C.シナプス
1 神経伝達物質と受容体
2 シナプス後反応
3 シナプスの可塑性
D.グリアの機能
1 髄鞘形成
2 血液脳関門
E.神経系の発達
メモ 神経毒
疾病・加齢
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13章 自律神経系
A.末梢自律神経系の構成
1 節前ニューロンと節後ニューロン
2 交感神経系
3 副交感神経系
B.自律神経活動の特徴
1 効果器との接続
2 緊張性活動(トーヌス)
3 二重支配
C.自律神経系の伝達物質と受容体
1 伝達物質
2 受容体
a.副交感神経系
b.交感神経系
3 伝達物質の除去と再利用
a.アセチルコリン
b.ノルアドレナリン
4 共伝達物質
D.自律神経系による内臓支配
E.自律反射
1 内臓-内臓反射
a.圧受容器反射
b.排尿反射
2 体性-内臓反射
a.体温調節性反射
b.対光反射
3 内臓-体性反射
a.ヘーリング・ブロイエル反射
b.筋性防御
c.関連痛
4 軸索反射
F.脳幹・視床下部
1 血管運動中枢・呼吸中枢
2 体温調節中枢
3 食欲の中枢
4 情動行動
G.日内リズム
1 リズムの形成と視交叉上核
メモ 唾液で知るストレスの程度
疾病・加齢
治療・予防
14章 脳
A.ヒトの脳の巨視的構造
B.大脳
1 左脳と右脳
2 大脳皮質の構造
a.表面の構造
b.大脳皮質の層構造
c.大脳皮質のコラム構造
3 大脳皮質の各部位の役割(機能局在)
C.記憶と学習
1 記憶の分類と関与する脳の部位
2 記憶の生理学的基盤
D.睡眠と覚醒
1 脳波
2 睡眠とは
3 ノンレム睡眠とレム睡眠
4 睡眠のメカニズム
5 睡眠覚醒リズムの調節機構
6 睡眠の発達と老化による変化
メモ ノンレム睡眠とレム睡眠
E.情動
1 本能と情動
a.本能
b.一次性情動
c.二次性情動
2 情動を引き起こす条件
3 情動の身体反応
4 情動の脳内メカニズム
5 情動と左右の脳
疾病・加齢
治療・予防
15章 感覚
A.感覚とは
1 感覚の種類
2 刺激の受容
3 刺激の強さと感覚の大きさ
4 順応
B.視覚
1 光の経路
2 網膜
a.視細胞
b.暗順応と明順応
3 視覚伝導路
4 色の感覚
5 視野と視力
6 視覚情報処理
C.聴覚
1 音の経路
2 音の受容
3 聴覚伝導路と聴覚情報処理
4 音色
5 音源定位
D.平衡感覚
1 半規管
2 耳石器
3 前庭経路
E.体性感覚、内臓感覚
1 皮膚感覚
a.触圧覚
b.振動覚
c.温度覚
d.痛覚
2 深部感覚
3 内臓感覚
4 体性感覚、内臓感覚伝導路
5 皮膚分節
F.味覚、嗅覚
1 味覚
2 嗅覚
メモ 感覚刺激と知覚
疾病・加齢
治療・予防
16章 運動の調節
A.運動に関係する脳部位
B.運動神経と運動単位
1 運動ニューロンと筋肉の接続
2 力の調節
C.脊髄
1 筋紡錘と腱器官
2 伸張反射とγ系
3 さらに複雑な反射
a.相反神経支配
b.屈曲反射
D.脳幹
1 姿勢反射
2 歩行
3 脳幹によるその他の反射
E.大脳皮質
1 一次運動野
2 他の運動関連皮質部位の役割
F.運動学習と自動運動(大脳基底核と小脳)
1 大脳基底核
2 小脳
G.運動関連脳部位間の接続
メモ スポーツのトレーニング
疾病・加齢
治療・予防
17章 骨の生理学
A.骨組織と機能
B.骨の代謝
C.関節
D.骨髄
1 造血機能
2 骨髄移植
E.骨の異常
1 骨粗鬆症
メモ 感覚刺激と知覚
疾病・加齢
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参考書
和文索引
欧文索引
本書は昭和44年に初版が刊行され、岩瀬善彦先生と森本武利先生のご尽力で版を重ねてまいりました。第5版の改訂に際し、岩瀬先生に代わって私が編集を担当させていただくことになりました。また今回の改訂では、森本先生が次の世代の方に是非バトンタッチを、とのことで能勢博先生に編集者としてご参加いただきました。
生理学は解剖学と並んで生体(人体)を理解するための基礎となる学問です。近年、健康への関心が高まる中、また、スポーツ、福祉、栄養など、生理学の知識を必要とする分野で働こうという人の数が増えてきています。本書は医療・コメディカルの分野に加え、そのような分野の人たちにも分かりやすく知識を伝えることを目的に書かれています。また本改訂版では新しく「疾病・加齢」と「治療・予防」の項を各章の最後に加えました。これは基礎的な知識がどのように応用されているかを述べたものです。健康のために運動が大切であるとは良く言われます。しかし実際にはなかなか定着しないのが現状です。そこで、体育・スポーツ以外の分野の読者にも、運動と健康の関係を理解してもらいたいとの趣旨から、特に「治療・予防」の項では「運動」の効用を多くの章で紹介するようにいたしました。
人を含めた生体の仕組みはすべて「生きる」ためにあります。本書で勉強しようとする体のさまざまな現象は、結局は「生きる」ための何かであるに違いありません。生理学の大きな目標はこの「生きるための何か」、つまり生存上の機能的意味を理解することです。ですから、ある体のはたらきを勉強するときには「何でやろ(Why?)」という問を常に持ってもらいたいと思います。なぜそのような形をしているのか?なぜそのような反応が起こるのか?何億年もの進化をくぐりぬけて来たわれわれのからだの「何故?」を知って、「なるほど」と感ずることが生理学を学ぶ面白さです。読者の皆さんには是非とも生理学を楽しんでもらいたいと思います。
40年の長い歴史を持つ本書をさらに良いものにすべく、編集者、執筆者一同これからも力を注いでゆきたいと思います。読者の方々のご指摘、ご意見、アイデアを是非お寄せくださることをお願い申しあげます。
平成22年11月 猛暑の後で、例年になく美しい紅葉の秋に
編集者を代表して
彼末一之